【健康診断】 結果の見方 B判定の落とし穴/健康カプセル! ゲンキの時間
健康診断の注意点。
・してはいけない行動とは?
・B判定でも安心できない?
動脈硬化のリスクを知るヒントとなる、「LH比」。
LDLをHDLで割って、3を超えたら、要注意!
・危険な組み合わせとは?
・動脈硬化の真犯人を発見!
LDLコレステロールと中性脂肪が高いと、進行する。
特に、超悪玉(スモールデンス)はリスク増の原因に。
クイズで勉強しましょう!
ドクネット:東海大学医学部付属東京病院 西崎泰弘 病院長。
昭和大学医学部 内科学講座 林俊行。
ゲンキスチューデント:滝裕可里。
ゲンキリサーチャー:あべこうじ。
2018年4月15日放送の「健康カプセル! ゲンキの時間」より、「~ 意外! B判定の盲点! ~ 命を守るドリル 健診結果の見方編」からのメモ書きです。

□ 健康診断でしてはいけないこと

さあ、今回のテーマは何でしょうか?

ズバリ、「健康診断」について。
街のみなさんに聞いてみると、健診結果のことは、あまり気にしてないようです。
A判定やB判定ばかりだと、安心している人も多いのでは?
ところが、専門家の先生は言いました。
「たとえ A評価とか B評価が出たとしても、手放しで安心することはできなくて…」
「その結果の中にですね、健康リスクへのヒントが隠れているんですね」
ということで、今回は、「命を守るドリル シリーズ 健診結果の見方 血液編」をお送りします。
さて、前回から始まった、「今日の健康カプセル!」。
中には、何が入っているでしょうか?
出てきたのは、「L/H」というキーワード。
健康状態を知るのに、重要だといいます。
まずは、健康診断に関するクイズから。
協力してくださったのは、「新宿健診プラザ」だ。
Q)次のうち、健康診断の際、やってはいけない行動は、どれでしょう?
(1) 朝食を抜くように言われていたので、代わりにバナナを食べた。
(2) 居眠りをする。
(3) ガムを噛む。
(4) 遅れそうになったので、全力で走ってきた。
(5) 腕時計やネックレスをしている。
(6) 採血後に、我慢していた水を飲む。
答えは、「 (1) (3) (4) (5) 」
今週のドクネット、東海大学医学部付属東京病院の 西崎泰弘 病院長に解説していただきます。
× 「朝ご飯の代わりにバナナを食べた」
健診の前は、10時間ぐらい、飲食禁止になっています。
当然、バナナもダメ。
ちなみに、タバコやお酒も、胃酸の分泌や血圧の上昇に影響するため、控えることが必要。
× 「ガムを噛んでいる」
ノンシュガーでも 少量の糖を含んでいる場合があります。
また、味がすることによって、胃酸の分泌を促してしまう可能性が。
× 「遅れそうになり 全力で走ってくる」
血圧測定に影響が出てしまう。また、筋肉内の「LDH」や「GOT」などの酵素は、肝臓にも含まれている。全力で走ると、これらが漏れ出てしまって、少し上がってしまうのだとか。
× 「腕時計やネックレスをしている」
レントゲンや心電図に、影響が出てしまいます。
ちなみに、(6)の「採血後に水を飲む」ですが、基本的には OK。
ただし、胃カメラを控えている場合は、1時間前までに済ませること。
お医者さんや看護師さんの指示に、従いましょうね。
□ B判定の落とし穴

