【夏の病気】 ラクナ梗塞と腎臓病 【予防は水分補給】/ゲンキの時間
熱中症と間違えやすい、2つの病気。
<脳梗塞>
死亡率が上がる温度は?
流しそうめんで分かる、メカニズム。
脱水で赤血球が凝集塊となり、血管を詰まらせてしまう。
ラクナ梗塞の特徴。
<腎臓病>
脱水から、急性腎障害や腎結石に。
頻尿からくる、負のスパイラル。
「脱水の目安」と「予防のポイント」。
トイレとの関係。
ドクネット:東京慈恵会医科大学附属病院 腎臓・高血圧内科 横尾隆 主任教授。
ゲンキスチューデント:滝裕可里。
ゲンキリサーチャー:木本武宏(TKO)。
2017年7月23日放送の「健康カプセル! ゲンキの時間」より、「熱中症と間違えやすい2大病」からのメモ書きです。

□ 脳梗塞

暑い日に気をつけたいのが、「熱中症」です。
でも、夏の病気は、熱中症だけじゃないようですよ。
「めまい」「吐き気」「倦怠感」「しびれ」
そんな時、熱中症だと自己診断すると、危険かも。
夏特有の2大病である可能性が!
その一つが、「脳梗塞」です。
まずは、恒例の基礎クイズから。
Q)脳梗塞による死亡率は、気温が〇〇℃を超えると、急上昇します。その温度は、次のうちどれでしょう?
A:28℃。
B:30℃。
C:32℃。
答えは、「C:32℃」。
海外のある研究では、死亡率が最も低かった「27~29℃」に比べ、「32℃」では 66%も高くなっていました。
暑い日は、注意が必要なようです。
夏特有の脳梗塞とは、いったい、どんなものなんでしょう?
東海大学 医学部 神経内科学の 瀧澤俊也 先生に、教えていただきます。
先生は5年前、50代男性を診察しました。
夏の暑い時期、最初に感じた違和感は、「めまい」「ふらつき」という、熱中症に似た症状だったらしい。
まだ暑さが残る9月上旬のこと。
当時53歳だったAさんは、仕事で外回りをしている最中、突然、めまいとふらつきを感じたのだそう。
「軽い熱中症にでも、かかったのかな?」
そう思ったAさんは、そのまま放置。
ところが、翌朝、顔を洗っていると、左手に軽いしびれを感じました。
何かおかしいと思ったAさんは、会社を休み、病院へ。
そこで判明した病名は、「脳梗塞」でした。
脳梗塞とは、高血圧や動脈硬化などによる血栓などが原因で、血管が詰まり、脳の神経細胞が死んでしまう病気のこと。
寝たきりや後遺症による長期のリハビリを強いられたり、一歩間違えば死に至るケースもある、危険な病気です。
脳梗塞は血圧の上がりやすい冬に多いと思われがちですが、最も多いのは、「6~8月」なのだ。

脳梗塞が夏に多い理由は、何なのでしょう?
その答えを解説するために向かったのは、東京都は板橋区にある「斉藤商店」。
明治22年創業の、老舗竹材店です。
竹で作った花瓶やザルなど、様々な商品が並んでいる。
中でも、「棕櫚箒(しゅろほうき)」が、おススメなのだとか。
今回の目的は、「流しそうめん」。
でも、流しそうめんと脳梗塞が、どう関係するんだろう?
水の流れをゆるくし、スピードダウンさせると、そうめんはなかなか流れてきません。
実はこれ、「脱水状態の血管の中」を表現しものなのだ。
竹=血管
水=血液
そうめん=赤血球
人間の身体の中は、何も問題がなければ、流しそうめんのように、赤血球を含んだ血液が、スムーズに流れています。
脱水状態になると、身体の水分が減ってしまうのですが、そのほとんどが、血液の水分なんですね。
すると、水を減らしスピードが遅くなった そうめんのような、ドロドロ血液になってしまうんです。
脱水状態になると、赤血球が固まり、「凝集塊(ぎょうしゅうかい)」を作ってしまう。
そうすると、血管の狭いところで引っかかってしまい、血液が流れなくなってしまうのだ。
結果、脳梗塞に。
夏特有の脳梗塞。
その主な原因は、「脱水」だったんですね。
脱水状態になると、時には、赤血球が固まる「凝集塊」ができてしまい、これが血管に詰まり、脳梗塞になってしまうことがあるんです。
先ほど紹介したAさんも、実は、大量の汗をかいていたにもかかわらず、仕事後 おいしくお酒を飲むために、水分を摂らずに過ごしていたのだそう。
結果、脱水状態になり、脳梗塞を発症してしまいました。
脳梗塞といっても、その要因は1つではありません。
中でも、熱中症のような症状になるものがあるのだそう。
熱中症のような症状になるのは、「ラクナ梗塞」と呼ばれるもの。
脳へ入っていく細い糸のような血管が、凝集塊などで詰まる、脳梗塞です。
一方、ラクナ梗塞ではない太い血管が詰まる脳梗塞では、周りにある多くの神経細胞が死んでしまうため、半身麻痺や意識障害、ろれつが回らない等、大きな症状が出ます。
細い血管が詰まるラクナ梗塞は、死んでしまう神経細胞が少ないため、熱中症のような小さな症状しか出ない場合があるんですね。
ただし、小さな梗塞だからといって放置するのは、危険です。
やがて、手足の麻痺が起こって、歩けなくなる可能性も。
非常に危険なことになるケースも、中にはあるんです。
決して侮ることのできない、ラクナ梗塞。
夏の脱水には、気をつけましょう。
□ 脱水の目安

