【トマト】甘み・酸味の選び方&ドライトマト/ガッテン
トマトの旬は、夏でなく、冬だった。
甘さと色は、関係ない?
厳しいのが、いい?
過酷な環境のほうがいい理由は、浸透圧にあった。
アンデスの環境を再現して、おいしく作る農家。
甘さ、皮の薄さ、酸味。
見た目で分かる選び方とは?
干して作る、ドライトマト。
グルタミン酸とグアニル酸の相乗効果で、うま味たっぷりに。
なんちゃってドライトマトの作り方。
2017年1月18日放送の「ガッテン」より、「甘み・酸味・やわらかさ! トマト選び自由自在ワザ」からのメモ書きです。

□ 甘いトマトの選び方

冬の野菜といえば、大根、白菜、春菊?
鍋に合いそうなイメージです。
でも、これも、冬が旬の野菜なのだ。
それは、トマト。
諸説ありますが、番組によれば、「冬こそ味が濃くなる、いわば、冬野菜の王様」。
冬トマトは、夏トマトと比べ、甘さ(糖度)が 1.5倍に!
でも、好みは、人それぞれです。
甘いのが好きな人もいれば、酸っぱいもの(酸味があるもの)が好きな人もいる。
皮の厚さ、薄さってのも、あるかな。
というわけで、今回は、好みのトマトを選ぶ方法を紹介。
表を見れば、簡単に選べます。
ちなみに、出演者のみなさんの好みは、こう。
大島麻衣さん:とにかく、あま~~い、トマト!
ユージさん:甘くて、しっかり かたいトマト。
青木さやかさん:酸味がある、やわらかめ。
志の輔さん:皮がうすくて、甘いの。
ガッテンの調査では、街のみなさんの好みは、こうでした。
<トマトの好み>
甘い:25人
酸っぱい:9人
皮が薄い:4人
その他:7人
まずは、甘いトマトから。
街のみなさんは、どうやって選んでいるのでしょうか?
やっぱり、甘いのは、色が赤くて きれいなものを、選んでいるようですねえ。
逆に、甘くなさそうだと思うのは、あまり赤くないもの。
でも、実際は、どうなんでしょうか?
糖度計で調べると、甘そうだと思った赤いのは、「5.4」でした。
甘くなさそうだと思ったのは、あれ? 「6.7」。こっちの方が甘いぞ。
次の人も、甘そうな赤いのが「5.3」で、甘くなさそうなが「6.0」。
あれれ? 見た目と逆なの?
しか~し、赤いのが「6.0」で、赤くないのが「5.0」というパターンも。

結局、どっちなの?
一般的なイメージは、きっと、こうでしょう。
「より赤いのが、より熟していて、より甘い」
でも、実際は、そうとは限らないようです。
実は、トマトの濃度は 切り取られた瞬間に決まるのです。
つまり、甘さはそのまま。
逆に、色は変わっていくんですね。
トマトは、甘さはそのままで、色だけが変わる。
□ トマトの原産地と甘くなる理由

トマトの秘密を求めて、原産地へ。
でも、トマトの原産地って、どこなの?
日本ではないという前提でしたが、大島麻衣さんの答えは「北海道」。
いや、日本だし…。
トマトの原産地、それは、アンデス山脈でした。
標高2000メートルを越える、高山地帯。
年間降水量は、東京の 1/10 程度だという。
滅多に雨が降らない、カラカラな土地です。
生きていけるのは、乾燥した環境に適応した生き物だけ。
トマトの原種は、そんな土地で生まれたのです。
直径1センチの、かわいい実をつける。

こんな可愛らしいトマトに、ビックリするような底力が。
なんと、糖度が「12」もあるんです。
とっても、甘いのだ!

アンデスだけに、餡でも入ってるんでしょうか?

嫌なことは忘れて、話を戻しましょう。
過酷な環境で育ったトマトは、なぜ、甘いのでしょう?
スタジオでは、アンデスのトマトの「水を吸い上げる大変さ」を、ユージさんが体験。
管を加えて、思いっきり、吸ってもらいました。
一生懸命 吸うのですが、なかなか水は届きません。
乾いた土地で水を吸うのは、それくらい大変なんですね~。
でも、いいことも起こるんです。
苦しいのに頑張っていると、あるものが届く。
これが届くと、吸引力がアップ。
そんな応援物質の正体は、葉っぱが実に送り届ける「糖」なんですね。
そして、糖が届くと、吸引力が上がって、水を吸い上げることができるようになる。
過酷な環境であればあるほど、糖度はアップするんですね。
糖が増えると水を吸い込めるようになる理由は、「浸透圧(しんとうあつ)」。
浸透圧とは、水が 濃度の低い方から 高い方へと流れるという 性質のことです。
つまり、実が甘くなればなるほど、水を吸い込む力がアップするってわけ。
だから、水が少ない環境の方が、一生懸命 糖を蓄えようとするんですね。
□ 静岡 石山さんのトマト

