【片頭痛】 チェック法&頭痛ダイアリー/きょうの健康
日常生活に支障をきたすことも多い、片頭痛。
推定患者数は、840万人です。
メカニズムと、引き金になる要因。
チェック法と、自分でできる対策は?
治療に使われる薬、トリプタンの特徴。
予防につかえる、頭痛ダイアリー。
解説:北里大学 客員教授 五十嵐久佳。
司会:黒沢保裕、岩田まこ都。
2017年8月14日放送の「きょうの健康」より、「~ 3つの頭痛 最善の対策(1) ~ 片頭痛」からのメモ書きです。

□ 傾向とメカニズム、引き金

さあ、今回のテーマは何でしょうか?

「片頭痛」です。
人によっては 大変苦しく、日常生活に支障をきたすことも。
周囲の理解がないと、とってもつらいのだそうです。
[体験談]
25歳女性、Aさん。
中学生のころから、10年以上、片頭痛に悩まされています。
頭の片側が、ズキンズキンと痛くなる。
以前は、月経の時にしか起こらなかったのですが、就職してからは、月経の時以外にも、頭痛が起こるようになりました。
さらに、吐き気も、伴うようになったという。
毎回、市販の頭痛薬を飲んでいますが、効くこともあれば、効かないこともある、といった状態。
頭痛は丸一日続くこともあり、痛みで仕事がままならないことも。
しかし、休むと会社に迷惑がかかると思い、我慢しています。
Aさんは、「自分は頭痛持ちだから、仕方がない」と、半ばあきらめている状態だという。
片頭痛をお持ちの方は、国内で推定840万人。
そのうち、74%が日常生活に支障を感じている。
しかし、73%の人は受診していないのだそう。
なぜ、受診しないのかというと、このような理由が。
・片頭痛は月経の時に起こることが多いので、月経痛の一つと考えてしまう。
・母親や姉妹など、家族に同じような症状がある場合は、受け入れてしまいがち。
しかし、日常生活に支障をきたす場合は、受診を含め、適切な対処をとることが大切です。
そこで、片頭痛の対策について、学んでいきましょう。
解説してくださるのは、北里大学 客員教授の 五十嵐久佳 先生です。
原因となる病気がなく、繰り返す頭痛を、「慢性頭痛」と呼びます。
15歳以上のおよそ40%、4000万人が、慢性頭痛に悩まされていると考えられているのだそう。
<慢性頭痛のタイプ>
・ズキンズキンとする片頭痛:840万人
・全体を締めつける緊張型頭痛:2000万人
・片目の奥に激痛を繰り返す群発頭痛:12万人
・薬の使い過ぎによる頭痛:120~240万人
繰り返す頭痛の場合、多くの方が、上記の4タイプのどれかだという。
ですが、中には、危険な頭痛も。
<危険な頭痛>
・突然起こる。
・どんどんひどくなる。
・脳などの病気が原因で起こる二次性頭痛の可能性が。
<危険な二次性頭痛>
突然の激烈な頭痛 → くも膜下出血
高熱を伴う頭痛 → 髄膜炎
進行性の頭痛 → 脳腫瘍
二次性頭痛が疑われる場合は、すぐに脳神経外科や神経内科を受診してください。
では、今日のテーマである「片頭痛」には、どういう特徴があるのでしょう?
<片頭痛の特徴>
・生活に支障があるような強い痛みを繰り返す。
・動くと、痛みがさらに強くなる。
「片頭痛」と書きますが、片側だけ痛む人は、6割。
残り4割の人は、両側が痛むのだという。
<片頭痛のメカニズム>
まだまだ不明な点が多い片頭痛ですが、その一つの説として、脳の「視床下部」といわれる場所が、様々な要因によって刺激を受けることで起こるのではないかと、考えられています。
視床下部が刺激を受けると、脳の血管の周りにある「三叉神経」から、神経伝達物質が放出されます。
すると、三叉神経の周囲に炎症が起こり、血管も拡張するため、頭痛が起こり始める。
さらに、炎症の影響で、三叉神経が過敏になり、通常であれば痛みとして感じない血管の拍動を、痛みとして感じるようになるため、ズキンズキンという拍動性の痛みが起こるのです。
視床下部に刺激を与える要因、つまり、片頭痛の引き金になると考えらえているのが、こちらになります。
<片頭痛の主な引き金>
・月経や排卵。
・出産後や更年期。
・寝不足や寝すぎ。
・空腹。
・ストレス。
・ストレスからの解放。
・まぶしい光。
・強いにおい。
・人混みや騒音。
・天候の変化。
・温度の変化。
・高い湿度。
・アルコール。
視床下部には、女性ホルモン、食欲、睡眠などの中枢があります。
なので、そこが影響を受けると、片頭痛が起こりやすいのだとか。
さらに、視床下部は、自律神経もつかさどっています。
ですから、ストレスとか、天候の変化が影響して、片頭痛が起こるのではないかと、考えらえている。
□ 片頭痛チェック

