【ビタミンM】 ホモシステインと認知症予防/ガッテン
様々な病気から身体を守ってくれる栄養素が、今日の主役です。
活性酸素を出す、ホモシステイン。
その影響で、脳が委縮し、認知症に。
血管も傷ついて、動脈硬化や脳卒中、心筋梗塞、骨粗しょう症の原因にも。
このホモシステインを、ビタミンMこと「葉酸」が更生してくれるのだ。
2018年1月17日放送の「ガッテン」より、「血管ボロボロ&認知症からカラダを守れ!“ビタミンM”徹底活用」からのメモ書き。
その前編です。

□ 認知症予防になる栄養素

さあ、今回のテーマは何でしょうか?

「認知症予防」にもなるという栄養素、「ビタミンM」についてです。
年齢が進むと共に、心配になってくるのが、認知症。
でも、防ぐための様々な対策が、分かってきたといいます。
<認知症対策>
・毎日しっかり睡眠をとる。
・有酸素運動などで、積極的に身体を動かす。
そして、実はもう一つ、新たな対策が注目されてるんです!
しかも、認知症以外にも、心筋梗塞、脳卒中など、様々な病気の予防にも なるらしい。
脳の神経細胞や血管など、身体中の細胞にとって、とても重要だという、「それ」の正体は?
番組冒頭、スタジオである女性が紹介されました。
ペンシルベニア州立大学の キャサリン・ロス教授。
ノルウェーとイギリスの研究者が共同で、高齢者156人を対象に、2年間、追跡調査を行いました。
軽度認知障害の人の脳で、萎縮が起こった範囲を調べたんです。
下の画像の黄色い部分は、脳が縮んでしまった部分。

Bの画像では、萎縮の範囲が少ないですよね。
これこそが、キャサリン教授の研究なのだ。
あるものを毎日摂取したグループは、萎縮した箇所が、とっても少なかったんです。
キャサリン教授の専門は、栄養学。
そして、この方々が一生懸命研究されているのと同じことを、日本の18歳の若者がやったのだという。
東京都にある、サレジオ工業高等専門学校。
そう、高専の4年生男子が、その人なのだ。
なんと、キャサリン教授と同じ、あることを発見したんです。
別ルートから。
彼の名は、保科佳位(ほしな けい)さん。
情報工学を専攻する、18歳です。
中学生時代、子どもの頃から大好きだった「あるもの」を集めて研究したら、科学コンクールで受賞しました。
その「あるもの」とは、「オタマジャクシ」。
当時、2000匹はいたという。
冷蔵庫の中も オタマジャクシばかりだったと、振り返ります。
毎年、春になると、オタマジャクシを大量に捕まえ、育てていたという、保科さん。
しかし、時には うまく育たず、カエルになる前に死なせてしまうことも、あったそうです。
どうしたら、オタマジャクシを立派なカエルに育てることができるのか?
その時、注目したのが、エサでした。
思い立って、ちょっと変わったエサを与えてみたところ、オタマジャクシの成長に 変化が起こりました。
実は、そのエサに含まれるものこそ、認知症を防ぐかもしれない、「あるもの」なんですね。
そのあるものを与えると、オタマジャクシの成長がとても早くなって、5日も早くカエルになったという。
認知症予防にもなり、オタマジャクシの成長も早めたそれは、ビタミンの一種。
あまり聞くことのない、「ビタミンM」だという。
耳にしないのは、別の名前で知られているから。
ビタミンM=「葉酸」なんですね。
葉酸がどうして、認知症予防につながるのか?
それには、2つの大きな特徴が関係しているらしい。
その1つが、「細胞分裂」。
□ 葉酸の効果

