【スーパーミネラル】 亜鉛と味覚障害/ゲンキの時間
夏が旬の、スーパーミネラル食材。
三重県鳥羽市畔蛸町の牡蠣(カキ)。
豊富に含まれる亜鉛は、約300種類の酵素の働きに欠かすことができない、非常に重要なミネラルなのだ。
低亜鉛血症の体験談。
(1) 体重が激減。食事が楽しくない。
(2) 手のしびれ。うつ症状。
味覚障害との関係。
ミネラル不足のサインも紹介。
ドクネット:順天堂大学医学部 総合診療科 内藤俊夫 主任教授。
ゲスト:西郷輝彦。
ゲンキスチューデント:春香クリスティーン。
ゲンキリサーチャー:TKO 木本武宏。
2017年7月2日放送の「健康カプセル! ゲンキの時間」より、「~ この夏を乗り切るために! ~ 発見! スーパーミネラル」からのメモ書きです。

□ スーパーミネラルと畔蛸町の牡蠣

暑くなってきましたね。
水分不足、ビタミン不足に、気をつけたい季節です。
でも、夏にこそ積極的に摂りたいものが、もう一つあったんです。
それが、スーパーミネラル。
潜在的なケースを含めると、このスーパーミネラルは、日本人の約30%以上が不足しているといわれているのだそう。
不足した状態が長引けは、以下のような症状が出る可能性も。
・免疫低下
・うつ
・認知機能低下
・皮膚疾患
・貧血
・味覚障害
・下痢
・白内障
・活力低下
・生活習慣病
・脱毛
・かゆみ
・床ずれ
・自己免疫疾患
こんなにも影響が。
まずは恒例の、基礎クイズから。
Q)ミネラルについて、次の中で、誤っているのはどれでしょうか?
A:骨や筋肉など、組織を構成している。
B:体内で作られる。
C:熱に強い。
答えは、「B:体内で作られる」。
人間の骨や筋肉などを構成しているミネラルは、エネルギー源となる三大栄養素(たんぱく質・脂質・炭水化物)の代謝を助け、ビタミンと並んで、生命維持に欠かせない栄養素。
たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルが、五大栄養素と呼ばれます。
ミネラルは体内で合成することができないため、食べ物などから摂取しなければなりません。
そんなミネラルの中でも、夏にこそ摂りたいスーパーミネラルがあるという。
そこで訪れたのは、三重県鳥羽市畔蛸町(あだこちょう)。
漁業歴40年の男性に、教えてもらいます。
スーパーミネラルが豊富な食材とは、「牡蠣(かき)」でした。
冬に旬を迎える、真ガキ。
夏に旬を迎える、岩ガキ。
三重県的矢湾では、この両方が養殖されており、年中、新鮮な牡蠣が食べられるのだ。
とれたての牡蠣を木本さんが食べることになったのですが、もう、プリップリ。
しかも、大きいですね~。

いや~、うらやまし~~い!
牡蠣を食べているこの漁師さんは、風邪もひかないし、夏バテもしないという。
水産物の栄養に詳しい専門家に、聞いてみましょう。
三重大学 大学院 生物資源学研究科の 柴田敏行 准教授です。
牡蠣は、「海のミルク」とか「海の完全食品」と言われています。
健康や美容にうれしい成分が、たくさん入っているのだ。
中でも特筆すべきが、「亜鉛」だという。
そう、スーパーミネラルとは、亜鉛のことなのです。
人間の身体の中には、約2000種類以上の酵素があります。
それが、生命の活動に関与しているんです。
その中の約300種類の酵素の働きに欠かすことができない、非常に重要なミネラルが、亜鉛なのだ。
酵素は、取り入れた栄養素を消化、吸収し、体内の各所で、それぞれ必要な役割をするよう働きかける、いわば、「生命の源」。
亜鉛は、300種類もの酵素の材料となり、主に細胞の新陳代謝を助けてくれる。
したがって、肌や毛髪はもちろん、内臓や筋肉、脳に至るまで、全身の健康を保ってくれるんです。
また、性ホルモンとも密接な関係があり、男性ホルモンの材料、そして、女性ホルモンの分泌を、促してくれます。
そんな亜鉛は、肉類や海産物、チーズや卵などに多く含まれますが、その中でも牡蠣は、ダントツの含有量を誇るのだ。