チェック法を紹介。
<片頭痛チェック>
(1) 頭の片側に起こる。
(2) ズキンズキンと拍動性の痛み。
(3) 我慢できない、仕事などに支障をきたす。
(4) 身体を動かすと、痛みが悪化。
このうち、2つ以上 当てはまり、頭痛以外の症状として、以下のうち1つ以上当てはまれば、片頭痛と診断される。
(5) 頭痛が起こると、吐き気がする。
(6) 光や音に敏感になる。

例外もあります。
50歳以上で初めて、上記のような片頭痛の症状があった場合は、脳の病気などを疑い、受診・検査することがすすめられます。
片頭痛の持続時間は、4時間~3日間ほど。
<片頭痛 生活への支障>
かなり強い痛みで、動くと痛みが強くなりますし、吐き気が伴うことも。
そうなると、その日の予定をキャンセルせざるを得なくなってしまいます。
勤め人だと、朝から頭が痛い場合には、会社に行けなくなる。
でも、急に休みますと電話すると、中には、さぼってるんじゃないかと疑われてしまうような場合も。
これが長く続くと、かなりのストレスになってしまいます。
女性の片頭痛の患者さんの約半数は、月経に関連して頭痛が起こるというような自覚を持っているのだそう。
その月経の時に起こる頭痛というのは、他の時期に起こる頭痛に比べて、「持続が長い」「痛みが強い」「薬が効きにくい」などの特徴が。
なので、困っている女性は多いそうです。
□ 自分でできる対策

片頭痛が起きた時、自分でできる対策には、どのようなものがあるのでしょうか?
<片頭痛 自分でできる対策>
・冷たいタオルなどで、痛む箇所を冷やす。
・静かな暗い場所で、安静にする。(可能なら睡眠をとる)
・軽度の場合は、市販の頭痛薬を。
ただ、市販薬が効かなかったり、頻繁に服用されている方、また、頭痛の日数が多い方は、かかりつけの内科医などを受診してください。
内科などで十分改善しない場合は、「頭痛外来」「神経内科」「開業医の脳神経外科」などを受診するとよい。
□ 薬による治療

片頭痛と診断された場合は、薬による治療が中心になります。
まず初めに使われるのが、「トリプタン」。
トリプタンには、三叉神経から神経伝達物質が放出されるのを抑える作用があります。
それによって、炎症を抑える。
また、広がり過ぎた血管にも作用し、元に戻してくれるんです。
<トリプタンの剤形>
・のみ薬。
・口腔内崩壊錠、速溶錠。
・点鼻薬。
・皮下注射。
トリプタンを使ってはいけない人もいます。
<トリプタンを使えない場合>
・脳梗塞。
・狭心症、心筋梗塞。
・重い高血圧。
・重い肝臓病。
こういう場合、「非ステロイド性消炎鎮痛薬」を使うのだそう。
□ 頭痛ダイアリー

頭痛の予防に、日記が有効らしい。
<頭痛ダイアリー>
痛みの程度や持続時間、日常生活への影響、薬の使用状況、吐き気などの頭痛に伴う症状、月経やストレス、寝不足や寝すぎ、悪天候など、頭痛の引き金となりそうな出来事も、メモしておきます。

1か月ほど記録して、見返してみると、「頭痛が起こる時の傾向」が見えてきて、それにより、予防策をとることができるというわけ。
頭痛ダイアリーは、日本頭痛学会のホームページからダウンロードすることができます。
→ https://www.jhsnet.org
(トップページ → 市民・患者さんへ → 頭痛ダイアリー)
頭痛ダイアリーを書くことによって、「どういうことが引き金となって、頭痛が起こるのか」が分かってきます。
ある人は、「月経中に、ひどい頭痛が起きる」。
またある人は、「天候の変化」で。
「人混みの中」で、起きる人も。
傾向が分かれば、それをできるだけ避けることもできます。
また、なりそうな時には、無理をしないようにすることも可能。
事前に お薬を準備しておくことも、できる。
光がまぶしくて頭痛が起こるなら、サングラスをかけるとか。
![NHKきょうの健康 2017年8月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51Mg7FgxneL._SX270_.jpg)
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→ 「痛くなる前に予防薬を飲む 頭痛体操&日記」
→ 【天気痛】 耳マッサージ&スマホアプリ
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