【メガネの選び方】 毛様体筋と処方箋/ガッテン
今までのメガネは、ベストではない可能性が!
もっと楽に見えるものがある。
そのカギとなるのが、「調節機能解析装置」。
それをもとに、「メガネの処方箋」を発行してもらえます。
「無理した視力」から「楽な視力」へ。
毛様体筋を休ませてあげよう。
解説:日本眼光学学会 理事 梶田雅義。
2018年2月28日放送の「ガッテン」より、「あなたの目にベストマッチ! “幸せメガネ”スペシャル」からのメモ書きです。

□ よく見えるメガネは楽じゃない?

さあ、今回のテーマは何でしょうか?

「メガネ」について。
メガネを使っている人は、日本だけで「7500万人以上」。
近視や遠視、老眼など、様々な人がいます。
でも、ある専門家は言いました。
8割~9割くらいの人は、メガネが合ってないのではないかと。
メガネが合ってないと、様々な症状が出るといいます。
疲れ目に、頭痛、肩こりなど。
その原因は、メガネかもしれないのだ。
対策のカギとなるのが、私たちの目が持っている、ある「個性」だという。
その個性をもとに自分に合った最適メガネを作ると、もう別世界。
すごく楽になるらしい。
この週のゲストのみなさんは、みんなメガネで出演。
裸眼の視力は、こうらしい。
山根千佳さん:0.05 (視力検査の時、一番上のが見えない)
ビビる大木さん:0.1 (20歳過ぎたあたりから、急に悪くなった)
麻木久仁子さん:0.1 (最近、遠近両用を作った)
と、ここで問題が…。
当たり前にかけているメガネですが、ベストなメガネではないかもしれないのです。
というのも、ある大事な検査が、今まで できてなかったから。
逆に言えば、今はできるようになってる。
メガネ新時代の到来です。
ここでスタジオに、ある機械が運ばれてきました。
眼科やメガネ屋さんで、よく見かけるような気もしますが…。

機械の名前は、「調節機能解析装置」。
外観は似ていますが、今まで測ってなかったものを、測っているらしい。
視能訓練士の片桐奈海さんによれば、今 日本にあるのは、500台前後。
まだまだ少ないんですね。
都内のある眼科。
眼精疲労、頭痛、肩こり、めまいなど、目の悩みを抱えている人が、やって来ます。
ここで受ける検査が、調節機能解析装置を使ったものなのだ。
その結果をもとに発行してもらえるのが、こちら。
「メガネの処方箋」。

この処方箋をもってメガネ屋さんに行けば、検査結果をもとにしたメガネを作ってもらえます。
これまでのメガネを外し、検査結果をもとにしたテストレンズをかけたら、みなさん驚いてました。
「あっ、全然。すごく楽ですね。かけた瞬間に分かりますね。別世界です。すごく目の周りが楽になるんですね。顔にギュッと力を入れていたものが、フッと無くなるので、すごく楽です」
「あっ、すごい楽です。もう、スッキリと見えてます」
「やっぱり、メガネかけてて、疲れない。もう、肩コリも頭痛もない」
みなさんの意見を要約すると、こういうことらしい。
今までのは、よく見えるメガネ。
それが、楽に見えるメガネになったと。
ただし、これ、必ずしも、度を下げるということではありません。
中には、度を上げた方がいいというケースもある。
どうも、「よく見える」ということを優先し過ぎると、「楽に見える」を犠牲にしていることが、あるようです。
上で紹介した都内の眼科では、特別な検査を行い、そのデータをもとに、問診を行います。
その時、先生は、こんな言葉をおっしゃった。
「これ、かなり無理した 1.0 だと思うんですね」
「かなり無理した 1.0」
1.0 見えてるんだけど、それはかなり無理した状態だと。
ということは、「視力」以外に、何か要因があるということなのか…。
□ 毛様体筋との関係