葉酸は、太陽の恵みを受けた植物が、光合成によって作り出す、栄養素。
【葉酸】
ビタミンB複合体の一。緑葉野菜・酵母・肝臓などに多く含まれ、欠乏すると貧血を起こす。最初にホウレンソウの葉から抽出されたのでこの名がある。ビタミンM。
(大辞泉より)
葉酸の大きな働きの一つが、生き物を成長させる「細胞分裂」なんですね。
細胞の中にある生命の設計図、DNA。
このDNAを作る時に、葉酸は欠かせないのだ。
そんな葉酸を誰よりも必要としているのが、お母さんのお腹の中にいる「赤ちゃん」だという。
たった一つの細胞が、わずか1年の間に、人間に成長します。
これを支えるのが、葉酸なんですね。
そのため、2000年頃からは、母子手帳でも、葉酸の摂取が勧められるようになりました。
オタマジャクシに、話を戻しましょうか。
実は、オタマジャクシたちを元気に育てようと、保科さんが思いついたエサというのは、「ホウレンソウ」。
「しらす」と「ホウレンソウ」をオタマジャクシに与え、比べてみました。
すると、1か月後、しらすの方は3匹しかカエルに成長しなかったのに、ホウレンソウを与えた方は 6匹もカエルになった。
もしかして、これって、葉酸のおかげでは?
そう思い、いろいろ調べた結果、あることを思いつきました。
葉酸が豊富な鶏レバーをエサにしたら、どうなるだろうか?
実験してみると、オタマジャクシは見る見るうちに成長。
5日も早く、カエルになったのでした。
と、ここで、ゲストの大島麻衣さんが言いました。
「ビタミンMの『M』は、ミドリとかのMですか?」
すると、飯尾和樹さんが、すかさずツッコんだ。
「それ、日本語じゃん。世界共通なのに」
名前の由来は、こうらしい。
一番最初に、たまたま、貧血になる猿と ならない猿は 何が違うのかを調べるうちに、見つかった物質。
ビタミンMの「M」は、モンキー(Monkey)のMなのです。
ところで、葉酸って、何に含まれているか、知ってます?
<葉酸が豊富な食材>
・ホウレンソウ。
・小松菜。
・春菊。
・豆苗。
・水菜。
・菜の花。
・ブロッコリー。
・サニーレタス。
・アスパラガス。
・枝豆。
・オクラ。
・ニラ。
・レバー。
・納豆。
・海苔。
・お茶。
・いちご。
・卵。

眞鍋かをりさんによると、こんな「妊婦あるある」があるらしい。
妊娠中は、イチゴや納豆が欲しくなる人が多い。
自然と葉酸を欲しているのかもしれませんね。
葉酸が認知症予防にまでつながる、2つの特徴。
「細胞分裂」に続く2つ目は、「悪者の更生」だという。
はて、どういうことだろうか?
<葉酸と認知症の意外な関係>
葉酸は、細胞分裂を手伝ってくれます。
そして、もう一つ、重要なお仕事が。
それが、悪者を更生させることなんですね。
ここでいう悪者とは、「ホモシステイン( homocysteine )」。
ガッテン初登場だという。
ホモシステインが どう悪いのかというと、脳に活性酸素を吹きかけちゃうんです。
すると、脳の細胞が死んじゃうんですね。
こうして起きるのが、脳の萎縮ってわけ。
これがアルツハイマーの原因の一つではないかと、考えられています。
ホモシステインが悪さをするのは、それだけではありません。
血管でも、活性酸素を出す。
すると、血管が傷つき、プラークができて、動脈硬化や脳卒中、心筋梗塞の原因に。
悪影響は、骨にも。
活性酸素で、骨の細胞が死んじゃうんです。
これも、骨粗しょう症の原因の一つではないかと考えられているのだ。
ホモシステインって、本当に悪い奴なんです。
普通に生活していても、ホモシステインは肝臓の中にいるのだとか。
これは、誰にでもです。
私たちが肉や魚など、たんぱく質を摂ると、必ずアミノ酸ができます。
アミノ酸は本来、肝臓の中で せっせと働いてくれている。
しかし、毎日、来る日も来る日も働いているうちに、ホモシステインになっちゃうらしいのだ。
食べ物から摂取したアミノ酸が、体内で働く中で化学変化を起こし、ホモシステインになる。
ひとたびホモシステインになってしまうと、かなりの無敵ぶりで、例えば、抗酸化作用のあるビタミンCやポリフェノールも、ホモシステインには効きません。
そこで登場するのが、葉酸先生。
見事、ホモシステインを更生させ、再び 肝臓の工場に復帰させるのでした。
これは、葉酸だけができること。
葉酸がいかにホモシステインに対して有効か、それを示した実験があります。
ホモシステインが高くなってしまったラット。
その血管を見ると、血管の壁が厚くなっていました。
ホモシステインのせいで、動脈硬化が進んでしまったんですね。
でも、同じ高ホモシステインなのに、葉酸たっぷりのエサを与えたラットたちは、血管の壁が薄いままだったんです。
つまり、動脈硬化を大きく防ぐことができたということ。
葉酸の効果は、分かりました。
では、どれくらいの量を摂ればいいのでしょうか?
<葉酸の推奨値>
1日に、240μg (成人の男女)。
妊婦さんは、480μg になります。
でも、日本のある町では、これとは違う基準があるらしいですよ。


後編では、葉酸によって健康長寿を目指す、ある町の取り組みを紹介。
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