【新型胸やけ】 胃酸で 歯が溶ける?/ガッテン
逆流性食道炎の不思議な症状。
・咳が止まらない。
・歯が溶けてボロボロに。
・中耳炎に。
胃酸が逆流するメカニズムを紹介。
名古屋大学医学部 曾根三千彦 教授。
島根大学 医学部 角昇平。
2018年6月13日放送の「ガッテン」より、「せきが止まらない! 歯が溶ける! 犯人はまさかの“胃”!?」からのメモ書き。
その前編です。

□ 新型胸やけ

さあ、今回のテーマは何でしょうか?

「胃酸」です。
時代と共に変化してきた、日本人の身体。
平均身長は、60年で、およそ 11.2cm アップしているのだとか。
顔の形だって、変わってるんですよ。
下の画像は、約30人の顔を合成した写真です。

今の人は、アゴが細くなっていますね。
これは、あまり噛まなくなった影響ではないかと言われています。
そして、ここからが本題。
なんと、身体の中でも、変化が。
とある細胞が、増殖しているらしいのだ。
しかも、それが、様々な病気に関わっているのだという。
今回のテーマは、「胃酸」。
実は今、胃酸によって起きる「胸やけ」など、「逆流性食道炎」の人が、急増しているんです。

40年で、9倍になっていますね。
さらに、こんな情報も。
なんと、「新型胸やけ」なるものが登場したというのだ。
まずは、基本から学んでいきましょうか。
<胸やけって、どうやって起きるの?>
人工の胃液に、肉をつけてみました。
すると、2時間後、こうなった。

消化が進んで、ホロホロに。
たくさん食べると、胃液がたくさん出ます。
食べ物に反応して、胃液は出てくる。
上の実験のように、胃酸のおかげで、食べ物が消化しやすくなるってわけ。
ただ、やっぱり、食べ過ぎはよくないようです。
胃の入り口にある「噴門(ふんもん)」という部分。
普段、噴門は閉まっているんですが、ここを胃液が通り抜けて、漏れ出てしまうことがあるのだという。
胸やけ=胃液が噴門を抜けて上がってしまう状態。
こんな実験があります。
まず、被験者に、バリウムを飲んでもらう。
逆流が起きやすい寝転んだ状態になって、ゲップをしてもらいます。
その時のエックス線写真が、これ。

胃の中身が 噴門を抜けて、食道に上がっています。
もともと、胃の内側は、胃酸によるダメージを受けないようになっています。
理由は、粘膜で コーティングされているから。
でも、食道は違うんですね。
胃酸にさらされ続けると、食道は傷つけられてしまう。

これが、「逆流性食道炎」です。
この逆流性食道炎、胸やけが症状として現れることが多いのだとか。
食べたものを消化するのに必要な、胃酸。
でも、あり過ぎると問題に。
番組ではこれを、「負の胃酸」と表現しました。
そして、多すぎる胃酸の影響は、胸やけだけではないことが、分かってきています。
いったい、どんな症状が引き起こされてしまうのでしょう?
□ 歯が溶ける?

実際に経験した人が、3名います。
[ケース(1)]
43歳の男性、Aさん。
健康には自信があったといいます。
それが 4年前、ある症状に襲われました。
咳(せき)が止まらない。
一度始まると、お手上げです。
コホン コホンという、空咳(からぜき)というか、むせるような咳だったという。
咳止め薬を使っても、なかなか治りませんでした。
特にひどくなったのが、人と話している時や、食事の後。
そして、夜寝ている時。
そのうち、ノドに異物感まで出るようになったという。
まるで、ノドに何か潜んでいるかのような、違和感があった。
原因が分からないまま、何軒も病院を回った、Aさん。
そして最後に、原因は「胃酸の逆流」だと診断されたのでした。
でも、Aさんは、胸やけは感じなかったといいます。
これはなぜ?
[ケース(2)]
埼玉県にお住いの男性、Bさん(51歳)。
6年前、大変なことになってしまいました。
なんと、胃酸が原因で、上側の前歯を すべて失ってしまったのだ。
もともと、歯にはそれほど問題がなかったらしい。
それが 6年前、食事中に、ある違和感が…。
歯の噛み合わせが、おかしい。
その後、症状はさらに悪化。
前歯が 3本、一気に痛くなりました。
歯の裏側が、触って分かるほど、ザラザラしていたという。
さらに、どんどん薄くなるのが分かった。
耐えられなくなって歯医者さんに行くと、衝撃の発言が。
「歯が溶けて、ボロボロになってますね」
そう言われてしまったのだ。
下の画像は、Bさんと同じ症状の患者さんの歯です。

