【もの忘れと血糖】 簡単チェック&改善法/ガッテン
脳が糖不足になってないか、知る方法がある。
簡単チェック法=「1分間で動物を何種類言えるか?」。
作業記憶というものに、関わっています。
もの忘れと HbA1c 値。
何%以上だと、注意が必要なの?
認知機能を改善する=脳でインスリンを効きやすくする。
そのためには、食事や運動など、生活習慣の改善を!
最後は、最新研究を紹介。
歯状回の細胞について。
解説:東京医科大学 高齢総合医学分野の 羽生春夫 教授。
2018年5月23日放送の「ガッテン」より、「物忘れ&認知症を予防! “記憶物質”大発見SP」からのメモ書き。
その後編です。

□ 脳の糖不足 簡単チェック法

ひと口に もの忘れと言っても、いろんなタイプがありますよね。
「ほら、アレだよ、アレ」
名前が出てこない、「アレアレ」タイプ。
「あれ? 何しに来たんだっけ?」
目的地まで行ったのに 何をするのか忘れてしまう、「すっかり抜け落ち」タイプ。
実は、高血糖が原因で起こる もの忘れで多いのは、「すっかり抜け落ち」タイプだという。
<もの忘れ しやすさチェック>
脳が糖不足になっていないかどうか、目安を知る方法があります。
(あくまで目安ですが)
東京の立川病院など、実際の医療現場でも、血糖値の高い患者さんに対して、行われているのだとか。
立川病院 糖尿病・内分泌代謝内科の 矢島賢 医長のお話。
「普段、使っているお薬を、飲み忘れるとか」
「こういったことを察知するために、できる限り認知機能の検査を行うようにしています」
さて、いったい、何をするのでしょう?
それは、ゲームのようなものらしい。
<もの忘れ しやすさチェック>
1分間の間に、動物の名前を、言えるだけ言ってください。
(紙に書く必要はありません)
(子・丑・寅・卯とか、干支は禁じ手です)
何種類 言えたかを、覚えておいてくださいね。
先生が解説してくれます。
□ 羽生春夫先生の解説
ここでスタジオに、専門家の先生が登場。
東京医科大学 高齢総合医学分野の 羽生春夫 教授です。
さて、先ほどのチェック法ですが、何個 言えればいいのでしょう?
羽生先生の解説。
「通常、この動物テストは、大体 14~15個 言えるのが、正常なんですね」
「特に、若い方は、もうちょっと言えないといけない」
<動物テスト>
1分間で 13種類以下だと、注意が必要。
(ただし、あくまで目安であって、13種類以下だと即危険というわけではありません)
「ただ、これは動物の課題ですので、動物に得意な人と、得意でない人がいます」とも。
知識などに個人差があるため、目安の一つとして使われるのだとか。
例えば、果物が得意であれば、果物のテストなら、もっと言えるかもしれません。
「このテストは、広い意味では、記憶を反映した機能を見る検査なんですね」
動物を思い出しながら、既に言った名前を憶えていられるかが、ポイントになる。
「作業記憶」という言葉があります。
作業記憶とは、何らかの作業をしている時、一時的に覚えておくために使う記憶力のこと。
(短期記憶、作動記憶とも)
血糖値が高くなると、この作業記憶が低下しやすくなる のだ。
では、この作業記憶の低下は、どのくらいの血糖値から、注意すべきなんでしょうか?
見てほしいのは、血液検査表の「HbA1c」という値です。
これは、1~2か月の平均の血糖値を示している。

6.2%以上が糖尿病予備群ですが、羽生先生によると、もの忘れでは、5.7%以上は注意が必要。
生活習慣の見直しが求められます。
<もの忘れと HbA1c>
65歳未満の場合、5.7%以上は注意。
65歳以上の場合は、6.2%以上で注意。
そして、もう一つ目安となるのが、「食後の血糖値」。
普段の健康診断では測らない、ごはんを食べ終わったあと 2時間後の血糖値のことです。
この値が 140以上だと、脳でインスリンが十分機能していない可能性がある。
<食後の血糖値>
食後 2時間後の血糖値が 140g/dL 以上は注意。
血糖値は、市販の検査キットで測定可能。
糖尿病の疑いがある方は、専門の病院にご相談ください。
□ 血糖値と認知症の関係