お次は、日本です。
静岡県は掛川市。
ここに、アンデスそっくりの環境で トマトを栽培している人がいるのだ。
トマト農家の、石山一雄さん。
あれ?
ビニールハウスが、斜めになってるぞ。
実はこれ、そうお願いして、傾斜に建てたらしい。
理由は、水はけをよくするため。
ハウス最大の目的は、完璧に雨をよけること。
おかげで、土は、カッサカサです。
湿度が一番の大敵だと、石山さんは言う。
余分な肥料や水分は、その日だけ生きていけるような感じで、育てているのだそう。
水は、一滴一滴、必要最低限しか与えないらしい。
「トマト本来の生命力をいかに引き出すか」
「ハードに、やさしく育ててる」
そう言って、石山さんは笑いました。

石山さんが育てたトマト。
糖度計で調べたら、スタジオでは「8.4」でした。
(スーパーのは、5~6だった)
2月頃には、糖度「12」を超えることもあるそうです。
□ 見分け方

さて、いよいよ、見分け方です。
甘いトマトの特徴は、どこにあるのでしょうか?
ポイントは、白い筋(すじ)。
この白い線が、苦労の証なんです。
茨城県 つくば市にある、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構。
野菜花き研究部門 施設野菜実証プロジェクトリーダーの 中野明正さんに、お話を伺いました。
「あの構造というのは、維管束(いかんそく)と呼ばれる、ものを果実に行き渡らせる管なんですよね」
「水が足りないと、管のところが、枯れていくような感じになるんですよね」
「なので、そこが白く浮き出てくるということになります」
白い線は、トマト全体に水を送る管「維管束」なんです。
水が足りなくなると、先端から徐々に枯れて、白くなってゆくのだ。
つまり、「水が足りない=過酷な環境」なほど、「維管束が枯れる=白い線が浮き出る」ってわけ。
線が長ければ長いほど、甘いトマトということになります。

大分県 佐伯市(さいきし)のトマト農家では、塩水を与えているという。
植物が苦手な塩を与えることで、根が成長できなくなり、水を自由に吸えなくなるのだとか。
その結果、白い線がくっきりに。
熊本県 八代市(やつしろし)では、偶然、厳しい環境になっちゃった。
ハウスの横の川には、ムツゴロウの姿が。
海が近く、もともと塩分濃度が高い場所なのだ。
ハウス内の土の塩分は、通常の3倍です。
ここで育てられたトマトも、白い線がくっきり。
農家さんも、線が浮き出るのを目標に、トマトを作っているんですね~。
ミニトマトでも、よく見ると、縦に線が入っている。

ミニトマトは、維管束が2本。
この線の長さも、甘い証拠なんですよ。
甘いトマトは、白い線で見分ける!


水分を守るため、皮が厚くなるようです。
甘いトマトは、皮が厚いんですね。
(というわけで、皮が薄くて甘い、という志の輔さんの願いは、叶えられないようです)

色によって甘さは変わりませんが、酸味は減っていくんです。
酸味のもとは、クエン酸。
トマトは収穫されたあとも呼吸するんですが、エネルギーとして、クエン酸が消費されるんです。
だから、時間が経過するほど、クエン酸=酸味は減る。
<トマトの性質>
時間と共に、赤くなる。
時間に関係なく、甘さはそのまま。
時間と共に、酸味は減る。
ちなみに、トマトの旬が冬だというのは、夏よりも 乾燥しているから。
おかげで、甘くなる。

好みのトマトを選ぶには、味ごとの特徴に注目しましょう!

