【呼吸の回数】 減らすと健康に/ガッテン
呼吸の回数で、身体にうれしい変化が!
冷え症改善、肩こり解消、血圧低下、快眠、ストレス減などの効果が期待できる。
甲賀流忍術にも、同じような極意が。
第二十一代目当主、川上仁一さんが教えてくれた。
「息長」といって、呼吸回数を極限まで減らす技だ。
カギとなるとは、脳の中の「呼吸中枢」と「偏桃体」。
そのメカニズムとは?
解説:
東京有明医療大学 保健医療学部 高橋康輝 准教授。
三重大学 大学院 医学研究科 小森照久 教授。
2018年4月11日放送の「ガッテン」より、「肺ストレッチで体が変わる! 呼吸コントロールSP」からのメモ書きです。

□ 呼吸の回数

さあ、今回のテーマは何でしょうか?

ズバリ、「呼吸」について。
「肺ストレッチ」の効果とは?
誰もが無意識に行っている、呼吸。
しかし、そこに、健康効果が潜んでいたんです。
普段の呼吸で、あることを意識するだけで、身体に様々な変化が現れるというのだ。
・冷え症改善!
・肩こり解消!
・血圧が下がる!
でも、なんで そ~なるの?
おっと、今週の始まりは、変わってるぞ。
ゲストのみなさんが並んで座り、胸にバンドを巻いて、何かを測定してる。
実はこれ、「呼吸数」を測っていたんです。
1分間に、何回呼吸したか?
あまりすることのない、珍しい検査ですよね。
実は、この呼吸の回数こそが、今週のテーマと深く関係するのだ。
普段、何気なく行っている、呼吸。
呼吸の回数がちょっと変わるだけで、人間の中に眠っている様々な力が、目覚めるのだという。
アメリカはカリフォルニア州。
ここに、早くから呼吸の力に注目してきた人たちがいるんです。
マーク・ディバインさん、54歳男性。
筋骨隆々で、すごく強そう。
それもそのはず、この方、アメリカ軍の元司令官なのだ。
しかも、率いていたのが、「ネイビー・シールズ」ときている。
アメリカ軍の中でも、エリート中のエリートが集まる、特殊部隊ですよね。
なんと、彼らのトレーニングの中で、ひときわ重視されているのが、「普段の呼吸のコントロール法」らしいのです。
マーク・ディバイン元司令は言いました。
「我々シールズ隊員は、極限のストレスの中でも、常に冷静沈着でなければなりません」
「そのために、毎日呼吸をコントロールする様々なトレーニングを行っています」
「呼吸の制御こそ、最強の戦士になるための秘密兵器なのです」
そして日本でも、これと同じことが行われているのだ。
しかも、子どもからお年寄りまで簡単にできる体操らしいぞ。
一見、呼吸とは何の関係もなさそうな動きなんですが、無意識に行っている呼吸の回数を変え、身体に様々なうれしい変化が現れるのだとか。
さて、冒頭の測定ですが、結果はこのようになりました。
<1分間の呼吸回数>
大島麻衣さん : 11回/分
古坂大魔王さん : 24回/分
柴田理恵さん : 10回/分
ちなみに、成人の平均呼吸回数は 約15回/分です。
京都市にある介護福祉施設。
ここで、呼吸の回数に関しての、最新研究が行われています。
研究を進めているのは、呼吸の生理学の専門家。
東京有明医療大学 保健医療学部の 高橋康輝 准教授です。
高橋先生のお話。
「1分間にどれぐらい呼吸をしているかという、回数を確認しております」
「(呼吸が)減ると良い、ということですかね」
「普段の呼吸が減るっていうところが、とても重要なポイントになります」
先生たちが研究しているのは、「普段の呼吸の回数を減らすためのトレーニング」なんです。
これまで、全国で 1000人以上の方に協力していただき、成果を上げてきたのだそうな。
この日、参加してくれたのは、施設職員のみなさん。
身体に様々な変化を感じたといいます。
「寝覚めが悪かったのが → スッと起きられるようになった」
「冷え症なのが → 身体がポカポカに」
「肩コリだったのが → なくなった」
「上の血圧が 137 → 116 に」
つまり、「快眠」「冷え症改善」「肩こり解消」「血圧低下」などの効果が出たってわけ。
さらに、みなさん感じたのが、「ストレス減」だという。
でも、呼吸の回数が減るだけで、なぜ こうなるのだろうか?
さて、施設職員のみなさんの呼吸回数ですが、このように変化しました。
(16人の平均)
平均呼吸回数が「 15.0 → 13.7」回/分に。
研究開始時「15回」だったのが、トレーニング後には「13.7回」になってました。
大きな変化というわけではありませんが、これで効果が出るのか。
ここでちょっと目線を変え、深呼吸に注目してみましょう。
<深呼吸の効果>
呼吸と血圧の関係を調べた、有名な論文があります。
この研究には、全国の医療機関が協力しました。
2万5千人以上を対象にした、大規模な調査だという。
すると、血圧を測定する際、1分に12回のペースで深呼吸してもらったところ、そうでない時に比べ、血圧がほぼ確実に低下するという結果が出ました。
呼吸数 12回/分 → 平均 8.13低下
(最高血圧100以上の人)
血圧測定する時、深呼吸すれば、血圧は下がります。
これは、かなり前から分かっていたこと。
そして、ここからがポイントです。
深呼吸を時々 意識してやらなくても、常に深呼吸しているような身体になってしまう。
そんな方法があるというのだ。
□ 忍者の呼吸法

