【緊張型頭痛】 予防に頭痛体操/きょうの健康
緊張型頭痛の特徴。
片頭痛との違いは?
デスクワークや車の運転など、長時間の同じ姿勢は要注意。
生活習慣の見直しが、基本になる。
<自分でできる対策>
腕振り体操、肩回し体操。
薬の服用と、医療機関の受診について。
解説:北里大学 客員教授 五十嵐久佳。
司会:黒沢保裕、岩田まこ都。
2017年8月15日放送の「きょうの健康」より、「~ 3つの頭痛 最善の対策(2) ~ 緊張型頭痛」からのメモ書きです。

□ 緊張型頭痛

さあ、今回のテーマは何でしょうか?

「緊張型頭痛」です。
その特徴と対策について、学んでいきましょう。
[体験談]
40歳の女性、Aさん。
仕事はデスクワークで、長時間座り続けるのが日常です。
毎日のように肩コリが起こるのですが、それだけでなく、午後になると、次第に頭全体が締めつけられるような頭痛が起こります。
我慢できないほどの痛みではないのですが、仕事が はかどらないことも多く、困ってしまいます。
毎日のように、ストレスを感じてしまう。
肩コリと頭痛をセットで持っている人は、多いかもしれません。
一つでも大変なのに、重なると、余計に つらいですよね。
このAさんのように、デスクワークをしている人に起こりやすいのが、「緊張型頭痛」。
このタイプの頭痛は、起こす人が最も多く、国内で推定2000万人だと言われています。
緊張型頭痛は、片頭痛ほど症状はつらくない場合が多いのですが、Aさんのように頻繁に起こってしまうと、大きな悩みになってしまいますよね。
連続するというのは、大変なことです。
専門家の先生に、その特徴と対策を教えていただきましょう。
前回に続き、北里大学 客員教授の 五十嵐久佳 先生が解説してくれます。
<緊張型頭痛と片頭痛の違い>
片頭痛は、ズキンズキンと、かなり強い痛みが起こります。
一方、緊張型頭痛は、「頭全体の重い痛み」「締めつけられるような痛み」「動いても痛みが強くならない」などの特徴が。
緊張型頭痛は、側頭筋や後頸筋群(こうけいきんぐん)、僧帽筋など、頭から肩にかけての筋肉のコリや張りによって、痛みを感じる神経が刺激されて、頭痛が起こると考えられています。
起こしやすいのは、デスクワークや車の運転など、長時間同じ姿勢でいることが多い人。特に、うつむきがちな姿勢が多い人です。
また、長時間同じ姿勢でいた結果ということで、夕方ごろや仕事の終わるころに起こしやすいのが特徴。
持続時間は人によって異なり、30分から1週間ほどです。

緊張型頭痛は、生活習慣で起こると言われています。
・長時間の同一姿勢。
・悪い姿勢。
・不適切な枕。
・運動不足。
例えば、パソコンでの作業など、長い時間 同じ姿勢でいると、同じ筋肉にずっと負荷がかかるので、よくない。
また、姿勢が悪いと、頭や腕を支える筋肉が、こってしまいます。
枕の高さが合わない場合も、首や肩がこり、朝から頭が痛くなることがある。
頭はかなり重量がありますから、それを支える筋肉が弱いと、頭痛が起こりやすくなるという話もあります。
なで肩の人や運動不足の人は、起こりやすいのだとか。
上記のような筋肉のコリだけでなく、精神的なストレスがかかると、緊張型頭痛が長引いてしまう傾向が。
緊張型頭痛は、片頭痛と症状の特徴を区別することで、診断されます。
<緊張型頭痛チェック>
(1) 頭の両側に起こる。
(2) 圧迫・締めつけるような痛み。
(3) がまんできる。仕事や家事などがこなせる。
(4) 身体を動かしても、痛みが悪化しない。
このうち、2つ以上が当てはまり、頭痛以外の症状として、次の(5)と(6)が当てはまれば、緊張型頭痛と診断されます。
(5) 頭痛が起きても、吐き気や嘔吐はない。
(6) 光や音が気になったとしても、いずれも気にならない。あるいは、どちらか1つのみ。

ただし、例外もあります。
「今までと違う頭痛」が起こったり、「痛みが強くなっていく頭痛」がある場合は、脳の病気などを考えないといけないので、病院を受診してください。
画像検査をするなどして、他に病気がないということを、確認する必要が出てきます。
□ 自分でできる対策

