【昔話01】 生まれ変わった石切り


昔むかし ある所に、石切りの男が住んでおりました。

毎日 山に出向いては、石を切り出します。

毎日毎日、石を切り出しておりました。




昔話01 生まれ変わった石切り




しかし、ある日のこと、男はイヤになりました。

毎日毎日 石を切り出しても、生活は豊かにならない。

手はボロボロだし、腰も痛い。

それになんだ、あの太陽は。

サンサンと照らしやがって。

サンサンと照らすから SUNとでも言うのかと、悪態をつきます。

あんなに高いところで照らして、さぞいい気分だろう。

「ああ、くそう! ワシは太陽になりたい!」

「神様いうもんがおるんやったら、ワシを太陽にしてみい!」




「なりたいの?」

空から声がしました。

石切りの男が見上げると、姿はないが 声はする。

「太陽になりたいの?」



石切りの男は、ゾクッとしました。

この声は神様か?

ヘタなことを言うと、バチが当たるんじゃないか?

しかし、それ以上に、日頃のうっぷんが溜まっていました。

溜まって、たまって、爆発のきっかけを待っていたのです。

「ああ、なりたい! ワシは太陽になりたい!」



「ほな、なったら?」

なんとも軽い、神さんです。



「?」

なにか おかしいことに、男は気づきました。

川を見下ろしている、村を見下ろしている、城を見下ろしている、山さえ見下ろしている。

元石切りの男は、自分が太陽になっていることに気づきました。

「こりゃ、ええぞ」

太陽になった男は、村を照らしました。

「明るいか?」

畑を照らしました。

「どうや?」

城には強く照らしました。

「暑いやろ?」

元石切りで 今は太陽の男は、時には恵みを与え、時にはイジワルをし、照らし続けておりました。

しかし、ある時、気づいた。

「あの雲いうやつは、ワシを簡単に隠しよる」

「ワシの方が高いとこにおるのに、なんや、あいつの方が強いんか」


元石切りで 今は太陽の男は、くやしくなりました。

「なんや、しょーもない」

「ワシは雲になりたい!」




すると、太陽よりさらに高いところから、声がしました。

「なりたいの?」



元石切りで 今は太陽の男は、ビクッとしましたが、今までのことを思い出して言いました。

「なりたい、雲になりたい」



「ほな、なったら?」

ホンマに軽いなあ。



元石切りで、次に太陽になった男は、雲になっておりました。

太陽よりは低いところにいますが、今ではその太陽を遮ることができます。

「どや、強いやろ?」

空を動いて、自由に 地上に影を作る。

汗をかきかき 畑仕事をしている者に、日陰を作ってやる。

土地が乾いたと思ったら、雨を降らせてやる。

時にはイジワル心が働いて、川を氾濫させる。

何でも自由自在。

元石切りで、次に太陽になって、今は雲の男は、得意になりました。

「どや、すごいやろ」

「何でも、でけるで」


しかし、ある時、気づきました。

いくら雨を降らしても、ビクともしないやつがいる。

悠然と構えて、微動だにしない。

「なんや、あいつ」

元石切りで、次に太陽になって、今は雲の男は、くやしくなりました。

「なんや、山のやつ」

「ドシっとしやがって」

「あいつの方が強いんか?」

「あいつと比べたら、ワシはカスなんか?」


泣きそうになって、叫びました。

「ワシは山になりたい!」



「なりたいの?」

あいかわらず、軽い神さんです。

神さんじゃなくて紙さんじゃないかと疑うくらい、軽い。

「ほな、なったら?」



もともとは石切りで、次に太陽になって、その次に雲になった男は、こうして 山になりました。

なんと、気持ちのいいことか。

地に足つけて、どっしりと構える。

まわりのなんと小さいことよ。

ちまちま動いとる。

晴れ晴れとして、ゆったりと、日々を過ごしました。


しかしある時、足元に違和感を覚えた。

「ん? なんや痛いぞ」

人間でいうところの足元を見ると、人間が何かしてます。

目を凝らすと、山から石を切り出しておりました。


元石切りで、次に太陽になって、その次に雲になって、またその次に山になった男は、泣きそうになりました。

痛いからではありません。

情けなくなったのです。

山になって威張ってみたものの、あの小さな石切りの男に削られてしまう。

結局、山より 石切りの方が強いのか。

泣きそうになって、つぶやきました。

「ワシは石切りになりたい」








男は自分の手を見つめました。

ゴツゴツしております。

しばらくして、気づいた。

もともと石切りだった男は、次に太陽になって、その次に雲になって、またその次に山になって、またまたその次に 石切りにもどったのです。

「夢やろか?」

そう思ったものの、太陽、雲、山になっていた実感が残っている。

しばらく たたずんでおりましたが、カラスの鳴く声が聞こえた。

もう、日が暮れそうです。

石切りにもどった男は、小屋に帰って、飯を食って、風呂に入って、寝ました。







朝です。

男は石を切り出すために、山へと出かけました。


男は 願って太陽になり、また願って雲になり、またまた願って 山になったものの、結局、石切りにもどったのです。

何も変わらなかった。






というわけでもなさそうです。

顔が違う。

石切りに出かける男の顔には、どこか すがすがしいものがありました。




<終>







最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



あなたに幸あれ。





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管理人 : 荒巻ケンコー

50歳代に突入し、健康の話題を口にすることが多くなりました。老眼が始まったり、白髪もチラホラ。筋肉痛は、2~3日遅れる。

老化は止められないけど、緩やかにしたい。できるだけ健康でいたい。できれば、生活を楽しみたい。そういう気持ちで、情報を集め、分かりやすく記録に残しています。

おいしい食材や簡単料理にも、興味あり。


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