【体力作り だまトレ】 脳ポリスを騙せ/ゲンキの時間
三日坊主を克服し、運動を続けるコツ。
それは、脳をだますことだった。
続けられなくする原因、脳ポリスとは?
<筋肉をだましてトレーニングする方法>
ゆっくりした動きの、筋発揮張力維持スロー法。
その名も、「だまトレ」だ。
<無理なく企業で体力作り>
オフィスで、自然に。
ITOKI(イトーキ)の取り組み。
ドクネット:杏林大学 名誉教授 精神科 古賀良彦。
日本筋力トレーニング推進協会 佐藤健一 代表理事。
ゲンキスチューデント:泉里香。
ゲスト:つるの剛士。
ゲンキリサーチャー:深沢邦之。
2017年10月15日放送の「健康カプセル! ゲンキの時間」より、「~ 三日坊主を克服する方法 ~ 脳と筋肉をだましてトレーニング」からのメモ書きです。

□ 脳ポリスで三日坊主に

さあ、今回のテーマは何でしょうか?

「体力作り」です。
10月は、「体力作り強化月間」。
あまり怠けていると、こんなことになってしまうかも、しれませんよ~。
数年後、腰痛やひざ痛に。
数十年後には、免疫力が落ち、脳疾患や循環器系疾患の発症リスクが上昇。
将来的には、寝たきりになってしまう可能性も。
でもでも、運動が億劫で、続けられない人も、多いのでは?
そこで今回は、「絶対続けられる体力作り」を、番組が紹介してくれました。
専門家のお話。
「やる気が出ない、あるいは、続かない方は、脳をだますことが大事なんです」
まずは恒例の基礎クイズから。
Q)次のうち、高校生男子の体力・運動能力調査の成績で、17年間の傾向として、低下しているものは、どれでしょう?
A:反復横跳び。
B:50メートル走。
C:握力。
答えは、「C:握力」。
近年、子どもの筋力低下は著しいのですが、大人も要注意。
ある調査によると、握力が最も強いグループに比べ、最も弱いグループは、死亡リスクが約1.7倍高かったのだとか。
また、歩く速度に関しても、遅いグループは、速いグループに比べ、約2.7倍も死亡リスクが高かった。
体力が落ちると、どうなるでしょう?
長時間動けなくなったり、筋力が落ちて 足腰が弱くなったり。
風邪はもちろん、重篤な疾患にも かかりやすくなり、最悪の場合、命を落とす危険も。
体力作りは、健康に生きていくために、欠かせないものなんですね。
しかし、そこには大きな敵の存在が。
そう、「三日坊主」です。
今回のゲンキチャレンジャーは、3名。
その特徴はというと、「体力作りをしたいけれど、なかなか 始められない。始めても、続けられない」、そんな方々です。
53歳男性、Aさん。
マンションの4階に住んでいるんですが、エレベータが無いので、階段で上らなくてはなりません。
でも、3階あたりで息切れしてしまうことも、しばしばだという。
20代30代の頃は、腕立てと腹筋を、1日に50回してたそうです。
それが40代を過ぎると億劫になり、運動しなくなったという。
52歳女性、Bさん。
電動自転車に乗っているのですが、歩行者に追い越されるのが悔しいとのこと。
最近、「テレビ体操」を録画してやろうと思ったものの、1日2日で飽きてしまったのだとか。
58歳男性、Cさん。
会社まで 3km の道のりを自転車で通うと決めたものの、片道は自転車で、帰りはバイクになっちゃった。
3名とも、なかなかのツワモノぞろいですが、どうなるでしょうか?
専門家に、指導していただきます。
まずは、この方。
杏林大学 名誉教授 精神科の 古賀良彦 先生だ。
腰が重い人に、やる気を出させるには、どうしたらよいのでしょう?
「けっこう、難しいんですよ」と、古賀先生は言います。
「腰が重い、やる気がないって、これが普通なんですよ」
普段から体力作りをしない人にとって、身体を動かすことは、非日常な行動。
疲れている、お腹が空いたなど、言い訳をつけては、やめてしまいますよね。
どうも、そうなってしまうには、理由があるようなのです。
「普段やんないことを やることについては、実は、脳はとっても臆病なんですよ」
「お年を召すと、余計にそういうこと、つまり、体力が必要になればなるほど、逆に脳は臆病で、ブレーキをかける」
「そのブレーキのことを、脳ポリスって言ってるんですよ」
「脳ポリス」とは、脳のストレスに反応して行動を制御する、ブレーキ役のこと。
新しく行うことに、ブレーキをかけちゃうのだ。
脳は、入浴や歯磨き、家事など、いつも行っていることに対しては慣れているので、ストレスを感じません。
つまり、普段の生活には、無反応。
ところが、新しい物事に対しては、どうやったら うまくいくのかなど、いろいろ考えることが、脳のストレスに。
そのため、脳ポリスが反応して、身体に無理させまいと、本人の知らぬ間に、ブレーキをかけてしまうんです。
結果、高いモチベーションがなければ、普段の生活に逆戻りしてしまう。
これが、三日坊主になる理由。
しかし、古賀先生は言いました。
「実はね、脳ポリスは、だまされやすい」
「だから、脳ポリスを上手に だましながら、体力を作る。これが、ポイントですね」
実験です。
脳の血流量を測る機械を使い、(1) ダンベル運動だけを行った場合と、(2) 普段から見慣れている好きな映像を見ながらダンベル運動した時、この2つで ストレス度を比較します。
結果は、こうなりました。
(1) ダンベル運動だけを行った場合。
脳は、ストレス状態を示す、赤色に。
(2) 好きな映像を見ながら、ダンベル運動を行った場合。
脳は青く反応。ストレス度は低いようです。
映像を見ていると、トレーニングをやっていることから、ちょっと注意が外れるんですね。
体力は使っているけど、頭は使っていない状態。
脳ポリスは、あまり反応しないんです。
同じトレーニングでも、他に集中できることと組み合わせれば、脳ポリスをだませるのだ。
つまり、普段の生活の中に、体力作りを紛れ込ませると、脳が気づかないので、体力作りを続けることができると。
□ 筋肉をだます

