【お風呂の温度】 冷え・腰痛改善 1℃の方程式/ゲンキの時間
健康になれるお風呂の温度は?
カギは、自律神経の境界線となる「42℃」。
<肩コリ・腰痛改善>
<気管支炎・鼻炎>
<手足の冷え症>
それぞれに効く、お風呂の入り方を、紹介します。
血行を良くしたいなら、<温冷交代浴>がおススメ。
免疫力をアップする入浴温度。
<危険な入浴法>と注意点。
ドクネット:東京都市大学 人間科学部 早坂信哉(温泉療法専門医)。
ゲンキスチューデント:滝裕可里。
ゲンキリサーチャー:あべこうじ。
2017年11月26日放送の「健康カプセル! ゲンキの時間」より、「~ 1℃の違いが大違い ~ 健康になれる入浴法」からのメモ書きです。

□ たった1℃の違いで

さあ、今回のテーマは何でしょうか?

11月26日、「いい風呂の日」にちなんで、「入浴法」です。
血流促進、冷え症改善、肩コリ解消に、デトックス。
様々な健康効果が期待される、お風呂。
その際、最も重要になるのが、「温度」だといいます。
街の人に聞いてみると、温度へのこだわりは、まちまち。
というか、気にしてない人も多いみたい。
でも、専門家は言いました。
「普段から温度を気にされている方は少ないと思いますが、実は、1℃温度が変わるだけで、身体に与える影響は 大きく変わるんです」
では、いったい、何℃が良いのでしょうか?
ちなみに、番組出演者が普段入る温度は、こちら。
渡辺満里奈さんは、42℃。
三宅裕司さんは、43℃。
滝裕可里さんは、40℃くらいで長く入るとのこと。
まずは恒例の基礎クイズから。
Q)お風呂に入る際、身体にかかる水圧は、どれくらいでしょう?(成人の男女の場合です)
A:500kg。
B:700kg。
C:1t(1000kg)。
答えは、「B:700kg」。
人の表面積は 約1.4㎡。水深50cmの お湯の水圧は、約700kg となる。
また、入浴時には、水圧の影響で、手足に溜まった血液やリンパ液が、心臓に押し戻され、循環も良くなります。
<お風呂の健康効果>
水圧で、血液と体液が循環し、新陳代謝がアップ。
さらに、温かい血液が末端まで行き渡り、肩コリや冷え症を改善してくれる。
でも、そのような効果は、すべて、温度に左右されるといいます。
まず向かったのは、神奈川県は横浜市にある入浴施設、「綱島源泉 湯けむりの庄」。
東京都市大学 人間科学部の 早坂信哉 先生に、教えていただきます。
早坂先生は、これまでに 1万人以上の入浴を調査してきた、お風呂のスペシャリストなのだ。
「人それぞれによってですね、適切な温度というのは、変わってきます」
先生はそう言いますが、具体的には、どうなるのでしょう?
というわけで、3人のゲンキチャレンジャーに協力してもらい、見ていくことになりました。
Aさん:43歳男性。
手足が冷えやすいのが、悩みです。
お風呂は、限界まで熱くして入る。
Bさん:62歳男性
肩コリ・腰痛が、悩み。
筋肉をほぐすために、熱い風呂に入る。
(熱すぎて、妻に叱られた経験あり)
Cさん:51歳男性
悩みは、気管支炎と鼻炎。
ぬるめのお湯に、ゆっくり つかるのが好き。
まずは、好きな温度のお風呂を、選んでもらいました。
Bさんが選んだ湯船の温度は、42℃と熱め。
早坂先生によれば、「42℃以上になると、血圧が上がったり、脈が速くなったりする」とのこと。
というわけで、実験することになりました。
<42℃が身体に与える影響>
手首に巻くタイプの血圧計で、実験します。
「平常時」「42℃」「41℃」
それぞれ、血圧と心拍数は、どのように変化するでしょうか?
Aさんの平常時。
最高血圧:140
最低血圧:92
脈拍:90
Aさんが 42℃のお湯に入った時。
最高血圧:158
最低血圧:99
脈拍:98
血圧と脈拍が、上昇しました。
Aさんが 41℃のお湯に入った時。
最高血圧:137
最低血圧:85
脈拍:85
こちらは、血圧と脈拍が下がっていますねえ。
BさんとCさんでも、同じような結果に。
早坂先生によれば、こういうことらしい。
42℃=自律神経の境界線
自律神経とは、人間の意思とは無関係に、内臓や血管などの機能を自動的に調節する、神経系のことです。
交感神経と副交感神経からなる。
興奮したり緊張したりする時は、交感神経が優位に働いています。
安静・リラックスしている時は、副交感神経が優位な状態。
このように、交感神経と副交感神経は、それぞれ、別々の働きをしています。
血圧は、交感神経優位で高くなり、副交感神経優位で低くなる。
また、交感神経優位で速くなり、副交感神経優位で遅くなる。
これが、先ほどの実験に、作用していたんですね。
42℃以上 → 交感神経優位 → 血圧が上昇
41℃以下 → 副交感神経優位 → 血圧が低下
これが、「1℃で違いが出る」ってこと。
□ 1℃の方程式

