【生乾き臭・部屋干し臭】 モラクセラ菌を撃退する方法/ガッテン
生乾きのニオイ、主な原因は「モラクセラ菌」だった。
ヨーロッパの洗濯方法に、解消法のヒントが。
60℃で洗うと、増えない。
<日本での菌撃退法>
・アイロンをかける。
・コインランドリーの乾燥機にかける。
・酸素系漂白剤を使う。
ベイスターズのユニホームを洗濯する、クリーニング師。
解説:横浜国立大学 環境情報研究院 大矢勝 教授。
2017年6月14日放送の「ガッテン」より、「梅雨を快適に! いや~な部屋干し臭 一発解消SP」からのメモ書きです。

□ 生乾きのニオイの原因

ジメジメした梅雨に悩むことといえば、これ。
「生乾き臭・部屋干し臭」。
実は、5年前、生乾きのニオイについて、重大な論文が発表されたんです。
それによって、ニオイの原因が解明され、ついに、その対策が判明した。
家でも簡単にできる、その方法とは?
まず向かったのは、ドイツ ベルリン。
実は、ヨーロッパで暮らす多くの人は、生乾きのニオイを知らないのだという。
主婦のロッテ・セイガードさんのお宅を訪ねました。
日本から持っていった生乾き臭のあるタオルを、いつものやり方で洗濯してもらいます。
「私がいつもやってる方法なら、絶対 臭くならないわ」と、自信満々のセイガードさん。
ドラム式の洗濯機に、タオルを入れます。
液体洗剤を入れて、スイッチオン。
洗い終わったら、乾燥機能は使わずに、部屋で干しました。
たったそれだけなのに、タオルが乾くと、ニオイが消えていました。
なぜなんだ?
どんな魔法を使ったの?
その前に、部屋干し臭の原因は、何なのでしょうか?
今から5年前に発表された論文。
「Moraxella Species Are Primarily Responsible for Generating Malodor in Laundry」
なんと、生乾きのニオイの犯人が、突き止められたんです。
解明したのは、花王の主任研究員 久保田浩美さん。
「実際に、いろいろな家庭から、生乾きのニオイのする衣類、そのものをいただいてきて、その中の多くから、モラクセラ菌が、ニオイを発生させるということが分かってきました」
生乾きのニオイの主な原因は、「モラクセラ菌」だったんですね。

モラクセラ菌は、皮膚の上、口の中、イスの上など、いろんな所にいる菌です。
人の肌にいる常在菌で、家の中など、様々な場所に存在しているのだ。
買ってきたばかりの、新品のタオル。
その一部、「4センチ×4センチ」(重さ 1g ほど)に、どのくらい 菌がいると思います?
わずか、これだけに、50個もいる。
新品で、ですよ。
でも、新品のタオルは、ニオイませんよね。
これは、どういうことだろう?
実は、ニオイ始めるのは、モラクセラ菌が分裂・増殖する時なんです。
では、どんな状況で、モラクセラ菌は増えちゃうのでしょうか?
あるご家庭で、検証です。
部屋干しするのは、一番風通しの良いリビング。
特にニオイが気になるのが、4年間愛用しているバスタオルだといいます。
洗濯ものを干し始めて、5時間後。
まだ、ニオイはしないようです。
ほとんど乾いたのは、10時間後。
あらら、やっぱり、くさい。
ニオイのプロに、判定してもらうことになりましたよ。
協力してくれたのは、臭気判定士の 松林宏治さん。
ニオイレベルは、MAXの「5」に近くなってる可能性もあるほどだった。
実は、モラクセラ菌は、適度な湿気が大好きなんです。
洗濯ものが湿っている時が、増殖の絶好のチャンスなんですね。
だから、乾くまでの時間が長ければ長いほど、菌はどんどん増えて、ニオイも強くなるってわけ。
そこで、調べてみることに。
洗濯直後のタオルを切り分けて、部屋干しと天日干しで、細菌の数がどれほど違うのか、実験です。
協力してくれたのは、日本防菌防黴学会(にほんぼうきんぼうばいがっかい) 会長 近畿大学農学部 元教授の 坂上吉一さんです。
ちなみに、洗濯する前のタオルでは、6600万個の細菌がいました。
さすが、4年間愛用してるだけある。
結果は、このようになりました。
洗う前:6600万個
天日干し:5300万個
部屋干し:6980万個
違うような、そんなに違わないような…。
でも、洗ってるんですよね。
その時、6600万個から、どうなってるんだろう?
さすが、ガッテンです。
洗濯直後の数も、調べてくれてました。
それがこれ。
洗濯直後:4150万個
ゼロ近くにはならずに、こんなに残ってるんですねえ。
実は、洗濯をした直後でも 細菌がたくさん残るには、理由があったんです。
洗濯をすると、ニオイは、いったん落ちます。
そして、細菌も、落とす。
洗剤には、そういう力があります。
残ってしまうのは、長年 タオルをずっと使っていくうちに、あることが起きるから。
なんと、いわば、バリア状態になってしまうのです。
菌がたくさん積み重なって、中の方まで、洗剤が届かなくなるのだ。
それが繊維と絡み合って、落ちなくなるというわけ。
洗濯すると、落ちる菌もあります。
ニオイ自体も、リセット。
でも、バリア状態になってしまった菌は、残っちゃうんですね。
バリア化した細菌は、なかなか洗い流せない。
残った菌は、やがて増殖を始め、またニオイを出す。
さらに、増えた菌がバリア化するので、たいへんなことに。
バリア状態になってる写真が、こちら。

