【寝たきり予防 チェックシート】 /ガッテン
寝たきりにならないための、2つの要素とは?
カギになるのは、イギリスの「孤独担当大臣」だ。
ロンドン大学の研究では、それが少ない人ほど死亡率が高いことが判明している。
タバコやアルコールより、影響が大きという報告もある。
2018年6月6日放送の「ガッテン」より、「筋肉&血管を強くする! 世界が証明した究極の寝たきり予防法」。
その後編です。
解説:東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢 教授。

□ 健康長寿 最強の条件

さて、今度は、日本の研究になります。
「寝たきりの危険度」を表したグラフ。

2つの条件が無い場合、寝たきりの危険度は一番高く、「16.4」あります。
一方だけの場合は、グンと下がってますね。
両方ある場合が、一番低い。
この2つの項目、いったい、何なのでしょう?
ちなみに、上のグラフは、千葉県柏市の高齢者5万人の調査で明らかになった危険度なのだそうです。
都内にお住いの Aさんご夫婦。
旦那さんは87歳で、奥さんは83歳。
仲良しのお二人ですが、生活は対照的です。
旦那さんは、身体を動かすことが大好き。
毎日、1万歩のウォーキングを欠かしません。
こりゃ、すごい。
奥さんの方は、大好きなピアノを弾いたり、英語の詩を読むのが趣味だという。
運動は得意じゃないので、あまり好きではないとのこと。
でも、去年、Aさん夫婦に、意外な事実が判明したらしいぞ。
きっかけは、全国で行われている、お年寄りを対象とした健康チェックでした。
握力や片足立ち上がりなどを測定して、将来、どれくらい寝たきりになりやすいかを判定します。
自信満々の旦那さんでしたが、結果は、予想外のものでした。
なんと、旦那さんの方が、将来 寝たきりになってしまうリスクが高いと、判定されたのです。
あんなに運動しているのに。
上で紹介した「寝たきりの危険度」のグラフ。
2つの条件のうち、1つは「運動」です。
確かに、効果がある。
でも、もう一方の条件の方が、効果は大きいようですね。
では、もう一つの条件とは、何なのでしょう?
運動以上に、効きそうだぞ。
ピアノが趣味の、奥さん。
定期的に、演奏仲間のお友達と、集まっています。
奥さんがピアノで、お友達が 笛、バイオリン、ボーカルを担当している。
といっても、この集まり、演奏がメインというわけではなく、おしゃべりが中心なのだとか。
実は奥さん、他にも、詩の朗読サークルに参加するなど、グループ活動に大忙しなのだ。
運動はしないけど、人間関係は活動的なんですね。
一方、旦那さんの方は、どうでしょう。
テニス仲間がいたのですが、ケガをしてからは ご無沙汰らしい。
毎日のウォーキングも、おひとりで黙々と。
というわけで、もう一つの条件とは、「人とのつながり」でした。

実は今、「人とのつながり」は、世界的な大問題になっているんです。
イギリスでは、「孤独担当大臣」が誕生したほど。
そう、人とのつながりの改善に、政府が乗り出したんです。
孤独担当大臣 トレーシー・クラウチさんのお話。
「お年寄りの孤独の深刻さについては、既に多くの研究があります」
「しかし、実は、お年寄りだけでなく、孤独は全世代にわたる深刻な問題です」
政府が乗り出すほどのきっかけの一つになったのが、ロンドン大学の研究だという。
50歳以上の男女、6500人の「人とのつながり」を調べ、7年間 追跡しました。
すると、こんなことが分かったのだ。
つながりが少ない人ほど、死亡率が高い。
ロンドン大学(英国加齢研究) アンドリュー・ステップトー教授のお話。
「私たちのこれまでの研究では、人とのつながりが少ないと、身体に起きる炎症が強くなってしまうことが分かってきました」
「それは、心臓、血圧、ホルモンなど、体中に悪影響が及ぶため、死亡する可能性すら高まってしまうのです」
イギリスBBC では、人とのつながりの大切さを伝える一大キャンペーンが進行中だといいます。
「 Is loneliness affecting your health? 」
「孤独は健康に悪いの?」
そこには、このようなメッセージが。
「孤独は、心臓病や脳卒中の危険性を、およそ 3倍高めます」
「長生きしないという研究結果もあります」

そして、日本でも、「人とのつながり」を調べることで 寝たきり予防につなげようという、取り組みが始まっています。
例えば、神奈川県は茅ケ崎市。
みんなで、質問票に記入してるぞ。
例)
「Q)個人的なこともでも、気兼ねなく話すことができる友人は、何人いますか?」
「Q)次にあげる組織の活動に、参加していますか? 老人会・老人クラブ、学習・教養のサークル・団体、町内会・自治会…」
友人関係に関する質問や、参加しているサークルなどの数まで、チェックする項目は様々。
これで、「人とのつながり」をチェックできるってわけだ。
<人とのつながりチェック>
・ 月に1回以上、顔を合わせたり消息を取り合う人は、何人いますか?
・ 個人的なことでも気兼ねなく話すことができる人は、何人いますか?
・ 手助けを求めることができるような 身近に感じる人は、何人いますか?
詳しいチェックシートは、最後に紹介します。
□ 飯島勝矢先生の解説
ここでスタジオに、専門家の先生が登場。
東京大学 高齢社会総合研究機構の 飯島勝矢 教授です。
先ほどのグラフ。

これは、飯島先生にとっても、非常にショッキングな、予想をはるかに上回るような結果だったそうです。
もともと、ある程度は分かっていたのだけれど、ここまでインパクトの強い要素だとは思っていなかった。
「人とのつながり」の重要性は、世界レベルで注目されているのだとか。
次のグラフは、全世界で行われている研究「148個」を全部集めたもの。
対象者は、30万人だという。

