【股関節腰痛(2)】 改善に パコパコ体操/ガッテン
後半は、解決編。
カギは、たくさんの筋肉の奥にあるインナーマッスルにあった。
パカパカ体操で、深層筋を縮ませて、目覚めさせる。
すると、股関節の動きが滑らかになって、腰痛が改善されるのだ。
◆ パカパカ体操。
◆ おしりフリフリ体操。
◆ 四股スクワット。
猫背タイプは、変形性股関節症にも要注意。
簡単体操で回復した女性の体験談も紹介。
解説:神奈川リハビリテーション病院 杉山肇 院長。
2017年9月27日放送の「ガッテン」より、「腰痛改善の新たな一手! 珍体操で劇的改善SP」からのメモ書き。
その後編です。

□ パコパコ体操の効果

前半では、股関節と腰痛の関係について、勉強しました。
ということは、股関節の動きが滑らかになれば、腰への負担が軽減するってことになりますね。
実際に、こんな研究もあるそうな。
2009年に発表された、ワシントン大学の論文。
「Further examination of modifying patient-preferred movement and alignment strategies in patients with low back pain during symptomatic tests. 」
猫背タイプの腰痛患者 51人に対し、股関節がスムーズに動くよう修正したところ、なんと、腰痛患者の83%の痛みが軽減したというのです。
股関節の滑らかな動きが、腰痛改善の重要なカギだったんですね。
では、どうすれば、股関節の動きが良くなって、猫背タイプから脱却できるのでしょうか?
ここでスタジオに、ガッテンボーイの宮森右京くんが登場。
股関節をスムーズにする動きを、紹介してくれます。
って、あれ?
あれ?
イスに座って、足を閉じたり、開いたり。
え?
それだけ?
実は、本当にそれだけなんです。
名付けて、「パカパカ体操」。
前編で紹介した、体験談のAさん。
猫背タイプと診断されてから、パカパカ体操を、1日20回以上、続けました。
さらに、腰を左右に動かす体操と、スクワットのような動きも。
(詳しくは、後で紹介します)
2週間続けた結果が、これ。

猫背が改善しています。
Aさんの感想。
「長時間、同じ体勢してても、全然痛くない」
「うれしいですよね。もう、20年以上の痛みや重苦しさっていうものが、わずか 2~3週間でね」
「やった! という感じですね」
体験談(2)の立ったまま靴下が履けなかった、Bさん。
同じ体操を、2週間続けてみました。
チェックしてもらったところ、股関節は前より、やわらかくなったようです。
背中の丸まりが、解消されています。
Bさんの感想。
「姿勢が良くなったので、動きも ちょっと軽くなってきた感じで」
「腰の痛い時は、重たい感じがしてるんですけど、大丈夫です」
さらに、股関節の動きが良くなると、運動機能までも向上することが、分かりました!
以前にも紹介した、「2ステップテスト」という検査。
大きく2歩進んで、その距離を測定します。
転倒や寝たきりの危険性をはかる、テスト。
身長の1.3倍より距離が短いと、危険ゾーンだ。

実は、Aさんも、体操前は危険ゾーンにいました。
腰が痛いし、股関節の可動域が狭かったわけですからね。
でも、体操後は、改善したんです。
188.5cm → 238.6cm。
50cmも、アップしました。
危険ゾーンを脱出。
Bさんも含めた、猫背タイプだった4名。
こちらも体操後は、全員、歩幅がアップしました。
それぞれ、+20.5cm、+12.8cm、+19.2cm、+25.6cm。
さて、Bさんですが、立ったまま靴下が履けるか、再挑戦しました。
結果は、バランスを少し崩しながらも、何とか履けた。
やりましたね!
□ メカニズム

