【咳】診断チャート&大人の喘息 治療法/ゲンキの時間
長引く咳(せき)には、要注意。
病気が隠れている場合があります。
診断チャートを使い、原因を探してみよう。
近年増加している「大人の喘息」。
年間死亡者数は、約1500人だという。
「ぜんそく日誌」で、ピークフローを記録。
最新治療「気管支サーモプラスティ」も紹介します。
ドクネット:順天堂大学 医学部附属 順天堂医院 呼吸器内科 原田紀宏 准教授。
国立国際医療研究センター 呼吸器内科 診療科長 杉山温人。
ゲンキスチューデント:滝裕可里。
ゲンキリサーチャー:ヴェートーベン(久保&青井)。
2017年10月01日放送の「健康カプセル! ゲンキの時間」より、「~ 秋の長引く咳に要注意 ~ これを見ればわかる! 咳の真犯人」からのメモ書きです。

□ 咳の診断チャート

さあ、今回のテーマは何でしょうか?

「咳」です。
診断チャートで、原因を見ていきましょう!
後半は、大人の喘息と最新の治療法について、紹介します。
初診患者が訴える症状の第1位は、「咳」なのだそう。
でも、たかが咳と侮ることなかれ。
場合によっては、重篤(じゅうとく)な病気が隠れているケースが。
MCの三宅裕司さんは最近、食べ物が気道に入ってしまうことがあるそうです。いわゆる「誤嚥(ごえん)」ですね。
渡辺満里奈さんは、季節によって、すごく咳が出る時期があるという。
ゲンキスチューデントの滝裕可里さんは、サウナで水風呂に入った後、咳が止まらなくなることがあるそうな。もともと、小児喘息だったらしいですね。
まずは恒例の基礎クイズから。
Q)咳を1回することで消費されるカロリーは、次のうち、どれでしょう?
A:0kcal。
B:2kcal。
C:20kcal。
答えは、「B:2kcal」。
咳1回で、約2kcalを消費するんですね。
なので、10回咳をすると、散歩を10分間した時と同じカロリーを消費することになります。
咳で悩むゲンキチャレンジャー5人に、集まってもらいました。
38歳女性、Aさん。
病院で咳止めの薬をもらったのですが、飲み続けても、全然治らないらしい。
39歳男性、Bさん。
特に、夜から朝にかけて、止まらなくなる時がある。
67歳女性、Cさん。
咳が出ると、それが呼び水になって、続いてしまうという。
5人の咳の原因を探るべく、あるものが用意されました。
それが、「咳の巨大診断チャート」だ。
症状や身体の状態にあった箇所に進み、疑いがある病名を診断します。
監修をしてくれた専門家は、この方。
順天堂大学 医学部附属 順天堂医院 呼吸器内科の 原田紀宏 准教授です。
長年 咳に悩んでいる青井さんも加わり、6名で診断スタートだ。
最初の質問は、これ。
「最近、咳で悩んでいる」
でも、そもそも咳って、どうして 出るんだろう?
咳とは、空気の通り道である「気道」に異物が入り込んだ時に、その異物を外に出そうとする「防御機能」。
でも、原田先生によると、咳が長引いてしまった場合、他の病気が隠れているかもしれないのだという。
2週間以上続く咳は、病気の疑いが!
次の質問。
「濃い色の痰(たん)が出る」
白い痰や透明のものではなく、もっと濃い色の黄色みがかった色のものなどが出る人。
濃い色の痰が出る人には、次の3つの質問が。
「・熱が出た ・胸が痛む」
「最近、風邪をひいた」
「喫煙している」
それぞれに、疑われる原因があります。
「濃い色の痰が出る」→「喫煙している」
こういう人は、「慢性気管支炎」の疑いがあります。
慢性気管支炎とは、長年の喫煙などによって、気管や気管支が炎症を起こし、咳や痰が続く病気です。
「肺気腫(はいきしゅ)」などを合わせて、「COPD」とも呼ばれる。
「濃い色の痰が出る」→「最近、風邪をひいた」
