【不眠対策】 認知行動療法+筋弛緩法/きょうの健康
睡眠薬以外の方法。生活の改善を紹介します。
どのくらいの長さ、眠るのがいいの?
いつ寝るのがよいの?
体内時計のメカニズム。
<認知行動療法>
「睡眠日誌」をつける。
緊張を解く、筋しかん法。
解説:国立 精神・神経医療研究センター 三島和夫 部長(精神科)。
司会:黒沢保裕、岩田まこ都。
2017年3月16日放送の「NHK きょうの健康」より、「~ これで解消! あなたの睡眠不足 ~ 生活改善で不眠解消」からのメモ書きです。

□ 睡眠時間は どのくらい必要?

今回のテーマは、「不眠解消」です。
[症状]
60歳の会社員、Aさん(男性)。
最近、なかなか眠れません。
毎晩、布団に入っても、なかなか寝付けない。
ようやく眠っても、夜中に何回か、目覚めてしまいます。
逆に、朝は寝起きが悪い。
また、会社では日中に、急激な眠気に襲われることも。
なので、仕事の効率が、はかどりません。
Aさんと同じように、不眠で悩む人は多いようです。
日本人の睡眠に関する調査では、寝付けない、眠りが浅いなど、不眠症状がある人は、日本の成人の 3人に1人だと言われてるんです。
不眠症状が長く続き、生活に支障をきたす場合などには、「不眠症」と診断されます。
不眠症の治療では、睡眠薬が有効とされていますが、実際には、睡眠薬だけでは改善しないという人も、多いのだそう。
そこで今回は、「生活の改善」の部分に、スポットを当ててみましょう。
教えてくれる専門家は、国立 精神・神経医療研究センター 部長の 三島和夫 先生です。
三島先生は、精神科医で、睡眠の専門家として、診療と研究に、当たっておられる。
不眠解消のポイントは、2つあります。
1つは、「どのくらいの長さ眠るのがよいか」。
もう1つは、「いつ寝るのがよいのか」。
多くの人が気にするのが、睡眠の長さ。
けれど、三島先生によれば、一概に何時間くらい寝れば体調がよくなるというのは、ないのだそう。
とはいえ、一応の目安はあります。
<適切な睡眠時間の目安>
6~8時間だが、個人差あり。
日中、眠くて困らない程度。
目安は、おおむね、6時間から8時間とされています。
しかし、年齢や生活習慣で、かなり個人差が大きいようですね。
なので、睡眠時間の長さには こだわらないで、「日中に眠くて困らない程度」に、眠ればいいと。
それを目安にすればいいそうです。
つまり、仮に睡眠時間が 5時間であったとしても、日中眠くならず、日常生活で困ってないなら、あまり気にする必要はないと。
逆に、「8時間寝ないとダメなんじゃないか?」と強く意識しすぎると、それがプレッシャーになり、眠りの質が悪くなってしまうこともあるようです。
そもそも、中年くらいになると、実際に眠れる睡眠時間は、それほど長くないようですね。

つまり、ある程度の年齢になると、それほど長く寝なくても、身体の方はもつようになってくると。
ただ、個人差があるので、その辺もお忘れなく。
日中、眠くないか? 疲れは取れているか?
自分の身体に、耳を傾けてください。
では、実際に、自宅で、どのくらい寝床で横になっているのか?
そういうデータがあります。
下のグラフの、水色の部分がそれ。

見ると、10代20代だと、眠っている時間と寝床にいる時間に、あまり差がありません。
それが、40代50代では増えてきて、特に、60代70代だと、差がすごく大きくなっている。
睡眠時間は短くなっているのに、寝床にいる時間が とても長くなっています。
寝床でリラックスして過ごせる人は、これでも構わないのだそう。
しかし、不眠で悩んでいる人の場合は、「実際に眠れる時間」と「寝床にいる時間」のギャップを減らすことが、大切になります。
寝床に入るのだけれど、なかなか眠れない → それを繰り返す 。
すると、寝床に入ると眠れないというパターンが、できあがってしまうんです。
「寝床=眠れない場所」という、よくない条件反射になってしまうと。
この悪循環を、何とかしたいわけですね。
そこで大切になるのが、「いつ寝るのがよいのか?」ということに。
□ いつ寝るのが よいのか?

三島先生によると、ポイントはこう。
「身体の眠る準備が整ってから、寝床に入る」
しかし、これが、思いのほか難しい。
例えば、疲労があって、まぶたが重たい。
だから、早い時間帯から寝床に入る、という人は多いでしょう。
ところが、身体の寝る準備がしっかり整う時間帯というのは、体内時計で決められているんです。
なので、その時刻になってから寝ないと、いい眠りにならないのだ。
<体内時計>
私たちの身体は、休養に欠かせない睡眠を維持するために、体内時計の働きによって、夜には眠くなり、朝 目覚めるように、コントロールされています。
これは、脳にある「視交叉上核(しこうさじょうかく)」という部分が、担っている。
活動する日中には 体温を高く保ち、夜は 身体から熱を放散して、特に 脳を冷やします。
同じ頃、体内時計ホルモンであるメラトニンが分泌を始め、入眠を促すんですね。
そして、朝方になると、覚醒作用を持つ 副腎皮質ホルモンの分泌が始まります。
同時に、体温も高くなり、目が覚める。
不眠の原因の一つは、体内時計と実際の睡眠が合ってないこと。
では、体内時計と睡眠のズレを調節するには、どうしたらよいのでしょうか?
□ 認知行動療法