横に走っている太い線は、繊維です。
小さな粒々が、菌。
菌が積み重なって、1つのバリアを形成しています。
ひえ~。
洗い流せなかった細菌は、長い間、衣類やタオルに残ります。
その細菌が積み重なって、ニオイやすい状態に。
□ モラクセラ菌を消すには

ということは、バリア状態になってる細菌をゼロにできれば、いいわけだ。
ドイツの洗濯方法では、ニオイが消えていました。
普通に洗っているように見えましたが、どの工程に、秘密があるんだろう?
使っていたのは、ドラム式洗濯機と液体洗剤。
乾燥機能は使わずに、部屋干ししていました。
ここで スタジオに登場したのは、ドラム式洗濯機。
外国製のようです。
驚きの機能でも、あるのだろうか?
実は、60℃で洗っていたんです。
モラクセラ菌は、何℃で死ぬんでしょう?
愛知学院大学の 川村好章 教授に、調べていただきました。
「60℃まで上げると、菌が発育してきませんので」
「60℃ぐらいまで加熱すれば、菌が抑えられるということが分かりました」
モラクセラ菌は、60℃で加熱すると、増殖しない。
よって、ニオイを抑えらえる。
ヨーロッパでは、お湯を使って洗濯するようです。
それには、深~い訳が。
オーストリアのウイーン市立博物館に、その答えがありました。
ヨーロッパで使われてきた伝統的な洗濯機には、かまどのような部分がついています。
下の部分で 火を焚いて、熱湯で洗濯してたのか。
博物館館長の ウラディミラ・ブスッカさんが、説明してくれましたよ。
「中世ヨーロッパで 伝染病が蔓延したころから、煮て洗うことは普通に行われていました」
「細菌や害虫を全滅させて、衛生的で清潔です」
かつて、ヨーロッパでは、ペスト菌が蔓延しました。
何度も流行し、そのたびに多くの被害を出してきた。
お湯を使った洗濯は、ペストなどの伝染病が広がらないように、普及したんですね。
ヨーロッパには、今もその習慣が残っていて、その結果、生乾きのニオイ対策にもなっていたってわけ。

でも、残念ながら、日本では、ほとんどの場合、この方法は使えないようです。
説明書には、「50℃以上のお湯を洗濯・脱水層に直接入れない」などと書いてある。
(機種によっては、50℃以上のお湯を使用できるものもあります)
熱いお湯での洗濯を想定してないんですね。
じゃあ、どうすればいいんだろう?
お湯を使わず、洗濯物を60℃以上に加熱して、細菌をやっつける方法とは?
それが、これだ。
モラクセラ菌をやっつける!
<60℃以上の高温で加熱する方法>
・乾燥させずにアイロン
・コインランドリーの乾燥機
・酸素系漂白剤を使う
まずは、アイロンを使うこと。
ポイントは、脱水したままの洗濯ものに、直接アイロンをかけることです。
温度は、中温から高温(160℃~200℃)がおススメ。
水分があることで、中まで十分に、熱を伝えることができます。
蒸気が出ていれば、熱が伝わっている証拠。
これを、ほぼ乾いた状態になるまで続ければ、OK。