続いて向かったのは、こちら。
神奈川県横浜市にある、「LIBRARY FITNESS」。
協力してくれるのは、日本筋力トレーニング推進協会の 佐藤健一 代表理事です。
具体的に、どんな体力作りをすればいいのか、教えてもらいましょう。
テーマは、「筋肉をだましてトレーニングする方法」。
その名も、「筋発揮張力維持スロー法」だ。
いわゆる、スロトレ(スロートレーニング)ですね。
身体を動かすと、脳下垂体から、体力作りに欠かせない「成長ホルモン」が分泌されます。
それは本来、筋肉に70%以上の負荷を与えないと、分泌されません。
しかし、ゆっくりした動きのスロートレーニングだと、30%の負荷でも分泌されるのだとか。
そもそも筋肉は、力を入れると、圧力で血管が圧迫され、虚血状態になります。
その際、ゆっくりした動作で、長く筋肉内の血流を制限すると、そこに代謝物がたまり、激しく動いたと身体が勘違いするんです。
結果、脳下垂体から成長ホルモンが分泌され、筋肉が増強。代謝が促進されるのだ。
さあ、脳と筋肉をだますトレーニング。
「だまトレ」の実践です。
<だまトレのポイント>
(1) 普段からルーティンで行っていること。
(2) トレーニングチャンスが多いこと。
Cさんの場合、花屋さんで働いているので、「花の水やり」がチャンスになります。
事前チェックで「下半身の関節が硬い」ことが判明していたので、ここを改善する。
<だまトレ(1)>
下半身の筋力と柔軟性UP。
(1) ホースを持ってない方の手を、腰に当てます。
(2) ホースを持っている方の手は、しっかりと伸ばす。
(3) 体幹だけを回す動作で、水をやりましょう。
ポイントは、顔を動かさないこと。
(4) この時、足を前後に開き、両ヒザを曲げて、やる。
(5) 右から左へ、3秒。左から右へ、3秒。
ゆっくり、左右に手を振りましょう。
往復1セットで、1日に 6セットが目安。

