【魚肉ソーセージ(1)】 噛むトレーニングにも 【3つの秘密】
おいしいだけじゃない、魚肉ソーセージの可能性。
噛む力や飲み込む力が弱い人に、朗報です。
なんと、食べるだけで トレーニングになるのだ。
その他にも、
・ いつ誕生したのか?
・ どうして長持ちするのか?
・ なぜ 食べやすいの?
疑問を解明していきます。
番組名 : ガッテン!
テーマ : 魚肉ソーセージ フルふわ不思議食感 新活用術
放送日 : 2020年10月28日

□ 魚肉ソーセージの秘密

さあ、今回のテーマは何でしょうか?

食材から、「魚肉ソーセージ」について。
子どもから大人まで、好きな人が多い、魚肉ソーセージ。
その魅力に、迫りますよ~♪
Q : 魚肉ソーセージは、いつ生まれたの?
1949年、西南開発工業協同組合が、魚肉ソーセージの試作に成功。
元々のコンセプトは、カマボコのソーセージ化らしい。
1951年、西南開発株式会社(愛媛県八幡浜市 やわたはまし)を創立し、「スモークミート」を開発。
これが日本初の魚肉ソーセージだといわれる。
1951年は、戦後間もない食糧難の中で、同時に 食の洋風化が進んでいた時代。
その頃、豚肉などのソーセージは高級品で、庶民には高嶺の花だったという。
そこで、当時の食品メーカーが 身近な食材を使い、再現しようとチャレンジしたのだ。
誰でも手軽に 手にできるソーセージを届けたい。
そんな想いが、こもっていたんですね。
初期の原料は 新鮮なアジだったそうなのですが、マグロが暴落した時期には、マグロを使う会社が増えた。
その後、冷凍タラが使われるようになり、赤身魚から白身魚に。
上記の西南開発も、アジの漁獲量減少により、冷凍タラにシフトしたとのこと。
しかし、昔の魚肉ソーセージを甦らせようと有志が集まり、「元祖魚肉ソーセージ」が復刻されました。
原料は、今では貴重な 100%国産アジだ。
Q : 魚肉ソーセージの魅力は?
(1) おいしい!
(2) 手早く、おかずにできる。
(3) おやつになる。
(4) おつまみ(酒の肴)になる。
(5) 保存がきく。
(6) アウトドアにも向いている。
(7) 栄養補助できる。(たんぱく質、カルシウム等)
(8) 小腹が減った時に最高!
(9) 値段が安い!
常温で保存できるので、大助かりです。
軽いし、そんなに かさばらない。
トレイルランニングの 望月将悟 選手にとっても、欠かせない食品なのだとか。
さらに、釣りのエサにする人もいる。
Q : なんで、常温で長持ちするの?
昔は使っていた時期もありましたが、現在では 保存料・防腐剤を使っていません。
保存料不使用!
でも、どうして長持ちするんだろう?
実は、缶詰と同じ理論で、長期保存を実現しているのだ。
工場で工程を見せてもらうと、
魚のすり身に、塩を加える。
ペースト状にして、着色料を加える。
それを、専用のフィルムに詰める。
高温高圧殺菌釜で、加熱(120℃)。
こうなっていた。

高温高圧で 食中毒菌が殺菌されるので、長期保存できるのです。
フィルムで密閉されているので、作ってからも 菌が入り込む心配がありません。
ちなみに、缶詰の場合は およそ 3年ほど もちますが、魚肉ソーセージの保存期間は およそ 4か月。
フィルムなので、缶詰よりは 密閉度が低い。
それでも便利なのに変わりありませんけどね。
しかも、保存料 不使用だし。
Q : 噛む力が弱くなってきた人の訓練になるって、本当?
みなさん、せき込んだ経験は、おありでしょうか?
まずは、せき込むメカニズムから。
ものを食べると、噛んだ後、普通は「食道」に向かいます。
ですが、まれに、「気道」に行ってしまうことがあるんですね。
気道を通って 食べ物や唾液などと共に、細菌が肺に入ってしまい、肺炎になることもある。
これが、「誤嚥性肺炎」。
お年寄りが亡くなる原因になるので、侮れない病気です。
ものを飲み込む働きのことを、「嚥下(えんげ)機能」と言います。
この嚥下機能が低下すると、本来 口から食道へ入るものが、気管に入ってしまう。
これを、「誤嚥(ごえん)」と言う。
高齢になると、どうしても 噛む力が衰えてきます。
なので、口の中で ほぐれやすく、飲み込む時には 適度にまとまる、そんな食材が適している。
噛む力や飲み込む力が弱い人用の食品もあります。
東京医科歯科大学の 戸原玄 教授は、魚肉ソーセージに注目している。
すなわち、噛んだ時に ほぐれやすい。
しかも、適度な弾力もあるので、噛む力のトレーニングになるのだ。
公立能登総合病院の歯科医師 長谷剛志 先生も、噛む力が弱った人たちに、魚肉ソーセージを使ったトレーニングをしています。
魚肉ソーセージには 適度な弾力があるため、トレーニングに適しているんです。
(注意 : 噛む力がほとんどない方、嚥下障害と診断されている方などは、無理に食べないでください。かかりつけ医に、相談しましょう)
お年寄りだけでなく、魚肉ソーセージは 小さいお子さんにも向いている。
歯が生えそろう前でも、食べやすいのだ。
そこで、疑問が…
Q : なんで、食べやすいの?
魚肉ソーセージは、噛んだ時、適度に崩れやすいんです。
しかも、口の中で崩れた魚肉ソーセージは、唾液と混ざり合うことで、適度な大きさに まとまってくれる。
こうした特性があるので、ふわっと崩れるのに、しっかり食べごたえも感じられる、そんな食感になるってわけだ。
思い出してみると、同じ練り物の「カマボコ」に比べても、魚肉ソーセージは やわらかいですよね。
それに、口の中で すぐほぐれる。
魚肉ソーセージの そんな特徴を生んでいるのが 何か、分かりますか?
それは、ソーセージらしさを出すための原料だという。
その原料とは、「油」。
魚の身に塩を加えて、よく練る。
その際に 油を加えると、たんぱく質同士の結びつきを弱め、中の気泡も大きくなる。
このおかげで、適度に崩れやすくなるんですね。
魚肉だけでは、ソーセージっぽくない。
だから、油を入れた。
すると、口の中で ほぐれて、食べやすくなった。
というわけなのだ。
食べやすく、保存もきいて、噛むトレーニングにもなる。
魚肉ソーセージ、なんて優秀なんでしょう。
おそろしい子…
後編では、栄養やアレンジレシピについて、紹介しますよ。
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