ガッテン! ガッテン!
□ うま味を最大限 引き出すワザ

お家で、トマトのうま味を最高に引き出すには、どうしたらいいんでしょう?
その方法を求めて向かったのは、イタリア。
市場には、いろんなトマトがいっぱいです。
ピザやパスタ、様々な料理に、トマトは欠かせませんよね。
そんなイタリア人が愛してやまないのが、ドライトマト(乾燥トマト)。
水分を飛ばして、味を凝縮。
つまり、うま味のカタマリに。
地元の人によれば、「太陽とのコラボレーション」。
ナポリにお住いの、マリーサ・ラニエーリさん。
毎日の料理に、ドライトマトは欠かせないといいます。
ペペロンチーノにも、刻んだドライトマトがたっぷり。
ブルスケッタにも、ドライトマトをトッピング。
ヒヨコマメのサラダにも、入っています。

「とても味が良くて便利だわ」と、マリーサさん。
「手軽に、味を良くできるの」
旦那さんも、大満足です。
「本当によくできてる。おいしい」
「マリーサは、最高の料理人だよ」
実は、マリーサさん、家で日干しにし、ドライトマトを作ってるんです。
<ドライトマトの作り方>
生のトマトを、半分に切ります。
塩を振って、バルコニーに干すだけ。
8日間、日で干すそうです。
できあがったのもは、オリーブオイルに漬ける。

ドライトマトは、甘み、酸味に加え、強くうま味を感じるという。
トマトには、「グルタミン酸」が多く含まれています。
グルタミン酸は、天日に当てて放置しておけばしておくほど、増えるもの。
トマトは、収穫後、グルタミンが増加するんです。
12日で、2倍にもなる。
そして、さらに、あるものも含まれることが分かってきた。
トマトを研究している、農研機構 野菜花き研究部門 上級研究員の 安藤聡さん。
これまで知られていなかった、新しい発見が。
「トマトに、グアニル酸が含まれている」
「けっこう、トマトには濃い濃度で含まれている、ってことが分かってきまして」
グアニル酸というのは、キノコ類に含まれる「うま味成分」で、普通、野菜には ほとんど含まれていません。
ところが、トマトには、ニンジンやネギの15倍も含まれていることが分かったんです。
さらに、ドライトマトについては、こんなことが。
「乾いて水分が飛ぶので、単純に濃くなるっていうのに加えて、その過程で、グアニル酸が生成され、蓄積されるってことが考えられます」
放っておくだけで増えるのが、グルタミン酸。
干すと増えるのが、グアニル酸。
このグルタミン酸とグアニル酸が一緒になると、お互いのうま味を増やし合う、相乗効果の関係があるんです。
昆布とシイタケが一緒になったのと同じことが、起きてるらしい。
(トマト=昆布のグルタミン酸+シイタケのグアニル酸)
□ 家で うまみ&フレッシュに!

確かに、ドライトマトはおいしそう。
でも、トマトのフレッシュさも捨てがたい。
この二つを、何とか両立できないだろうか?
それを、ガッテンが実現してくれちゃったのだ!
<なんちゃって ドライトマト>
(1) ミニトマトを、半分にカットします。
(2) 塩は振らずに、鉄板に並べましょう。
(3) 180℃のオーブンで、20分加熱。
(4) オーブンのフタを開けないままで、1時間放置してください。


トマトは、加熱と乾燥で、うま味がアップする!

ガッテン! ガッテン!
□ 超甘いトマトの証

最後に、もう一つ、トマトが甘くなっているサインを紹介。
水が少なくて、苦しみぬいたトマト。
ごくまれに、緑色が浮かび上がることがある。
この緑色は、葉緑素。
光合成をして、さらに、たっぷりの糖を ため込もうとしているのだ。
トマト農家の人も、こう言っています。
「青くなっているところ、これが おいしいトマトになります」
収穫した後、赤くなると、緑だった部分は、オレンジ色や濃い緑色に変わる。
その糖度は、普通のトマトよりも甘いのだ~。




次回は、これ。
肺炎の苦しみから世界を救う、救世主が誕生。
小さな命が、奇跡を起こす。
「知らないなんて もったいない! 肺炎にならないぞSP」。
[関係する記事]
→ 【野菜】 レタスの長期保存法&甘いピーマンの見分け方
→ 【野菜】選び方&食べ合わせ+甘いトマトの見分け方
→ 【免疫力UP】 ガン予防ジュース
- 関連記事
-
-
【恵方巻き】 きれいに巻く方法は 海苔半分/ガッテン 2017/02/02
-
【肺炎ワクチン】 予防&撲滅 脾臓のマージナルゾーンB細胞/ガッテン 2017/01/26
-
【トマト】甘み・酸味の選び方&ドライトマト/ガッテン 2017/01/19
-
【落花生】煎り方&レシピ&消臭剤/ガッテン 2/2 2017/01/12
-
【ピーナッツの健康効果】 死亡率 2割減/ガッテン 1/2 2017/01/12
-
<スポンサードリンク>


