【唾液 前編】 育毛~ドライマウスの悩み/ガッテン
育毛に、歯の再石灰化など、唾液のパワーに注目!
緊張すると口の中が乾くのにも、ちゃんと理由がありました。
それには、動物の進化が関わっていたのだ。
唾液の量が元に戻らない、「ドライマウス・口腔乾燥症」の悩み。
・就職活動をきっかけに、口が乾くようになった。
・味がしなくなった。
・口内炎ができやすくなった。
・口臭が気になるように。
こんな苦労をしている人たちがいる。
2018年7月4日放送の「ガッテン」より、「免疫力アップ&口臭予防! 唾液パワー全開SP」。
その前編になります。

□ 唾液パワー

さあ、今回のテーマは何でしょうか?

ずばり、「唾液」について。
まず登場したのは、牛さんです。
南米はコロンビア。
牛のシモーナちゃんは、ある仕事をしてるんですよ。
それは、頭を舐(な)めること。
床屋さんで、男性の頭を、ナメナメ。
他の牛さんも、頭をナメナメ。
実はこれ、育毛効果を期待しているのだ。
10回ほどの施術で、効果が見られたのだとか。

もちろん、効果には個人差があります。
今回のテーマは、「唾液」です。
なんでも、1日に出る量は、およそ 1.5リットルなのだとか。
歯の健康のために唾液が欠かせないこと、知ってますよね。
(酢のドリンクを飲んだ後など、ガムを噛んで唾液を出すとか)
実は他にも、たくさんのことと関係してるんですよ。
唾液の状態がよくないと、様々なよくないことが起こるぐらいなのだ。
まずは唾液の成分から。
<唾液の成分>
シアル酸 : 育毛。
リゾチーム : 抗菌。
分泌型免疫グロブリンA : 抗菌。
ヒスタチン : 傷の修復。
ハイドロキシアパタイト : 歯の修復。
アミラーゼ : 消化。
ムチン : 保湿、粘膜保護。
ちなみに、人間の唾液の場合、そのまま頭につけても効きません。
ただ、このシアル酸という成分、育毛剤の成分に入っているのだとか。
ここで、実験。
唾液に どれほど歯を修復する力があるのか、試してみました。
用意したのは、人工的に作った歯。
その断面を見ると、表面近くに、黒い層が見えます。
実はここ、スカスカになっている状態なんです。

これは、歯の内側が溶けて「虫歯になる直前の状態」を、再現したものなんですね。
この実験で協力してくれたのは、アクセサリーの修理屋さんと、洋服の修理屋さん。
1日4時間以上、人工の歯を口に入れて、舐めてもらいました。
期間は、2週間です。
その結果、こうなりました。
スカスカだった歯が、見事に、埋まっています。

この唾液の力を、「再石灰化」という。
よく聞く言葉ですよね。
初期の虫歯であれば、十分に修復可能なのだとか。
(あくまで初期です。判断は歯医者さんに任せましょう)
□ 緊張で口の中が乾く理由

私たちの健康に欠かせない、唾液。
でも、唾液が出なくなって、口の乾きを感じることって、ありませんか?
例えば、大事な会議でのプレゼン。
あるいは、就職の面接。
発表会の檀上など。
極度に緊張した時って、口の中が乾きません?
でも、どうしてなんだろう?
ちなみに、山寺宏一さんが 人生で一番 口が乾いたのは、こんな経験だという。
それは、17年ほど前のこと、ビートたけしさんと所ジョージさんの番組で、司会進行を務めた時。
大御所の二人はクイズの解答チームのキャプテンで、進行は山ちゃん一人だったのだそうな。
(「たけし・所のWA風がきた!」だろうか?)
もう、緊張で 口の中が砂漠のようにカラカラになったらしい。
ここでまた、実験です。
緊張などのストレスで、唾液の量はどれだけ変化するのか?
協力してくれたのは、この方。
東京医科歯科大学 歯学部 口腔保健学科 口腔保健工学専攻の 杉本久美子 先生です。
被験者は、ガッテンボーイの宮森右京くん。
モニターには、足し算が表示されます。
それが合っているかどうか、5秒以内に答えてもらう。
例)
4+2+3=10 → ×
8+2+3=12 → ×
1+1+7=9 → 〇
1つ1つは簡単な計算ですが、時間制限があります。
さらに、次から次へと出題される。
この計算を、10分間、休みなく続けてもらいました。
このストレスで、どれだけ唾液の分泌量が変化するか、調べたってわけ。
その結果が、これ。