お風呂の温度が、42℃と41℃。
それぞれが与える影響が分かりました。
それを健康に応用するため、早坂先生は、このようなキーワードを出してくれた。
「1℃の方程式」
1℃の温度の違いを使って、様々な身体の悩みに対して、適切な入浴方法で、答えを導き出します。
熱めのお湯で、筋肉をほぐす。
そんな方、いませんか?
でも、それ、本当に 効果的なんだろうか?
<風呂の温度と、筋肉の硬さ>
「筋硬度計」で、違いを検証します。
平常時:31
42℃の湯:37
41℃の湯:27
早坂先生の解説。
「42℃を超えてきますと、筋肉が収縮し、硬くなるんです」
「41℃以下の ぬるいお湯の方がですね、筋肉をやわらげるという点では、効果的なんです」
<肩コリ・腰痛改善>
41℃×10分。
肩コリや腰痛で悩んでいる人は、41℃以下で、10分つかる。
熱めのお湯は逆効果なので、気をつけましょう。
<呼吸器改善>
42℃×5分
この狙いは、「交感神経を刺激して 気管を広げる」こと。
ぬるいお湯よりは、高めのお湯に短時間入ると、呼吸が楽になるそうです。
気管支は、交感神経優位で拡張するので、42℃以上の熱めのお湯に入り、蒸気を吸うことで、呼吸がしやすくなるのだ。
鼻炎で悩んでいるという、ゲンキチャレンジャーの Bさん。
鼻腔(びくう)を見ると、正常な状態より、狭くなっていました。
そこで、42℃以上の蒸しタオルで、20秒間、蒸気を鼻から吸ってみました。
すると、たった20秒なのに、鼻腔が広くなっていることが、確認できたんです。

交感神経の影響で、毛細血管が収縮し、鼻腔内の腫れが取れたようです。
鼻が通って、呼吸がしやすくなったとのこと。
<手足の冷え症>
41℃以下×15分
42℃と41℃のお風呂。
それぞれに5分入り、入浴後と1時間後の体温を、サーモグラフィーで比較しました。
42℃の場合、入浴1時間後には、全体的に 体温が下がっていました。
一方、41℃では、1時間後でも、体温がキープされていた。

42℃の入浴で体温が下がるのは、交感神経の影響で 血管が収縮し、血流が滞ってしまったから。
さらに、42℃では、発汗が促され、早く冷えてしまうことも一因です。
熱いお湯だと、温まりが長続きしないようですね。
なので、41℃以下にして 15分ぐらい入った方が、結果として、冷えの改善になる。
冷え症の人は、低めの温度で、ゆっくりと身体を温めましょう。
加えて、もうちょっといい方法があると、早坂先生。
その名は、「温冷交代浴」。
温冷交代浴とは、41℃のお湯に3分入った後、25℃くらいのお湯で 手足を30秒冷やし、それを3回繰り返す方法のこと。

温度差の影響で、毛細血管が拡張と収縮を繰り返し、ポンプ作用で、末梢の血行まで、良くしてくれます。
冷え症の方には、おススメの方法なのだ。
□ 41℃で免疫力アップ

たった 1℃ の差なのに、こんなに違ってくるんですね。
なんと、それは、免疫力にも出るといいます。
41℃と42℃の入浴で、唾液中の免疫物質(分泌型免疫グロブリンA)の変化を、調べました。
すると、41℃の方が、高くなっていたんです。

