【新しい便秘 排便困難型】 数える解消法/ガッテン
新しいタイプの便秘が、増えています。
それは、「排便困難型」。
便意はあるのに、出てくれない。
原因は、「恥骨直腸筋」にありました。
対策は、数をかぞえること。
力を入れて、緩めることが、カギに。
アメリカのバイオフィードバック療法も紹介!
うんこ学会のアプリ&注意したい ウンチの色。
解説:大腸肛門病センター 高野病院 高野正太 副院長。
2018年3月14日放送の「ガッテン」より、「便意はあるのに出ない!? 便秘の新タイプ解消SP」からのメモ書きです。

□ 5つ数えて便秘解消?

さあ、今回のテーマは何でしょうか?

ズバリ、「便秘」について。
世界中に、便秘で悩む人がいるようです。
それだけに、各国、解消法もいろいろあるようだ。
アメリカでは、トランポリンエクササイズが。
ジャンプで、便の詰まりを解消することができるのだとか。(* 個人の感想です)
中国では、こんなニュースが。
便秘に悩んでいた男性が、あまりのつらさに、なんと、ウナギをお尻に入れてしまったのだとか。
結果、手術でウナギを取り出す羽目に、なったそうです。
イスラエルの企業では、こんなカプセルを開発中。
飲むと体内で振動し、それで便秘を解消しちゃうのだとか。
いろいろあるもんですね。
それだけ悩みが深いのか。
番組冒頭、本が運ばれてきました。
「慢性便秘症 診療ガイドライン2017」

国内初の、便秘の診療ガイドラインなのだとか。
今回紹介するのは、便秘を解消する方法について。
よく聞く便秘対策といえば、こんな感じですよね。
・食物繊維の摂取。
・腸内環境を整える。
・体操、運動。
・腸のマッサージ。
・薬。
今回ここに、新たに一つ、加わるんです。
その方法とは、何か?
まずは、体験談から…。
[体験談(1)]
熊本にお住いの78歳男性、Aさん。
4年ほど前から、不思議な便秘の症状を抱えるようになったのだという。
なんと、毎日 便意はあるのに、出ないのです。
便意を感じてトイレに行くのですが、なぜか出ない、出せない。
毎日トイレにこもる時間は、1時間以上。
力いっぱい いきんで、何とか便をひねり出すという状況でした。
ところが、その後、専門の病院にかかり、あるリハビリを続けたところ、変化が。
1か月ほどで、みるみる症状が改善した。
[体験談(2)]
70代の女性、Bさん。
便秘に悩み始めたのは、7年前だという。
便の出しにくさを、感じるようになりました。
お通じは毎日あるのですが、エンピツぐらいの細さで、やっと出すくらい。
難産みたいな感じだった。
Bさんが頼ったのは、便秘薬。
しかし、薬を飲んでも、つらい症状は一向に改善しません。
当時、気分が落ち着かず、不安だったと、振り返ります。
排便時の痛みで、トイレに行くのも怖くなり、精神的に追い込まれてしまった。
ところが、Bさんも病院で治療し、あるリハビリを続けたところ、あっという間に、症状が改善したんです。
今では、便秘を卒業した。
でも、いったい、何をして改善したんでしょうね?
お二人がやった、リハビリとは?
それは、「数をかぞえる」。
??
どういうことなんだ?
念のために言うと、ガイドラインに「数をかぞえる」と書いているわけではありません。
お医者さんが患者さんに教える際、こうおっしゃったということ。
ここでスタジオに、模型が運ばれてきました。
これを使って、説明してくれるらしい。
大腸の最終部分である、「直腸」。
1m50cm ほどある大腸の、出口付近 15cm ほどをさします。
人間は、便が直腸にくると、便意を催すようになってるんですね。
今まで、便が出口までやってこないことが、便秘だと考えられてきました。
ということで、直腸よりも もっと前の部分に問題があると、されていた。
なので、今までの対策はといえば、大腸を刺激して便を直腸にどんどん送り出すとか、便が大腸の中をスルスル動くように食物繊維を摂りましょうとか、そういうものでした。
でも、先ほどの体験談の人たちは、違いましたよね。
そう、便意はあったんです。
実は、今まで考えられていたのとは違う 新しいタイプの便秘があるようなのだ。
□ 新しいタイプの便秘

便秘を引き起こす もう一つの原因とは、何なのでしょうか?
最先端の設備を持つ病院で、その正体を探ることになりました。
使うのは、小麦粉です。
大腸肛門病センター 高野病院 放射線技師の 松本徹也さんに、教えてもらいましょう。
まずは、小麦粉とバリウムを混ぜた「疑似便」を作ります。
それを、肛門から直腸の中に、注入する。
その後、X線で、排出している様子を撮影するというわけ。
大腸肛門病センター 高野病院の 高野正太 副病院長が、撮影した映像を見せてくれました。
肛門付近を横から撮った、X線映像。
黒く写っているのが、疑似便です。
直腸が疑似便で満たされているのが、分かりますね。

