【肺活】 舌圧強化に早口言葉、COPD予防に 口すぼめ呼吸/ゲンキの時間
肺を健康に保つための秘訣を紹介。
<肺炎予防>
(1) 口の中をきれいにする=寝る前に、歯をしっかり磨く。
(2) 舌圧=早口言葉で、強化。
(3) 食事の姿勢=あごを引く。
(4) 肺炎球菌ワクチンの接種を受ける。
<COPD体験談>
予防トレーニング。
・口すぼめ呼吸。
・肩甲骨上下運動。
食材では、ブロッコリー。
ドクネット:昭和大学病院 感染症内科 二木芳人 教授。
日本歯科大学 菊谷武 教授。
山王病院 呼吸器センター長 奥仲哲弥 副院長。
ゲスト:鶴見辰吾。
ゲンキスチューデント:中村静香。
ゲンキリサーチャー:深沢邦之。
2017年3月12日放送の「健康カプセル! ゲンキの時間」より、「~ 咳・息切れ・肺炎に勝つ! ~ 今からやろう! 肺活」からのメモ書きです。

□ 怖い肺炎

今週のテーマは、「肺炎」。
芸能界では、根津甚八さん、永六輔さん、蜷川幸雄さんも、肺炎を合併し他界しています。
命の危険がある病気なんですね。
そこで今回は、スペシャルなドクターが、肺の病気にならないための方法を、伝授してくれちゃうのだ。
肺機能をアップさせる活動、略して、「肺活(はいかつ)」のススメです。
今週のゲストは、芸能界きってのアスリート、鶴見辰吾さんだ。
自転車乗りで有名な鶴見さんですが、最近は、ランニングもやっているのだとか。
自転車では、100kmを越えるのを目標にしているそう。(距離は、なんと、東京から熱海くらい)
フルマラソンのタイムは、3時間9分くらい。
すごいですね。
まずは、恒例の基礎クイズから。
Q)肺炎の説明で、間違えているのはどれ?
A:風邪から肺炎になる。
B:緑色のタンが出る。
C:40℃以上の高熱。
正解は、「A:風邪から肺炎になる」。
風邪の原因は ほとんどがウイルスなんですが、風邪ウイルスが原因で肺炎になることはないのだそう。
風邪を引き、免疫力や抵抗力が低下して、肺炎になることはありますが、原因は別です。
とはいえ、風邪と肺炎は(初期)症状が似ていたりしますから、注意しましょうね。
日本人の死因 第3位として年間12万人もの人が亡くなっている、肺炎。
そんな肺炎について、専門家に教えてもらいましょう。
東京都は品川区にある、昭和大学病院。
感染症内科の 二木芳人 教授です。
肺炎になってしまう原因には、何があるのでしょう?
「肺炎になる原因はですね、口の中に住みついている微生物が 大きく関係することがあるんです」
真相を探るべく、深沢さんの口の中の粘膜を採取。
「グラム染色」で、どんな微生物がいるのか検査しました。
画像を見ると、小さい濃い色に染まったプツプツがあります。

