【ひざ痛 Q&A】 正しいスクワット/きょうの健康
新年、あけまして、おめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
2018年 1回目の記事は、これ。
変形性膝関節症に関する質問。
・高齢でも運動の効果はあるの?
(ひざ痛治療のピラミッド)
・スクワットはヒザに悪いですか?
・歩けなくなってきた場合の治療法は?
・人工関節の手術後の痛みについて。
(術後の痛みに対する薬:プレガバリン、デュロキセチン)
・両ヒザの人工関節について。
解説:帝京大学 中川匠 教授。
帝京大学医学部附属病院 今野陽一郎 理学療法士。
司会:黒沢保裕、岩田まこ都。
2017年12月20日放送の「きょうの健康」より、「ひざ痛 Q&A」からのメモ書きです。

□ 高齢でも運動の効果はあるの?

さあ、今回のテーマは何でしょうか?

「ひざ痛」です。
ひざ痛の原因はいろいろあるのですが、中高年の場合、変形性膝関節症が圧倒的に多いそうです。
<ひざ痛の主な原因>
・変形性膝関節症。
・スポーツによるケガや障害。
・関節リウマチ。
・痛風、偽痛風。
今回は、ひざ痛について、帝京大学 中川匠 教授に教えていただきます。
<高齢でも運動の効果はあるの?>
88歳女性からの質問です。
10年前、ひざ痛を起こし、医師に運動を勧められました。
2か月ほど、朝夕実行したところ、だんだん痛みが解消しました。
しかし、最近また、ひざが痛み始め、X線検査を受けたところ、軟骨がすっかり すり減っていると言われました。
治療は運動のみとのことで、ひざ上げ運動を、朝夕20回続けていますが、全然 効果が出ません。
年齢を考えると、仕方がないのでしょうか?
中川先生によると、「年齢は、あまり関係ありません」とのこと。
「何歳になっても、運動療法は効果がありますので、運動する意味はあると思います」
「この方は、88歳と高齢ですけれども、朝夕 運動をしっかり継続されているということで、とても素晴らしいと思います」
「ぜひ、続けていただきたいと思います」
ただ、この方の場合、次のような面も。
「軟骨が すっかり すり減っているとありますので、10年前と比べて、変形性膝関節症が進行している可能性があります」
「運動だけで効果が十分に出ない場合は、次の段階の治療を検討することを、お勧めします」
下の画像は、変形性膝関節症の治療方針を示したピラミッドです。

一番下、土台となっているのが、「病気を知る・運動・減量」。
これが、軽度から重度まで、すべての人に共通する治療の基本です。
どういう病気なのか、お医者さんの話をしっかり聞く。
指導に従って、運動する。
生活を改善し、減量する。
それでも改善しない場合に、次の段階として、「薬や装具」を使い、その上で、「手術」を検討するという順序になっています。
運動療法や生活改善で効果が出ない場合は → 薬や装具を使う。
場合によっては、手術を検討。
質問者は運動をしているので、次の段階へ。
「運動は今のまま続けていただきながら、お薬の助けを借りたりとか、足底板(そくていばん)を作っていただいたりとか、そのようなことをするとですね、運動の効果が より実感しやすくなると思います」
□ スクワットは、ヒザに悪いの?

次の質問は、スクワットとヒザの関係について。
<スクワットは、ヒザに悪いの?>
60代女性からの質問。
去年、激しい運動をしてから、左のヒザが腫れて、痛くなりました。
水を抜いて、ヒアルロン酸の注入をし、その後、1か月ほど リハビリ通院をして、症状はよくなりました。
しかし、医師から、スクワットと正座はヒザを痛めるので しないように、と言われました。
ヒザの痛みのためにはスクワットが効果的ということでしたが、どうしたらいいのでしょうか?
中川先生の解説。
「ヒザが熱を持って腫れていなければですね、基本的に、スクワットや正座は、行っていただいても大丈夫だと思います」
「ただ、スクワットをする際にですね、ヒザがつま先より前に出てしまうとですね、ヒザにかかる負担が大きくなってしまいますので、その点を注意していただければ、スクワットは脚全体を鍛えるいい運動になりますので、変形性膝関節症の方にも おススメの運動になります」
<正しいスクワット>
(つかまる物がある場所で行うなど、転倒に十分注意してください)
(1) 肩幅ぐらいに、脚を開きます。
この時、ヒザとつま先が同じ方向を向くようにする。
ヒザが開いたり、内側に入ったりしないように、注意してください。
(2) ヒザが前にでないよう、ゆっくりと腰を落とします。
上から見て、常に自分のつま先が見えるように、行ってください。
完全に90度まで曲げる必要は無いので、痛みの程度に合わせて、痛みの出る少し手前まで、曲げましょう。

(指導:帝京大学医学部附属病院 今野陽一郎 理学療法士)
<スクワットで ヒザの負担を軽くするコツ>
・イスなどを使って、ヒザが前に出ないようにするとよい。
・イスにゆっくり座り、立ち上がる。
これでも、スクワットと同じような筋肉を使うので、効果的に運動できるとのこと。