唾液の量、かなり減ってますね。
<緊張すると口が乾くメカニズム>
緊張したり、危険を感じたりすると、唾液が減ります。
実はこれ、濃度を濃くするためなんです。
これは、人間も動物も、同じこと。
ケガをしたワンちゃんは、傷をペロペロ舐める。
ライオンに襲われ 九死に一生を得たバッファローは、仲間に傷を舐めてもらう。
そもそも、動物にとって、唾液は天然の「傷薬」なんです。
そして、成分が濃い方が、傷を治すのにいいってわけ。
<緊張する場面や危険な状況 → 唾液を濃くする>
これって、非常に理にかなってるんです。
人間も、進化の名残で、今でも緊張などのストレスで唾液が減るんですね。
先ほどの実験でも、唾液の量が減る一方で、殺菌効果を持つ免疫物質の濃度は1.4倍にアップしていました。
<ストレスがかかると、唾液の量は減り、濃度は濃くなる>
唾液が変化するのは、「唾液腺」のおかげだという。
いつも働いてくれている唾液腺のおかげで、口の中には普段、唾液がいっぱい。
でも、ストレスが加わることで、変わってきます。
この時、脳が唾液腺に、警鐘を鳴らすらしいのだ。
すると、危険が迫っていることを知った唾液腺は、急な出血やケガに備えるんです。
まずは、唾液の成分を濃くする。
と当時に、水分は減らすんですね。
このメカニズムで、唾液はただ減るのではなく、濃縮された質の高い、効果の強い唾液へと変化するのでした。

ストレスがかかると、身体を守るために、唾液の量が減り、成分が濃くなります。

ガッテン! ガッテン!
□ 唾液が減ることで生じるトラブル

普通、唾液の量は、緊張やストレスで減っても、それは一時的なものです。
ストレスの原因が取り除かれると、唾液の量は元に戻る。
ところが、ストレスの原因が取り除かれた後も、なぜか唾液の量が元に戻らない人がいるようなんです。
その数は全国で、推定 800万人。
いくら濃くなって唾液の機能がアップしても、量が少なすぎて口の中全体に行き渡らなければ、問題です。
様々なよくない症状を、引き起こしてしまうことがあるのだ。
この症状を、「ドライマウス」という。
日本語では、「口腔乾燥症」と言います。
[ケース(1)]
東京都の24歳女性、Aさん。
就職活動などで苦労していた1年ほど前から、口が乾燥しだしたらしい。
その後、就職が決まって働き始めた現在も、症状が続いています。
緊張している時に、特に 乾くようです。
ノドの渇きとは、別だという。
舌に水分が覆われていない感覚。
外出する時は、水のペットボトルや飴など、口の中を潤すものが手放せません。
しかし、こうしたもので対処しても、なかなか症状は改善しないらしい。
一時的には潤うのだけれど、数十分、数時間すると、乾いてくる。
水をたくさん飲むとトイレが近くなるのも、困りものです。
[ケース(2)]
神奈川県にお住いの78歳女性、Bさん。
異変に気づいたのは、友人と旅行に行った時でした。
宿泊先の夕食が、おいしくない。
なぜか、味を感じませんでした。
残念な気持ちで帰宅し、料理したところ、首を傾げてしまいました。
あれ?
味が付いているか、付いていないか、分からない。
そう、突然、味覚がおかしくなっていたのです。
以来、何を食べても、おいしいと感じられなくなってしまいました。
しかも、これだけではなかったのです。
さらに、もう一つ異変が生じた。
なんと、口内炎ができやすくなったのだ。
頻度は、1週間に 1つ、新しい口内炎ができるほど。
ヒリヒリとした痛みが、1日中続くこともあったという。
[ケース(3)]
71歳の女性、Cさん。
3年前、ドライマウスを発症しました。
現れた症状は、「飲み込みづらさ」でした。
それまで普通に食べていたものが、簡単に飲み込めなくなってしまいました。
食べ物がノドにつっかかって、入っていかない。
水分の無いものは、食べることができない状態。
食べることが嫌になり、痩せてしまったという。
さらに、それまでなかった口臭を、強く感じるようになりました。
以前は外に出歩くのが大好きだったのですが、以来、口臭が気になって、人と会うのが嫌になってしまいました。
誰ともしゃべりたくないし、家から出たくなくなった。
Aさん、Bさん、Cさん。
それぞれ、ドライマウスで、相当な苦労をされているようです。
<ドライマウスで起きる症状>
・強烈な口の乾き。
・常に口内炎。
・強い口臭。
・増える虫歯。
・味が分からない。
・様々な感染症。
・誤嚥(ごえん)。
・肺炎。
インフルエンザも、かかりやすくなるのだとか。
いつも 当たり前にあるように感じる、唾液。
それが少なくなると、これだけ大変なことが起こるんですね。
でも、唾液の量が戻る人と、戻らない人。
いったい、何が違うのでしょうか?


後編では、詳しい解説と、対策を紹介します。
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