アスリートの免疫に詳しい専門家に、聞いてみましょう。
国立スポーツ科学センター スポーツ研究部の 清水和弘 先生。
「免疫力は、副交感神経が高まる、特にリラックスしたような状態で、上がると言われておりまして」
「41℃というのは、副交感神経が高まる入浴の温度とも、研究でも言われていますので、続けてもらえれば、免疫力の維持というところに、関係してくると思います」
41℃で入浴 → 副交感神経優位に → リラックスした状態 → 免疫力が上がる。
□ ドクネット
引き続き、東京都市大学 人間科学部の 早坂信哉 先生(温泉療法専門医)に、教えていただきます。
<どうしても熱い湯に入りたい時は?>
「健康のことを考えたら、できれば、温度は下げていただきたいなと思うんですけど」と、早坂先生。
「まあ、どうしてもということであればですね、いきなり高い温度ではなくて、徐々に温度を上げていくというのがポイントです」
湯船での温度調節が難しい場合、シャワーを使い、40℃くらいから始めて、徐々に温度を上げていく方法が、よいのだそう。
その場合は、手足など、身体の端から かけることを、心がけましょう。
<長風呂の影響は?>
「特にですね、長くお風呂に入ってますと、皮脂だとか、保湿成分というのがですね、皮膚から流れ出てしまいますので、むしろこの、肌の乾燥を進めてしまうということがありますので、あまりおススメではないということです」
長い時間お風呂につかっていると、保湿成分が流れてしまうので、肌の乾燥を進めてしまう!
間違ったお風呂の入り方は、大変危険です。
1年間で 入浴中に死亡した人数は、約1万9000人。
実はこれ、交通事故での死亡者よりも、数が多いんです。
□ 危険な入浴法

最後に向かったのは、東京は大田区にある「鎌田温泉」。
創業は、昭和12年。
ナトリウム炭酸水素塩、塩化物鉱泉で、神経痛、冷え症、疲労回復に効果あり。
古くからの地元ファンの要望に応え、お湯の温度は、かなり熱めの設定だという。
時には、46℃を超す時もある。
熱さが癖になると、評判の銭湯なのだ。
さて、危険な入り方とは、どのようなものなのか?
<熱いお湯に、急に入る>
熱いお湯に急に入ると、血圧が一気に上がり、血管や心臓に大きな負担が かかってしまいます。
脳卒中や心筋梗塞になれば、死に至る可能性も。
入るなら、最初に低い温度の湯に入り、次に熱いお湯につかる時も、急に入るのではなく、まずは腰まで。
そして苦しくなければ、胸まで入ってみましょう。
低い温度のお湯に入る → 高い温度のお湯に腰まで入る → 大丈夫なら 胸まで入る。
ただし、長湯はしないこと。
<急に立ち上がる>
お風呂の中では、血管が広がっている状態。
なので、湯船で急に立ち上がると、血液が下半身に流れてしまうんですね。
結果として、脳貧血を起こし、倒れてしまう可能性が。
立つ時は、「手すり」につかまるとか、浴槽の縁に手を置き、ちゃんと支えるとか。
そうしながら、ゆっくりと立ち上がってください。
あと、出る前に、手に冷たい水を少しかけて、血管を収縮させるのも、よいのだそう。
あるいは、冷たい蛇口を触ってから立ち上がると、血圧が急に下がらないのだそうです。
お年寄りは、熱いお湯に入りたがる傾向がありますよね。
昭和の時代、銭湯には、水でうめようとすると怒るおじいちゃんがいたりしました。
どうも、それにも理由があるようですね。
「温度感受性の加齢変化」というグラフ。
20代と80代を比べると、特に下半身に、5℃以上の感覚の違いがあることが分かります。

年を取ると、どうしても、センサーが鈍ってしまうようです。
肌感覚の違いは、大きな事故につながることも。
熱中症やヒートショックが原因で起こる、「浴槽内での溺死」は、年間 およそ 5000人。
11年間で、1.7倍増加しているらしい。
その9割が、65歳以上の高齢者。
さらに、その5割が、12月から2月の冬の時期に発生しています。
これは注意したいですね。
お風呂に入る前には、コップ1杯の水を飲み、脱水状態を作らないことを、心がけましょう。
他にも、事故を防ぐため、注意したいことがあります。
・入浴前に脱衣所や浴室を暖める。
・長湯をしない。
・急に立ち上がらない。
・アルコールを飲んだら、時間を空ける。
「今まで大丈夫だったから」は、通用しません。
たった1回で、大変なことになるかもしれないのです。


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