人によって違うのは、視力だけじゃないようです。
どうも、ある「個性」が隠れているらしいですよ。
というわけで、ガッテン名物、大実験だ!
参加してくれたのは、視力「1.0」という男女15名。
監修してくださったのは、日本眼光学学会 理事の 梶田雅義 先生だ。
まず最初に、裸眼の視力を測定します。
使うのは、おなじみの「ランドルト環」。
「C」の形をした輪っかですね。
切れ目がどの方向にあるか、答えていく。
これを 5メートルの距離から少しずつ近づけて、向きが分かったら、手元の矢印で答えてもらいます。
次が本番なのですが、照明を落としちゃいましたよ。
そう、電気を消して、暗闇の中、一瞬だけ、ランドルト環に光(フラッシュ)を当てます。
そんな状態で、視力検査を行ったのだ。
結果は、こうなりました。
通常の状態では「視力1.0」なので、横並び。
しかし、後者の実験だと、バラつきが出た。
この実験は、何を見るためのものだったのでしょう?
梶田先生の解説。
「どこを見るともなく、ボ~ッと見てる時に、どこにピントが合ってるかを探す実験ですね」
<メカニズム>
人間がものを見る時、水晶体の厚さによって、光の屈折が変化。
網膜で焦点を結ぶことで、ハッキリ見ることができます。
まずは、普通の視力検査の場合。
遠くにあるランドルト環を見るために、「毛様体筋(もうようたいきん)」が頑張ってくれるんですね。
レンズの役割をする水晶体を、引っ張って薄くすることで、ピントを合わせます。
「視力」=毛様体筋が限界まで力を振り絞った時に、どこまで見えるか?
これが先述の「無理した視力」。
では、暗闇の中の実験では、どうなるか?
暗闇の中では、毛様体筋は休んでいます。
リラックスした状態。
この時に、どこまで見えるかというのが、後者の実験というわけ。
電気がついたことに毛様体筋が気づかないうちに、測定します。
「楽な視力」=毛様体筋がリラックスしている時、どこまで見えるか?
今までは、この楽な視力を測ってなかったんです。
そして、あの機械だと、楽な視力を測定できるのだ。
<メガネをかけると疲れやすいのは、どんな時なの?>
毛様体筋の力を借りずに、レンズのおかげで遠くまで見えるようにするのが、メガネの役割です。
水晶体の仕事を、助けてあげるってわけ。
このおかげで、楽な視力は遠ざかります。
楽に見える範囲が、遠くになる。
(それまでは、楽に見える範囲は近かった)
しかし、本を読んだり、スマホを使ったり、近くで作業する時は、どうなるか?
この時、毛様体筋は、水晶体を厚くすることで、ピントを合わせようとします。
楽に見える範囲が遠くにあるので、近くを見る時には頑張らねばならない。
つまり、こういう可能性があるのだ。
よく見えるメガネ=遠くを見るメガネ。
近くを見ると → 疲れる。
メガネをかけることで、楽に見える範囲が遠くに。
すると、近くを見る時、負担が大きくなる可能性が!
遠くを見るために、毛様体筋は頑張って、レンズを薄くする。
また、近くを見るために、毛様体筋は頑張って、レンズを厚くする。
この状態が続き過ぎると、毛様体筋が疲れて、疲れ目、肩コリ、頭痛などの症状に、つながってしまうことがあるんです。
暗闇の中の実験ですが、「楽に見える範囲」は、人それぞれでしたよね。
実は、メガネによって特に問題が起きやすいのは、楽に見える範囲が遠い人なんです。
というのも、楽な距離が遠いほど、近くを見る時に、毛様体筋が頑張る必要があるから。
それだけ負担が大きいんですね。
メガネが合ってないと、知らず知らず、目を酷使している可能性が!
それが様々な症状を生んでしまうのです。
□ 梶田雅義先生の解説
ここでスタジオに、専門家の先生が登場。
日本眼光学学会 理事の 梶田雅義 先生です。
さて、「調節機能解析装置」についてですが、これは毛様体筋が頑張っているか見える装置なのだ。
この装置で、毛様体筋にストレスのない近視の度数が把握できます。
昔は、遠くさえ見えればいい、という感じでした。
しかし、今の時代、ライフスタイルに変化が。
仕事でパソコンを使う人も、多いですよね。
プライベートでスマホを使う時間も、増えています。
梶田先生は言いました。
「臨床の経験上でいきますと、メガネが適切でない方は、8割から9割ぐらい」
□ 視力検査にまつわるお話

むか~し、昔のことじゃった。
アラビアでは、こんなもので視力を検査しておったそうな。
それは、夜空に輝く「北斗七星」。
「ミザール」と呼ばれる星をよく見ると、隣に「アルコル」という もう一つの星があるんです。