これが全部、細菌なんだそう。
このような細菌が肺の中に入ると、それが元で肺炎になることがあり得る。
肺炎の主な原因は、誰もが持つ細菌(口の中に住み着いている菌)なんですね。
ただ、それだけではなく、外から入ってくる菌も、免疫が低下している時など、肺炎の元になることも。
通常は、免疫物質が、細菌の肺への侵入を防いでくれています。
そのため、肺炎になることはありません。
しかし、加齢や病気で身体が弱くなったり、免疫力が低下してしまうと、細菌が肺に侵入し、一気に繁殖。
肺炎を引き起こしてしまうんです。
しかも、肺炎をひこ起こす細菌は、1種類だけではありません。
その数は、30種類以上だという。
(表皮ブドウ球菌、MRSA、トリコスポロン、ニューモシスチス、レジオネラ、ムーコル、カンジダ、インフルエンザ菌、クリプトコッカス、等)
中には、重度の肺炎を引き起こす細菌も。
一番怖いのは、「肺炎球菌」だという。
特に、お年寄りは要注意です。
繁殖すると、40℃以上の高熱に襲われ、命の危険に陥ることも。
では、肺炎にならないためには、どうしたらよいのでしょうか?
向かったのは、東京都は小金井市にある、日本歯科大学 口腔リハビリテーション多摩クリニック。
菊谷武 教授に、教えてもらいましょう。
肺炎を予防するには、「口の中をきれいにすること」だと、菊谷先生は言います。
「ありふれたことですけど、しっかり歯磨きしていただくことが、たいへん重要になります」
<肺炎予防の肺活(1)>
口の中。
肺炎予防には、口の中をきれいにすることが大切。
方法はシンプルで、歯を磨くことです。
ただし、歯磨きのポイントがあります。
と、その前に、実験です。
朝、目が覚めた時、口の中の細菌は、どのように変化しているのでしょうか?
歯を磨いて寝た時と、磨かないで寝た時、その差は?
ゲンキチャレンジャーのご夫婦に協力してもらい、細菌カウンターで計測だ。
1日目は、歯磨きをしてから、就寝。
翌朝、細菌を計測しました。
2日目は、歯磨きをしないで、就寝。
果たして、どのくらい、細菌は増えているんでしょう?
結果は、こうなりました。
(歯磨きした1日目 → 歯磨きしなかった2日目)
旦那さん:362万個 → 5410万個。
奥さん:344万個 → 1700万個。
奥さんで、4.9倍。
旦那さんは、14.9倍に。
この理由は、何なんでしょう?
昼間は、唾液が出たり、食事をしたり、しゃべることで、口の中がきれいになるんです。
ところが、寝ている間は、唾液も出ないし、しゃべらないしで、どんどん口の中の細菌が増え続けるのだ。
というわけで、歯磨きの重要ポイントは、「時間」。
細菌の増加を防ぐためにも、「眠る前は、必ず、歯磨きしましょう」。
<肺炎予防の肺活(2)>
舌。
ものを飲み込む時は、舌を上あごに、グッと押し付けます。
その圧力を、「舌圧(ぜつあつ)」という。
舌が上あごを押し上げる力、「舌圧」と肺炎には、どのような関係があるのでしょうか?
舌圧測定器を使い、実験です。
30代から70代のゲンキチャレンジャーに、挑戦してもらいました。
その結果が、これ。
30代:48.5kPa。
40代:42.9kPa。
50代:44.6kPa。
60代:37.2kPa。
70代:34.9kPa。
個人差はあると思いますが、やっぱり、60代と70代の方は、舌圧が下がっているようです。
全身の筋力は、加齢と共に低下します。
舌の筋肉も、加齢と共に低下するんですね。
そして、舌の筋力が低下すると、誤嚥性肺炎につながってしまう。
「誤嚥性肺炎」とは、食べ物や唾液が気管に入ることで、細菌が繁殖し、肺炎を引き起こす病気です。
通常、食べ物を飲み込む時、舌で上あごを押し上げます。
この時、「喉頭蓋(こうとうがい)」というフタも連動し、気管の入り口が、ふさがれるんです。
これで、誤嚥が防がれる。

しかし、舌圧が低くなると、喉頭蓋の閉まる反応が遅くなってしまうため、食べ物の細菌が気管に入りやすくなってしまうんですね。
結果、誤嚥性肺炎を引き起こしてしまうのだ。
舌圧が低くなってしまう要因は、加齢の他にもあるといいます。
それが、「舌を使わない習慣」。
例えば、やわらかいものを食べて、すぐ食事が終了してしまう人が 当てはまるそうな。
でも、ご安心を。
舌圧を上げる訓練があります。
それがこれ。
<早口言葉>
早口言葉は、舌の筋肉を必要とするため、舌圧の強化に最適らしい。
1日トータル 3分を毎日続けると、効果的です。
楽しみながら続けてくださいね。
レベル1
「にゃんこ 子にゃんこ 孫にゃんこ ひ孫にゃんこ」
レベル2
「詳細を調査中 注射を調査中」
レベル3 (神レベル)
「魔術師 派出所にて手術中」

スタジオでも、早口言葉に挑戦です。
さすがは、鶴見辰吾さん、神レベルをクリアしちゃった!
すごい!
□ ドクネット
引き続き、昭和大学病院 感染症内科 教授の 二木芳人 先生に、教えていただきます。
誤嚥性肺炎を防ぐための肺活として やっていただきたいのは、他に、「食事の際の姿勢」があるのだそう。
というわけで、クイズです。
Q)誤嚥性肺炎の予防として、正しい食事の姿勢は、次のうちのどれ?
A:あごを上げる。
B:あごを引く。
C:あごを出す。
答えは、「B:あごを引く」。
正しい姿勢は、イスに座って、アゴを引き、やや前かがみになる姿勢。
<肺炎予防の肺活(3)>
食事の姿勢。
アゴを上げたままだと、食べ物が気管に入りやすくなってしまいます。
逆に、アゴを引けば、口の中と気管に角度がつき、誤嚥しにくくなるのだそう。

