【海苔】あぶり方 保存法 井上勝久の選び方はマル等級/ガッテン
身近だけど、意外と知らないことが多い食材、「海苔(のり)」。
佐賀で知った、海苔のできるまで。
昔、あぶっていた理由。
<おいしくあぶる方法>
魚焼き器の上で、なでる。
<シケさせない保存法>
アルミ製の密閉袋に、乾燥材ごと入れる。
<プロが教える選び方、見分け方>
マル等級は、1回摘みで穴が開いたもの。
解説:井上勝久さん。
硬めなら、スライムおにぎりに?
2016年12月7日放送の「ガッテン」より、「ごはん・味噌汁が絶品!旬の“のり”プロの直伝技SP」からのメモ書きです。

□ 佐賀の海苔師

今週のテーマは、海のミネラルがたくさん含まれた食材、「海苔(のり)」です。
なんてったって、今が海苔の旬(しゅん)ですからね~。
海苔のプロに、うまさの秘密とおいしい食べ方を、教えてもらいましょう!
スタジオで、いきなり試食です。
運ばれてきたのは、出来立ての海苔!
佐賀県の海苔漁師、西久保敏さん自ら、持ってきてくれました。
14時間前まで、海の中を漂っていた、正真正銘の新海苔なのだ~。
すごくいい香り。
パリッという音も、たまりませんな~。
香ばしくて、すごくおいしい。
そのままでよし、ごはんに巻いてよし。
西久保さんは、おっしゃいました。
「本当のおいしい海苔を、全国の皆さんに知ってもらえたらと思っています」
<世代差>
ゲストの山根千佳さんは、海苔をあぶることも、大きいサイズがあることも、知らなかった。
平成7年生まれだとか。
コンビニのおにぎりや、回転ずしの海苔、あるいは、味付け海苔。
加工した海苔しか、見てないのかもしれません。
おいしい海苔なんですが、問題点も。
そう、とってもシケやすい。
そこで、実験してみました。
ものすごく精密な秤(はかり)で、測定します。
なんと、せんべいが湿気を吸って少しずつ重くなる様子まで、計測できる。
(東京海洋大学 名誉教授 小川廣男さん 協力)
海苔と乾燥材のシリカゲルを、比べてみます。
すると、シリカゲルより、海苔の方が湿気やすいことが判明したんです。
なるほど、すぐにシケるはずだ~。
(ちなみに、海苔の袋の中には、シリカゲルよりも強力な乾燥材(石灰)が入っている)
シケてないパリパリの海苔を楽しむには、どうしたらいいんでしょう?
まず、向かったのは、海苔の一大産地である佐賀県は有明海。
この土地には、ある特別な称号が存在するのだ。
それは、「海苔師(のりし)」。
海苔師とは、海苔を専門に扱う漁師のことです。
スタジオに来てくれた西久保敏さんは、二代目海苔師。
そして、三代目海苔師が、西久保寿さん。
みなさん作業されているのですが、なぜか、大量の牡蠣(かき)の殻(から)が。
なんと、海苔師は牡蠣が命なのだという。
みなで、牡蠣殻を、網につけています。
実は、牡蠣殻の中の黒いもの、これが海苔の種の細胞なのだ。
海苔は夏の間、貝殻の隙間で暮らし、秋になると、海中に種をまくんです。
牡蠣殻を網につけた翌朝、日の出と共に、漁場へ。
網を海に沈めていきます。
牡蠣殻からは、やがて海苔の種が放出され、網全体にくっつく。

その6時間後、思わぬ光景が。
みるみる潮が引いて、カニやムツゴロウまで顔を出しました。
なんと、海苔の網が、宙に浮いてしまっています。
でも、これでいいのだとか。
海苔には、乾燥が不可欠。
こうすることで、逆に、海苔が健康になるのだとか。
海苔師は、付きっ切りで、網の高さを調節します。
そして、こんな驚きも。
海苔師は、顕微鏡を相棒として使うんです。
海に沈めた網の切れ端を拡大してみると、海苔の赤ちゃんが見えました。
無事に、牡蠣殻から、放出されたようです。
よかった、よかった。
海苔師たちは毎日、海苔を顕微鏡で確認するそうです。
夜の海へ向かって、再確認することも。
海苔はその後、順調に成長。
旬を迎えたのでした。