さらに、畔蛸町沖で育った岩ガキには、他と比べて優れた点があるのだという。
牡蠣養殖の本場、的矢湾の中でも、畔蛸町沖は、伊勢湾からの海流と黒潮がぶつかり、栄養価豊富な海水が流れ込むのに加え、山からもミネラル豊かな水が。
したがって、牡蠣のエサとなるプランクトンが、すごく豊富なんです。
そのため、ここで養殖された岩ガキは、タグ付きのブランド「畔蛸の岩ガキ」として、他の養殖産地に比べ、1年近くも早く出荷できるのだとか。
そんな牡蠣を毎日食べている人は、亜鉛が十分に足りているのでしょうか?
先ほどの漁師さんに加え、岩ガキの生産者仲間4人にも協力していただき、検査してもらいました。
何と、全員、10年以上、風邪をひいていないのだという。
健康診断の結果も、問題なし。
5人には、分析のため、毛髪を少量、提供してもらいました。
毛髪には、体内のミネラルが蓄積しているので、亜鉛の過不足が分かるんです。
分析の結果は、全員問題なし。
さすがだ。
でも、牡蠣を食べていれば、OKなのでしょうか?
柴田先生のお話。
「亜鉛の吸収率というものは、腸管からはですね、残念ながら、30%程度しか吸収されないことが分かっています」
「約70%は、(体外に)出てしまいます」
また、亜鉛は水溶性のため、多くが汗で流れ出てしまうのだとか。
夏に積極的に摂りたい訳は、ここにあったんですね。
さらに、ストレスを受けると、大量に消費されるといいます。
亜鉛は身体にとって大切なミネラルでありながら、とても不足しやすいんですね。
事実、日本人の推計30~40%が、亜鉛不足だという報告も。
では、今回の検査で、全員 亜鉛が十分だった秘密は、どこにあるのでしょうか?
□ 食べ方のポイント

実は、今回お世話になった漁師さんは、民宿も営んでおられます(民宿旅館 北川)。
亜鉛が十分だった謎も、そこにあるらしい。
普段よく食べているという、岩ガキ料理を教えてもらうことになりました。
まずは、囲炉裏で焼いた「焼きガキ」。
レモンをジュッとしぼって、いただきます。
調味料は一切使わないんですね~。
続いては、「カキの味噌炒め」だ。
味噌にニンニクを入れて作るのが、ポイントだとか。
さらには、「カキのあおさ磯部揚げ」。
名産のあおさを、衣にしています。
サックサク。
そして、シメには「カキ飯」を。

これらの食べ方について、専門家の話を聞いてみましょう。
お茶の水健康長寿クリニックの 白澤卓二 院長です。
「非常に効果的な食べ方をしてると思います」
「牡蠣とレモンは定番の組み合わせなんですが、実はレモンにはクエン酸とかビタミンCが含まれていて、これが亜鉛の吸収をアップしてくれる組み合わせなんです」
味噌炒めは、ニンニクを入れたのが大正解。
ニンニクに豊富に含まれているビタミンB6は、亜鉛の大敵であるストレスを軽減してくれる上、吸収した亜鉛が正常に働くよう、サポートしてくれるんです。
あおさ磯部揚げにも、ポイントが。
「牡蠣には亜鉛だけじゃなくて、銅という必須ミネラルも、含まれているんですね」
「あおさの方には、マンガンという必須ミネラルが含まれているんです」
亜鉛、銅、マンガンという3つのミネラルは、体内で抗酸化能力を持つ酵素の材料なんです。
つまり、免疫力アップや、動脈硬化などの生活習慣病予防が、期待できるのだ。
カキ飯のポイント。
亜鉛は水溶性のため、煮たりすると、水に溶けだしてしまいます。
ですが、カキ飯の場合、溶け出た亜鉛を米が吸収するので、余すことなく摂取することができる。
今が旬、岩ガキの亜鉛パワーで、夏を乗り越えましょう!
□ ドクネット
順天堂大学医学部 総合診療科の 内藤俊夫 主任教授に、解説していただきます。
<老化にもいいの?>
→ 亜鉛は、細胞の老化に対して、再生を促進してくれます。
亜鉛は、必ずしも、多ければいいというわけでもないのだそう。
足りないことが、むしろ心配。
足りない状態のことを、「低亜鉛血症」といいます。
診断基準が定められていないため、血清亜鉛値や症状と合わせて、総合的に診断されるのだとか。
内藤先生によると、低亜鉛血症になると、全身のいたるところに様々な症状が出るらしい。
しかも、深刻化するまでなかなか本人は気づかないという特徴も。
□ 低亜鉛血症の事例