では、緊張型頭痛に、どう対処すればいいのでしょうか?
緊張型頭痛の多くは、筋肉のコリや張りで始まります。
なので、まずは、「生活習慣の見直し」が必要になる。
緊張型頭痛を起こす人が自分でできる対策を、見ていきましょう。
<緊張型頭痛 自分でできる対策>
正しい姿勢。
作業中のこまめな休憩。
自分に合った枕。
首や肩を冷やさない。
ぬるめのお風呂でゆっくり。
日常的な運動。
長時間の悪い姿勢を防ぐことが大事。
正しい姿勢を心がけましょう。
猫背でアゴが出ている人は、背筋をまっすぐにして、アゴを引きます。
スマホのやり過ぎにも、注意しましょう。
また、座る時は、足を組まないこと。
作業中のこまめな休憩も、忘れないでください。
例えば、デスクワークを1時間ほど行ったら、5分間休憩をとり、立ち上がって伸びをするとか。
あるいは、少し歩き回るとか。
枕が自分に合っているかも、チェックする。
頭が高くなり過ぎてないか? 沈み過ぎてないか?
毎朝、起きる時に肩コリを感じる場合は、枕を見直してみましょう。
筋肉のコリや張りを防ぐため、血流を改善する対策も行うとよい。
まず、首や肩を冷やさないこと。
冬や、夏の冷房などで、寒いと感じたら、一枚羽織るなどしましょう。
ぬるめのお風呂に、ゆっくり入る。
両手を首の後ろで組むと、より温かくて、気持ちよくなります。
運動不足にならないよう、日常的に、身体を動かしましょう。
緊張型頭痛は、片頭痛とは逆で、じっとしていると、むしろ痛みが出やすくなります。
適度な運動で筋肉をほぐすことを、心がけてください。
<緊張型頭痛によい運動>
水泳:肩まわりの筋肉を、効率的に鍛えられる。
水泳はハードルが高いという方は、ウォーキングを。
その際は、猫背にならないように注意し、腕を振って行ってください。
家庭でも職場でもできる、簡単な方法があります。
<頭痛体操>
[腕振り体操]
(1) ヒジを軽く曲げて、胸の前に持ってくる。
(2) そのまま肩を、左の奥に、グッと振ってください。
次に、右に振る。
これを繰り返します。
(3) ポイントは、顔が正面を向いていること。
顔は動かさないで、両腕にあまり力を入れないで、振る。
自然に、流れる形。

後頸筋群、首を支える筋肉のストレッチになるとのこと。
一度に2分間行うのが、目安です。
肩がこってきたと感じた時に、行うとよい。
[肩を回す体操]
(1) ヒジを軽く曲げて、肩を回します。
前に回す時は、リュックサックを背負うように。
後ろに回す時は、コートを脱ぐように行う。
(2) これを繰り返しましょう。
(3) 前回しと後ろ回しを、10回行うのが目安。

これは、僧帽筋のストレッチになります。
□ 薬の服用、医療機関の受診

緊張型頭痛の場合、薬の服用について、どう考えたらよいのでしょうか?
基本は、姿勢をよくしたり、運動したりというような、対策や予防だという。
けれど、例えば、肩の筋肉に触ると痛みが強いとか、そういう場合には、補助的に、市販の頭痛薬が効く場合があるとのこと。
では、医療機関を受診した方がいいのは、どういう場合なのでしょう?
生活習慣の見直しで改善しない場合、まずは、かかりつけの「内科医」などを受診する。
もし、頭痛が長引いてしまって、朝から晩まで毎日のように痛いという場合には、精神的なストレスも強く考えられるので、「神経内科」「頭痛外来」「心療内科」などを受診するとよい。
前述のとおり、緊張型頭痛の基本は、生活習慣を立て直すことです。
ですが、痛みが強い場合には、「非ステロイド性の消炎鎮痛薬」を使うことがある。
ただ、緊張型頭痛が頻繁に起こる場合、精神的なストレスが関与していることが非常に多いので、筋肉の緊張を緩めるような「筋弛緩薬」「抗うつ薬」「抗不安薬」などを使用するようなケースも。
緊張型頭痛には他にも、専門医の受診が勧められるケースがあります。
少なくないのが、「片頭痛と緊張型頭痛の合併型」。
その現れ方は、大きく2つのタイプに分かれます。
1つは日によって、片頭痛と緊張型頭痛が起こります(半々ぐらい)。
もう1つは、日常的に緊張型頭痛が起こっており、たまに片頭痛が起こる。
では、合併型には、どう対処すればいいのでしょう?
片頭痛が多く、生活に支障をきたすのであれば、片頭痛の治療をします。
けれど、緊張型頭痛がベースにダラダラあって、そこに時々、片頭痛が起こるような場合には、起こった時の片頭痛に対処する方法と、ダラダラ続く緊張型頭痛への対処という風に、初めから2つでいく場合もある。
しかし、なかなかその見極めは難しいので、もし、合併型が疑われる場合は、専門医への受診が勧められます。
片頭痛が起こっている時は、動くと痛みが強まります。
なので、そんな時は、頭痛体操は行わないでください。
動いても痛まない、緊張型頭痛の時に行うのがよいようです。
![NHKきょうの健康 2017年8月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51Mg7FgxneL._SX270_.jpg)

→ 【片頭痛】 チェック法&頭痛ダイアリー
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