【口内フローラ】 緑茶うがいで悪玉菌を減らす/ガッテン
全身の健康は、口の中から。
口腔内の細菌で、血管がボロボロに? 脳梗塞や心筋梗塞、認知症、がんになる可能性も。
いろんな血管から、ジンジバリス菌が見つかった!
宮森くんの実験、1週間歯を磨かないと どうなる?
毎日、歯磨き後の出血がある人は、要注意!
菌が全身を巡っているかも。
悪玉菌の繁殖だけを抑える、謎のジェル。
粉末緑茶を使った「うがい」も紹介。
解説:日本大学 落合邦康 特任教授。
2016年11月30日放送の「ガッテン」より、「ウイルス&細菌を撃退! “口内フローラ”新健康術SP」からのメモ書きです。

□ 口内フローラの働き

いきなりですが、これ、何の画像だと思います?

撮影したのは、イギリス人の スティーブ・グシュメッツナーさん。
彼は、ミクロの世界のリアルな情報を捉える プロフェッショナル。
走査電子顕微鏡(SEM)で、撮影しちゃうのだ。
実はこれ、口の中の世界。
「口内フローラ」という。
(フローラは、お花畑の意味)
健康を大きく左右する、とっても大切な存在なんですよ。
風邪やインフルエンザなどの感染症から、身体を守ってくれる。
逆に、彼らが弱っていると、血管がボロボロになって、脳梗塞や心筋梗塞まで起きてしまうのだという。
腸内細菌の「腸内フローラ」は、よく聞きますよね。
腸内フローラは人によって様々で、食べ物の消化や吸収を助けてくれる一方、そのバランスが崩れると、いろんな病気を引き起こしてしまう。
今回のテーマは、「口内フローラ」。
口の中の細菌です。
実は、口の中でも、腸内細菌と同じように、善玉菌と悪玉菌がいる。
そして、善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れてしまうと、とんでもないことが起きてしまうんです。
血管ボロボロ現象も、その一つ。
放っておくと、脳梗塞や心筋梗塞、認知症、がんなど、様々な病気を引き起こすことも。
健康な人でも、1000億個の細菌が、口の中にいるのだという。

赤ちゃんの場合、最初はいない。
ただ、歯が生える時期になると、やはり、約1000個になるのだとか。
<口内細菌の働き>
口の中は、お花畑のように、細菌がいっぱい。
その数は 1000億個ですが、種類は 500種類ぐらいだという。
といっても、悪い子たちではありません。
細菌たちの仕事は、悪いウイルスや病原菌を、口の中に住まわせないようにすること。
いい子たちなんですね~。
例えば、食中毒菌や肺炎の菌が 口に中に入ろうとすると、口内細菌がブロックしてくれるのだ。
口の細菌は、ウイルスや病原菌を繁殖させない働きがある。
つまり、ウイルスや細菌たちから、私たちの身体を守ってくれているんですね。
<実験>
口内細菌の実力を示す実験があります。
協力してくれたのは、日本大学歯学部細菌学講座の 田村宗明 准教授。
黄色ブドウ球菌と口の細菌を、同じシャーレで繁殖させます。
すると、24時間後、こうなった。

口の細菌の周りだけ、透明になっています。
細菌が酵素を出して、黄色ブドウ球菌の繁殖をブロックしたんです。
空気中には他にも、インフルエンザ、ノロウイルス、サルモネラ菌、結核菌など、いろんなウイルスや病原菌が いっぱい。
口の中の細菌は、それらを身体に入れないよう、頑張ってくれているのだ。
でも、全部が全部、よい菌だというわけではありません。
悪玉菌もいる。
大事なのは、善玉菌と悪玉菌のバランスです。
「次世代シークエンサー」という機械を使うと、どんな細菌がいるのか分かる。
この機械で、善玉菌と悪玉菌の割合を調べてもらいました。
結果、健康な人の口内フローラは、「善玉菌が およそ9割」でした。
つまり、悪玉菌は、1割しかいない。
□ 宮森右京くんの実験