これが肛門から排出される様子を、観察するというわけだ。
快便な人の場合、力むと、肛門が ふわ~っと開いて、便が ストーンと落ちる。
でも、あるタイプの便秘の人だと、いきんでも なかなか出てきません。
違うのは、へこんだ部分。
高野先生いわく、「直腸を縛ってしまっている」と。

便を排出しようと いきんだ時、直腸を締めつけられるような動きをしています。
つまり、直腸まで便がきて、便意を感じても、外に出すことができないのだ。
あるタイプの便秘とは、直腸を筋肉が縛ってしまっている状態。
そうなると、直腸に便がきても、出せないんですね。

この筋肉を、「恥骨直腸筋(ちこくちょくちょうきん)」といいます。
恥骨直腸筋の働きは、便意を感じても、すぐには漏れないように、直腸を締めること。
トイレに行って、下着を下ろして、座って、さあ、準備完了。
その時まで、出ないようにしてくれているわけですね。
普通、便を出す時、恥骨直腸筋は緩んで、出口が開きます。
しかし、これをコントロールできない、締まりっぱなしの人がいるんです。
筋肉に引っ張られて、出口が開かず、便秘になっている。
□ 高野正太先生の解説
ここでスタジオに、専門家の先生が登場。
大腸肛門機能科が専門で、排便治療に詳しいスペシャリスト。
大腸肛門病センター 高野病院の 高野正太 副院長です。
新しいタイプの便秘の名前は、「排便困難型」。
直腸まで便がきているのに、出すことが困難な状態。
ちなみに、従来の便秘は、「回数減少型」というそうな。
これは、お通じが 4日に1回など、回数が減るタイプのこと。
そして、困難型と回数減少型、その両方がある「重複型」の人もいるとのこと。
さて、「数をかぞえる」という対策ですが、いったい、何をしてたのでしょうか?
恥骨直腸筋は、ある程度 締まっていて、便が落ちないようになっています。
本来、排便する時、これを緩めないといけないのですが、緩まない人がいると。
締めつけたままなので、便が出にくい。
対策としては、緩められるようになればいいわけですが、緩める訓練だけをすればいいというわけではありません。
緩めるための前段階として、お尻をギュッと締めるんですね。
力を抜くために、先に力を入れるというわけ。
グッと力を入れてからの方が、力を抜きやすいでしょ。
お尻を締めて、「1・2・3・4・5」と数える。
恥骨直腸筋を、締めあげます。
すると、筋肉が疲れて、緩みやすくなるのだ。
その後、緩めて、「1・2・3・4・5」と数える。
肛門に力を入れて、「1・2・3・4・5」。
力を抜いて、「1・2・3・4・5」。
肛門をギュッと締めたり緩めたりして、恥骨直腸筋を緩ませる感覚をつかむのです。
体験談のお二人がやっていたのは、これだったんですね。
<トレーニング>
(1) イスに座り、お尻を引き上げるような感じで、肛門を締めます。
締めた状態で、「1・2・3・4・5」と数えましょう。
(2) 次に、脱力して、緩めます。
緩めた状態で、「1・2・3・4・5」。
(3) これを交互に、繰り返す。
1日に10~20回。
このリハビリを1か月続けてみて、改善できるか判断する。
そして、姿勢についても。
<便が出しやすくなる姿勢>
前屈みになる。
ヒジが太ももに付くぐらいの前傾姿勢です。

ちょうど、ロダンの「考える人」みたいな感じですね。
この前傾姿勢で、一度、肛門を締めます。
その後、ふ~っと力を抜いて 緩めた時に、お腹に力を入れ、お通じを出すとよい。
実は、高野先生は3年前、アメリカの大学病院に留学し、排便と姿勢の関係について研究しているのだ。
その成果を海外の医学誌に発表し、注目を浴びているのだとか。
研究対象としたのは、排便困難型の患者さん、22人。
患者さんに前傾姿勢を取ってもらい、力の入れ方(いきみ方)を指導しました。
すると、スルッと便を出すことに成功。
半数にあたる11人の便秘症状が、改善しました。
高野先生は、その様子を、X線で詳細に観察したそうな。
その結果、こんなことが分かった。
前傾姿勢を取ると、通常の姿勢に比べて、恥骨直腸筋が緩みやすくなる。
さらに、もともと折れ曲がっている直腸がまっすぐになるので、排便しやすいことも、立証されたのでした。


便秘には、排便困難型というタイプがある。
対策は、肛門を緩める感覚をつかむこと!