腹部のインナーマッスルが刺激されるので、腰痛の改善、便秘改善、ウエスト引き締めが、期待できます。
普段使っていない足の関節も動かすので、柔軟性もアップ。
Aさんのだまトレ チャンスは、デスクワーク中に。
<だまトレ(2)>
下半身の筋力アップ。
(1) イスに座った状態で、片脚をゆっくり上げます。
そこで、3秒間キープ。
(2) ゆっくり脚を下ろしたら、もう一方の脚を上げて、3秒キープ。
(3) 目安は、片脚 3セット。

続ければ、転倒防止や、足腰の冷え改善に、つながるとのこと。
デスクワーク中、上半身が疲れたら、こちらを。
<だまトレ(3)>
背中・肩の筋肉強化。
(1) 両肩を、3秒かけて回します。
(2) 胸を開いた状態で、3秒キープ。
(3) 3~6セットを目安に、行いましょう。

猫背の予防や、肩コリ改善が、期待できる。
Bさんは、テレビ鑑賞の時間にチャンスが。
<だまトレ(4)>
腹部のインナーマッスル強化。
(1) 手をお腹に合わせます。
その状態で、3秒、息を吐く。
息を吐いた時に、お腹を凹ませて、キープ。
(2) 吸う時も、お腹を凹ませたまま行う。
こちらも、3秒かけて、息を吸います。
(3) 3秒かけて息を吐き、3秒かけて息を吸う。
目安は、5~6セット。
お腹を凹ませてキープするのを、お忘れなく。
(4) さらに、お腹を凹ませたまま、右へ4秒。左へ4秒。
身体を左右に振る。
(5) こちらは、4~5セットが目安。
腰痛改善、お腹まわりの引き締めも、期待できます。

お風呂の中で行えば、体幹部の筋力強化だけでなく、免疫力もアップするとのこと。
さてさて、三日坊主だったゲンキチャレンジャーの3名ですが、克服できたのでしょうか?
10日後に確認しましたが、3名とも、ちゃんと続けていました。
えらい!
□ ドクネット
引き続き、杏林大学 名誉教授 精神科の 古賀良彦 先生に、教えていただきます。
目標を設定するのは、大事なこと。
ただ、いきなり高みを目指すと、うまくいきません。
特に最初は、回数や目標体重など、設定は低くしておいた方がいい。
1つ1つ、目標をクリアし、成功体験を重ねましょう。
いつの間にか続けられるヒントは、企業にもありました。
東京都は中央区にある、オフィス家具メーカー「ITOKI(イトーキ)」。
エレベーターを降りた先には、白い線が入った大きな鏡が。
身だしなみをチェックするための鏡なのですが、線があることで、姿勢の歪みもチェックできるんです。
床には、「180」「170」「160」「150」という文字が。
これは、身長ですね。
その先には、印が刻まれ、続いています。
実はこれ、自分の歩幅をチェックするマークなのだ。
歩幅は、適切な広さを保って歩くことで、下半身の筋力UPが期待できます。
フロアは回廊式になっており、1周がおよそ 120m 。
約150歩で、回れるようになっているのだとか。
さらに、プリンターやコピー機は、大きなフロアに 2か所のみ。
一番遠い席だと、60m も離れています。
また、作業デスクは、高さを調節でき、立ったまま仕事ができるようになっている。
1日2時間、立ち仕事を6週間行った結果、社員の腹囲が 1cm 減ったそうですよ。

なぜ、このようなオフィスにしたのか、ITOKIに学術的アドバイスをした専門家に、話を聞きました。
国立研究開発法人 医薬基盤 健康 栄養研究所の 宮地元彦 先生です。
「知らず知らずのうちに、健康的な活動や行動をしているような環境を整備しましょうという考え方なんですね」
「一番人間が多く時間を過ごすのはどこだろう? と考えた時に、それがオフィスだということで」
「オフィスの健康づくりの機能を整えるということを、考えました」
脳や筋肉をだます「ながら運動」ですが、体力作り意外にもメリットが。
古賀先生の解説。
「『ながら』そして『だます』ということはですね、複数の課題を同時にこなす」
「実際には、脳の広い範囲を、同時に、バランスよく働かせると」
「このことは、認知症の予防に役に立つと考えています」
脳と筋肉をだまして、体力作りを継続。
健康な身体を、手に入れましょう!


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tag : 健康カプセル!ゲンキの時間 エクササイズ
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