やっぱり、気になるのが、血糖値と認知症の関係ですよね。
羽生先生の解説。
「認知症、特にアルツハイマー病と血糖との関係、インスリンとの関係は、かなり確かなことだと言われてます」
「やはり、身体の中でインスリンがどんどん消費されてしまいますので、脳の方にインスリンが行かなくなってる」
「この段階でも作業記憶の低下は生じるんですが、まだこれは、神経細胞が完全にダメージを受けて崩壊しているわけじゃありませんので」
「まだ、可逆的に、食事のコントロール、血糖のコントロールで、良くなり得るんですね」
「ところが、こういう状況が長く何年も続いてしまいますと、やがては神経細胞も死滅して、脳のダメージが完全に完成してしまいますので」
「そうしますと、認知症という、不可逆的な病態まで発展しますから、その可逆的な血糖値が高い段階で、どうやってコントロールできるかというのが、キーポイントになるだろうと思います」
<血糖値と認知症の関係>
脳にインスリンが届かないと、神経細胞にダメージ。
長く続くと、死滅し、認知症の原因にも。
早めに血糖値をコントロールすることで、改善する可能性がある。
先生からは、こんな話も出ました。
「人の頭に直接 注射はできないんですが」
「今、海外では、インスリンを吸入する治療が、認知症の治療として臨床試験されて、ある程度の効果が得られています」
「といいますのは、インスリンを鼻から吸入しますと、海馬にダイレクトに到達するんですね」
「海馬っていうのは、インスリンの作用を最も受けなきゃいけない細胞ですから、そこでインスリンの作用が低下して、認知機能が低下してますので、インスリンを直接 鼻から吸入することによって、海馬の神経細胞が活性化されて、記憶が改善する、そういう臨床試験がされています」
インスリンを使った認知症治療が、海外で臨床試験中。
ただし、日本で行うことはできません。
では、具体的に、どうすればいいのか?
「要は、食事の仕方、あるいは、食事の量、種類」
「それと共に、やっぱり、運動ですね」
「運動は、インスリンの働きを高めますので」
「それをうまくやっていただくと、糖質と関係した認知機能低下・認知症予防には、一番いいだろうと思います」
<脳でインスリンを効きやすくするためには>
食事や運動など、生活習慣の改善が、最も大切!

もの忘れが気になったら、血糖値をチェック。
生活習慣の見直しが、認知症予防になる!

ガッテン! ガッテン!
□ 血糖値コントロールで 認知症予防

大切なのは、自分自身のインスリンを、脳に届きやすい身体にすることです。
前編の体験談で紹介した、AさんとBさん。
共にもの忘れが改善したのですが、何を行ったのか、紹介しましょう。
お二人が住んでいるのは、新潟県魚沼市。
ここでは、10年前から、町ぐるみで、糖尿病対策を行っているのだ。
これまで、食事の方法などを学ぶ市民講座や、高齢者を対象とした運動教室を、開いてきました。
AさんやBさんが、熱心に取り組んできたもの。
それは何か?
<もの忘れ対策(1)>
週2~3回の有酸素運動。
座ったままでもできる 少し汗ばむくらいの体操を、週に2回 行っています。
<もの忘れ対策(2)>
適度な糖質制限。
ごはんは 1回につき、100g まで。
<もの忘れ対策(3)>
野菜を先に食べる。
食べる順番は、野菜から。
それだけで、血糖値が上がり過ぎるのを、防いでくれます。
こうした努力を続けたところ、お二人には、医師も驚くような変化が現れたってわけ。
(* 糖尿病の人は、自分で判断せず、医師と相談してください)
実は、AさんとBさんは、高血糖と共に、認知力の低下、つまり、認知症の予備軍である「MCI(軽度認知障害)」と診断されていました。
ところが、その後、血糖値が下がると、なんと、認知力がアップしたんです。
<認知機能テスト(HDS-R)の変化>
( )内は、HbA1c の変化。
Aさん : 23 → 26
( 7.7 → 6.8 )
Bさん : 25 → 27
( 7.2 → 6.4 )
MCIになると、5年で半分以上の人が、認知症に進行すると言われています。
その中で、この回復は、驚くべきものでした。
二人の主治医、上村医院の 上村伯人 院長のお話。
「ほとんどの方が、少しずつ、もの忘れが進んできたりするんですけど」
「中に、もの忘れの進みが遅かった、あるいは、一時悪かったけど ちょっと良くなったって方も いらっしゃったのが、僕にとっては驚きでした」
生活習慣の改善 → 血糖値が下がる → 認知機能が改善。
規則正しい生活で、もの忘れ改善。
いつまでも、元気でいたいものです。
□ インスリン最新研究

なんと、インスリンに、脳の神経細胞の新生を促す力があることが、分かってきたのだとか。
その神経細胞が生まれる場所は、海馬の中の「歯状回(しじょうかい)」と呼ばれるところ。

最新の科学では、次のような仕組みで、記憶を作り出すと考えられている。
例えば、誰かの顔を記憶する時。
その情報は、電気信号として、歯状回にやって来ます。
すると、歯状回が電気を発生させる。
その電気が 次々と海馬の中の細胞を伝わり、1つのルートが出来上がります。
これが、記憶の正体。
つまり、何かを記憶する時は、新たな1つの電気信号のルートが必要になると、考えられているんです。
そうなると、この歯状回で どれだけ新しい細胞が増えるかが、記憶力のアップに関わることになりますよね。
で、ここで登場するのが、インスリン。
インスリンが脳に届いている時と、届いてない時を比べると、届いている方の歯状回では、新しい細胞が、グーンと成長していました。

にしても、インスリンって、すごい力を持ってるんですね。
食事や運動など、生活習慣を改善して、脳を元気にしちゃいましょう!


来週の放送は、お休みです。
ガッテンの代わりに、「ボディーミュージアム」が放送される予定。
次回は、これ。
寝たきり原因物質って何だ?
長生きの本当の秘訣とは?
「筋肉&血管を強くする! 世界が証明した究極の寝たきり予防法」
放送は、6月6日 夜7時半。
前編 → 【血糖値と認知症】 HbA1c インスリンとの関係
[関係する記事]
→ 【糖尿病】食物繊維で血糖値コントロール&すい臓がん発見
→ 「脱糖尿病 野菜と腸内細菌 腸のスイッチを増やす」
→ 「糖尿病 食べる順番と血糖値」
→ 「インスリンで糖尿病が完治する?」
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