【かつお節 前編】 パックは使い切るのが基本/ガッテン
鹿児島県枕崎市での、かつお節作り見学。
にんべんが 小さなパックを開発した理由。
そして生じた、使い切らない問題。
解決法は、意外なものでした。
開封してしまうと、冷蔵庫に入れても、香りが飛ぶので、要注意!
水分量も減って、しっとり感まで無くなってしまう。
2018年7月11日放送の「ガッテン」より、「最強の調味料に変身!かつお節パック 徹底活用ワザSP」。
その前編になります。

□ かつお節の作り方

さあ、今回のテーマは何でしょうか?

食材から、「かつお節のパック」について。
どこの家庭にもありそうな、かつお節のパック。

でも、使い切れないケースも、多そうだ。
どこかに、眠ってません?
いきなりスタジオに登場したのは、丸々1本の「かつお節」。
今では見る機会も、そんなにないかな~。

まずは、かつお節の製造工程を、見てみましょう。
鹿児島県は枕崎市。
なんでも、生産量が日本一なのだとか。
南の赤道近くの海から、海流にのって、たくさんのカツオの群れが やって来ます。
[工程(1)] 切る
まずは、カツオの頭と内臓を取り除く。
[工程(2)] ゆでる
次に、2時間ほど ゆでる。
[工程(3)] 骨を抜く
お腹の骨を、1本1本 手作業で取り除く。
[工程(4)] 焙乾(ばいかん)
じっくり、いぶす。
これによって、カツオが かつお節になるのだ。
いぶす期間は、およそ 2週間だという。
この後、さらにいくつかの工程を経て、かつお節が完成します。
製法は、江戸時代から、ほどんど変わっていないらしい。

昔は、各家庭で削っていた、かつお節。
それが やがて、大きな「削り節」の袋が発売。
さらには、中ぐらいの袋も出て。
今では、小さなパックが発売されるようになりました。

今回の主役は、その「小さなパック」になります。
おそらく、大きな袋は、業務用(料理店など)。
中ぐらいのは、家庭でも使いやすいように。
では、小さなパックが生まれたのは、なぜなんでしょう?
□ 小さなパックが生まれた理由

どこの家庭でもある、小分けパックのかつお節。
発売されたのは、昭和44年(年)だという。
当時の広告を見ると、「新しいかつおぶし 誕生! 0秒 フレッシュパック」と書かれてありますね。
昭和初期、かつお節といえば、ダシをとるものでした。
各家庭には、削り器が必ずあり、食事の度に削ってたんですよ。
しかし、高度経済成長期になると、ライフスタイルに変化が。
誰もが時間に追われるようになり、「時短」が求められるようになりました。
そう、手間のかかる かつお節は、次第に敬遠されるようになっちゃったんです。
(朝食の度に削ってたんじゃ、たいへんだ)
当時、かつお節メーカー「にんべん」に就職した、荻野目望さん。
こう振り返ってくれました。
「業界自体ね、ホントに、下駄と番傘とかつお節っていうのは、なくなっていくもんだと…」
「(かつお節は)日本の味の基本だと思うんですよね」
そんな中、生まれたのが、「食べるかつお節」というアイデアでした。
当時の考え方だと、削り節は、ダシをとるだけの存在。
でも、かつお節自体は、非常に高たんぱくです。
そこで、「ぜひ食べていただきたい」と思ったというのだ。
<削り節の栄養素>
1袋 2.5g あたり。
( )内は 100g あたり。
エネルギー : 9kcal (351kcal)
たんぱく質 : 1.9g (75.7g)
脂質 : 0.1g (3.2g)
炭水化物 : 0.0g (0.4g)
カリウム :20mg (810mg)
カルシウム : 1mg (46mg)
鉄 : 0.2mg (9.0mg)
ビタミンD : 0.1μg (4.0μg)
ビタミンB1 : 0.01mg (0.38mg)
ビタミンB2 : 0.01mg (0.57mg)
ビタミンC : 0mg (0mg)
食物繊維 : 0.0g (0.0g)
ナトリウム : 12mg (480mg)
食塩相当量 : 0.0g (1.2g)
食べるかつお節というアイデア。
しかし、問題点が。
かつお節は、細かく削ると、命ともいえる「香り」が飛びやすくなってしまうのです。
そこで採用されたのが、新しいパッキング技術でした。
これなら、新鮮な香りを閉じ込めることができる。
こうして生まれたのが、日本初のかつお節パック。