またもスタジオに、海苔が登場。
昨夜取れたばかりの、生海苔ですね~。

でも、食べたみなさんの表情は、ビミョーな感じ。
何も味がついてないようです。
そして、こんなデータも。
フランス人研究者が発表した論文。
「 Transfer of carbohydrate-active enzymes from marine bacteria to Japanese gut microbiota 」
なんと、「生海苔を消化できるのは、日本人だけ」。
昔から海苔をたくさん食べていたので、海苔を分解できる海洋細菌が腸内に住みつき、日本人だけ生海苔を消化できるようになったのだとか。
□ 海苔を焼いていた理由

続いて向かったのは、宮城県。
全国に先駆けて、海苔の収穫が最盛期を迎えています。
生のままだと、ほとんど味がしない海苔ですが、ここから大変身を遂げるという。
なるべく早く、海から持ってきたら、乾燥してあげる。
扱いは、鮮魚と同じです。
昔は手作業で行っていた乾燥ですが、今では、海苔を細かく裁断して、すいて、乾燥させるまで、ほとんど全自動。
でも、肝心の温度設定は、漁師の経験が頼りなのだ。
できるだけ低い温度で乾かしてあげるのも、1つのコツだという。
天日干しの要領で、低温でじっくり乾燥させる。
およそ2時間半で、おなじみの海苔の状態になった。
水分量を測定すると、およそ10%。
これは、干しシイタケ並みだという。
でも、これで終わりじゃないんだな~。
海苔問屋でも、またまた乾燥。
甘みがなくなり、香りが飛んでしまうので、早く水分を抜くことが重要らしい。
およそ40℃で、7時間。
水分量は、5%を切りました。
ちなみに、工場の中も、カラカラの乾燥状態。
作業する みなさんは、こまめな水分補給が欠かせないのだとか。
そして、袋詰めされる直前、海苔のおいしさがぐ~んとアップする工程があるのだ。
それは、焼くこと。
都内の数々の寿司店の海苔を手掛けている、海苔職人の桜井明彦さん。
こまめに、焼き色の調整をします。
最後の重要な工程とは、焼くこと。
250℃前後の窯(かま)で、7秒から8秒だけ、焼く。
これで、水分量は、測定不能に。
それほど、カラカラな状態になるのだ。
昔多かったのは、焼いてない「乾海苔(ほしのり)」。
現在 主流なのは、焼いてある「焼き海苔」。
昭和30年代までは乾海苔が主流だったため、自宅であぶる必要があったんですね。
昔のは、いわば、海苔の干物だった。焼いて完成だったんです。
それは、顕微鏡でも確認できる。
焼く前の乾海苔では、くっきりと海苔の細胞が見えます。
うまみ、甘味、香りが、細胞の壁の中に閉じ込められた状態。
これを焼くと、境があいまいになります。
いわば、壁が壊れた状態。
口に入れると、パリパリの海苔が壊れ、唾液の水分が出て、うまみ、甘味、香りが、じゅわ~っと、溶け出してくるのだ。
これが、サクサク、とろとろ。
最高の口どけの状態なのです。
海苔を焼くのは、そのためなんですね。
□ おうちであぶる方法
<海苔のあぶり方>
ガスの炎は、水分を含んでいます。
なので、直接あてずに、魚焼き器を上に置きましょう。
あぶることで、シケた海苔も、食感が復活するそうです。
(1) コンロに、魚焼き器をのせる。
(2) 点火し、強火にしましょう。
(3) 海苔の角を持って、魚焼き器の上を、なでてください。
表をやったら、裏返して、戻る。
1回やったら、次の角に持ち変えます。
さら~りと、なでる感じ。
(4) 全体に緑色になったら、完成です。

