【低栄養】 高齢者は 肉を食べよう 10食品群チェックシート/ガッテン


寝たきりにならないために、必要なものは?

お年寄りに不足しやすい栄養素は、たんぱく質だった。

意識的に、肉を食べよう。

特に、一人暮らしの高齢者は、注意。

「10食品群チェックシート」を使って、チェックだ。


足りているかは、アルブミン値でチェック。



解説:東京都健康長寿医療センター 協力研究員 熊谷修。



2017年5月24日放送の「ガッテン」より、「筋肉! 血管! 免疫! あの栄養素で体ごと強くなるSP」からのメモ書きです。




ためしてガッテン 低栄養とたんぱく質




魔法の声かけと低栄養


ササミ
人は誰しも、年を取ります。

でも、どれだけ高齢になっても、元気でいてほしい。

できれば、寝たきりにならずに、自分で歩ける身体であってほしい。

そんな願いが、ありますよね。


今回紹介するのは、「魔法の声かけ」

それは、こんな言葉だという。

「もっと、〇〇しなよ」


さて、その言葉とは?

何をすれば、いいの?




実は、この言葉、「栄養失調」を心配してのものなんです。


え? 栄養失調?

そう思うかもしれませんが、昔だけの話じゃないんですね。

今では、こういう言い方をします。

「低栄養」




【低栄養】

健康に生きるために必要な量、および質の栄養素が摂取できていない状態。特にたんぱく質やエネルギーの不足は貧血・脳出血、筋力や免疫力の低下などの原因となる。(大辞泉)





厚生労働省の調べから推計すると、70歳以上の 3~4人に1人が、低栄養の危険がある状態なのだそう。

しかも、ほとんど無自覚。



食べるものが十分でなかった戦後、栄養失調は珍しいものではありませんでした。

でも、今は飽食の時代、栄養が足りてないなんて、ちょっと意外ですよね。

ダイエットとか、カロリーオフとか、そんな話が多いのに。


ところが、厚生労働省が毎年行っている「国民健康・栄養調査報告」によると、70歳以上の高齢者1007人のうち、なんと、325人に、低栄養の恐れがあることが、分かったんです。

しかも、ほとんどの人は、低栄養であることに気づいていません。


低栄養は、寝たきりになる要因に!


東北大学などの研究があります。

71歳以上のお年寄り 832人を、3年間、追跡調査しました。

すると、栄養素が低い人たちは、高い人たちに比べて、3年後、要介護になったり、亡くなったりしていた人の割合が、2.3倍も高くなっていました。


低栄養と寝たきりのリスク






実は番組でも、以前、低栄養の方を取材していたんです。


7年前の2010年当時、87歳だった女性。

一見お元気に見えますが、あることに悩まされていました。


歩いている時に、つまづくことが増えたんです。

ある日ついに、階段から落ちて、動けなくなった。


診断の結果は、大腿骨の骨折。

そのまま寝たきりになってもおかしくない、大ケガでした。


実は、その背景として浮かび上がったのが、「低栄養」


当時の主治医、林泰史 先生のお話。

「この患者さんは、明らかな低栄養の状態であったと」

「手術適応になる骨折患者さんについて調べたところ、ほとんどが、低栄養状態であった」




でも、この女性には、何が足りなかったのでしょうか?


食べるのが好きで、1日に3食、ちゃんと食べています。

もう、もりもりというぐらいに。



もちろん、お医者さんが低栄養だと診断するぐらいですから、基準があります。

それが、「アルブミン値」

4.0以下は低栄養の危険があるのですが、この女性は、2.8だったんです。




ということで、答えに近づいてきました。

足りないのは、ある栄養素。

魔法の声かけは、「もっと、〇〇を食べるようにしなよ」


それは何だ?




