【浮き指 前編】 チェック法&腰痛との関係/ガッテン
足形を 30年かけて 10万人分も収集した、阿久根英昭さん。
日本人の足に、ある異変が起こっていることに気づきました。
足の指と、腰痛、ひざ痛など、身体の不調との関係は?
負荷がかかるメカニズムを説明。
簡単なチェック法も紹介します。
2018年7月18日放送の「ガッテン」より、「10万人調査で判明! 腰痛・ひざ痛 劇的改善のカギは足形!?」。
その前編です。

□ 足の異変

さあ、今回のテーマは何でしょうか?

「浮き指」について。
いきなり、体験談から始まります。
[体験談(1)]
佐賀県にお住いの 66歳女性、Aさん。
7年もの間、慢性的な「ひざ痛」「腰痛」に悩んできました。
お尻から太ももにかけて ズキズキし、最近は ヒザも痛くて仕方ない。
歩きたくても歩けない状態です。
畑仕事は 台車に座って、痛みを我慢しながら行う。
しまいには階段を上がることができなくなり、2階建てだった家を 1階建てに、建て替えざるを得ませんでした。
ところが、それまで全く気づいていなかった「身体のある部分に異変が起きている」のを知り、それを治したところ、この状況が一変したんです。
7年も続いていた痛みが、わずか 2か月で、消えてしまった。
「身体のある異変」と「腰痛・ひざ痛など、様々な症状」。
この関係を見出した、研究者がいます。
阿久根英昭さん、68歳。
メガネをかけた、やさしい感じの男性です。
この阿久根先生が、声をかけて 協力してもらった人数が、なんと「10万人」。
驚きの数ですね。
その成果が、スタジオで披露されました。
古代文字?
象形文字?
かと思ったら、足形だ。

これでも、10万人中、4000人分だという。
かかった年月は、30年間。
自作の測定器で、足の裏にかかる圧力を、測定してきました。
車で全国を走り回っているのだそうな。
学校に行くこともあれば、市民向けの講演会で呼びかけ、協力してもらうことも。
足形を、30年かけて、10万人分も。
いったい、どうして、こうなったのでしょうか?
桜美林大学 健康福祉学群 阿久根英昭 特任教授。
先生が調査を始めたのは、研究者としての挫折(ざせつ)が きっかけだったという。
足の研究を始めたのは、40年前になります。
スポーツ科学の専門家として、もともとは「足の土踏まずと運動能力の関係」を研究していました。
しかし、10年間 調査を続けたものの、両者の間に 確かな因果関係を見出すことはできませんでした。
先生は研究に行き詰まり、壁にぶつかってしまったのだ。
再起をかけ、先生が始めたのは、「とにかく足形を集めること」でした。
始めた頃は、すべて手作業。
1日に1人の足形を分析するのが、精一杯でした。
しかし、データを多く集めれば、何か見えてくるものがあるかもしれない。
その思いで、黙々と調査を続けたのでした。
月日が経ち、集まった膨大なデータを眺めていたある日のこと、先生は奇妙なことに気づきます。
それこそが、今日のテーマである、日本人の足に生じている「ある異変」だったのだ。
足形にある、2つのタイプ。
その差、分かりますか?

左のグループでは、指が写っています。
でも、右のグループでは、指が写っていません。
実際の足は、こうなっている。

指が浮いていますね。
ここで、今日のテーマが示されました。
「浮き指(うきゆび)」
足の指が 1本以上 浮いていたら、浮き指と判定されます。
10万人を見てきた阿久根先生によると、男性で 6割、女性で 8割の人が、浮き指らしい。
この傾向を見つけた先生は、さらに調べました。
「相模原 桜祭り」に参加していた人たちに協力してもらい、636人のデータを取った。
そのデータが、これだ。

636人中、正常な人は 186人。
浮き指の人は、450人もいました。
ひざ痛のある人は、正常な人では 0人 (0%)。
浮き指の人では 37人 (8.4%)。
頭痛のある人は、正常な人では 36人 (19.4%)。
浮き指の人では 188人 (41.8%)。
肩こりのある人は、正常な人では 36人 (19.4%)。
浮き指の人では 283人 (62.8%)。
腰痛のある人は、正常な人では 74人 (39.8%)。
浮き指の人では 301人 (66.9%)。
それぞれの症状は、浮き指の人の方が、割合がうんと多いですね。
□ 足の指が浮くだけで症状が?

