【糖尿病】食物繊維で血糖値コントロール&すい臓がん発見/ゲンキの時間
11月14日は、世界糖尿病デー。
そこで今回は、食べて血糖値をコントロールする方法を紹介しちゃいます。
縄文 → 弥生 → 明治。各時代の食事の転機とは?
改善のカギを握る、腸のスイッチ。
腸内細菌のバランスを整えると、インスリンを分泌するスイッチが押されやすくなる。
そのために、食物繊維を、1日に20g以上食べるとよい。
超音波検査で見づらい、すい臓。
しかし、紅茶を飲むことで、発見率がアップする。
ドクネット:東京医科大学病院 糖尿病・代謝・内分泌内科 小田原雅人 主任教授。
食文化研究家 永山久夫。
大阪府立成人病センター 片山和宏。
東京大学 分子細胞生物学研究所 宮島篤 教授。
ゲンキスチューデント:滝裕可里。
ゲンキリサーチャー:TKO 木本武宏。
2016年11月13日放送の「健康カプセル! ゲンキの時間」より、「~ 新時代の糖尿病対策! ~食べて血糖値コントロールのススメ」からのメモ書きです。

□ 食事の転機 縄文~弥生~明治

血糖値が高い状態が続くことで、全身の血管をボロボロにし、様々な合併症を引き起こす、「糖尿病」。
世界の糖尿病人口は、WHOによると、4.2億人以上だという。
日本でも、国民の5人に1人が、糖尿病かその予備軍。
健康診断でその兆候が出ても、放置する人が少なくありません。
その理由の1つが、血糖値が少々高くても、痛くもかゆくもないこと。
そして、対策が厳しい食事制限であることも、一因です。
でも、もし、食べて血糖値をコントロールする方法があるとすれば?
ポイントは、たった1つのことに気をつけるだけだという。
さて、今日からは、新しいゲンキスチューデントが登場。
滝裕可里(たき ゆかり)さんだ。
NHK 朝の連続テレビ小説でも、活躍中。
裕可里ちゃんが実家で飼っている猫が、実は、糖尿病。
1日2本のインスリン注射を打っているそうです。
まずはおなじみ、ゲンキスチューデントに対する基礎クイズから。
Q)糖尿病の人が いたわらないといけない臓器は、次のうちのどれ?
・胃
・肺
・胆のう
・すい臓
・大腸
答えは、「すい臓」。
食べて血糖値コントロール。
その謎を解くカギが、「古代の食事」だという。
食文化史の第一人者、永山久夫さんに、話を伺いました。
日本人の食事には、大きな転機が 2回あったらしい。
では、各時代の食事を見ていきましょう。
[縄文時代]
鶏肉などの肉を焼いたもの、ニンニク、栗(木の実)、里芋の塩ゆで。
縄文時代は、狩猟生活をしていました。
なので、イノシシやシカ、鶏など、タンパク質が主食だったようです。
当時は、いつ食料が手に入るか分かりませんでした。
また、食べる回数も不安定なため、「飢餓に備えるホルモン」が たくさん生み出された。
この飢餓に備えるホルモンがあるおかげで、少ない食事から 多くのエネルギー源や糖を ため込むシステムが身体に備わり、生き延びることができたのだ。
そして、1つ目の転機を迎えることに。
[弥生時代]
食事は、玄米、イワシ、ゴボウを煮たもの。
農耕が始まって、米を作るようになったのです。
日本の食文化史の中で、最大の改革だと、永山さんは言います。