パカパカ体操は、股関節に効く体操。
スタジオに腰まわりの模型が登場したのですが、股関節のあたりというのは、身体の中でも、一番の筋肉密集地帯。
なので、筋肉に隠れて、股関節が見えません。
なんと、股関節のまわりだけで、23の筋肉があるそうな。
しかも、大きな筋肉が、いっぱい集まっている。
走ったり歩いたりするためには、たくさん力がいるので、大きな筋肉が必要なんですね。
外側から見ていくと、「大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)」が。
これは、足をまっすぐ踏み出すのに重要な筋肉。
次に、「大腿直筋(だいたいちょっきん)」。
ボールを蹴る時や走る時に使う、筋肉です。
「大腰筋(だいようきん)」「小腰筋(しょうようきん)」は、お辞儀や足を振り上げる動作で使う。
お尻の方では、「大殿筋(だいでんきん)」「中殿筋(ちゅうでんきん)」。
歩く時にバランスを取る筋肉ですね。
ようやく、股関節に直接つながっている筋肉が、見えてきましたよ。
これらを、「深層筋(しんそうきん)」と呼びます。
一般には、「インナーマッスル」と呼ばれる。
奥深くにある小さな筋肉で、股関節の安定化とスムーズな動きに、不可欠なのだそうな。
深層筋は奥の方にあって、しかも、大きな筋肉に包まれています。
まわりに、力持ちの頼りになる存在がいっぱいあるので、サボりやすいという特徴が。
深層筋は、運動不足などで使っていないと、大きな筋肉に頼って怠けやすいという特徴があるんです。
筋肉の本来の仕事は、縮むことだという。
縮むことで、力を出す。
パカパカ体操は、深層筋に本来の仕事をさせる動きなのだ。
股関節の滑らかな動きを生み出すには、深層筋と外側の大きな筋肉との、連動が欠かせないんです。
深層筋がサボっていると、外側の筋肉に頼りがちになり、動きが固く、ガタガタに。
でも、パカパカ体操で深層筋を縮ませ、目覚めさせると、外側の筋肉と力を合わせて、運動するようになるんですね。
結果、股関節の滑らかで大きな動きが、可能になるってわけ。
深層筋の動きを捉えた映像。
パカパカ体操と同じ動きをしてもらい、エコー検査しました。
おお、深層筋が、縮んだり伸びたりしている。

この動きを繰り返すことで、サボりがちな深層筋を、目覚めさせるのか。
パカパカ体操は、深層筋を縮ませる動き。
サボりがちな深層筋を、目覚めさせる体操なのだ。
深層筋がちゃんと働くようになると、股関節の動きが滑らかになります。
その結果、腰痛が改善するんですね。
□ 杉山肇 先生の解説
さあ、専門家の先生の登場です。
股関節の専門家で、神奈川リハビリテーション病院の院長、杉山肇 先生です。
大きなパワーを生み出す筋肉というのは、細かい動きができないらしい。
逆に、深層筋というのは細かい動きをしてくれるので、股関節も、非常に滑らかな動きになる。
というわけで、股関節を守り大事にするために、深層筋は非常に必要な筋肉になってくるんですね。
<パカパカ体操>
(1) 強い筋肉を緩めるため、力を抜きます。
(2) 一番楽な姿勢で、ただ足を左右に開く。
(* 股関節や腰に痛みが出る場合は、無理しないでください)
(3) 無理に足を広げようとしなくて、OKです。
足の広げ方やスピードは、自分が楽だと感じるやり方で。
(4) 目安は、1日に10回を2セット。
余裕があるなら、回数を増やしても、OKです。

<おしりフリフリ体操>
(1) 足を軽く開いて、ゆっくり左右に、腰を動かしましょう。
ポイントは、顔の位置はあまり変えないようにすること。
(2) 目安は、1日に10回を2セット。