ここで登場したのは、ガッテンボーイの宮森右京くん。
宮森くんといえば、ガッテンの過酷実験担当です。
では、今日も?
今回の実験は、「1週間、歯を磨かない」。
ひえ~!
でも、よゐこの有野晋哉さんからは、こんな発言が。
「仕事柄、無人島に行くんで、3日くらい磨かない日はある」
実験の前に、こんな事実を知ってもらいましょう。
健康だった人が、何の前触れもなく命を落とす、突然死。
その原因の一つが、体の真ん中を走る大動脈です。
大動脈が瘤(こぶ)のように膨らんでしまうと、突然、破裂。
大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)を発症すると、9割の人が命を落とすらしい。
実は、この病気と、口の細菌が深く関わっているのだという。
大阪大学歯学部の 天野敦雄 教授。
天野先生は8年前、手術で取り出した大動脈を 詳しく調べたんです。
すると、驚くべきことが判明したのだ。
大動脈に入り込んでいたのは、「ジンジバリス菌」。
なんと、悪玉菌が!
ジンジバリス菌は、歯周病菌の一つ。
それがなぜ、大動脈の中に?
東京大学の 鈴木淳一 特任准教授。
ネズミを使って、実験を行いました。
すると、これまた、とんでもないことが分かった。
細菌を移植した大動脈は、血管がいびつに膨らんで、今にも破けそうな状態に。
血管壁の部分が傷んで、やがて動脈瘤になってしまうと、考えられる。
ジンジバリス菌が見つかった場所は、こんなにあるんです。
・脳 → 認知症、脳梗塞。
・心臓 → 心筋梗塞。
・肝臓 → 肝炎。
・関節 → 関節リウマチ。
・がんの場所。
歯周病菌(ジンジバリス菌)が病気を引き起こす詳しいメカニズムは、解明されてないらしい。
しかし、これだけたくさんの箇所から見つかっていることから、かなりの病気のメカニズムに関わっていることが考えられます。
これを踏まえての、宮森くんの実験です。
いったい、どうなってしまうのでしょうか?
口内の細菌は、普段は、1000億個ほど。
歯を磨かないと、それが 10倍くらいになるという。
つまり、1週間で、1兆個を目指す。
そして迎えた、実験最終日。
1週間、歯を磨かなかった口の中は、モザイク処理に。
そのままでは、放送できなかったようです。
さて、肝心なのは、ここから。
宮森くんの血液を採取し、培養しました。
もし、口の中の歯周病菌が体に入っていたら、血液の中に紛れ込んでいるはずです。
さあ、どうなる?
分析してくれたのは、東京歯科大学 微生物学講座の 石原和幸 教授。
口内細菌の専門家だ。
まずは、口の中の、善玉菌と悪玉菌の割合(協力:谷口歯科医院)。
さすがに、悪玉菌の割合が増えていました。
1割だったのが、半分近くに。
問題は、血液の中に歯周病菌があるかどうか?
結果は…
大丈夫でした。
セーフ!
菌は、繁殖していません。
ちなみに、実験後の歯磨きで、口内フローラのバランスは改善されたとのこと。
よかった。
実は、単に悪玉菌が増えただけでは、歯周病菌が身体の中に入ってしまうことは、ない。
口の中にいる歯周病菌が身体に入って全身を巡ってしまうには、ある「きっかけ」が必要なのだ。
□ メカニズム

まずは、ジンジバリス菌がたまる場所から。
それは、「歯と歯の間、歯と歯茎の間」です。
なぜかというと、ジンジバリス菌は、空気が嫌いなんです。
なので、隙間に隠れようとする習性がある。
ジンジバリス菌は、さらに奥に行こうと頑張ります。
歯茎を侵食し、「歯周ポケット」が形成される。
これは、ジンジバリス菌が掘った後。
さらに深く掘り、やがて、歯茎のずっと下の方へ。
ここには血管が通っているのですが、ここからジンジバリス菌が入っちゃうのでした。
歯茎から出血するのも、このため。
そして、ジンジバリス菌が血管に到達すると、血管に入り込んで、全身を巡ることになってしまう。
歯周病にかかると、硬いものを食べたり、歯磨きをしたりすると、歯茎から血が出ますよね。
それは歯茎が炎症を起こして、傷つきやすくなってるから。
歯茎が腫れていても出血しますが、これは一時的なもので、歯周病菌は ほとんど入りません。
心配なのは、血管に開いた穴。
ここから、どんどん入っていってしまう。
ハッキリとしたサインがあります。
それは、「歯磨きでの出血」。
毎日のように血が出る場合、口の中の細菌が、身体の中に入り込んでいる場合があるので、要注意!
日本赤十字社のHPには、このような記載が。
「歯の治療などで出血した人は、3日間 献血ができません」
血液に細菌が入っていたら、輸血に使えないからです。
□ 落合邦康 先生の解説
ここでスタジオに、専門家の先生が登場。
日本大学の 落合邦康 特任教授です。
口の中の悪玉菌といえば、歯に関しては、「虫歯菌」。
歯肉に関しては、「歯周病菌」になる。
歯周ポケットは、基本的には、歯周病菌が作るもの。
ただ、年齢の影響もあって、炎症が起こると深くなるらしい。
(加齢で歯周病菌の炎症が起こると、歯周ポケットが深くなる)
歯周ポケットが深くなるかは、免疫力に関係するので、個人差がある。
若い人の場合、口から歯周病菌がたくさん出ても、歯肉がきれいな人がいます。
ところが、ある一定の年齢になると、同じぐらいの比率の菌が出ても、重症になってる人がいるとのこと。
免疫力が落ちると、歯周病菌が悪さをする。
「平塚めぐみこども園」の子どもたちに協力してもらい、口の中の細菌を採取させてもらいました。
また、75~89歳のお年寄りにも、採取させてもらった。
両方とも、健康な口を持つ方々です。
悪玉菌の割合を詳しく調べてみると、違いが出ました。
やはり、子どもたちの方が、悪玉菌の割合が少ない。
お年寄りたちの方が、かなり多めです。
年と共に身体の抵抗力が下がると、どうしても、悪玉菌は増えてしまうらしい。
と、ここで、大島麻衣さんから、爆弾発言が。
「空気が嫌いだから、ジェットコースターとかに乗って、うわ~って、風で乾かしたら、逃げるとかはないんですか?」
これには、先生も苦笑い。
残念ながら、それは無理みたいです。
<歯周病チェック>
・歯茎が腫れる。
・毎回、歯ブラシで出血。
・急に、口が臭くなった。
・口がよく乾燥する。
唾液は、口内フローラを正常に保つ働きをしています。
菌を発育させない物質とか、菌を溶かす物質とか、重要な役割をしている。
この分泌量が減ってきて、乾燥すると、細菌が発育しやすくなる。
場合によっては、舌(ぜつ)の表面にカビが生えてしまうことも。

