【肺炎ワクチン】 予防&撲滅 脾臓のマージナルゾーンB細胞/ガッテン
自分だけは大丈夫?
でも、肺炎は、日本人の死因 第3位。
キャンペーンCMだって流れているくらいだ。
でも、なぜ必要なんだろう?
原因となる肺炎球菌は、どこにいる?
脾臓の場所を知るため、宮森くんが極真会館へ。
三年殺しを体験?
脾臓が加齢で小さくなると、マージナルゾーンB細胞も減り、肺炎のリスクが上がる。
しかし、ワクチンを打つことで、これを予防できる。
赤ちゃんに定期摂取して、撲滅。
大人用と子ども用の差は?
誤嚥性肺炎予防には、頭を少し高くして寝ること。
解説:元筑波大学 呼吸器内科 寺本信嗣 医師。
2017年1月25日放送の「ガッテン」より、「知らないなんてもったいない! 肺炎にならないぞSP」からのメモ書きです。

□ 肺炎予防キャンペーン

救急の現場では、ある異変が起きているといいます。
松山赤十字病院 呼吸器科 兼松貴則 診療部長のお話。
一晩で20台の救急車が来るとして、その1/4くらいが肺炎の人だという。
実は今、肺炎にかかる人が急増しているんです。
年間の死者数は、脳卒中を抜き、日本人の死因第3位に浮上。
決して他人事ではないのだ。
こんなCM、見たことありませんか?
「忘れていませんか 肺炎予防」
スタジオでは、こう書かれたボードが。
肺炎球菌ワクチン 割引中!
65歳、70歳、75歳、80歳、
85歳、90歳、95歳、100歳の方限定。
8000円が、50~100%割引中。
ゲストの大和田獏さんは、66歳。
そう、去年だったんです。
でも、行こう行こうと思っているうちに、行きそびれたのだとか。
実は、現在の補助制度は、期間限定で、2019年3月末で終了らしい。
でも、どうしてなんでしょう?
対象年齢が5歳刻みで、期間限定。
ずっとやるわけには、いかないのでしょうか?
何やら、理由がありそうですね。
と、その前に、まずは肺炎の原因から。
辞書には、こう書かれています。
【肺炎】
肺炎球菌などの細菌やマイコプラズマ・ウイルスなどの感染により、肺に起きる炎症。発熱・咳・喀痰・胸痛・呼吸困難などを呈する。化学物質やアレルギーによって起こる場合もある。
(大辞林より)
肺炎の元になるのは、「肺炎球菌」。
肺炎球菌は、肺炎の原因菌の中で、感染率・致死率が最も高いんです。

肺炎球菌の最大の特徴は、まわりについている膜だという。
免疫細胞の「好中球(こうちゅうきゅう)」は、大腸菌などを見つけたら、食べてくれます。
しかし、肺炎球菌の場合は、見逃しちゃうんです。
外側にある膜のせいで、すぐに敵だと見なすことができないのだ。
なので、肺炎球菌は、増殖し放題。
あっという間に、大増殖しちゃうのでした。

(* 肺炎球菌 以外が原因で 肺炎になることもあります)
でも、この肺炎球菌、どこから来るんだろうか?
□ 肺炎球菌は、どこにある?

さてさて、原因となる肺炎球菌は、どこから襲ってくるんでしょう?
ガッテンが、徹底的に調査してくれましたよ。
なんと、1週間かけて、合計30か所から採取。
菌があるかないか、調べてくれたのでした。
バスの手すり、つり革、降車ボタン、
駅のトイレ、洗面台、
子どもの手、公園の砂場、公園の蛇口、
落ち葉、農業用水、鳩のふん、カラスのふん、
レジの千円札、レジの10円玉、
マンガ喫茶のパソコン、マウス、
車の排気ガス、舗装道路、水たまり、ドブ、
団地の貯水池、人ごみの空気中、エレベーターのボタン、
タバコの煙、灰皿、ゴミ集積所、
病院のソファー、使用済みペットボトル、革靴の中。
結果は、全部にあった。
ただし、昔は。
つまり、今は上記のどこにも無い。
肺炎球菌は、どこからも見つかりませんでした。
あれ?
じゃあ、どこにいるの?
実は、肺炎球菌は、1か所にしかいないんです。
慶應義塾大学病院 感染制御センターの 岩田敏 教授に、聞いてみました。
「机の上とか、流しとか、ドアノブとか、そういうところを探しても、肺炎球菌はいないんですよね」
一説によると、肺炎球菌は、太古の昔には、空気中などに存在していたと考えられるのだそう。
でも、高温すぎたり、低温すぎたりと、菌にとっては住みにくい場所だった。
そこで肺炎球菌は、ほどほど暖かいし、湿度もちょうどいいという、最適な場所を見つけたんです。
気温と湿度が、一年中、一定な場所。
温度はだいたい、36℃。
そう、その場所とは、人間の体内。
それも、「鼻の奥」だったのです。
「咽頭(いんとう)」と呼ばれる部分ですね。
番組の実験では、30人中6人に、肺炎球菌が見つかりました。
肺炎球菌は、人の鼻の奥に住んでいるため、感染はまず、人から人にうつって、広がる。
でも、鼻の奥、咽頭にいるだけでは、悪さをしません。
熱や咳が出ることもなく、自覚症状はない。
問題は、風邪やインフルエンザなどで咽頭が傷ついた時。
すると、菌が肺に落ちやすくなるんです。
そうなると、一気に増殖を始めて、肺炎を発症してしまうのだ。
肺炎球菌の保菌者は、成人で、10人に1人ほど。
一般の医療機関で調べることはできないとのこと。
□ 脾臓はどこにある?