ガッテン! ガッテン!
□ バイオフィードバック療法

続いては、専門の病院で受けられる最新の治療法について。
名前を、「バイオフィードバック療法」と言います。
便秘治療の先進国であるアメリカで、開発されました。
使うのは、「圧力測定器」。
これを患者さんの肛門から入れて、上の部分で、便を出そうと いきむ時の直腸の圧力を測定。
下の部分で、便を止めようとする肛門付近の圧力を測定します。
排便困難型の人は、いきむ時に、直腸だけでなく、肛門にも強い力が入っているんですね。
肛門の圧力は、便を止めようとする力なので、これでは便が出にくい。
正常な人は、いきんでも、肛門には ほとんど力が入りません。
これなら、いきむ力がそれほど強くなくても、便が出るってわけ。
バイオフィードバック療法では、直腸と肛門の圧力を測定し、それを患者さん自身の目で見てもらうのがポイント。
そうすることで、いきみ具合を自覚してもらうのだ。

バイオフィードバック療法とは、目で確認しながら肛門を緩める感覚を覚える、治療法。
肛門に入る力を抜く、そんなコツを練習します。
ジョージア医科大 消化器病センター長 サティッシュ・ラオ教授のお話。
「この病院では、バイオフィードバック療法で、困難型便秘の8割が改善しています」
日本ではまだ保険適用ではありませんが、一部の病院で受けることができるとのこと。
体験談のお二人も、この治療を病院で受け、自宅のリハビリと併せて、症状が改善しました。
□ 新しい薬

今度は、回数減少型について。
なんでも、新しい薬が登場したらしい。
新薬の登場で、喜んでいる人たちがいるそうな。
高齢者が住む、介護施設。
運動不足や大腸の働きの低下により、高齢者は便秘が激増する傾向にある。
ある施設では、ほぼ全員が便秘だという話も。
しかし、近年、新しいタイプの薬が登場し、便秘の症状が改善する人も増えてきているのだとか。
施設の担当医によると、以前の便秘薬は刺激性のものが多く、患者さんに使うのを躊躇する時もあったらしい。
便の硬い人に使うと、お腹が痛くなったり、下痢しちゃう時があるのだ。
それだけ調整が難しかった。
高野正太先生の解説。
市販薬を含めて、今までの薬の大半が、刺激性の下剤。
今までの薬では、大腸を刺激することで、ぜん動運動を促し、便を排出していました。
しかし、新しいタイプの薬は、小腸に作用するんですね。
小腸の水分泌を促し、それで大腸でも水分が多くなって、便がやわらかくなり、排出しやすくなる。
<主な便秘薬の種類>
[刺激性]
特徴:
・腸を刺激。
・即効性あり。
注意点:
・腹痛や下痢。
・依存性がある。
[新しいタイプ(ルビプロストン)]
特徴:
・腸内の水分泌。
・処方薬のみ。
注意点:
・気分が悪くなる人もいる。
[浸透圧性(酸化マグネシウム)]
特徴:
・腸内の水分泌。
・即効性あり。
注意点:
・腎機能が悪い人は、使用を控える。
薬は一長一短があるので、注意しましょう。
できれば、お医者さんに相談して決めるのがよい。
□ 毎日のチェック

施設の担当医である 石井洋介 先生には、もう一つの顔が。
それが、通称「日本うんこ学会」会長!
毎日の排便チェックを呼びかける活動をしておられます。
石井先生は学生の頃、潰瘍性大腸炎という大病を患い、つらい闘病生活を送ったのだそうな。
その経験から、毎日の便の観察が病気の早期発見につながると、啓発しているんです。
キャッチコピーは、「うんこで救える命がある」。
今、石井先生は、便を観察する習慣を楽しみながら身につけてもらえるような、ゲームアプリを開発しています。
便の色や形を記録すると、ゲームのキャラクターが成長する。
遊びながら、自分の健康状態に気づくことができるってわけ。
今年4月に、無料でリリース予定なのだとか。

<気をつけた方がいい便の色>
茶色でやわらかい → おおむね健康。
赤い血便が続く:大腸がんや潰瘍性大腸炎の可能性。
黒い便が続く:食道や胃から出血の可能性。
緑の便が続いたら:腸の働きが悪くなっている可能性。
気になったら、病院へ!



来週の放送は、お休みになります。
次回は、3月28日の放送。
増刊号だ!
「大反響&新情報に超ビックリ! 2年分の大感謝祭」。
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