寝たきりにならないために、ぜひ食べてほしいもの。

それは、宮城県仙台市にありました。

NPO法人 あかねグループ。

ここは、高齢者を対象にした、手作りお弁当を配達しているのだ。

その数、1日 200食以上だという。


で、肝心の正解ですが、「お肉」でした。

こちらでは、2日に1度は、お肉をメインにしてるんです。

さらには、魚、大豆、卵も、たっぷり。

つまり、重要なのは、「たんぱく質」なんですね。



NPO法人 理事長のお話。

「(お弁当を)届けることによって、元気になってきたから、病院の先生から、『お薬が減ったよ』とか、そういう声を聞くと、ああ、やっぱり、毎日の食事っていうのは大切なんだなって、切に感じる時がありますね」



高齢者 宅配弁当



では、利用者の声は、どうでしょう。


83歳の女性。

週に5日、夕食に、お弁当を頼んでいます。

たんぱく質を摂るようになってからは、弱っていた体力も回復。

とっても元気に、なったんですって。

フラフラだった足腰も、今では、1日1万歩 あるくまでに回復したのだ。



91歳女性は、お弁当の影響で、食生活が変わったという。

昔は、お肉は自分であまり買わなかったのですが、お弁当になってから、食べるようになった。

前はよく息切れしたり、めまいがしていたらしいのですが、「丈夫になったんじゃないの?」と言われるまでに。




こうしたお弁当に、今、国が大注目。

宅配弁当のガイドラインまで作成し、高齢者の栄養のサポートに、本腰を入れているのだとか。


ガイドライン作成に関わった、女子栄養大学の武見ゆかり教授のお話。

「(お弁当が)高齢者自身の暮らしを豊かにしていくことにもつながると思います」

「(お弁当が)一種の教材のような役割も果たして、こんな風な組み合わせで、こんなものを食べればいいのねって、分かっていただくような、健康支援につながればいいと、考えています」





これで、答えが出ました。

魔法の言葉は、これ。

「もっと、肉食べるようにしなよ」




アルブミンとは、血液中にある たんぱく質。

これが少ないのは、身体に たんぱく質が足りてないサインなんです。

(*肝臓・腎臓の機能低下などで減少することもあります)


身体のたんぱく質を増やすのは、「魚」や「卵」「大豆」など。

中でも「肉」は、たんぱく質を増やす効率が、特に優れているのだ。




たんぱく質不足と病気の関係


ササミ
実は最近、身体の中の たんぱく質量は、お年寄りの健康に深く関わっているのだと、分かってきたのだ。

例えば、心筋梗塞などの「冠状動脈性心疾患」

発症すると、寝たきりや要介護にも、つながりかねません。

アメリカで、4000人以上のお年寄りを調べたところ、アルブミン値が低い人は、高い人に比べて、心臓病の危険度が、男性で 1.2倍。

そして女性では、2.5倍も増えていたんです。


アルブミン値と心臓病にかかる危険度




さらに、アルブミン値は、肺炎とも関係が!


厚生労働省 呼吸器感染症の研究班は、65歳以上の肺炎患者50人と、かかっていない人110人を調べたそうな。

すると、アルブミン値が低い人たちは、それ以上の人たちに比べて、肺炎のかかりやすさが 9倍にもなっていたらしい。


アルブミン値と肺炎にかかるリスク




たんぱく質と、心筋梗塞に、肺炎。

そこには、どんな関係が?


お肉(たんぱく質)が身体に及ぼす影響を、勉強しましょう。



肉を食べると、体内でいったん、バラバラに分解されます。

この状態が、「アミノ酸」。

そして、吸収されると、実は、様々な種類の形に、変身しちゃうんですね。


バラバラになったアミノ酸が、組み立て直される。

これを全部総称して、「たんぱく質」と呼んでいます。

たんぱく質は、人間の身体の中にあるだけで、50万種類以上。



とっても不思議な姿の たんぱく質ですが、実は、この形こそが、私たちの身体にとって、とても大事らしいですよ。



取材班が向かったのは、兵庫県は佐用町。

理化学研究所の「スプリングエイト(SPring-8)」。

世界で一番大きな、放射光の施設です。


たんぱく質の研究者である 山本雅貴さんに、教えてもらいましょう。

施設が広いので、自転車で移動。

たんぱく質の姿を、見せてもらえることになりました。

それが、これ。


たんぱく質


大きさは、10万分の1ミリほど。

「ミオシン」に「コラーゲン」。

「フェリチン」に「シャペロン」。

「キネシン」。

スーパー顕微鏡で、不思議な形のたんぱく質が、次々と明らかになりました。

でも、どうして、こんな姿をしているのでしょうか?