グラフは、右に行けば行くほど、長生きにプラスに働く。
ということは、「人とのつながりがある」というのは、「禁煙」「酒を飲み過ぎない」「運動」「肥満予防」より、影響が大きいということ。
飯島先生の解説。
「例えば、カラオケ好きの高齢の方が、いたとしますよね」
「できればですね、お二人だけではなくて、5人ぐらいで」
「できれば、3曲ぐらいじゃなくて、8曲ぐらい」
「できれば、カラオケだけではなくて、お隣の、例えば ファミレスでも行って、一緒にワイワイと食べる」
「そこら辺があると、さらに相乗的に、いいことが身体に起こってるんじゃないかなって思います」
こんな調査結果もあるそうな。
「一人でしっかり運動」するよりも、「グループで軽めの運動」の方が、介護予防効果あり!
「運動はある程度効果があることは、明らかです」
「ただ、そこに、多くの人たちとワイワイ運動やろうじゃないかというところが、一番重要じゃないかなと思います」
「みんなでワイワイ」って、良い影響があったんですね。

「人とのつながり」を持つことが、寝たきり予防の重要なカギになる!

ガッテン! ガッテン!
□ 地域参加

でも、人とのつながりって、何から始めればいいんでしょうか?
例えば、こんなことがあるようですよ。
・ 週に1回、同居の家族以外の人と、外で会う。
週に1回以上、外で人とのつながりがあると、身体の機能が衰えにくいことが、多くの調査から分かっているのだとか。
少しずつ、人とのつながりを増やした方たちがいます。
新宿区にある、「暮らしの保健室」。
68歳女性のBさんの場合は、どうでしょうか。
Bさんは、近所の騒音のストレスがきっかけで、家に閉じこもりがちになり、人とほとんど会わない生活をしていたのだそうな。
変わるきっかけになったのが、たまたま前を通りかかった、地域のお年寄りが集まるこの場所だったそうです。
お茶でも一杯、飲んでいきませんか?
そう声をかけられたのが、きっかけでした。
中に入ったら、涙が出て、うれしくなったと、Bさんは振り返ります。
「本当に、あそこで声をかけていただかなかったら、いまだに家で机に突っ伏して、鬱々としていたかもしれないですね」と。
知り合いができたことで、Bさんの活動の場は、さらに広がりました。
ボランティアを紹介されたんですね。
今では、高齢者の施設で週1回、皿洗いなどをしているのだそう。
まさに、親切を実践中ってわけ。
楽しいし、感謝されるしで、充実しているようです。
それはもう、帰りに笑顔が漏れ出るほど。
埼玉県にお住いの66歳 男性、Cさん。
都内で会社勤めをしていましたが、63歳で退職。
以来、人とのつながりが途切れてしまったそうな。
どこに市役所があるかも、知らない状態です。
近くに、ほとんど友達がいないのだそう。
自宅で、好きな映画を見たり、パソコン作業をする毎日。
時間に制約されないのは楽しいとも。
でも、近所に住む娘さんは、心配しています。
このままでいいのかな? と。
まだまだ元気なので、できれば、笑って過ごしてほしい。
そこで、娘さんが勧めたのが、「朝霞ぐらんぱの会」でした。
地域の子どもたちに、昔遊びや勉強を教える、地元のおじいちゃんの会です。
皿回しを教えたり、風船でプードルを作ったりと、大活躍。
子どもたちと言葉を交わすうち、自然と笑みも漏れるようだ。
この活動を続ける一番の理由は、仲間ができたことだという。
活動の後 気軽に一杯、ということらしい。
これもまた、人生の楽しみの一つか。
笑ってワイワイとやるわけだから、飯島先生の説明とも合致します。
こうしたきっかけを見つける時に、大きな味方になってくれるのは、近所の「地域包括支援センター」。
人とのつながりをサポートする取り組みを、行っているそうです。
□ 人とのつながりチェックシート

最後は、チェックシートの紹介です。
東京大学の飯島教授が考案したチェックシートは、友人や家族に関する質問の他に、組織参加などもチェックして、点数化するもの。
人とのつながり度合いが、一目で分かる代物だ。



今の状態を見直す、良い機会になるといいですね。
さて、Aさん夫妻の話に戻ります。
奥さんに比べて、人とのつながりが少なかった、旦那さん。
新たにグループ活動を始めようと、腰を上げました。
でも、なかなか難しい部分も。
「若い時みたいに、スーッと入っていけなくなっちゃったんですよ」といいます。
「昔は、どんな所でも、平気で入って行ってね」
「今考えると、よくああいう所に入ったな~と思うくらい」
「知らない人たちの中に入るというのが難しくなった、私はね」
そうおっしゃっていたのですが、今年4月に変化が。
いったんは高齢を理由にやめていた趣味のテニスですが、3年ぶりに再開することにしたのだ。
久しぶりでしたが、すぐに勘を取り戻し、動きもキビキビ。
同じ趣味を共有するだけあって、コミュニケーションも問題なさそうだ。
感想を聞くと、「楽しかったですよ。身体がウキウキして」と笑顔に。
人とのつながりって、すごく大事なんですね。
見えないところで、影響が大きいのか。
![NHKガッテン! 2018年 08 月号 [雑誌]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/41EDNm1MR9L._SX270_.jpg)

次回は、これ。
胃酸を出す領域が広がってるって、どういうことなんだろう?
放っておくと、大変なことに…。
「せきが止まらない! 歯が溶ける! 犯人はまさかの“胃”」。
前編 → 【最新 寝たきり予防法】 人に親切にする
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