【嗜好品外来】 高血圧にダークチョコレート/ゲンキの時間
健康とは真逆のイメージがある嗜好品(しこうひん)ですが、中には、意外なものも。
◆ 血圧を下げる。
◆ 善玉コレステロールが増える。
◆ 血管内の炎症を抑え、動脈硬化のリスクが低下。
ダークチョコレートは、カカオ含有量が多く、ポリフェノールが豊富。
70%以上のものを、1日に 20~30g 食べよう。
ドクネット:戸田中央総合病院 嗜好品外来 心臓血管センター内科 椎名一紀。
ゲスト:的場浩司。
ゲンキスチューデント:春香クリスティーン。
ゲンキリサーチャー:X-GUN (西尾季隆&さがね正裕)。
2017年9月10日放送の「健康カプセル! ゲンキの時間」より、「~ 賢く食べて健康増進! ~ 知らなきゃ損する嗜好品」からのメモ書き。
今回は、前編になります。

□ 嗜好品外来とは?

さあ、今回のテーマは何でしょうか?

「嗜好品」です。
「健康のためには控えましょう」と言われるイメージがありますが、逆もあるようですよ。
健康のために摂った方がいい嗜好品も、あるんです。
番組出演者が好む嗜好品は、何なのでしょうか?
渡辺満里奈さんは、ワイン。
春香クリスティーンさんは、チョコレート、マシュマロ、ジュース。
三宅裕司さんは、お酒。仕事終わりのビールと日本酒は、最高です。
ゲストの的場浩司さんは、甘いもの・スイーツ大好きで有名。特に、プリンが大好きだそうです。
まずは恒例の、基礎クイズから。
Q)嗜好品の説明について、次の空欄を埋めてください。
嗜好品とは( A )摂取を目的とせず、味やにおい( B )を楽しむための物。
ちなみに、「嗜好品」という言葉を初めて使ったとされる人物は、( C )である。
答えは、「A:栄養」「B:刺激」「C:森鴎外」
1888年、森鴎外は、日本食に関する演説を行い、そこで初めて、「嗜好品」という言葉を使ったと言われています。
【嗜好品】
栄養のためでなく、味わうことを目的にとる飲食物。酒・茶・コーヒー・タバコなど。
(大辞林)
X-GUN の二人が向かったのは、埼玉県は戸田市にある、戸田中央総合病院。
ここには、「嗜好品外来」があるんです。
担当するのは、心臓血管センター内科の 椎名一紀 先生。
「例えば、血圧が少し高めの方とかですね、コレステロールが少し高めの方。だけども、薬を飲むほどではないという方に、そういった生活習慣病が進行するのを予防する意味で、いろんな嗜好品を使ってみるという」
「そういう楽しんで健康増進、ていうのが、目的なんですよ」
嗜好品外来は、およそ2年前、日本で初めて開設されました。
前述のとおり、嗜好品は本来、栄養摂取を目的とせず、味やにおい、刺激などを楽しむ、食品や飲料のこと。
しかし、近年、一部の嗜好品が健康増進につながることが、判明したんです。
こちらの外来では、主に「高血圧」や「動脈硬化」の予防や改善を目的に、嗜好品を勧めているのだそう。
X-GUN の二人も、受診することになりました。
流れは、こんな感じ。
「問診票記入」→「血液検査」→「CAVI検査」
まずは、「問診票」に、運動などの生活習慣や、普段よく食べる食材などを、詳細に記入します。
続いて、「血液検査」と、動脈の硬さなどを調べる「CAVI(キャヴィ)検査」を行い、その結果から、血管年齢を算出。
状態によっては、心電図、頸動脈エコー、脳のMRIなどの検査を行うケースも。

これらの検査結果から、それぞれの患者さんに合った、おススメの嗜好品を見つけるのだそう。
さて、X-GUN のふたりは、どんな嗜好品を勧められるでしょうか?
西尾さんは、糖尿病の治療を、すでに行っています。
なので、かかりつけ医師の治療を優先。
残念ですが、嗜好品での治療は、適応外でした。
では、さがねさんは、どうでしょう?
検査結果を見ると、血圧が高め。
正常範囲だけど、少し高い。
これを、「正常高値(せいじょうこうち)」と言うのだそう。
嗜好品で血圧を下げるには、ちょうどいいかもしれません。
さがねさんは食生活に偏りがあるので、まず、食事の内容を見直すよう、アドバイス。
そのうえで、血圧を比較的よく下げるという食品が、勧められました。
それが、「ダークチョコレート」。
椎名先生が勧めるチョコレートには、条件があります。
どうも、原料のカカオに関係しているようですよ。
それは、「カカオの含有量が高いチョコレート」。
□ ダークチョコレートの健康効果