さて、いよいよ、ワクチンについてです。
インフルエンザのワクチンは、全身の免疫細胞に働きかけます。
でも、肺炎球菌ワクチンは、そうではないらしい。
身体の「ある部分」に、効力を発揮する。
その場所を探すため、身体を張ってくれた人がいます。
そう、ガッテンの過酷実験担当、宮森右京くん。
効力を発揮する部分とは、「脾臓(ひぞう)」。
でも、脾臓って、どこにあるか知ってますか?
胃や腸、心臓や肝臓ほど、メジャーじゃないですよね。
脾臓に詳しい人物を訪ねた、宮森くん。
場所は、極真会館 代官山道場だった。
でも、脾臓と空手に、どんな関係があるんでしょう?
と、その時、こんな技が。
「裏拳ひぞう打ち!」
「手刀ひぞう打ち!」
極真会館の 松井章奎(章圭)館長が、教えてくれました。
「我々の空手の攻撃というのは、相手の急所をめがけていくわけですね」
「その急所の一つ、脾臓を打つと」
「そこを打って、ず~んという鈍い痛みがあるんですけど、それによって、人が持っている臓器の機能を失わせるというかね、機能を低下させる」
「マンガでいうところの、三年殺し」
「空手バカ一代」には、こう描かれています。
ほぼ一年後に病人となり、
二年後には廃人となり、
三年後には狂い死にする。
(あくまでマンガです)
ここは、極真会館。
極真流に従ってもらいます。
「武の道において真の極意は体験のみにある。よって、体験を恐るべからず」
というわけで、宮森くんには、脾臓打ちを受けてもらうことに。
だっ、だいじょうぶか?
空手着に着替えると、子どもたちがアドバイスをくれました。
「打撲では済まないと思いますよ」
「ドスってくるよ」
「試合では、救急車で運ばれる人もいるけど」
しっ、心配です。
覚悟を決めて、帯を締めなおし、宮森右京、いざ挑む。
頑張れ宮森、君のことは忘れない。
脾臓を打たれ、もんどりうって倒れる、宮森くん。

これを見ると、背中の左後ろ裏かな。
これで、脾臓の場所が分かりました。
ありがとう、宮森くん。
MRI画像では、こうなります。
縦に切った断層写真。

肝臓の反対側。
大きさは、腎臓と同じぐらいで、拳大(こぶしだい)だという。
□ マージナルゾーンB細胞

ここからは、脾臓と肺炎の意外な関係について。
模型で説明してくれましたよ。
鼻の奥の肺炎球菌が、肺に落ちてきます。
この時、動き出すのが、免疫細胞の「好中球」。
体内に侵入した細菌やウイルスを異物とみなし、パクパク食べてくれる働き者です。
しかし、先述の通り、肺炎球菌のまわりにある膜のせいで、好中球は肺炎球菌を敵だと認識してくれません。
なので、このままだと増殖し、肺炎になってしまう。
この時、脾臓が何をしてくれるのか?
脾臓の中には、マージナルゾーンB細胞という免疫細胞がいる。
このマージナルゾーンB細胞が肺炎球菌に触ると、敵だと認識。
「ふりかけ」をかけるんですね。
このふりかけの正体は、「抗体」。
マージナルゾーンB細胞が出した抗体が肺炎球菌にくっつくと、どうなるか?
途端に、好中球が敵だと認識し、食べてくれるのでした。
これで、簡単には、肺炎にならなくなります。
脾臓の中のマージナルゾーンB細胞が出した抗体を合図に、好中球が肺炎球菌を食べてくれるようになるのだ。
ところが、脾臓って、加齢により小さくなってしまうんです。
獨協医科大学に協力していただき、20代と60代の脾臓を、MRIで比べてみました。
すると、こんな結果に。

やっぱり、若い人と比べて、脾臓が小さくなってますね。
獨協医科大学 松野健二郎 特任教授のお話。
「マージナルゾーンB細胞が、脾臓にある程度の割合でいると考えれば、小さい方が絶対数は少ないですよね」
「(肺炎球菌に)感染した時に、水際で防ぐのは難しい」
脾臓の重さの違いのグラフ。