先述の、Aさん。
浮き指に関係すると思われる身体の不調に悩んでいました。
4か月前に計測した足形を見せてもらうと、確かに、指が写っていません。

Aさんの身体の不調は、まず、腰に現れました。
さらにヒザが痛くなって、歩けない状態に。
痛みが出始めたのは、7年ほど前。
腰からヒザ、くるぶしへ範囲が広がり、歩くことさえ困難になった。
最後には階段を上がれなくなり、2階建ての家を 1階建てに、建て替えざるを得ませんでした。
福岡市にお住いの女性、Bさん。
Bさんも、浮指に関係すると思われる症状に、悩まされました。
なんと、40年間も、首や肩、背中にかけて、痛みが続いていたのだ。
どこかが、毎日痛い。
朝起きたら、もう、とにかく痛い。
「もう、朝が来なかったらいいのに」と、思うほどでした。
長引く身体の不調。
それが浮き指と、どんな関係があるのでしょう?
浮き指の影響を、計測することになりました。
協力してくださったのは、畿央大学 健康科学部の 福本貴彦 准教授。
動作解析の専門家だ。
モーションキャプチャーや加速度計を使用し、身体の動きを計測します。
それをコンピューターで解析し、身体にかかっている負荷の大きさを割り出す。
正常な人が歩く時と、浮き指の人が歩く時。
それを比較すると、差が見えてきました。
浮き指の人のヒザには、1歩あるくごとに、3kg 相当の負荷が 余計にかかっていたのだ。
1歩で 3kg 増ですよ。
そりゃ、痛みも出ますよね。
さらには、こんなことが起きる。
浮き指だと、重心がちょっと後ろに倒れます。
そうすると、バランスを取ろうとして、ちょっと猫背になるんです。
正しい姿勢だと、重い頭も、しっかり支えることができます。
しかし、猫背になってしまうと、重い頭を支えるために、首、肩、腰などに、大きな負担がかかってしまうのだ。
こうなると、筋肉が緊張し、血流も悪くなって、「頭痛」や「肩こり」「腰痛」につながってしまうのでした。

まさか、ひざ痛や腰痛の原因が、浮き指かもしれないとは。
今は健康な人も、関係ないとは言えません。
実は、意外なリスクを抱えているらしいのです。
目を閉じて片足で立つ、バランステスト。
浮き指の人にバランステストをしてもらうと、もう、フッラフラ。
このバランスの悪さを、専門家はどう見るのでしょう?
国際医療福祉大学 福岡保健医療学部 森田正治 教授。
転倒予防の専門家です。
前方にどれだけ傾くことができるか測定し、転倒リスクを調べてもらいましたよ。
すると、浮き指 傾向が強い人は、踏ん張る力が格段に弱く、転倒リスクが高いことが分かった。
厚生労働省の調査では、転倒は今や 交通事故よりも多い死亡要因の一つ。
2016年の人口動態調査・死亡要因では、交通事故が 5278人で、平面での転倒が 5788人でした。
将来のリスクを考えると、浮き指は侮(あなど)れないのです。
□ 浮き指チェック法

ここでスタジオに、阿久根先生が開発した計測機器が登場。
ゲストのみなさんが、チェックしてもらうことになりました。
赤いのが、圧がかかっている部分。
ナイツ塙さんは、外側の指が浮いているようだ。
大島麻衣さんは、全体的か。
井森美幸さんも、圧がかかってない部分があるぞ。

自然な状態では、指に圧がかかっていないようです。
つまり、指が浮いてしまっている。
計測機器が無くてもできる、チェック法があります。
<浮き指 チェック法>
(1) まず、自然な状態で、まっすぐに立ちます。
目線は、まっすぐ前を向くこと。
(2) 誰かに協力してもらって、足の指の下に、名刺ぐらいの厚さの紙を、差し込んでもらいましょう。
(3) 足指にちゃんと圧力が かかっていれば、指の下に紙は入りません。
(4) 浮き指だと、指の下に紙が入ってしまう。

(あくまで目安です)
でも、どうして、足の指が浮いてしまうんだろう?


後編では、阿久根先生に詳しく解説してもらいます。
対策も紹介!
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