【刺身(2)】 サクをおいしくする方法 【前田尚毅】
後編では、刺身のサクをおいしく楽しむための技を紹介します。
教えてくれるのは、焼津の鮮魚店 5代目、前田尚毅さんだ。
斜めまな板とは、どういう技なのでしょう?

□ 刺身を家で おいしくする方法

焼津のお魚店「サスエ前田魚店」 5代目の 前田尚毅さんが「刺身を美味しくする技」を教えてくれました。
この置き方は、ちょっとビックリ。
<冷凍マグロ>
(1) まな板に、塩をふります。
(2) マグロのサクをのせて、また塩をふる。
(3) その まな板を斜めに、立てかける。
(これは、水を切るため)
(4) 時間は、30分ほど。
(5) 湿らせた厚手のキッチンペーパーで、塩をふき取る。
(6) 指で味見をして、塩気を確認します。
まだ塩気が残っていれば、(5)を繰り返す。
(7) これを冷蔵庫で冷やすのですが、素早く冷やすため、ラップなどをせずに、そのままチルド室に入れてください。
目安は、30分ほどです。

こうすると、水っぽさがなくなって、少量の醤油でも おいしく食べられる。
増した うま味を 楽しめる技なのだ。
塩をふるのは、酵素の働きをおさえて、うま味を逃しにくくするためです。
塩をふって出る水は、ドリップとは違います。
うま味成分を身の中にとどめたまま、余分な水分と臭みを、排出するのだ。
この処理をしたマグロを冷蔵庫で冷やすと、赤色の発色が出てきて、身のもっちり感を生むとのこと。
もちろん、マグロだけでなく、他の刺身でも この技を使えます。
<サーモン>
(1) まな板に、塩をふります。
(2) サクを置いて、上にも まんべんなく塩をふる。
目安は、焼き魚より 少し強めの量。
(3) まな板を斜めに立てかける。
目安の時間は、30分。
(4) 厚手のキッチンペーパーを湿らせて、魚の目(斜めに走っている線)にそって、しっかり塩気をふき取る。
(5) 塩気をふき取れているかどうか、指で触って舐めて、確認。
まだ塩気が残っているなら、またふき取る。
(6) 仕上げに、新しいキッチンペーパーで包み、側面を軽く押して、余分な水分を出す。
(7) ラップをせずに、冷蔵庫のチルド室で、30分以上冷やす。

立てかけて置く場所は、温度が高くない所にしましょう。
また、食べる時は、うま味があるので 醤油は控えめで。
<鯛の場合>
(1) まな板に塩をふります。
(2) 身を置く時は、皮があった側を下にする。
(3) 上にも塩をふる。
(4) まな板を斜めに立てかける。
この時、細い方(しっぽ側)を上にして、15分。
身が薄い腹側は、7~8分でよい。
(5) 湿らせた厚手のキッチンペーパーで 身を包み、出てきた水分を吸い取ります。
(6) 次に、新しい(湿らせた)キッチンペーパーで表面の塩をふき取る。
(塩気が残らなくなったら、OK)
(7) これを冷蔵庫のチルド室で、30分以上冷やすとよい。

あとは切って、おいしくいただいてください。
バットにのせて冷蔵庫で冷やす際は、ラップを敷いておくと、くっつきにくい。
手間だけど、おいしく食べられる方法です。
番組後半、まず見せてくれたのは、「いけじめのヒラメ」でした。
まな板に塩をふって、身をのせる。
上からまた塩をふって、まな板を斜めに立てかける。
すると、ヒラメの身が、細かく震え出しました。

塩の影響で、筋収縮が起きているんだって。
こうやって 筋肉が動くことで、残っているエネルギー源が使われ、イノシン酸が増えるのだとか。
ほえ~。
□ 達人なら 40時間でも?

前田尚毅さんは、世界的に知られた人なのだ。
なんと、香港、シンガポール、アメリカに、生で魚を送っているのだという。
前田さんの魚はおいしいと、有名なんですね。
そこでも鍵になっているのは、氷と空気。
袋氷をたっぷり、隙間なく詰める。
他に使うのは、新聞紙と保冷剤くらいだ。

驚くことに、クール便を使うわけでもなく、普通便で発送するそうな。
海外への発送で 40時間もかかるのに、全然溶けないのだそう。
袋氷に、空気は入れません。
詰める時には、隙間をなくし、徹底的に空気を排除する。
そのおかげで、氷が溶けないのでした。
動画
【板前の技】知ってるようで知らない【マグロ刺身の切り方・筋の切り方】
子どもの頃、田舎に住んでいた時は、スーパーマーケットは少数派であり、魚屋さんや八百屋さんが主役でした。
放課後、下校する時には、毎日、魚屋さんの前を通る。
水槽の中では鯛などの魚が泳ぎ、おじさんは刺身を切るなど、準備をしていました。
水をたくさん使うからか、長靴履いて、白い服着て、ハチマキ巻いてた。
まるで、ど根性ガエルの梅さんだな。
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