こういう人は、「気管支炎」の疑いが。
気管支炎とは、風邪などのウイルスによって、急性的に発症。気管や気管支に、炎症が起きている状態です。
痰の色が濃くなる理由は、白血球やウイルスなどが混ざり、色がつくため。
最も危険なのが、次のタイプ。
「濃い色の痰が出る」→「・熱が出た ・胸が痛む」
こういう人は、「・肺炎 ・肺結核」の疑いあり。
死に直結してしまう病でありながら、初期症状が風邪と似ているため、放置しがち。
胸が痛むなどの症状が出たら、すぐ病院に行きましょう。
咳が出ても濃い痰が出ない場合は、どうでしょう。
選択肢は、4つあります。
「最近、風邪をひいた」
「・胸焼け ・食事の前後に咳」
「・深夜に咳が悪化 ・仰向けで呼吸がしづらい」
「・血痰が出る ・胸が痛む ・体重が減った」
シンプルなものから複雑なものまでありますが、いったい、どんな病名が隠されているのでしょう?
「濃い色の痰は出ない」→「最近、風邪をひいた」
こういう人は、「感染後咳嗽(かんせんごがいそう)」の疑いが。
感染後咳嗽とは、気管支炎などの感染を起こした後に続く咳の総称です。
「百日咳(ひゃくにちぜき)」などが該当する。
「濃い色の痰は出ない」→「・血痰が出る ・胸が痛む ・体重が減った」
こういう人は、「肺がん」の疑いがあるといいます。
がんの中でも肺がんは、死因第1位。
少しでも当てはまる症状があれば、すぐに病院を受診しましょう。
「濃い色の痰は出ない」→「・胸焼け ・食事の前後に咳」
こういう人は、「胃食道逆流症」の疑いあり。
胃食道逆流症とは、胃液や消化中の食べ物が 食道に逆流することで、胸焼けなどが生じる病気です。
それにより、食道にある「咳センサー」が刺激され、咳が出るのだ。
よく耳にする「逆流性食道炎」は、胃食道逆流症の症状に加え、食道に炎症が起きている状態。
これらの病気には、2つの注意点があるという。
まずは、「肥満体型」。
脂肪で胃が圧迫され、胃液が逆流しやすい。
もう一つは、「食後、すぐ横になる」。
この姿勢だと、胃液が食道に流れやすくなっています。
ゲンキチャレンジャーの、55歳の女性、Dさん。
原田先生は、Dさんについて、気になる点があった。
グッと、こみあげてくるものを、飲み返しているように見えたのです。
咳をたくさん出す人は、胃液が上がってきやすいのだとか。
また逆に、胃液が原因で、咳が増えることもあるらしい。
「濃い色の痰は出ない」→「・深夜に咳が悪化 ・仰向けで呼吸がしづらい」
この先には、新たな分岐が。
質問は、「呼吸をする時、ヒューヒュー・ゼイゼイする」。
YES なら、「ぜんそく」の疑い。
過去に喘息と診断されたことのある青井さんは、このタイプでした。
喘息とは、肺の中にある空気の通り道である「気管支」の病気。
アレルギー反応などが原因で、気管支が炎症を起こし、気道が狭くなってしまいます。
子どもの病気と思われがちな喘息ですが、近年、大人になってからも発症するケースが、増加しているらしい。
NO の場合は、「咳ぜんそく」の疑い。
喘息の特徴である ヒューヒュー ゼイゼイ という呼吸音はないものの、咳症状は喘息と同じ。
原田先生によると、咳喘息の 1/3 ぐらいの人(30%程度)は、喘息に移行するとも言われているそう。
なので、喘息として治療を受けることが大事だという。

激しい咳に、呼吸困難。
実際、喘息が どれほど息苦しいのか、疑似体験してみることになりました。
鼻栓(はなせん)をして、ストローのみで呼吸する。
これで、喘息に似たつらさを、感じてみようってわけです。
(医師の立会いのもと行っているので、マネしないでください)
階段を上ったのですが、もう苦しい。
かなり、つらいようですね。
喘息経験者の青井さんも、「(喘息の症状に)似とる」と。
□ ぜんそく日誌