この2つの星が ちゃんと見えるかどうかが、優れた兵士を見極める基準だったのだそうな。
昭和17年の日本でも、同じようなことが。
徴兵検査において、視力検査は、とても重要な項目の一つだったといいます。
歴史的には、「遠くがよく目る目」こそが、「優れた目」と されてきたようです。
そして、現代。
テレビやパソコン、スマートフォンなど。
近い距離を見る時間が、生活の大部分を占めるようになりました。
おかげで、「遠くがよく見えるメガネ」が、「眼精疲労の原因」になっている可能性も。
そこで登場したのが、今回紹介した装置「調節機能解析装置」。
測定は、覗くだけ。
片方の目につき、8段階の測定を行います。
遠くから近くまで、8段階の距離を見た時の「毛様体筋の負担」が分かる。
その人その人で、「どの距離で負担がかかっているか?」を見極め、必要なら、メガネを調節します。
ある人は度数を上げ、ある人は度数を下げて、目にかかるストレスを軽減させるってわけ。
□ メガネを作る際のポイント

今までのことを踏まえて、よいメガネを選ぶには、どうしたらよいのでしょうか?
梶田先生のお話。
「視力値だけにこだわらないことが大事ですね」
「いい視力が出るメガネを要求するのではなくて、自分が今、何に使いたいか?」
「自分がしたい作業をするのに、どのくらいの距離を見る必要があるのか?」
「その距離が一番楽に見えるメガネを作りたいということ」
メガネをかけて長時間見る距離と、毛様体筋が楽に見える距離を、一致させることが大切。
「どのくらい目の負担がかかってるか?」
「それを見つけて、そこに負担がかからないような度数のメガネを、処方してあげる」
そして、先生は言いました。
「メガネって、かけるお薬」
「見えるだけじゃなくて、楽になるというのが大事だと思ってます」
意識しないところで頑張ってくれている、毛様体筋くん。
疲れているようなら、休ませてあげましょう。
<メガネを新しく作る際のポイント>
頼りにしたいのは、やっぱり、目の専門家である眼科医です。
例えば、次のようなケース。
長時間運転してると目が疲れる。
デスクワークなどで、ずっと近くを見続けると、肩コリや頭痛がする。
メガネをかけた時に、このような症状がある場合は、眼科医の問診時に、症状をできるだけ具体的に伝えることが大事。
その上で、新しいメガネを作ることになったら、「楽に見えるメガネにしたい!」とひと言、伝えてみましょう。
どんなレンズにすると目が楽になるか、総合的に判断したメガネの処方箋を、書いてもらえるのだそうです。
これは、近視の人も、老眼や遠視の人も、同じなのだそう。
覚えておいて、損はありません。
□ レンズの最新情報

今、注目されているのは、これ。
「境目の無い遠近両用レンズ」
楽に見える範囲を、広げることができます。
外出などで遠くを見る時は、レンズの上側。
本を読むなど、近くを見る時は、レンズの下側を使います。
最近では、家事など室内の作業に便利な「中距離用」のものや、デスクワークでの目の疲れを軽減する「近距離用」のものも。
遠近両用は、老眼用?
だと思ったら、大間違い。
最近は、幅広い世代で使われるようになりつつあるのだとか。
原料であるプラスチックの厚みやカーブを、精密に調整。
様々な種類が出ているので、眼科医とよく相談したうえで、自分に合ったレンズを見つけてくださいね。
なんでも、コンタクトレンズにも、遠近両用タイプが出ているらしいですよ。
□ 手作りレンズ職人

目にも個性があって、人それぞれ。
ということは、メガネも人それぞれ。
そのために、人一倍、レンズにこだわって、日々努力を続ける職人さんがおられます。
手作りレンズを作り続けて15年の職人、伊藤靖樹さんだ。
作っているのは、強度の近視用レンズ。
非常に強い度数が、求められます。
使う素材は、昔ながらのガラス。
プラスチックだと屈折率が、どうしても若干弱くなるのだとか。
ガラスじゃないと、難しい部分がある。
一人ひとりの目に合った度数のレンズを、オーダーメイドで削っていきます。
厚みやカーブなど、機械では加工できないものが、ほとんど。
手作業で、精密に仕上げていくんですね。
伊藤さんのお話。
「非常に視力の弱い方の、日常の生活の手助けに、少しでもなればというような形が、一番やっぱり、モチベーションの部分ですね」
自分に合ったメガネを作って、余計な負担を軽減しましょう。



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