これを見ると、40代から60代までの間に、一気に小さくなっています。
□ ワクチンの効果

さあ、ここで真打登場。
小さくなってしまった脾臓に、肺炎球菌ワクチンが、何をしてくれるんでしょう?
和光駅前クリニックで、効き目を実験しました。
65歳以上の方、5名に協力してもらい、ワクチン接種の前後で、血液の成分を測定。
するとこうなった。
ワクチン接種後は、血液中の抗体が、10倍以上 活性化してたんです。
(大阪大学微生物病研究所)
つまり、ワクチンを打てば、脾臓が小さくても、抗体がたくさん出て、肺炎になりにくくなると。
ワクチン接種が65歳以上なのは、このためなんですね。
□ 寺本信嗣 先生の解説
ここで、専門家の先生が登場。
筑波大学元教授で、肺炎治療が専門の、寺本信嗣先生です。
<肺炎球菌ワクチン>
効果:肺炎球菌による重症化を防ぐ。
効果の持続:5年間。
費用:約8000円。
(今だけ補助あり)
肺炎球菌ワクチンの接種率ですが、アメリカ・イギリスでは 7割。
これに対し、日本は 3~4割。
少ないですね。
志の輔さんからは、こんな質問が。
「ワクチンをもっと早く打つことを推奨できないんでしょうか?」
寺本先生のこたえは、こう。
「ワクチンの量に限りがありますので」
「ナマモノですから、ずっと使えるわけではないので」
「それを輸入してますから」
「そうすると、貴重なワクチンを、どのように使うかという時に、リスクが高くて重要性がいかされる人に使われるべきだとなると、やっぱり、60代以上の方々にまず使いたい」

肺炎球菌ワクチンは、貴重なもの!
小さくなった脾臓を、元気にしてくれるんです!

ガッテン! ガッテン!
□ 赤ちゃんが世界を救う?

実は今、世界各国で、ある画期的な計画が進んでいるんです。
名付けて、「肺炎球菌 撲滅計画」。
日本でも、その計画は始まっているらしい。
そのカギとなるのは、赤ちゃん。
赤ちゃんに、肺炎球菌ワクチンを打つという。
あれ?
65歳以上ではないの?
子どもの場合は、2013年からの定期接種になっている。
合計4回も打つのだ。
赤ちゃんが打つワクチンは、大人用のワクチンの後に開発された新しいもの。
これを打つと、肺炎球菌が鼻の奥に住めなくなる。
なるほど、まさに撲滅計画だ。
このワクチンによって、菌を持たない人が増えれば、世の中から、肺炎球菌が劇的に減っていきそう。
このワクチンを世界に先駆けて導入したアメリカでは、肺炎球菌による重症感染が、76%も減少!
赤ちゃんたちのおかげで、肺炎が減っているんですね。
<大人用ワクチン PPSV23>
効果:肺炎球菌による重症化を防ぐ。
効果の持続:5年間。
費用:約8000円。
(今だけ補助あり)
<子ども用ワクチン(大人も可) PCV13>
効果:鼻の保菌もしなくなる。
効果の持続:一生。
費用:約1万円(大人が打った場合)。
(大人は任意接種、補助なし)
ただし、強力な子ども用ワクチンは、大人の場合、リスクが高い65歳以上しか、打つことができません。
大人用のワクチンは、対応する菌が 23種類。
子ども用のは、13種類。
(日本国内で感染する肺炎球菌は、およそ30種類だと考えられている)
(その上位から対応しているとのこと)
両方のワクチンを打つ場合は、1年 期間をあけることになっています。
アメリカでは、子ども用ワクチンを先に打って、1年後に大人用を打つそう。
ただ、補助制度を使うなら、その後(1年後)に子ども用を打ってもいいかも。
肺炎球菌ワクチンの接種にあたっては、かかりつけのお医者さんとよく相談してください。

□ 誤嚥性肺炎予防

最後は、寝ながらできる肺炎予防について。
最近、むせやすくなった人におススメ。
誤嚥性肺炎を防ぐ、簡単な方法です。
<誤嚥性肺炎予防>
ちょっとだけ、頭を高くして寝る。
例えば、布団の下に、座布団やクッションを敷けばいい。
ベッドの場合は、大きめのクッションを敷いて、肩から上を上げるだけでも、OK。
ただし、無理せず、気持ちよく眠れる範囲で、試してください。

この方法は、病院でも行われているという。
ベッドを傾斜させて、寝る。
確かに、高齢者でよく見ますよね。
松山赤十字病院 呼吸器科の 兼松貴則 診療部長のお話。
「唾液を咽頭にためず、飲みやすくなる」
実は、寝ている間に、唾液が肺に入って、誤嚥性肺炎を起こすことがあるのだ。
でも、頭をちょっと高くすれば、肺への侵入を予防することができます。



次回は、これ。
恵方巻きバラバラ事件の真相は?
「福が来る! 豪華な巻きずしを 誰でもカンタンに巻けちゃうスゴ技SP」。
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