多くの場合、健診結果は、「A」から「E」の判定に分けられます。
<健康診断判定区分>
A : 異常なし。
B : 所見はあるが、日常生活に支障なし。
C : 経過観察や生活改善が必要。
D : 要精密検査。
E : 要治療。
「C」評価から、保健指導などが入ることになる。
しかし、B判定だから大丈夫かというと、そうでもないのだそう。
そこには大きな落とし穴が…。
向かったのは、東京都は品川区にある、昭和大学病院附属東病院。
糖尿病・代謝・内分泌科学部門の 林俊行 先生に、教えていただきます。
「B判定というとですね、基準値を少し超える程度というようなことで、油断される場合もあるかと思うんですけど」
「実は、その中にはですね、隠れた動脈硬化のリスクがあって、それが狭心症や心筋梗塞の原因になるといった場合もあります」
そんなリスクから身を守るために、ぜひ注目してほしいという項目が、「脂質」だという。
[ケース(1)]
50代の男性。
健康診断は、毎年 受けていました。
結果は、LDLコレステロールが、やや高めの「B」。
HDLコレステロールが、基準内の「A」。
中性脂肪は、やや高めの「B」。
男性は、特に治療の必要もないだろうと、これまでと同じ生活を送っていました。
ところが、ある日、これまで感じたことのない激しい痛みが、心臓を襲ったのです。
動脈硬化による、心筋梗塞だった。
幸いなことに、その時 運ばれた 昭和大学病院附属東病院で、適切な処置を受け、事なきを得ました。
でも、B判定で「所見はあるが日常生活に支障なし」だったのに、いったい なぜなの?
林先生の解説。
「コレステロールの値が たとえ 基準値内であったとしても、動脈硬化が じわじわと 進行してくるような場合もあります」
「これが、コレステロールの怖さなんです」
平成28年の調査では、主な死因別死亡者数の割合で、「心疾患」が 2位、「脳血管疾患」が 4位でした。
1位の「悪性新生物/がん」にせまる数の人が、動脈硬化のために命を落としているのだ。
動脈硬化を知る上で、コレステロールは最重要項目だという。
脂質の一種 コレステロールは、本来、身体にとって必要なものです。
細胞膜やホルモンなどを構成する、材料の一つ。
肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶのが、「悪玉LDL」。
余分なコレステロールを回収するのが、「善玉HDL」。
ところが、そのバランスが乱れ、悪玉が増えたり、善玉が減ったりすると、回収されずに残ったコレステロールが血管壁に入り込み、プラークを作ってしまいます。
このプラークを放置しておくと、血管がボロボロになってしまう。
すると、血管は劣化して、弾力を失い、動脈硬化が進行。
血栓ができて、心臓病や脳卒中などのリスクが、高まってしまうのだ。
<健康診断による脂質代謝の基準値>
LDLコレステロール値 : 140mg/dL未満
HDLコレステロール値 : 40mg/dL以上
中性脂肪 : 150mg/dL未満
先述の男性は、LDLと中性脂肪が、B判定でした。
しかし、そこには、項目別の判定だけでは計り知れない、動脈硬化のリスクが隠れていたのだ。
林先生の解説。
「コレステロールの判定の中でも、(動脈硬化のリスクを)知るヒントの1つが、LH比 といわれるものになります」
健康カプセルの中に入っていたキーワード、「L/H」こそが LH比!
健診結果には載っていませんが、結果表さえあれば、自分でも計算できます。
LDLコレステロール値を HDLコレステロール値で割るだけ。

LH比が「2.5」を超えている場合、動脈硬化が進行している可能性がある。
これこそが、判定結果の落とし穴なのでした!
注意が必要となる境界線は、「2.5」です。
「3」を超えたら、要注意!
逆に、「1.5」を下回っていたら、健康体。
□ 危険な組み合わせ