胃酸によって、歯の裏側が変色してますね。
重症だった Bさんは結局、上側の前歯を、全部入れ歯にしなければならなくなってしまったのです。
[ケース(3)]
胃酸は医師にとっても、驚くような症状を引き起こすことがあるのだとか。
専門家に、話を聞いてみましょう。
名古屋大学医学部の 曾根三千彦 教授です。
専門は、耳鼻科。
曾根先生は、ある患者さんを診察しました。
高齢の女性で、耳が詰まったとの訴えだった。
診察すると、鼓膜の中に、液が溜まっているのが分かりました。
液を取り除くと症状はよくなったのですが、しばらくすると、またぶり返したという。
これを繰り返す、難治性の中耳炎でした。
不思議に思って液体の成分を分析した、曾根先生。
すると、高濃度の「ペプシノーゲン」が見つかりました。
ペプシノーゲンとは、胃液の代表的な成分。
つまり、なぜか耳の中に、胃液が入っていたのです。
3つの不思議な症状。
どうして、胃酸で、こうしたことが起きてしまったのでしょう?
胃液が逆流して、胃酸が上がり、ノドにトラブルを起こしたり、歯を溶かしたり。
また、稀に、耳にまで症状が出るそうです。
そう、胸やけだけではない、胃酸が起こす様々な症状が、注目されている のだ。
さらに、胃酸の逆流が起きていても 気がつかない場合もある のだとか。
川崎医科大学の実験。
安全な濃度の「人工の胃液」を使用します。
それを少量、人間の食道に入れてみました。
すると、こんなことが分かった。
ある人は、ノドに詰まるような感じがした。
でも、別の人は、特に何も感じないという。
そう、食道の感覚には個人差がある のだ。
つまり、胸やけがないまま 他の症状が出る人もいる、ということ。
<胃酸が引き起こす 様々な症状>
・ 胸やけ。
・ 胃もたれ。
・ 胃痛。
・ 吐き気。
・ 咳。
・ ノドの違和感。
・ 胸痛。
・ 歯のダメージ。
・ 中耳炎。
□ 胃酸の逆流

人間は 度々胃酸が逆流すると 症状が出やすい仕組みを、もともと持っているらしい。
島根大学 医学部の 角昇平 先生。
研究チームは、胃の働きを、様々な方法で探っています。
例えば、こんな実験。
使うのは、「縦軸 8チャンネル pH センサーカテーテル」だ。
センサーが、8個ついています。
これによって、食後に産生される胃酸が、どのように分布しているかを見るんですね。
鼻から入れて、食道から胃の真ん中にかけて、8個のセンサーが入りました。

赤い部分が、酸の強いところです。
青や緑は、弱いところ。
緑色の食べ物の部分の上に、赤い胃酸の層ができています。
これが、逆流するようですね。
実は、胃酸を出す細胞は、胃の上の方にだけ、分布しているんです。
すると当然、食べ物が入ってくると、上から胃酸が出てくるので、食べ物の上に胃酸がたまりやすくなる。
そのため、食後すぐに逆流が起きると、濃い胃酸で、大きな被害が出てしまうのでした。


後半に続きます。
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