□ シケない保存法

現在、主流の海苔は、工場で焼いてくれています。
でも、開けると、シケちゃいますよね。
手間が省けた分、非常にシケやすいのが困りものです。
未開封の海苔と、15分前に開封したものを比べてみました。
海苔を半分に折って、パリパリパリッと手を滑らせる。
広げると、勝手に離れたら、パリパリ状態。

未開封のものは、もちろん、パリパリ状態。
一方、15分前に開封したものは、2つに離れませんでした。
海苔って、ホントに、シケやすい!
冷蔵庫や冷凍庫に入れておいても、取り出した瞬間に結露して、逆効果だし。
そのため、海苔屋さんには、特別な保存場所があるのだ。
なんと、銅でできた箱。
その名も、「銅庫(どうこ)」。
(まるえ、ゴールド聖闘士だ。そりゃ童虎)
ある蕎麦屋(そばや)さんでは、焼き海苔がシケて 台無しにならないよう、工夫がされています。
「焙炉(ほいろ)」といって、海苔が入っている箱の下に、炭が入っている。
でも、家庭でやるには、どうしたらいいんだろう?
<海苔をシケさせない方法>
透明なポリ袋は、空気の湿気が通ってしまう。
海苔を保存するなら、アルミでできた密閉袋で。
海苔屋さんで売っているそう。
お値段は、数十円ほど。
ネットでも買えるそうです。
透明の袋(ポリプロピレン製)に比べ、湿気を遮断する力は、80倍。
(1) 乾燥材と一緒に、袋に入れてください。
(2) しっかりと空気を抜いて、密閉する。

海苔によっては、すでにアルミ製の袋に入っているものも。
その場合は、袋は捨てずにとっておいて、保存袋として使ってください。
一見、アルミ製に見える袋でも、光が透けるものは、湿気を通すので、注意してくださいね。

海苔の保存は、アルミ製の密閉袋で!
いつでも焼きたての食感を!

ガッテン! ガッテン!
□ 漁師直伝 激ウマ料理

海苔師さんのお宅では、どのように海苔を食べているのでしょうか?
おっと、刺身を海苔で、巻いています。
ビックリするほど、相性バッチリらしいですよ。
子どもたちは、カレーに海苔をトッピング。
そして、とっておきの食べ方が、お味噌汁だという。
お湯に味噌を溶いて、ダシも具も無いのに、そのままお椀へ。
海苔を(1枚分)細かくちぎって入れて、かき混ぜる。
すると、海苔が溶けて、絶品の味噌汁になるのだ。
にゅう麺に入れても、おいしそう~。

海苔はとにかく、うま味成分がすごい。
グルタミン酸は、昆布並み。
キノコ類に多く含まれるグアニル酸も、シイタケに匹敵する量が。
動物性のうま味成分 イノシン酸も、なぜか、お肉よりいっぱい。
この3種類のうま味成分を全部そろって味わえる食べ物は、実は、海苔だけなんです。
スタジオでも、海苔の味噌汁を味わったのですが、飯尾和樹さんだけがビミョーな顔。
どうも、海苔が溶けないようですね。
実は、海苔って、種類によって、溶けやすさが全然違うのだ。
溶けない海苔の代表が、ラーメンの海苔。
方や、ダシとしてトロトロに溶ける海苔もある。
その違いを、プロに教えてもらいましょう。
□ プロが教える 海苔の選び方・見分け方
ここでスタジオに、専門家が登場。
江戸時代創業の海苔店 店主・井上勝久さんです。
海苔は、1回摘み、2回摘み、3回摘みという風に、だいたい、10回くらい摘むのだそう。
1枚の網で、何回も摘むんですね。
網を引き揚げて、摘んで、また海に戻す。
その過程で、段々硬くなるのだそう。
飯尾さんの溶けなかった海苔は、6回か7回ではないかと。
井上さんの知っている限りでは、12回まで摘んだという話があるそうです。
回数が増えると、溶けにくくなる。
出前の寿司などは、巻き置きした方がいい。
なので、溶けない方がいい。
手巻きだと、そのまま食べるので、歯切れがいい方がいい。
それは、1回摘みとか2回摘みとかのもの。
<溶けない海苔をダシにする方法>
(1) 海苔1枚に対して、水は 200ml。
(2) 海苔を適当な大きさに切って、水に5分ほど浸けましょう。
(3) あとは、弱火で5分煮るだけ。
ちゃんとダシとして使えます。