ヒザの状態や自身の健康に合わせて、無理なく行ってください。
不安な場合は、かかりつけ医に相談を。
□ 歩けなくなってきた場合の治療

続いては、歩けなくなってきた場合の治療をどうするかについて。
71歳女性からの質問。
5年ほど前に、軽度の変形性膝関節症と診断されました。
ヒザに注射を受けましたが、改善しません。
リハビリも行い、最近は 週2~3回 水中歩行をしています。
けれども、ヒザだけでなく、ヒザ下の筋肉も痛みます。
立っているだけでも痛く、外出は自転車で最低限するだけです。
5年前よりずっと、歩けなくなっています。
どうすればよいでしょうか?
中川先生の解説。
「立っているだけでも痛いとかですね、以前よりも歩けなくなったということで、このような症状からするとですね、変形性膝関節症が以前よりも進行していた可能性があります」
「あとですね、この方の場合、気になる症状がいくつかあってですね、例えば、ヒザ下の筋肉が痛いとかですね、自転車は乗れるけれども歩けないといった症状が、気になります」
「腰椎の変性疾患でよく見られる、脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)の症状を合併している可能性を、考える必要性があると思います」
<脊柱管狭窄症>
脊柱管狭窄症とは、背骨の腰の部分、腰椎に起こる病気です。
腰椎を上から見ると、真ん中に「脊柱管(せきちゅうかん)」と呼ばれる空間がある。
この脊柱管の中を、神経の束が通ってるんですね。
脊柱管が骨の変形などで狭くなるのが、脊柱管狭窄症。
脊柱管が狭くなることで 神経が圧迫されると、腰痛や下半身の「しびれ」などが引き起こされる。

「もしもですね、脊柱管狭窄症を合併した場合は、運動療法などによって ヒザ関節の痛みがよくなっても、歩行能力が思ったほど改善しないという場合があります」
「その場合は、一度 整形外科に行って、腰の方をよく診てもらって、改めて 治療方針を検討しなおす必要性が、あると思います」
脊柱管狭窄症は、有名人もよくなる病気。
みのもんたさん、高田純次さん、水前寺清子さん、橋本じゅんさんらも、経験あり。
「間欠跛行(かんけつはこう)」といって、長い距離を歩けないのが特徴。
途中で、しゃがみ込むなどしてしまいます。
□ 人工関節 手術後の痛み

続いては、人工関節を入れる手術を受けた後の痛みについて。
84歳女性からの質問。
人工膝関節全置換術を受けた後、ヒザが太いベルトで締めつけられるような感じがして、痛みます。
手術前の痛みとは また違っていて、まだ手術をする前の方が良かったと感じ、後悔しています。
X線検査では、異常ありません。
今後、良くなるのでしょうか?
中川先生の解説。
「人工関節は 痛みが取れる とてもいい手術ですけれども、手術を受けた患者さんの 1~2割にはですね、手術前とは異なる痛みでお悩みの方がいらっしゃるのも事実です」
「その原因はよく分かっていませんで、この方のように、X線検査で異常が無くてもですね、痛みが続いて感じられるケースがあります」
「実際に、この方を診察してみないと何とも言えないんですけれども、薬の助けを借りることで、症状を和らげる場合もあります」
「ヒザに炎症が無くて、締めつけられるような痛みであれば、神経が傷つくことによる痛みを取り除く、プレガバリンというお薬とか」
「昨年、変形性膝関節症にも保険適用になった、痛みの伝達物質に作用するデュロキセチンなどといったお薬が、効果があるかもしれません」
<手術後の痛みに対する薬>
神経障害性 疼(とう)痛治療薬 『プレガバリン』
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI) 『デュロキセチン』
「術後、しばらくはですね、しびれや痛みが気になったという患者さん、いらっしゃいますけれども、3年4年と経過すると、少しずつ、そういう症状が気にならなくなったという方も、たくさんいらっしゃいます」
「まずはですね、現在の悩みをお医者さんに相談していただいて、自分にあったお薬を選ぶというのも、一つの選択肢だと思います」
□ 両ヒザの人工関節

最後の質問は、両ヒザの人工関節についてです。
60代女性からの質問。
左ヒザに人工関節を入れましたが、今度は、右のヒザが痛くなりました。
右も人工関節にしたらいいのでしょうが、なるべく手術をせずに少しでも良くならないかと考えています。
無理でしょうか?
中川先生によると、片ヒザを人工関節にする場合と、両ヒザに行う場合、両方があるとのこと。
「片方 人工関節を行って、それで痛みが取れて、日常生活に支障が無いということであればですね、片方だけでも、特に問題は無いと思います」
「ただ、今度、右のヒザが少しずつ痛くなりだしたということであればですね、病気が少しずつ進行していたということが、考えられます」
「その場合にはですね、左右の脚のバランスが悪くなってきた可能性も、考える必要性があります」
なるべく手術をしたくないという意向について。
「手術をしなくてもですね、例えば左右の脚のアンバランスがあれば、足底板などの装具を使って、バランスを整えてあげて、運動療法を続けていただければ、痛みが取れたという患者さんも、たくさんいらっしゃいます」
「また、そのような患者さんの中にはですね、旅行を楽しんでいる方もいらっしゃいますので、そのような治療を、まず お試しになっていただければ、いいのではないかなと思います」
手術するしないというのは、患者さんの希望が大きいのでしょうか?
「もちろん、患者さんの意見を取り入れながらですね、後は関節の変形の程度とか、痛みの程度とか、左右の脚のバランスとかですね、総合的に判断して、患者さんと相談して決定しているのが、現状です」

![NHKきょうの健康 2017年12月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/512UCbNM6lL._SX270_.jpg)
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tag : 腰痛・関節痛
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