【第3のコレステロール(2)】 non-HDL 対策編/ガッテン
検査では「A」なのに、血管の中にプラークが。
今注目の、「non-HDLコレステロール」。
悪玉だけ見るよりも、動脈硬化による病気をより確かに予測できる。
<対策>
食べ過ぎない。
お肉(飽和脂肪酸)よりは、青魚(EPA)を。
大豆類と野菜(食物繊維)を食べる。
運動で、善玉を増やす。
解説:大阪大学医学部 増田大作 特任助教。
東北大学 黒澤一 教授。
2017年11月15日放送の「ガッテン」より、「コレステロールの新常識SP ~ 注意すべきはコレだ!」からのメモ書き。
その後編です。

□ 実験

動脈硬化の主な原因になるという、レムナントコレステロール。
そこから導き出される、総悪玉とその基準値。
では、こういうケースはあるのでしょうか?
善玉や悪玉は、OK(基準値内)。
総悪玉だけが、OKでない。
となれば、ガッテン名物の実験だ。
総悪玉コレステロール大検証!
参加してくれたのは40代から70代の男女、60名。
全員、悪玉も善玉も、総コレステロールも、すべて正常な人たちです。
みなさん、検査表を持参してくれました。
これをもとに、チェックします。
例)
総コレステロール:170
HDLコレステロール:54
LDLコレステロール:100
レムナント=170-(54+100)=16
総悪玉=170-54=116
総悪玉が「150未満」なら、「〇」。
総悪玉が「150以上」なら、「×」。
健康診断で問題のなかった60名。
その中で、総悪玉が基準値以上の人が、8名いました。
しかも、その8名の中に、こんな人が…。
首の血管を、エコーを使って詳しく調べたところ、血管の壁に、瘤(こぶ)のようなものが。
これが、いわゆる「プラーク」。
血管内皮の中に、コレステロールが取り込まれている状態です。
正常値だと安心していたら、血管の中に、コレステロールの塊を発見してしまいました。
□ 増田大作先生の解説

ここでスタジオに、専門家の先生が登場。
大阪大学医学部 特任助教の 増田大作 先生です。
<なぜ、健康診断で、レムナントの項目がないの?>
レムナントコレステロールの測定には、時間とコストが かかります。
なので、健康診断では、測りにくいようです。
増田先生によれば、「レムナントといった新しいコレステロールを評価するのには、non-HDLコレステロールという項目を、計算で出すことが可能です」とのこと。
「non-HDLコレステロール」とは、総悪玉コレステロールのこと。
総コレステロールから、HDLを引いた値ですね。
総悪玉コレステロールは専門家の間では、「non-HDLコレステロール」として知られてきました。
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」の最新版(2017年版)。
この中にも、記載があります。
しかも、この non-HDLコレステロール、悪玉コレステロールだけで見るよりも、動脈硬化による病気を、より確かに予測できるという見解も書かれているぐらい、今、学会でも大注目らしい。
今回、番組で伝えたかったことは、こういうこと。
検査項目がすべて OK の人でも、本当は OK じゃない可能性がある。
つまり、総コレステロール、HDL、LDLが正常範囲内でも、総悪玉(non-HDLコレステロール)は基準を超えているかもしれないと。
そういうケースがあり得るということ。
学会でも、non-HDLコレステロールが高い人を見つけて、正しい治療を施すことを目指しているのだそうです。
自治体でも、項目に non-HDLコレステロール を入れているところがありました。
兵庫県は尼崎市。
コレステロールの欄に、ちゃんと入ってますね。

尼崎市企画財政局 野口緑 部長のお話。
「なぜ、この人は(心筋梗塞で)倒れたのか 分からないって方を、もう一度 振り返ってみると、やっぱり non-HDLコレステロール だけが高かったという方もいらっしゃるので、本当だったら 保険指導させていただかねばならなかった人と、出会うことができるのではないかな、と思い、結果表の中に入れさせていただきました」
「いくつかの(検査)項目があることによって、一つの入り口として、自分の身体を理解し、予防するという行動につながっていけばいいな~と思っています」
増田先生は、こうも言っています。
「肥満気味の人、中性脂肪が高い人、糖尿病の人は、non-HDLコレステロール が上がる傾向にあります」
そういうのを見つける意味でも、検査項目に入れていただければと。
<レムナントは、どんな人が増えるの?>
レムナントコレステロールは、食事の摂り過ぎによって上がる傾向にあります。
<レムナントを下げるには?>
肉よりも、魚を食事に取り入れるとよい。
また、運動で適正な体重をキープすることも大切。

