【300回記念(4)】 iPS細胞で腎臓再生/ゲンキの時間
最後は、世界の医療を変える革命的な研究。
なんと、「腎臓の再生」が可能になりつつあるというのです。
人工透析を受けている患者さんに希望が!
目指したきっかけは、7歳の少女との出会いだった。
ドクネット:東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科 横尾隆。
2018年3月25日放送の「健康カプセル! ゲンキの時間」より、「~ 祝300回! ~ 名医が教える健康法SP」からのメモ書き。
その4/4です。

□ 腎臓再生

最後のスペシャルなドクターは、この方。
東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科の 横尾隆 先生です。
横尾先生は、腎臓のスペシャリスト。
これまでも、「尿が作られる仕組み」や「脱水が引き起こす病気」について、詳しく解説してくださいました。
なんと、そんな横尾先生が、世界の医療を変えてしまうほどの革命的研究を発表したといいます。
それは、「腎臓の再生」。
「再生腎臓の排尿成功」と、新聞記事にもなりました。
そもそも、腎臓とは、尿を作って老廃物を排出したり、体内の水分量のバランスを調整するなど、様々な役割を担っている臓器です。
この機能が落ち込み、慢性腎不全になると、老廃物を人工的に排出する「人工透析」を続けるか、ドナーから腎臓を移植する「腎移植」のどちらかしか、現在のところ選択肢がありません。
しかし、人工透析だと、一般的には 1回4時間以上を週に3回受けねばならず、しかも、水分摂取や食事の制限があります。
つまり、患者さんの「QOL(生活の質)」は制限されてしまうのが実情。
【QOL quality of life】
人々の生活を物質的な面から数量的にのみとらえるのではなく、精神的な豊かさや満足度も含めて、質的にとらえる考え方。
医療や福祉の分野で重視されている。生活の質。人生の質。生命の質。
(大辞林より)
人工透析患者は年々増加傾向にあり、現在 日本国内でおよそ 33万人。
人口当たりの患者数は、世界一だという。
また、透析患者さんのうち 1万人以上が腎移植を希望するも、慢性的なドナー不足のため、希望がかなわないのが現状なのだとか。
こうした状況の中、腎臓再生という第三の選択肢を もたらそうとしているのが、横尾先生なのだ。
しかし、横尾先生は言います。
「腎臓は、非常に複雑な構造を持っています」
「例えば、心臓であれば、収縮するシート(心筋細胞シート)を貼り付けるとか」
「網膜であれば、網膜の膜を作る(網膜細胞シート)…、二次元で済むようなことで、再生が可能なわけですけど…」
「(腎臓の場合)立体の構造体、臓器そのものを作らなければ、腎臓の機能が再生されないということが、大きな問題だと思います」
腎層は複雑な構造をしているため、再生不可能だと言われてきました。
が、そこに新たな歴史が刻まれようとしています。
横尾先生は、こう振り返ります。
「よく諦めなかったなと、自分でも思うくらい、よく続けてはいますけど…」
先生がこの研究に取り組み始めた きっかけは、27年前のある出会いでした。
当時、研修医として配属された小児科で、先天性の腎不全を患った7歳の少女を受け持つことになったのです。
少女は、非常に つらそうだったという。
小さな子でも、食べたいものが食べられない。
例えば、アイスクリームも食べられない、水も好きなだけ飲めない。
こんな小さな子どもたちまで苦しめてしまう病気なのかと、目の当たりにした。
しかし、少女の病状は、日に日に悪化。
当時の医療技術では、苦しさを和らげることも、できませんでした。
結局、その少女は、横尾先生が初めて、死亡診断書を書いた患者となってしまったのでした。
その時、横尾先生は、「これは自分に課せられた使命かな」と感じたという。
それから先生は腎臓の研究に取り組むようになり、長年にわたる研究と努力の末、ついに、腎臓の再生に成功したのだ。
その方法について、横尾先生に教えてもらいましょう。
「実際、我々は2つ 腎臓を持っているわけで」
「自分たちが1個の受精卵から生まれてくるまでの間に、腎臓を作ってるんです」
「そのプログラムを借りるというのが、最初のコンセプトでした」
まず、患者さんの「iPS細胞」から、腎臓の元となる細胞を作ります。
しかし、このままでは、腎臓にはなりません。
そこで利用するのが、哺乳類の胎児の細胞なんですね。
哺乳類の胎児には、腎臓へと成長するよう 指令を出す細胞が存在します。
その細胞を利用し、iPS細胞から作った腎臓の元へ、成長しなさいという司令のみを送らせます。
その指令を受けた腎臓の元を患者さんに戻すことで、100%ヒト由来の腎臓へと成長していくのだ。
横尾先生のグループは、この方法で動物実験に成功。
近い将来、患者さんへの臨床が可能になるのだとか。
36歳の女性、Bさん。
先天性肝疾患の合併症で、腎不全を発症しました。
6年前から、3時間以上の人工透析を、週に3回も行っている状態です。
横尾先生の研究に、Bさんは言いました。
「すごい嬉しいですね」
「未来に希望が持てるというか」
「ハワイに行ってみたいなとか、ありますよ、やっぱり」
「北海道、行ってみたいなとか」
「だって、病気じゃなければ、行けるわけじゃないですか」
「待ち遠しいですね」
横尾隆先生のお話。
「まだまだ越えなくちゃいけない山はたくさんあるので、一概には言えませんけど、少なくとも5年以内には、日本国内で始めたいという風に考えております」
「やっぱり、1日でも早くですね、患者さんの手に届けたいですね」
人工透析を受けている患者さんに希望をもたらす、腎臓再生。
その実現が近づいています。

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熱海五郎一座「船上のカナリアは陽気な不協和音」が、以下の日程で公演されます。
6/1(金)~28(木) 新橋演舞場。
座長はもちろん、三宅裕司さん。
さてさて、どんな騒動が繰り広げられるでしょうか?
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