フェイスタオルなら、5分ほどで、細菌をやっつけることができます。
2つ目の方法は、コインランドリーの乾燥機を使うこと。
というのも、コインランドリーの乾燥機は、温度が高いんですね。
家庭用のものは、機種にもよりますが、おおむね 60℃ぐらいの送風。
洗濯ものを入れた状態だと、なかなか60℃を超えません。
菌をやっつけるまでは、いかないようです。
一方、コインランドリーの乾燥機の送風は、80~120℃。
(高温にならない乾燥機もあるので、注意してください)
コインランドリーの乾燥機の温度は、比較的高温。
したがって、洗濯物の細菌をやっつける力があるのだ。
乾燥機を使用する際には、湿っている状態で行えば、除菌効果アップ! とのこと。
そして、3つ目の方法がこれ。
「酸素系漂白剤」を使う。
その際に、ポイントがあります。
40℃ほどのお湯を使うこと。
洗濯ものが少量の場合は、バケツを使って、15~20分つけこんでから、洗濯するだけ。
洗濯ものがたくさんある時には、直接 洗濯機に入れる方法もあります。
あったかい状態のお風呂のお湯を使ったり。
給湯器が使えるなら、40℃のお湯をそのまま入れても、OK。

(漂白剤や洗濯機の使用上の注意をよく読んでから、行ってください)
これで、くさかったタオルが復活しました。
さらば、生乾き臭!
□ 大矢勝先生の解説
ここでスタジオに、専門家の先生が登場。
横浜国立大学の 大矢勝 教授です。
洗濯の研究がご専門。
漂白剤と除菌との関係について、教えてもらいましょう。
漂白剤は、大きく、塩素系漂白剤と酸素系漂白剤の2つに分類することができます。
塩素系漂白剤の方が、ものを分解する力が強い。
しかし、それだけに、使える繊維が限られます。
色物には、使えないんですね。
また、木綿とかポリエステルとか、強い繊維にしか使えません。
酸素系漂白剤には、粉末タイプと液体タイプが。
除菌効果が優れているのは、粉末タイプだという。
水に溶かした時の化学反応で、除菌力がアップするようになっているのだとか。
ただし、この粉末タイプは、ウールやシルクなどの繊維には、使用できません。
それぞれ、使用上の注意をよく読んで、確認してから、使ってくださいね。

(塩素系漂白剤と酸素系漂白剤は、決して混ぜないでください。たいへん危険です)
「酸素系漂白剤の除菌効果」のグラフ。

温度を高めてやると、それだけ除菌の効果が高まります。
40℃であれば、約15分間で、限りなくゼロに近くなる。
<漂白剤の注意点>
・50℃を超えるお湯は使わない。
・酸素系漂白剤と塩素系漂白剤は、絶対に混ぜない。
対策の頻度ですが、月に1回ほどでよいそう。
ニオイ対策
<注意してほしいポイント>
・洗濯表示をよく見ること。
中には、漂白剤が使えないものや、アイロンが使えないもの、乾燥機に入れてはいけないものが、あります。

そんな表記がある場合は、要注意。
きちんと確認してから、行ってくださいね。

アイロン、コインランドリーの乾燥機、漂白剤。
ニオイ対策をすれば、生乾き臭のない梅雨に!

ガッテン! ガッテン!
□ ベイスターズを支えるプロフェッショナル

交流戦も終盤、プロ野球の世界。
汚れてしまったユニホームは、誰が洗濯してるのでしょうか?
そこには、スペシャリストの姿が。
チーム専属のクリーニング師、関村英樹さん。
「汚れが落ちていない、ニオイが取れていない、それで選手たちに渡ってしまうと、プレーに支障が出てくるかもしれないので、そこは気をつけてやってます」
洗う時に使うのは、酸素系漂白剤。
洗剤と、あわせて使っています。
水の温度は、60℃。
乾燥させる時の温度は、80~90℃。

ニオイ対策、バッチリですね。
洗濯したユニホームは、新品同様だ。



次回は、これ。
身を清める、健康茶になる、ノンアルコールビールに。
「ザ・食物繊維! ゴボウがコクだし調味料に早変わり」。
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