脱水状態がいかに危険か、分かりました。
でも、自分ではなかなか気づけない場合もありますよね。
そんな時は、こんな方法を。
実は、ある程度、普段の症状で知ることができるのだ。
<脱水の目安>
(体重を基準にした場合の、水分損失割合)
約2%=軽度。
約5%=中等度。
約7%以上=高度。

[軽度の脱水]
約2%の水分損失。
症状は、のどの渇き、だるさ。
[中等度の脱水]
約5%の水分損失。
症状は、口の中が乾きネバネバする、尿量が少なすぎる等。
中等度の時の血管内は、水を一番減らした流しそうめんと同じ状態だという。
[高度の脱水]
約7%以上の水分損失。
症状は、意識朦朧、血圧低下。
この状態は、脳梗塞だけではなく、様々な要因で命の危険があるので、注意が必要です。
水分、ちゃんと摂れてますか?
1日の水分摂取量は「1.5リットル以上」が理想です。
<脱水予防の3つのポイント>
(1) 就寝前に、コップ1杯の水を飲む。
(2) お酒の飲み過ぎは避ける。
(3) 汗をかいた場合は、しっかりと水を飲む。
□ 腎臓病

夏特有の、2大病。
もう一つの病気とは?
[体験談]
45歳男性、Bさん。
現在は回復し、通常の生活を送っていますが、2年前の6月に突然、ある病気に襲われました。
Bさんの趣味は、マラソン。
当時、出場を予定していた大会があり、楽しみにしていました。
ところが、大会の2~3日前に、風邪気味の症状になってしまった。
マラソン大会に出場するため、Bさんは布団にくるまり、たくさんの汗を出して治そうとしたのだそう。
そのかいあってか、大会当日、熱は下がり、体調も問題なさそうだったので、出場することに。
参加したのは、5kmマラソン。
その時は、「このくらいの距離なら、病み上がりでも問題ないだろう」と思っていたそうです。
ところが、ラスト1kmぐらいの地点で、異変が。
スピードを上げようと思ったら、フラフラっと、ぼ~っとした感じになった。
けれど、「軽い熱中症かな?」と思い、あまり気にしないで、ゴールを目指して走ることに。
結局、Bさんはゴール手前で倒れ、救急車で病院に搬送されました。
気づいたらベッドの上だったといいます。
医師から告げられた病名は、「急性腎障害」でした。
夏特有の2大病。
2つ目は、「腎臓病」。
東京都は港区にある、東京慈恵会医科大学附属病院。
腎臓・高血圧内科の 横尾隆 主任教授に、教えていただきます。
腎臓は、特に夏の暑い日に患いやすい臓器なのだそう。
そんな腎臓を理解するため、「人工透析器」を見せてもらうことになりました。
腎臓が働かなくなった患者さんの血液をきれいにする機械です。
筒状の部分が、腎臓の役割を果たしている。
今回は、牛乳を血液に見立てて、透析器にかけます。
すると、透明な液体が出てきた。
飲んでみると、確かに牛乳です。
実は、腎臓の働きをする部分には、細かな管が詰まってるんですね。
その管には、1ナノ程度の無数の穴が開いているのだ。(1ナノ=100万分の1ミリ)
この管を通ると、牛乳を白くしている たんぱく質や乳脂肪分などが、取り除かれるんです。
結果、味の成分だけを残した、透明な液体が出てくるってわけ。