non-HDLコレステロール の値を知って、健康管理に役立てましょう!
健康診断の検査表があれば、簡単に計算できます。

ガッテン! ガッテン!
□ 変化を知る

今回は、「レムナント」や「non-HDLコレステロール」という言葉を学びました。
でも、もちろん、悪玉コレステロールも、これまで通り、とても大事な検査項目であることには変わりありません。
その理由を、健康診断の検査項目に詳しい専門家に聞いてみましょう。
東北大学の 黒澤一 教授です。
コレステロールは、数値自体も大切ですが、以前の数値と見比べて、その変化を知ることも、非常に大切だとのこと。
「健康診断の数値の変化を見ることが重要!」
悪玉コレステロールは、10年以上も前から血液検査の必須項目なので、自分の身体の変化を知るのに、うってつけなんです。
□ 対策編

さあ、ここからは、コレステロールの対策編です。
<食事>
食べ過ぎは、総悪玉を増やすので、NG!
中でも、お肉などに含まれる「飽和脂肪酸」には要注意!
悪玉の数値が高めの人は、お肉などを必要以上に食べ過ぎないよう、気をつけてください。
おススメの食材は、「大豆類」と「野菜」。
大切なのは、大豆類や野菜を、たくさん摂ること。
食物繊維が、コレステロールの吸収を抑えてくれます。
もう一つ取り入れたいのが、「魚」。
特に、サバやイワシなどの青魚に含まれる「EPA」は、総悪玉コレステロールを下げてくれます。

というわけで、検証することに。
先ほどの実験で、総悪玉コレステロールが高かった3名に、魚の効果を確かめてもらいます。
期間は、2週間。お魚中心の生活を送ってもらう。
例えば、サバの味噌煮。
実は、サバは魚の中でも、特に EPAが豊富なんです。
他にも、サンマの塩焼き。
マグロとブリのお刺身など。
EPAは、加熱すると減少するのだそう。
なので、お刺身は、EPAを摂るのには、ベストな食べ方。
2週間後、採血し、総悪玉コレステロールの値を確認しました。
その結果、3名とも、数値が下がっていました。
お見事!
Aさん:151 → 131mg/dl。
Bさん:161 → 126mg/dl。
Cさん:154 → 129mg/dl。
みなさん、150以上あったのが、正常範囲まで下がっています。
<運動>
コレステロールは、悪玉を減らすことと並んで、善玉を増やすことも大切。
回収屋さんが増えれば、より余りにくい。
で、登場したのは、佛教大学の女性たち。
みなさん、善玉の値が、すごく高いぞ。
「93.6」「99.7」「99.9」「100.7」
「99.3」「104.6」「98.9」「98.4」
でも、どうしてみんな、こんなに善玉コレステロールが高いんだろうか?
その秘密は、ある競技にありました。
全員、駅伝の選手なのです。
大学の全国大会で優勝できるよう、みなさん、普段から、朝晩2回も練習で走っているとのこと。
つまり、こういうこと。
善玉を増やす一番の近道は、運動!
といっても、必ずしも、激しい運動が必要だというわけではありません。
息が弾む程度の30分の有酸素運動を週3回がおススメ!
食事と運動で、悪玉を減らし、善玉を増やしましょう!
健康診断の結果表で、総悪玉(non-HDL)コレステロールもチェック!


次回は、これ。
食欲がない、やる気が出ない。
その原因は、鼻の力の低下かもしれません。
「あなたは大丈夫? 鼻の力 最新報告」。
前編はこちら → 【第3のコレステロール(1)】 レムナントと総悪玉の計算法
[関係する記事]
→ 【卵】 1日何個まで? 認知症に効く鶏肉は?
→ 「酒かす(酒粕)でコレステロールを減らす」
→ 「善玉コレステロールとは? 血管とプラーク」
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