呼吸の回数でポイントとなるのが、「脳」のある部位だといいます。
それが、「呼吸中枢」と「偏桃体(へんとうたい)」。
呼吸中枢 : 呼吸をつかさどる。
偏桃体 : ストレスを検知する。
この2つと呼吸との関係を探るために、ある場所へ向かいました。
呼吸で偏桃体は、どう変わるのでしょうか?
三重県は伊賀市。
忍者の里として、有名ですよね。
実はここに、呼吸を極限まで少なくした、現代の忍者がいるのだ。
ガッテンボーイの常住富大くんが、現地に飛んでくれたぞ! ニンニン!
甲賀流忍術を現代に受け継ぐ、甲賀流 伴党 二十一代目 川上仁一さん(69歳)。
戦国時代など、歴史の様々な場面で活躍し、数百年にわたって 密かに発展してきた、忍術。
川上さんは現在、大学で忍者の歴史を教えています。
(現代的だな~)
物心つく頃から、師匠に弟子入りし、忍術の厳しい修行を行ってきたという、川上さん。
結果、古くから伝承されてきた忍術特有の奥義を、身につけることができました。
実は、その一つこそ、呼吸法なんですね。
呼吸法はたくさんあるのですが、その基本的なものに、「息長(おきなが)」があります。
息長とは、普段の呼吸回数を、極限まで減らすワザ。
時に、その回数は、1分間に1回以下。
呼吸を極端に減らすことで、自らの気配を消すことができると、伝えられています。
川上さんのお話。
「ハッキリ覚えているわけじゃないですけども、本当に小さい時、小学校行く ちょっと前ですからね」
「気がついた時には、もう、こういうやり方でやっているという」
「何ていうかな、自然と一体化したみたいな感じで」
「何となく、空気みたいな存在になったような感覚ですね」
「呼吸はもう、ほとんど止まったような状態」
まさに、明鏡止水の境地ってわけだ。
【明鏡止水】
くもりのない鏡と波立たない静かな水の意。心にやましい点がなく、澄みきっていること。 「 -の心境」
(大辞林より)
実は、この忍者独特の呼吸法について、研究している人がいるんです。
三重大学 大学院 医学研究科の 小森照久 教授。
呼吸回数を減らすことが、身体にどんな影響を与えるのか?
特に注目しているのが、脳の活動だ。
今回、こんな実験を行いました。
川上さんに息長をやってもらい、その時の偏桃体の活動を詳しく調べます。
頭部の MRI画像。
赤いところは、活動が活発になっている部分。
青いところは、活動が低下している部分です。
普通の人は、MRIに入って ちょっと不安になったのか、偏桃体部分が活発に(赤く)なっています。
一方、息長をしている川上さんの場合、偏桃体部分は青だけ。これは、ストレスを感じてないことを表している。

偏桃体は、ストレスを検知する場所。
不安や恐怖、怒りといった感情を、生み出します。
自分が危険な状態に置かれていると、逃げなければならない。
あるいは、ケガに備えねばならない。
いろんなことが考えられるので、偏桃体は「危険!」というモードに、スイッチを変換するのだ。
身体を緊張させ、危機に備えます。
すると、人間の身体に、いろんな変化が起こるんですね。
それが、これ。
・呼吸数UP!
・血圧UP!
・心拍数UP!
・交感神経が興奮!
これらは、言ってみれば、「本能」。
よって、コントロールすることが難しい。
でも、この中で 一つだけ、自分で何とかできるものがある。
そう、それが「呼吸数」なんです。
偏桃体が「危険だ!」と緊急モードに入っている時、隣にいるのが「呼吸中枢」。
呼吸中枢が呼吸を抑えていくことによって、偏桃体に「大丈夫。全然大したことないよ」という合図を送ることになる。
そうすると、偏桃体が緊急モードを解除。
結果、心拍数、血圧、自律神経などが、正常になるってわけ。
呼吸回数を減らすことで、偏桃体を落ち着かせる。
こんな経験、ありませんか?
興奮する → 呼吸が荒くなる。
呼吸をゆっくりにする → 落ち着いてくる。
呼吸中枢と偏桃体は隣り合っていて、影響し合っているようです。
なので、呼吸回数を減らすと、偏桃体に働きかけ、身体への影響を正常化させることができる。


後半に続きます。
呼吸回数で、ストレスまで減らす試み。
肺ストレッチの方法と効果について。
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