本来の腎臓で、これと同じ役割を果たしているのが、「糸球体(しきゅうたい)」です。
これは、毛糸玉のようなに丸まった、毛細血管。
糸球体を通る血液が ろ過され、老廃物や余分な水分が、尿になります。
夏に腎臓病が多くなる理由も、実は「脱水」なんです。
脱水状態になると、血液量が減り、血圧も低下。
血圧が下がると、糸球体部分に当たる圧力も下がるので、老廃物が通過することができなくなり、尿毒素として、体内に溜まってしまうのです。
脱水 → 血液量減 → 血圧低下 → ろ過する力が弱まり → 老廃物がたまってしまう。
この尿毒素が急に溜まった状態が、「急性腎障害」と呼ばれる状態。
マラソン中に倒れたBさんも、これでした。
布団をかぶって、汗をかいて治そうとした時、水分補給をしてなかったのだそう。
水分を摂らなかったため、脱水状態が続いていたんですね。
大きさによっては失神するほどの痛みが出るという、「腎結石」。
地獄の苦しみと形容されることもあるそうな。
脱水によって、腎結石ができてしまうことがあるそうです。
脱水状態になり、体内の水分量が減ってしまうと、老廃物の量は変わらないまま水分が減るため、尿は濃くなります。
すると、腎臓の中で、カルシウムと老廃物のシュウ酸などが結合しやすくなり、腎結石ができてしまうのだ。
この結石が大きくなったり、尿管に詰まると、あの激痛が生じてしまう。
尿が濃くないから安心というわけでも、ないそうです。
そこには、頻尿が大きく関係している可能性が。
実は、腎臓は、体内の水分量を調整する働きもあるんです。
それが、「尿細管」と呼ばれる場所。
(水分量を調節する=尿の濃度を調整する)
この尿細管という部分が衰えてしまうと、頻尿に。
頻尿になってしまうと、尿を濃くできず、必要な水分も排出されるため、夜トイレに行く回数が増えてしまうんです。
原因は主に、加齢によるもの。
そして、夏の暑い日に、この頻尿状態を軽く見ている人が、一番危険だという。
これは腎臓だけではなく、他の病気につながる可能性も。
頻尿が引き起こす、もう一つの病気とは?
加齢などが原因で頻尿になると、夜トイレに行くのを避けるため、就寝前に水を飲まないで寝てしまいます。
しかし、尿細管の機能は低下しているので、夜中にトイレへ。
そしてまた、水分を摂らずに就寝。
さらには、夏の夜は気温が高いため、大量の寝汗を書きながら寝続けることに。
この状態を繰り返すことで、脱水状態になり、血液はドロドロ。
すると、前述のとおり、腎臓に老廃物が溜まり、腎臓の病気になりやすくなってしまいます。
そして、この状態からなりやすい、もう一つの病気がある。
それが、「脳梗塞」。
夏の明け方は、一番脳梗塞を起こしやすいのだそう。
頻尿のみで命の危険はありませんが、脳梗塞になったら、話は別です。
命を守るためにも、水分を摂るよう、心掛けましょう。
□ ドクネット
引き続き、東京慈恵会医科大学附属病院 腎臓・高血圧内科の 横尾隆 主任教授に、教えていただきます。
<頻尿の目安は?>
人によって異なるので、一概には言えないのですが、一般的にはこう言われている。
1日のトイレの回数が7回程度なら、正常。
8回以上なら、少し頻尿を疑った方がよいかもしれません、とのこと。
<脱水セルフチェック>
起きた時の体重が、夜寝る前よりも、「0.5kg以上減っている」場合は、脱水の可能性あり。
人間は、1時間に2リットルまで汗をかくことができるのだとか。
外で作業をするとか、スポーツをした時に、(500mlの)ペットボトル2本くらい飲んで、十分水分は足りていると勘違いしている人もいるようですが、実は、全然足りていないというケースも。
それを見分けるためには、調子が悪いなと思った時に、体重をはかり、水分をしっかり摂っているはずなのに体重が減っていたら、その分の水分を補給した方がよいとのこと。
まだまだ暑い日が続きそうです。
脱水に気をつけ、しっかり水分補給しましょう!

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