睡眠習慣が、身体の状態に合っていないことが、よくあるようです。
そのズレを直してあげる方法として注目されているのが、「認知行動療法」。
これは簡単に言うと、不眠を悪化させてしまうような睡眠習慣を見直して、それで睡眠の質を高めるという、お薬を使わない治療法です。
これまでの研究では、認知行動療法は、睡眠薬などと同等の効果があることも分かっていますし、もうすでに睡眠薬を飲んでいる人も、例えば、睡眠薬を減らしたりだとか、やめやすくなる、などといったことが、分かっています。
<認知行動療法>
眠りの質を悪くさせている睡眠習慣を直す。
・睡眠薬と同等の効果が得られる。
・睡眠薬の量を減らせたり、やめやすくなる。
日本では、まだ不眠症の認知行動療法は、保険適用になっていないんですが、今後、検討されておりまして、一般的な治療として普及するのではないかと、三島先生は言います。
今回は、自宅でも できるように、簡単にアレンジした方法を、三島先生が紹介してくれます。
<睡眠日誌をつける>
項目は、以下の通り。
・寝床に入った時刻。
・眠りについた時刻。
・目が覚めた時刻。
・寝床から出た時刻。
・途中で起きていた時間。
・昼寝をした時間。
これを毎日、記録に取る。
この睡眠日誌を 1週間から2週間ぐらい つけていただいて、グラフにします。
すると、睡眠の問題点が、見えてくるんです。

この人の場合、20時から21時くらい、早い時間帯から、寝床に入っている。
にもかかわらず、なかなか寝付けていません。
(青い部分が、寝付けなかった時間)
(緑の部分が、眠っている時間)
ようやく寝付けるのが、23時頃からですね。
つまり、眠れるまでに、2時間から3時間かかっている。
また、寝付いてからも、途中で起きていることが分かります。
朝起きる時間も、バラバラ。
まず大事なのは、身体の眠る状態が、しっかりできてから、寝床に向かうことです。
体内時計が眠る準備ができるのは、60代の人でも、22~23時以降だという。
ですから、それよりも早い時間帯に寝床に入っても、眠りが非常に浅くて、質が悪くなってしまうんです。
(もちろん、個人差がありますが)
これを踏まえて、寝床に向かう時間を ―― 寝つきが悪いんだったら特に ―― ちょっと遅めにする。
例えば、睡眠薬を飲んでいるのであれば、遅い時間帯の 寝る直前に飲んでもらって、それから寝床に向かってもらうと。
そうすれば、寝付きにかかる時間も短くなるし、毎日、ほぼ同じ時間帯で寝付けるようになるので、緊張感がとても楽になるのだという。

上は、治療前。下は、治療後。
橙色の時間に、睡眠薬を飲んでいます。
寝床に入る時間を遅めにし、それに合わせて、処方された睡眠薬を飲んだ。
睡眠時間帯を調整することで、ギュッと、睡眠がコンパクトに押し込められて、青色の寝床で目覚めている時間帯が、とても少なくなりました。
寝酒は?
寝付きをよくするため、寝酒を飲む人もいるかもしれません。
しかし、不眠症には、よくないようです。
寝る前の飲酒は、逆効果!
お酒を飲むと、若干、寝付きがっよくなったような感じに、なるかもしれません。
けれども、だんだんその効果は無くなって、酒量が増えてしまいがち。
そうなると、深い眠りが、減ってしまいます。
朝 起きる時は?
朝は、働いている人の場合、土日も含めて、ほぼ同じ時間に起きることが大切。
起きれば、目を開けますし、そうすると、太陽の光が目から入ってきます。
太陽の光は体内時計を強くリセット、調整してくれるんです。
同じ時間に起きることで、寝付きの方の時間も、とても安定してきて、寝付きにかかる時間も、とても短く安定してくる。
□ 筋弛緩法

不眠症の方の場合、寝る時に、とても緊張感が強いという傾向があるようです。
なので、緊張を解いて、リラックスするというのが、とても効果がある。
<筋弛緩法(きんしかんほう)>
寝る前に、寝室などで、どうぞ。
(1) 背もたれのあるイスに、浅く腰かけましょう。
足の裏は、床にピッタリくっつくぐらいの高さで。
ベッドに腰かけても、よい。
(2) 足は肩幅くらいに開いて、手・肩・足の筋肉に力を入れ、その後、力を一気に抜くというのを、繰り返します。
(3) まずは、手から。
手をグッと握って、5秒間。
その後、力を抜いて、ストンと落とす。
この時、手のひらに、血液が回っているような感じを、20秒ほど、ゆっくり感じてください。
(4) 次は、肩。
肩を上に、いからせましょう。
持ち上げる感じですね。
やれる方は、手をギュッと握って、これも 5秒間。
その後、力を抜いて、ストンと落としてください。
同じように、血液が循環しているのを、20秒ほど感じる。
(5) これらの動作を、3セット行う。

不眠症の人は、寝る際、とても緊張が強いようです。
筋弛緩法で、筋肉に意識的に、力を入れたり抜いたりすることで、単にリラックスするだけじゃなく、寝やすいコンディションを作る効果が。
例えば、副交感神経の機能を高めたりできるんです。
不眠に悩む方は、生活の改善も、お試しください。
![NHKきょうの健康 2017年3月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51v98lDXRoL._SX270_.jpg)

[関係する記事]
→ 「熟睡感を得る方法 睡眠日誌&筋弛緩法」
→ 「40代女性の熟睡法 眠らずに本を読む?」
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