歯周病菌は、歯茎の血管から入り、全身を巡って、悪さをする。
それが、大病を招くことも。

ガッテン! ガッテン!
気をつけないと!
□ 超簡単 口内フローラ健康術

では、悪玉菌を退治するには、どうしたらいいのでしょう?
口内フローラを整える対策は?
毎日の歯磨きは、とても大切。
でも、空気が大嫌いな歯周病菌は、歯と歯茎の間などに潜り込んでいるので、なかなか取り除くことができません。
そこでやってもらいたいのが、「歯間ブラシ&糸ようじ」。あるいは、「デンタルフロス」。
小さな隙間にも入るので、歯周病菌をしっかりと取り除くことができる。
できれば毎日、少なくても1週間に1回は、行うようにしましょう。
とはいえ、口の中は、自分では隅々まで見えません。
なので、「歯医者さんでの定期検診」にも行きましょう。
歯周病菌が増えていないか、歯周ポケットの状態はどうかなど、チェックしてもらう。

こちらは、神奈川県相模原市の健康センター。
茶色いジェルのようなものを、歯茎に塗っています。
歯科医の寺崎浩也 先生に、お話を聞きました。
「こちらを使うことによって、口内フローラを正常な状態に保ちます」

実はこれ、どこの家庭にもあるもので作られているらしい。
塗ってもらった女性の感想。
「朝、起きた時に、口の中パサパサになっちゃうんですね」
「でも、これつけているうちに、だんだん そういう感覚はなくなってきました」
実験です。
歯周病菌がたっぷり塗られたシャーレに、先ほどのジェルと同じ成分のものを入れる。
すると、48時間後、ジェルの周りだけ、ちょっと色が変わっていた。
実は、これこそ、歯周病菌の繁殖が抑えられた証拠なのです。
しかも、善玉菌の繁殖は抑えないときている。
さて、このジェルは、何で作られているのでしょう?
実はこれ、「緑茶ジェル」なのだ。
<口内フローラを整える飲み物>
・緑茶 ◎
・紅茶 ○
・ウーロン茶 ○
・コーヒー ○
・ほうじ茶 △
カテキンの抗菌効果が、悪玉菌の繁殖を抑える。
(ただし、コーヒーの抗菌効果は、カテキンによるものではありません)
でも、緑茶を飲むだけでは、すぐに唾液で洗い流されてしまいます。
そこで、こんな方法が。
<緑茶うがい>
100mlの水か ぬるま湯に対し、スプーン山盛り1杯の粉末緑茶を加えて、かき混ぜます。
これで、うがいをする。
(就寝前に行うのがベスト)
(歯磨きをしっかり行った後に、緑茶うがいをすること)

落合先生によると、緑茶のカテキンは 歯に着色することは ほとんどないそうです。

口内フローラを整える秘策は、緑茶うがい!

ガッテン! ガッテン!
□ おまけ
千葉県に住む男性。
こんな悩みが…。
「若い人がそばに来なくなったら、何か臭ってるのかな~って気になりますよ。だから、(悩みの)一番は、口臭ですよね」
口臭の一番の原因は、歯周病菌の増殖。
そこで、緑茶うがいに挑戦してもらうことに。
1週間、夜寝る前に、行ってもらいました。
判定してくれるのは、遊びに来ていたお孫さん。
口のにおいを嗅いでもらいます。
結果は、「くさくなかった」。
よかったですね。



次回は、食材です。
「ごはん・味噌汁が絶品! 旬の“のり”プロの直伝技SP」。
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