亜鉛欠乏の症状とは、どういったものなんでしょう。
実際に内藤先生のもとを訪れた患者さんの例を、紹介してもらいました。
[ケース(1)]
63歳の主婦、Aさん。
3年前のこと、体重計に乗って、驚いた。
50kg だった体重が、45kg に。
3か月で、5kg も減っていたのです。
夏バテの影響かと思い、当初は気にしなかったものの、体重は徐々に減っていくばかり。
さすがに気になって、病院へ。
ガンなどの重い病気も疑い検査を受けるも、結果は異常なし。
原因が何か分からず、病院を転々とする日々。
そして、たどり着いたのが、内藤先生だったのです。
内藤先生のお話。
「体重が減るといってもですね、いろんな理由があるんですね」
「で、そういった方の場合には、我々は、いろんなお話を聞いてみるんですね」
「最初に聞いたところですね、引っかかる言葉がありまして…」
「私は、亜鉛を測ってみたんですね」
「そうしますと、普通 60μg/dL ぐらいある数値が、20μg/dL しかなくて、低亜鉛血症と診断しました」
先生が引っかかった言葉とは、「食事が楽しくない」ということ。
そこで、亜鉛の欠乏による味覚の障害を疑ったのです。
低亜鉛血症の典型的な症状の一つが、「味覚障害」。
舌の表面には、味を感じるセンサーの役割をする「味蕾(みらい)」という器官があります。
味蕾は細胞を代謝する周期が短いため、多くの亜鉛を必要とする。
したがって、亜鉛が欠乏すると、細胞の生まれ変わりが進まず、味覚障害に陥ってしまうことがあるんです。
この女性は、食事がおいしくないということで、知らぬ間に、食事の量が減っていたんですね。
無自覚の食欲減退が、体重減少の原因だったってわけ。
徐々に進行していくため、初期だと自覚しづらい、味覚障害。
重症化すると、何を食べても味がしなかったり、時には、砂や粘土を食べている感覚になることも。
では、Aさんは、なぜ、低亜鉛血症になってしまったのでしょうか?
Aさんの場合、年齢の影響が大きかったようです。
加齢とともに、総体的に食事の量は減ってくるし、腸管からの亜鉛の吸収も落ちてくる。
しかも、Aさんの場合、味覚障害がさらなる悪循環をもたらしていました。
それが、インスタント食品。
料理が億劫になり、頻繁に食べるようになっていたそう。
インスタント食品には、亜鉛の吸収を阻害する添加物「ポリリン酸」などを含むものがあるんです。
これらを多く摂り過ぎてしまうと、低亜鉛の原因になることも。
[ケース(2)]
50歳の会社員、Bさん(男性)。
異変に気づいたのは、5年前でした。
最初に現れた身体の変化は、手のしびれ。
さらに、うつのような症状に、悩まされたことも。
不安になり、内藤先生のもとを受診したところ、「低亜鉛血症」と診断されました。
内藤先生のお話。
「亜鉛はですね、いろんな細胞の再生に関わってますので、神経の細胞なんかにも関わってるんですね」
「欠乏してしまうと、どうしても末梢の神経に影響が出て、しびれが出ることがあります」
「亜鉛は、ホルモンの生成にも影響してますので、亜鉛が足りなくなると、ホルモンの分泌が悪くなって、精神症状にも影響してきます」
Bさんの低亜鉛血症の原因は、何だったのでしょうか?
このケースは、極端な食事制限が原因でした。
実は、Bさんは健康診断でコレステロールが高かったことを受け、肉や卵など、動物性の食品を控えていたんです。
動物性の食品は、亜鉛を多く含み、たんぱく質がその吸収を高めてくれるので、極端な制限は、亜鉛欠乏を招くことがあるんですね。
若い人でも、過激なダイエットをすると、こういったケースがあるので、注意が必要。
気づかぬうちに陥っているかもしれない、低亜鉛血症。
注意したいところです。
スタジオのみなさんも、亜鉛の量を調べてみました。
毛髪から、亜鉛とそれ以外のミネラルを測定。
その結果、みなさん、亜鉛の量は十分でした。
そのほかのミネラルについては、三宅さんは、セレンの値が低め。
セレンの深刻な不足は、心臓のポンプ機能が低下する心筋症を招き、動機や息切れなどの症状が現れることがあるとのこと。
セレンを多く含む食材は、魚介類やレバー、卵など。
春香さんと西郷さんは、マンガンの値が低めでした。
マンガンの不足が深刻化すると、脂質代謝などに影響を及ぼし、肥満などの原因に。
マンガンは、あおさや海苔などの海藻類や、大豆製品、ナッツ類に多く含まれます。
<ミネラル不足のサイン>
・貧血気味。
・脱毛。
・肌荒れ。
・足がつりやすい。
・疲れやすい。

このうち、1つでも当てはまると、すでにミネラルが不足している可能性が。
貧血は、鉄分や銅などの不足で起きます。
脱毛や肌荒れは、亜鉛などの不足。
足がつるのは、カルシウムやマグネシウムなどの不足が影響。
疲れやすさは、いろんなミネラルが関わっている可能性が。
夏だからこそ、ミネラル摂取に気をつけましょう!
[関係する記事]
→ 「亜鉛欠乏の恐怖! 花粉症対策は雨の翌日に!」
→ 【更年期障害と橋本病】 ヨガと筋トレでホルモンを増やす
→ 【牡蠣】生食用と加熱用の違い&カキペースト&から揚げ
- 関連記事
-
-
【むくみ改善】 パンパン法&ウンパニ体操/ゲンキの時間 2017/07/16
-
【ムダ汗】汗腺刺激トレーニング&梅醤番茶/ゲンキの時間 2017/07/09
-
【スーパーミネラル】 亜鉛と味覚障害/ゲンキの時間 2017/07/02
-
【鳥取】 ラッキョウと薬味の健康効果 2017/06/25
-
【ゴースト血管】簡単テスト&ルイボスティー効果/ゲンキの時間 2017/06/18
-
tag : 健康カプセル!ゲンキの時間
<スポンサードリンク>