でも、海苔が何回摘みか、どうやって見分けたらいいんでしょう?
初摘み(一番摘み)の多くは、パッケージに書いてあるそう。
そして、摘み回数が多いものほど、価格が安くなる傾向が。
<お得な見分け方のポイントは?>
おススメは、「マル等級」。
海苔の判定員、川崎秋彦さんに、教えてもらいましょう。
「本等級、例えば、一等・上二・二等・三等が、本線の等級であって」
「(マルは)本線から外れた等級だった、今までは」
「しかし、最近は、マル等級が 味が良いということで、評判を得ています」
マルは、最近 注目の海苔みたいです。
海苔の仕分け人、藤田博明さんは、こうおっしゃった。
「これが、おいしい証し」
「海苔そのものに、おいしいって書いてあります」
つまり、見ればわかると。

マルは、海苔に穴が開いている。
昔は、傷と評価されていたそうです。
おにぎりにした時などに、ごはんが見えちゃう。
なので、なるべく穴が開かないように、昔から作られているんですね。
しかし、初摘みで、穴が開くような海苔が、非常においしいのだそう。
穴が開いた「マル」は、口どけがよく、おススメなのです。
基本、穴が開いてないものよりお得。
ただし、値段が高いマルもあります。
<知っておくとカッコいい専門用語>
・青混ぜ 青飛び
□ スライムおにぎり?

こんな経験、ありませんか?
・おにぎりの海苔が噛み切れない。
・のり弁の海苔が硬くて、箸で切れない。
よい方法を教えてくれたのは、宮城県の海苔漁師 相澤太さん。
おにぎりにして、海苔で巻く。
アツアツのうちに、ラップで包みます。
ちょっと時間が経ってから食べるのには、硬めの海苔を使うのだという。
海苔漁師の津田大さんも、「置いておく おにぎりは、硬めの海苔にしてくれって頼みます」と。
お弁当用だったり、のり弁だったりも。
ちょうど食べる頃に、磯の香りがすごく出てきて、おいしいらしい。
でも、海苔が硬くて、ゴムみたい。
つまんで伸ばすと、まるでスライムだ。

が、これで、いいんです。
実は、硬めの海苔は、細かい海苔が強くくっつき合った状態。
ところが、アツアツのうちにラップでくるんでおくと、ごはんの湯気で、くっついたのがゆるんで、フワフワに。
しかも、この時、酵素の働きで、海苔から溶け出す うま味が10倍以上 アップするんです。
これには試食した、東松島市大曲小学校5年生のみんなも、ニッコニコだ~!
おにぎりを作って、1~2時間後が食べ頃だそうです。
旬を迎えた最高においしい海苔を食べるなら、海苔屋さんへ。
お好みや用途、予算に合わせて、産地や摘みの回数など、ベストな海苔を見つけてくれます。
海苔屋さんが近くにない場合も、スーパーの海苔売り場をよく見てみると、新しい発見があるかもしれません。
いろんな種類、出てるかも~。



次回は、73分の拡大版。
ネギ雑巾に、ネギ薬、ネギ輪に、ネギ人、ネギラッパ。
ネギマヨ、ネギ天、ネギトースト。
「インフル・肺炎・がんに効く! 世界で発見! 驚異のネギパワーSP」。
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