さらに、健診結果には、将来の隠れた健康リスクを知る上で、とても重要な着眼点があります。
それが、「B判定の組み合わせ」。
例えば、脂質(コレステロール値、中性脂肪)と血圧がダブルで B判定なら、動脈硬化のリスクあり。
たとえ B判定でも、油断ならないのだとか。
血圧が高めということは、血管に強い負荷がかかり続けているということ。
そこに余分なコレステロールなどが運び込まれることで、血管が傷つき、ボロボロに。
これが、動脈硬化の原因になってしまうというわけ。
<危険なB判定の組み合わせ>
脂質B + 血圧B = 動脈硬化
血圧B + 血糖値B = 狭心症・脳血管障害
血圧B + 心肥大B = 心不全
脂質B + 肝機能B = 脂肪肝
健診結果を見る時は、1つ1つの評価に一喜一憂するのではなく、複合的に見ることで、潜んでいる健康リスクに気づくことができます。
ここで、問題。
Q)血糖値 B判定の人が、糖尿病への危険が上がる B判定の項目は、次のうちどれ?
A : 血圧。
B : 肝機能。
C : 脂質(LDLコレステロール)。
答えは、「B : 肝機能」。
血糖値B + 肝機能B = 糖尿病
肝臓というのは、糖を取り込む最大の臓器。
血糖値の調節にも、深く関係してるんです。
肝機能が悪い状態というのは、脂肪肝に陥っている可能性がある。
すると、糖の調節が悪くなり、糖尿病のリスクが高まってしまうのだ。
「血糖値B + 血圧B」「血糖値B + 脂質(LDLコレステロール)B」という組み合わせについては、すでに糖尿病の人が上がりやすい項目であり、誘発する要因ではないとのこと。
三宅裕司さんからは、こんな質問が。
「僕の場合は尿酸値が高かったんですけど、痛風以外のことでも、数値を見て分かることがあるんですか?」
西崎泰弘先生の解説。
「尿酸値が高いということはですね、腎臓の働きが低下して、オシッコの中に 尿酸が捨てられていない」
「だから、血液の中で高めで推移するという状態を、反映することもあります」
「ですから、腎機能障害、最悪の場合は 腎不全から 透析になることもあるんですが…」
「それから、尿が出てくるところに尿酸がいっぱい出ていくと、尿路結石を作る原因になりますので、そのリスクも高まっているということになります」
□ 動脈硬化の真犯人 超悪玉

実は近年、動脈硬化を引き起こす真犯人の正体が、明らかになってきたらしい。
林俊行先生の解説。
「特に、LDLコレステロールが B判定で、さらに 中性脂肪が高いといった場合にはですね、実は、動脈硬化がさらに進む、そういった原因があることが、最近 分かっています」
LDLコレステロール B + 中性脂肪 B = 動脈硬化が進行
このタイプは、血液中に、動脈硬化を引き起こすスナイパーが潜んでいる可能性が高いのだとか。
LDLコレステロールの中には、すごく小さいものがある。
これは、「超悪玉コレステロール」と呼ばれています。
正式名「スモールデンスLDL(sd-LDLコレステロール)」。
超悪玉コレステロールは、小型であるがゆえに、通常の血液検査では その量を測ることができない くせ者。
血管内のちょっとした傷や血管壁に 次々 入り込み、血液の流れを阻害します。
その結果、動脈硬化になってしまうというわけ。
小型のLDLコレステロールを持っている人は、普通の大きさのLDLコレステロールを持っている人よりも、心筋梗塞などになりやすい。
そういったデータも、最近では出ているのだとか。
なお、林先生の研究室では、超悪玉コレステロールの量を測定できるとのこと。
この超悪玉コレステロールは、20mg/dL未満であれば、正常。
逆に、40mg/dLを超えると、かなり危険らしい。
この数値が高ければ高いほど、心筋梗塞のリスクが増えてしまいます。
西崎先生によれば、超悪玉コレステロールは 中性脂肪に連動して 値が大きくなるとのこと。
なので、中性脂肪を落とすことが重要であり、まずは食生活の改善が求められます。
例えば、甘いものや炭水化物を食べる量を減らすとか。
また、運動によって、HDL(善玉)コレステロールの数を増やすことも重要に。
ちなみに、超悪玉の検査は、原則 保険適用外。
しかし、最近では、人間ドックのオプションとして、追加できる医療機関も増えているらしい。
□ 来年の健康診断に向けた対策

引き続き、クイズです。
Q)中性脂肪を下げたい時、食べるなら、どっち?
A : サバ。
B : ササミ。
答えは、「A : サバ」。
サバは、オメガ3 を含む 不飽和脂肪酸(EPA・DHA)などが豊富。
これらには、中性脂肪を下げる効果があります。
ササミは 脂肪分こそ少ないものの、中性脂肪を下げる効果はありません。
Q)血糖値を下げたい時、食べるなら、どっち?
A : やまいも。
B : さといも。
答えは、「B : さといも」。
サトイモは、血糖値を下げるのに必要な「カリウム」や「水溶性食物繊維」が豊富なのだ。
西崎先生からのアドバイス。
「男性の場合、定年を迎えますと、健診を受けなくなってしまう人が増えてしまうんですね」
「身体にガタがくる中高年齢の方々におきましては、ぜひ 継続的に受診していただくことが、大変重要になってまいります」


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