山本さんは言います。

「たんぱく質は、生命の働きをつかさどるマシーンとして、一番重要な物質であります」



例えば、たんぱく質は、筋肉を動かすパーツになっています。


また、肺では、あるたんぱく質が肺炎球菌にくっついて、目立たせる。

すると、体内のお掃除屋さん「マクロファージ」が、その目印をガイドに、食べてくれるのだ。

つまり、たんぱく質は、免疫システムを支える抗体の材料となるんです。


心臓では、たんぱく質が血管の周りに巻き付いて、ガード。

血管を丈夫にしてくれています。


これらのパーツのほとんどは、肉などの たんぱく質を摂らないと、作ることができないんですね。


だからこその、あの言葉が出てくる。

「もっと、肉を食べるようにしなよ」




ササミ
肉(たんぱく質)は、身体のパーツの大切な材料になっていたんです。

エノキ
ガッテン! ガッテン!




肉を食べなくなる理由


ササミ
お年寄りにとっては、硬かったり、脂っこかったりで、肉を避けちゃう人も、多いですよね。

でも、実は、それ以外にも、肉を食べなくなってしまう理由が…。


子どもがいたり、夫が健在な頃、食卓には、たくさんの肉料理や卵料理が並ぶ。

でも、やがて、子どもが独立。夫が亡くなってしまうと、食生活に変化が。


実は、冒頭で紹介した女性も、そうだったんです。

一人暮らしになってからは、スーパーで選ぶのは、大好きな野菜中心。

たんぱく質は、1日1回の魚だけです。

肉や卵などが食卓に並ぶ機会は、いつの間にか、なくなってしまっていたんです。


こうして、自分でも気づかないうちに、たんぱく質が不足してしまうんですねぇ。

今、そんなお年寄りが、とても増えているのだとか。



ところが、そんな人たちでも、なぜか、自然とたんぱく質を摂りたくなる画期的な方法が、あるのだという。


実践しているのは、こちら。

秋田県は大仙市。


おやおや、60代から80代のみなさんが、元気に体操中です。

なんでも、あることをしたら、いつの間にか、たんぱく質を摂る量が増えたらしい。


何をしたのかというと、「10食品群チェックシート」を使ったのだ。


書かれているのは、寝たきりを防ぐのに必要な、10食品です。

そのうちの半分は、「肉」「卵」「牛乳」「魚」「大豆」といった、たんぱく質。

体内のマシーンの材料です。

さらに残りの5つは、このマシーンを効率よく動かすための、ガソリンや潤滑油のような役割を果たす。


その日に食べたものを、量は気にせずに、「〇」をつけていく。

7つ「〇」がつけば、合格だ!


10食品群チェックシート



利用者の声。


「空白になると、すごく気になるんですよね」

「それで、毎日、空白にならないように、埋めていきたいな~って、そういう楽しみがあります」


「空白になると、もっと頑張らなくちゃってなります」



大仙市は、65歳以上の方にシートを配ったところ、たんぱく質を摂る量が増加したんです。

低栄養の恐れがあった人の割合が、2年間で、大きく減った。

2012年 32.3%だったのが、2013年には 21.8%に。

2014年には、19.4%にまで減っている。




熊谷修先生の解説


ここでスタジオに、チェックシートを考案された先生が登場。

東京都健康長寿医療センター 協力研究員の 熊谷修さんです。



例えば、熊谷先生は昨日、焼きそばを食べました。

他にも、豆腐、ポテトサラダ、わかめの味噌汁、デザートを食べています。

なので、「肉」「油」「大豆」「緑黄色野菜」「芋」「果物」「海藻」と、項目に「〇」がく。

これで 7つあるので、この日は合格です。


大事なのは、意識すること。

毎日、可能な限り「〇」が入るように、してくださいね。

(1日3食を合計して、〇をつけてください)