驚きと共に、大ヒットになったのでした。
荻野目望さんのお話。
「当時の普通のね、一般のものに比べて、ダントツに違うぞっていう思いはありました」
「それだけね、感動をしていただけるものじゃないかな、と」
今では、多くのメーカーが、かつお節パックを発売しています。

家庭向け かつお節製品の主力と言ってもいいでしょう。
□ かつお節パック 使い切らない問題

便利な、かつお節パック。
でも、同時に、ある問題が…。
そう、なかなか使い切らない。
食べ切らないまま、保存することになってませんか?
・ 輪ゴムで縛る。
・ ラップを巻いて、冷蔵庫へ。
・ 保存袋(ジップロック)にIN。
・ 封を開けたまま、冷蔵庫に放置。
・ 洗濯ばさみで止める。
・ お菓子用クリップで止める。

冷蔵庫に入れて 1週間ほどたった、かつお節パック。
違いが出てるの、ご存知でしょうか?
そう、香りに違いが出るんです。
比べないから、分かりづらいですよね。
「パック開封後の香り変化」というグラフ。
開封して ほんの16時間で、激減してます。

良かった香りが、悪い方にいっちゃってますね。
実はこれ、「酸化」してるんです。
封を開けてしまえば、冷蔵庫に入れても、避けられないのだとか。
ならば、ひょっとして、もっと小さい袋でもいい?
そこでメーカーに、意見をぶつけてみることになったのでした。
□ メーカーの答えはこれだ!

会議室に勢揃いしてくれたのは、大手かつお節メーカーの経営企画部 広報担当者たち。
この会社は、創業319年の老舗かつお節メーカーなのだ。
かつお節パックを使い切れないんですが、どうしたらいいの?
そこで返ってきた答えが、これ。
「本来のかつお節のおいしさを味わっていただくには、やはりその、ある程度の量を使っていただかないと、かつお節本来の味を楽しめないと思うんですよ」
「使い切れると思うからこそ、この形で販売させていただいているので」
え? 本当に使い切れているの?
そう聞いたら、こういう答えが。
「基本は使い切るように、必ずしてますよ」
「使い切れますから」と、キッパリ。
「どう使うかが 分からないだけなんだと思うんです」
というわけで、実際にかけてもらいました。
それがこれ。

確かに、多い。
でも、この方が、おいしいというのだ。
さっそく、スタジオでも試してみることに。
口に運ぶと、ん? と驚いて、目がパッチリ。
すごく香りがいいらしい。
やっぱり、おいしいのだ。
メーカーさんの言う通り。
これなら、お醤油 減らせるかも。
結論…全部かければ、おいしい!
ほうれん草のおひたしにも、1パック全部かけ。
もう、ほうれん草が、完全に埋まっています。
これも、おいしいようですね。
口に広がる香りが、全然違うと。
次に訪ねたのは、静岡県は焼津市。
かつお節のパック製造工場です。
撮影は NGでしたが、こんなことを教えてもらいました。
かつお節は削り方によって、香りや食感が大きく左右されるというのだ。
中でも大切なのは、かつお節の「しっとり感」だという。
パックのかつお節の水分量は、およそ 18%。
この状態なら、食感は、しっとり ふわふわです。
でも、開封すると、水分はどんどん飛んで、1日半後には 11%。
パサパサ状態に。

つまり、使い残したかつお節は、香りだけではなく、食感まで別物になっちゃうのでした。
かつお節パックを楽しみたいなら、新しいのを全部かけちゃいましょう!
使い残さない方がよい。

かつお節は、パックを余らせたら、もったいない!
開けたては、おいしいうちに、全部使い切りましょう!

ガッテン! ガッテン!


それでも、使い残した時は、どうすればいいの?
後編では、その方法を紹介します。
- 関連記事
-
-
【浮き指 前編】 チェック法&腰痛との関係/ガッテン 2018/07/19
-
【かつお節 後編】 アレンジ料理 オイル&バター&アイス/ガッテン 2018/07/12
-
【かつお節 前編】 パックは使い切るのが基本/ガッテン 2018/07/12
-
【唾液 後編】 ドライマウス対策に 昆布ドリンク/ガッテン 2018/07/06
-
【唾液 前編】 育毛~ドライマウスの悩み/ガッテン 2018/07/05
-
<スポンサードリンク>