股関節と腰というのは、密接な関係を持っているのだそうな。
杉山先生によると、「実は、腰が痛い、股関節が痛い、それぞれ どっちが先か分からないんですね」とのこと。
股関節が悪い人が腰が痛くなることもあるし、腰が悪い人が股関節が痛くなってくることもある。
<四股(しこ)スクワット>
普通のスクワットよりも、足の幅を広げて、お相撲取りが四股を踏むような形で、行います。
これは、外側と内側の筋肉を、バランスよく動かす運動。
(1) 両足を、肩幅より広めに、開いてください。
(2) つま先は、斜め前の方向に。
(3) 背筋を伸ばして、身体をやや前に傾け、お尻を突き出すように、ゆっくり腰を落としましょう。
(4) 1日に10回×2セット。
少し負荷が強い体操なので、十分に注意して行ってくださいね。

(* 3つの体操とも、股関節や腰に痛みが出る場合は、無理しないでください)
□ 変形性股関節症

最後に紹介するのは、股関節そのものの病気。
「変形性股関節症」です。
推定患者数は、約300万人。
女性に多いのが特徴だという。
歩く時に、足にだるさを感じたり、太ももの付け根に痛みが走ったり、といった症状が出る。
股関節には、非常に多くの負担がかかっていて、片足で立つだけで、体重の3倍くらいがかかるのだそう。
なので、毎日毎日それにさらされている股関節の軟骨は、ちょっと何か問題があると、減りやすくなっちゃうんですね。
仙台大学が行った実験があります。
歩いている時に、股関節の大腿骨にかかる負荷を調べました。
その結果がこちら。

赤い部分は、一番強い負荷がかかっている場所になる。
猫背タイプの人の方が、より負荷がかかってますね。
前述のとおり、深層筋がスムーズに動かなくて、その分、外の筋肉が強く動くために、股関節に余計な負担がかかるのだそうな。
股関節の軟骨が減ると、骨の形も変わってしまいます。
それが、変形性股関節症。
中には、痛みが出ない人もいるらしい。
先生いわく、「沈黙の運動器」。
いろんな関節の中で、股関節は、症状が非常に出にくいのだそうな。
実は、あのパカパカ体操は、変形性股関節症のリハビリ現場でも、取り入れられてるんです。
神奈川リハビリテーション病院 理学療法士の 相馬光一 さんのお話。
「なかなか、股関節をリズムよく動かしたり、大きく動かしたりすることができないので、こういう座って楽な運動を、左右対称にリズミカルよくやることで、(股関節の)スムーズさを獲得するという目的で、やっています」
実際に、こうしたリハビリによって、病気から回復した人もいます。
[体験談(3)]
去年の冬から 股関節の痛みに苦しんできた女性、Cさん。
歩くのも困難だったという。
ヒザも痛いし、そこらじゅうが痛いという感じ。
友達に、「どうして足、引きずってんの?」と言われた。
Cさんは、病院で勧められたパカパカ体操を、最初は半信半疑のまま、続けてみました。
食後の空いた時間や、趣味のシャンソンの練習をしながら、毎日行ったのだそう。
やってみると、いつでもどこでもできるので、便利。
それに、気持ちいい。
パカパカ体操を続けて、半年が経ちました。
Cさんの股関節の痛みは、ウソのように消えていったという。
今では、シャキっと歩けるようになりました。
股関節の動きを滑らかにし、腰痛改善にも効果が期待できる、パカパカ体操。
みなさんも、気軽にやってみては、どうでしょう。
□ おまけ
NHKのサイト「1.5チャンネル」で、ガッテンの動画が大人気なのだそう。
それが、「蚊の虫刺され対策」の動画。
再生回数は、日本語版で 400万回以上。
英語版を合わせると、世界でおよそ 1700万回!
https://www.nhk.or.jp/ten5/
他にも、いろんな動画を楽しむことができます。

次回は、これ。
血圧は正常だったのに…。
あれ、おかしいぞ。
脳卒中の引き金になる、スイングするような上昇とは?
「血圧上昇の正体! 血圧サージに ご用心!」。
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