他にも、気をつけた方が良いことが。
<肺炎予防の肺活(4)>
ワクチンを受けるようにする。
肺炎球菌ワクチンの効果は、約5年です。
□ COPD体験談

肺の病気の中には、肺炎以外にも、命を脅かすものが。
[体験談]
62歳の男性、Aさん。
初めて身体の異変に気づいたのは、およそ 20年前でした。
風邪を引いた時、咳が出て、長引くことがあった。
しかし、その時は、まだ症状が軽かったため、深刻に考えてはいませんでした。
気になったのは、激しい運動をした時。
駅まで急いで走ったら、息が整わない。
息が吐けないような状態に、なってしまった。
それが、10分近く続いたのだという。
それから約2年後、風邪を引き寝ていた Aさんを、突然、激しい咳が襲いました。
呼吸ができなくなるほどの、激しい咳だったという。
10分以上も続き、意識が朦朧(もうろう)とするほどでした。
このままだと死ぬかもしれない。
そう思った Aさんは、翌朝、病院へ。
そこで告げられた病名が、「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」だった。
東京都は港区にある、山王病院。
呼吸器センター長で副院長の 奥仲哲弥 先生に、詳しく教えてもらいましょう。
COPDは基本的には、大気汚染とタバコが原因。
ただ、Aさんの場合、ほぼ100%タバコが原因だという。
COPDとは、慢性気管支炎と肺気腫の総称。
喫煙などが原因で、気管支に炎症が起き 咳やタンが続く 慢性気管支炎と、気管支の先にある組織が壊れ 空気を押し出す力が低下する 肺気腫の総称です。
【COPD】 - chronic obstructive pulmonary disease -
慢性閉塞性肺疾患。気管支や肺胞に炎症・破壊が生じ、呼吸機能に異常を起こす疾患の総称。肺気腫や慢性気管支炎など。咳や痰、息切れなどの症状がある。
(大辞林より)
Aさんは当時、1日に30本も、タバコを吸っていました。
そのため、うまく呼吸ができなくなり、COPDと診断されたのです。
奥仲先生のお話。
「例えば、40代後半になって、駅の階段を ダ~って駆け上がって、電車に乗ろうとする。それで苦しい。その苦しいのが、何秒何分で回復できるのか。これが、1つのチェックになります」
例えば、苦しくても、30秒ぐらいで治るなら、正常。
しかし、1分から2分続くなら、COPDの可能性が。
もし、そうなら、COPDを疑って、呼吸器科を受診していただきたいとのこと。
肺は、他の臓器とは違い、再生不可能。
一度壊れたら、二度と修復できません。
しかも、COPDを放置し、重症化してしまうと、怖ろしいことに。
まず、ご飯を食べるのも、たいへんになる。
また、しゃべるのも、たいへん。
5年間くらい、こういう生活をして、衰弱して、亡くなっていくのだそう。
実は、日本人の死因、第10位で、男性では 第8位。
にもかかわらず、あまり注目されていないんですね。
そんな怖ろしいCOPDにならないようにするためには、どうしたらいいのでしょう?
予防として、禁煙はもちろんですが、その他にも、こんな方法がある。
<COPD予防の肺活トレーニング>
<口すぼめ呼吸>
(1) 軽く閉じた唇の間から、息を吐きます。
肺の中の空気を出し切るイメージで、息を吐きましょう。
(2) そして、鼻から息をゆっくり吸い、吸い終わったら 3秒数え、またゆっくりと息を吐きだします。
(3) これを、毎日 2~3分。気づいた時に、行ってください。

COPDの人は、肺が膨らんでしまって、気管支がペシャンコになっているのだそう。
だから、吐きにくい。
この時、口すぼめ呼吸で吐きにくくすると、気管支に圧がかかって、気管支が膨らむんですね。
すると、吐き出しやすくなるんです。
次は、肩甲骨まわりを やわらかくするトレーニング。
肩甲骨まわりを やわらかくすると、横隔膜周辺が楽になり、呼吸がしやすいようになるのだとか。
<肩甲骨上下運動>
(1) 背中にある肩甲骨を上げる意識で、息を吸いながら、両肩を上げます。
(2) 息を吸い切ったところで、一気に力を抜いて、両肩を思いっきり下げ、同時に、息も吐き出す。
(3) 3回を1セットとし、朝昼晩に、1セットずつ行ってください。

二木先生によると、食べることで肺活になる食材があるそうな。
それが、「ブロッコリー」。
アメリカでの研究ですが、ブロッコリーの中に含まれている「スルフォラファン」が、肺の抗酸化遺伝子の活動を復活させる効果があるらしい。
肺活で、健康的な生活を!


[関係する記事]
→ 【肺炎ワクチン】 予防&撲滅 脾臓のマージナルゾーンB細胞
→ 「COPDと口すぼめ呼吸」
→ 「痰で分かる危険なセキ パフィング&ハチミツ」
→ 「禁煙のコツ」
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tag : 健康カプセル!ゲンキの時間 呼吸器科
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