カカオの含有量が高いチョコレートとは、どんなものなのでしょう?
X-GUN の二人が向かったのは、神奈川県は足柄上郡にある、カカオ専門の加工工場。
「大東カカオ中井工場」だ。
さっそく、原料となるカカオを見せてもらうことになりました。
西アフリカや中南米など、熱帯地域で収穫される、カカオ豆。
もととなる種子は、白い果肉に包まれています。
それをバナナの葉などに包んで、1週間ほど発酵させる。
すると、あの茶色いカカオ豆になるんです。
工場では、世界中から入荷するカカオ豆を、まず、麻袋から取り出します。
それを殺菌した後、熱風を吹きかけて、焙煎する。
この焙煎したものを すりつぶすと、「カカオマス」になります。
カカオ100%に近い状態ですね。

市販されているチョコレートは、このカカオマスに、砂糖やミルクを入れて、加工したものです。
カカオマスの割合は、だいたい、30~40%だという。
今回、特別に、カカオマス100%のチョコレートを、試食させてもらうことに。
うわ~っ、口に入れた途端、X-GUN 二人の顔が歪みました。
相当、苦いようです。
絶句するぐらい。
工場の人のお話。
「基本的には、カカオマスが多ければ多いほど、苦いです」
「で、ポリフェノールが豊富」
嗜好品外来で勧めている「カカオの含有量が多い」チョコレートは、「カカオポリフェノールが多い」チョコレートのこと。
椎名先生の解説。
「チョコレートに含まれるポリフェノールがですね、心臓や血管に良い効果があると言われています」
「で、ポリフェノールを多く含むのは、カカオの含有量が70%以上のもの」
「摂る量に関しては、1日 20~30g ぐらいですね」
さて、実際の効果は、どうなんでしょう?
嗜好品外来に通う患者さんの話を、聞いてみましょう。
[体験談]
74歳の女性、Aさん。
通院歴は、1年半です。
嗜好品外来は、食べ物で血圧に良いものを教えてもらうために、受診しました。
もともと、血圧が高めだったんですね。
勧められたのは、チョコレート。
Aさんは、カカオマス70%以上のものを、毎日 20~25g 摂取しています。
朝食後と夕食後に、5g のものを2個程度。1日に、4~5個だという。
そうすることで、間食も控えるようになったのだとか。
1年後、上の血圧は、こんなに変化したそうです。
140以上 → 127
140以上はザラで、高い時は 150~160以上だった上の血圧が、「127」に。
下も、「67」まで下がったのだそう。
さらには、Aさんにチョコレートを勧められた友人たちにも、変化が。
78歳女性、Bさん。
150~160 あった上の血圧が、今は、上が「110」で、下が「72」に。
(これは、有酸素運動と減量を同時に行った結果です)
71歳女性、Cさんも、血圧の数値が落ち着いてきたそうです。
高血圧の予防・改善につながる、カカオポリフェノール。
実は、3年前、このカカオポリフェノールの効果を検証する大規模な実証実験が、日本で行われたんです。(愛知県蒲郡市)
参加者の数は、347人。
カカオマス 70%以上のチョコレートを、毎日 25g 摂取しました。
それ以外は普段通りに生活し、4週間後の健康状態を調査したんです。
この実験の指揮を執ったのが、この方。
愛知学院大学 心身科学部 健康栄養学科の 大澤俊彦 先生。
「高血圧群に入る人を対象にしましたら、ぐ~んと数値が大きく下がったんですね」
「だけど、正常血圧に近い人は、ほとんど差がない」
参加者のうち、高血圧気味だったのは、82人。
この人たちは、4週間 カカオポリフェノールを摂取したことで、平均「6」血圧が下がりました。

その理由を、大澤先生は、こう推測します。
「血圧が下がるというのは、いろんな考え方があるんですが、その中で、一酸化窒素 NO が、血管をしなやかに、滑らかにするという効果が、あるんです」
「これを、遺伝子レベルで、カカオポリフェノールは高めて、それによってですね、血管がしなやかに、滑らかになるんですね」
<カカオポリフェノールの効果>
(1) 血管壁をやわらかくする一酸化窒素(NO)を活性化させる働きがある。
(2) 動脈硬化の予防になる善玉コレステロールを、増やす。
(3) 血管内の炎症を抑え、動脈硬化のリスクを低下させる。

後編に続きます。
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