喘息の患者数は、約800万人。
命の危険もある病です。
[体験談]
47歳の男性、Fさん。
まさか、成人になって喘息を発症するとは、思っていませんでした。
もともとアレルギー体質で、カビやスギ花粉などには、反応があったそうです。
去年、喘息が発症。
Fさんは、急に激しい咳に襲われました。
診断した医師の見立ては、「アレルギーによる喘息」。
そこで、薬はもちろん、カビやホコリなどのアレルギー源のない環境づくりを徹底。
しかし、症状はなかなか、治まりませんでした。
電車に乗っていて、発作が始まることもあった。
そうなると、一度降りて、ホームのイスに座って、咳が止まってから、また電車に乗って、会社に行く。
何よりつらかったのは、夜中だという。
発作が苦しくて、ひどい時の睡眠時間は、わずか30分だけ。
さらに、呼吸困難で何度も緊急搬送され、生死の境をさまようことも。
やがては会社も休み、自宅にこもる日々。
いっそのこと死んでしまいたいと思ったことも、あったといいます。
そんなFさんの唯一の支えが、「ぜんそく日誌」だった。
「PEAK FLOW RECORD(ピークフロー日記)」とも。
ぜんそく日誌とは、毎日の発作の有無や、咳の状態、さらには、ピークフローという値を記入するもの。
「ピークフロー」とは、力いっぱい息を吐きだした時の、息の量です。
吐き出せる息の量を測定することで、気管支の状態が分かるのだ。
数値が高いほど 気管支の状態がよく、発作が出にくいということ。

日誌をつけていると、いつピークフローが減るのか、分かるといいます。
それに対して予防策も立てられるし、医師も判断基準としてアドバイスできると。
この日誌をつけることで、Fさんは、喘息と向き合えるようになったそうです。
最近の日誌を見てみると、ピークフローの値が、以前は「400弱」だったのが、今では「600前後」に上がっています。
実はこれ、ある最新治療のおかげなのだ。
□ ドクネット
引き続き、順天堂大学 医学部附属 順天堂医院 呼吸器内科の 原田紀宏 准教授に、教えていただきます。
実は、ゲンキスチューデントの滝裕可里さんも、大人になってから 喘息と診断された経験が。
夜、眠れないのが困るらしい。
そして、サウナと水風呂に入った後に、咳が出るとも。
これはもしかすると、暖かい所から冷たい所へ移動することによって、気温差で咳が誘発されている可能性が。
喘息の一症状かもしれないそうです。
気温差以外にも、秋は喘息に要注意だという。
<喘息の引き金>
・気温や気圧などの変動。
・ダニやホコリなどのアレルゲン。
・風邪。
・ストレス、過労。
秋は、気温や気圧が変わったりと、変動の激しい時期。
また、夏の間に増えたダニの死骸が多くなり、アレルギー反応が起こりやすくなる。
さらに、季節の変わり目は風邪を引きやすいですよね。
環境が変わり、ストレスを受けやすい時期のため、自律神経のバランスも崩れがち。
これらの理由から、喘息の症状が出やすいのだとか。
大人になってから喘息と診断される人の傾向は?
まず、小児喘息と診断された経験のある人。
あとは、肥満の人も、発症することが多いのだとか。
脂肪が多いと、肺が大きく膨らめない状況に。普段から肺が縮こまった状態のため、気管支が細くなりやすいのだとか。
□ 喘息の最新治療

Fさんは、最新の治療を受け、症状が緩和しました。
東京都は新宿区にある、国立国際医療研究センター。
Fさんの治療に関わった先生に、お話を伺います。
呼吸器内科の 杉山温人 診療科長。
新しい治療法とは、「気管支サーモプラスティ」と呼ばれるものです。
通常の治療では治らない重症の喘息患者さんに、新しく2015年4月から認められた治療法。
重篤な喘息患者の気管支は、発作を繰り返すことで、内側の筋肉が厚くなっているのだという。
厚くなるのは、気管支の炎症で起こる自己防衛反応によるもの。
気管支サーモプラスティで使用するのは、「電極付きカテーテル」です。
レバーを操作すると、電極が広がる仕組みになっている。
治療はまず、口からカテーテルを入れ、気管を通って、厚くなっている気管支に到達させます。
その箇所を見つけたら、電極を広げ、65℃で加熱。
すると、熱によって、筋肉組織が収縮。
筋肉が薄くなって、気道が広がるのだ。
それが、喘息の症状緩和につながります。

<気管支サーモプラスティ>
・1回の手術で、約50か所。
・約3週間おきに、計3回の手術。
・手術の前日から、約5日入院。
(18歳以上の患者さんが対象。保険適用)
この治療法が、希望の光になると、いいですね。
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