食品チェックシート



熊谷先生によると、高齢者では、一番「〇」がつきにくい食品が肉なのだそう。

何かと悪者扱いされてきた肉ですが、不足してないか、チェックしてみてください。

肉に「〇」がついていくと、たんぱく質の量も増えていくことになります。


できれば、10個「〇」がつくことが理想。

でも、まあ、それを目標として、7つ以上の維持を目指す。


7つ8つ、毎日「〇」がつくような努力をすると、相当身体の弱りは減っていくと、先生は言います。

高齢者の要介護を予防する取り組みで、とても成果が期待できると。





そして、こんなデータも。

東京都健康長寿医療センターの行った調査。

低栄養の方 124人中、112人が、高齢者夫婦だったり、一人暮らしの方でした。


東京都健康長寿医療センターの調査




また、先生からは、こんな話も。

「むしろ、年をとればとるほど、間食の意義というのが、とても重要になります」

食べる量が、ちょっと今日は少な目かな、そう思う時には、間食を利用して補う。

できれば、チェックシートを見て、足りない分を補いましょうね。



年と共に、身体が小さくなったり、歪んだりするのも、たんぱく質不足が原因の一つ。

長生きするということは、人生の後半は、栄養失調と戦わねばいけない時代だと、先生は言います。


その重要性として、筆頭に上がるのが、たんぱく質とエネルギーをしっかり摂取することだと。


長寿は、低栄養との戦いなんですね。




注意もあります。

腎機能が落ちている人にとっては、たんぱく質を多く摂ることは、腎臓の機能に悪い影響を与えることがある。

腎臓病の人は、医師と相談の上、必要なたんぱく質の量を決めてください。






ササミ
健康長寿は、低栄養との戦いでもあります。

10食品群チェックシートで、たんぱく質をしっかり摂取しましょう。

エノキ
ガッテン! ガッテン!




宅配弁当も、お料理も、難しい方へ


食事を買う際には、「主食」「主菜」「副菜」が整ったお弁当を選びましょう。

たんぱく質が、きちんと摂れます。


幕の内弁当


特に、幕の内弁当などは 10食品を摂りやすいので、理想的。

また、乳製品を加えるのも、おススメです。


たんぱく質が少ないかなと思ったら、豆腐を加えたり、卵を加えたり、工夫はいろいろ。

手に入りやすく、好きな食材で、自分流にアレンジしてみては?


食べてもらいたいのは、老化が目立ち始める60歳以上のみなさん


ただし、摂り過ぎはカロリーオーバーや病気のリスクとなるので、ご注意ください。





10食品群チェックシートは、ガッテンのホームページにあります。

あるいは、FAXからも、取得できるようです。


 番組HP:nhk.jp/gatten/ (http://www9.nhk.or.jp/gatten/)

 情報FAX:0570-033-733 ボックス番号 55055







7年前に取材させていただいた女性ですが、肉や卵を食べるようになって、低栄養状態から回復。

その後、94歳まで、元気に過ごされたそうです。






番組の最後には、それぞれの故郷の言葉で、声かけが行われました。


笑福亭笑瓶さんは、大阪弁。

「もっと、肉食べるように、しぃな~」


山根千佳さんは、鳥取弁。

「もっと、肉食べるようにせんと、いけんよ」


眞鍋かをりさんは、愛媛弁。

「もっと、肉食べるようにせんかい」


小野文惠アナは、広島弁。

「もっと、肉食べなしゃあ」


立川志の輔さんは、富山弁だ。

「もっと、肉食べられ」







多くの人が、元気で長生きできますように。





NHKガッテン!  一生作り続けたいわが家の基本おかず100



介護されたくないなら粗食はやめなさい ピンピンコロリの栄養学 (講談社+α新書)



正しい肉食 五〇歳をすぎたら肉を食べなさい!


 



次回は、これ。

アレするだけで、シナシナのキュウリが、復活!

「気分爽快! キュウリのおいしさ 大発見SP」。




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