第一の転機は、米の主食化。
農耕が始まったことで、食生活が安定化しました。
ここから、穀物の摂取量が、徐々に増加していく。
と同時に、穀物の主成分である「糖質」を摂取するようになり、飢餓に備えるホルモンの必要性は、低下するようになってきた。
逆に、摂り過ぎたものをなかったことにしてくれる唯一の存在が、活躍することになります。
それが、「インスリン」。
インスリンとは、すい臓から分泌される、血糖値を下げる唯一のホルモン。
血液中の糖を、細胞や筋肉に運び、血糖値の上昇を防いでくれる。
縄文時代から弥生時代の転機では、インスリンを分泌する機会が格段に増えたものの、まだ何とか対応できました。
そして迎える、第二の転機。
[明治時代]
例えば、ビフテキ、グラタン、コロッケなど。
食が西洋化し、肉や脂を どんどん取り入れるようになったのです。
高カロリー食の原点ともいえる。
第二の転機が与える身体への影響について、糖尿病治療の権威に、聞いてみましょう。
東京医科大学病院 糖尿病・代謝・内分泌内科の、小田原雅人 主任教授。
食事の欧米化により、インスリンをたくさん必要とするような、脂の多い食生活が入ってきました。
肉などに含まれる動物性脂肪は、インスリンの効きを悪くする性質を持っているのです。
そこで、増えた糖と脂に対処するため、大量のインスリンが必要になる。
のですが…。
縄文時代からの身体のシステムは、変わってないんですね。
狩猟生活で不安定な食生活だった縄文時代は、1万年以上も続いた。
それに対し、農耕が始まった弥生時代から、現代までは、約2300年。
なので、糖をため込む身体のままなのです。
じゃあ、我々は、大量の糖や脂肪に、どう対処すればいいのでしょう?
□ 腸のスイッチ

対処するカギは、インスリンの量とタイミング。
それを的確にすればいい。
大量の糖や脂を摂ると、インスリンの効きが邪魔されたり、タイミングが遅くなったりして、血糖値を下げられず、やがては、「2型糖尿病」に。
大切なことは、インスリンをタイムリーに、なおかつ、少量でも効くように分泌させること。
小田原先生によると、腸の中にスイッチがあるらしい。
<腸のスイッチ>
小腸や大腸の下の部分にあり、このスイッチが押されると、インスリンを分泌するように働きかけるホルモンが出る。
すると、血糖値が上がり切る前のちょうどよいタイミングでインスリンが出るので、すい臓をいたわることができ、糖尿病の予防・改善に役立つのだとか。
腸のスイッチを押すには、腸内環境を整えることが大事。
そして、腸内環境を整えるカギを握っているのが、腸内細菌です。
「善玉菌」「悪玉菌」「中立菌」の 3種類がいますが、現代の食生活では、悪玉菌が多くなりがち。
しかし、腸内細菌のバランスを整えると、スイッチが押されやすくなるんです。
そのためにしてほしいのが、「食物繊維を多く摂ること」。
食べて血糖値をコントロールするカギ、それは食物繊維だった。
食物繊維を最初に食べると、血糖値の上昇が緩やかになるんです。
また、よく噛むことで満腹感が得られ、食べ過ぎ予防になる。
さらに、食物繊維は インスリン分泌を促すスイッチを押してくれる。
こんなデータもあります。
食物繊維を1日に26g以上摂るグループと、19g未満しか食べていないグループでは、26g以上食べているグループの方が、2型糖尿病の発症が 18%も低かった。
肝心なのは、食べる量です。
厚生労働省が推奨する 1日の野菜摂取目標は、350g以上。
しかし、これでは食物繊維の量が足りません。
そこで、キノコや海藻類をプラスするとよい。
1日の食物繊維摂取量:20g

加熱して カサを減らしたり、酢の物にしたりと、食べやすいようにしてくださいね。
食物繊維を食べて、スイッチを押す。
これが、新しい糖尿病対策!
□ すい臓がん検査

続いては、すい臓について。
先日、がん診断時の進行度ステージの割合について、衝撃的なデータが発表されました。

胃がんだと、比較的軽いステージⅠ期に見つかる確率が、63.0%。
しかし、すい臓がんの場合、たった 11.2%。
それに対し、最も重いステージⅣ期で見つかる確率は、43.4%と高い。
すい臓がんは、最も早期発見が難しいのです。
しかも、すい臓がんは、なった人の数=死亡者数と言われるほど。
罹患者数:40,000人
死亡者数:33,700人
医療が進歩している現代でも、すい臓がんは手遅れになりやすいのだ。
その理由は、自覚症状が極めて少ないことと、すい臓が位置する場所にあります。
すい臓は、他の臓器に隠されているんですね。
場所は、胃の裏側。
なので、検査で分かりにくいのだ。
小さながんを見つけやすいのが、超音波検査です。
しかし、超音波は空気を伝わりにくい性質があるため、空気を含む胃の後ろにある すい臓まで、超音波が届かず、すい臓全体を 見ることが難しいのだそう。
ところが、朗報!
すい臓がん検診に、あるものを使い、成果を上げている病院がある。
大阪府立成人病センターの 片山和宏 先生に、お話を伺いました。
なんと、ミルクティーを飲んでもらうと、すい臓がよく見えるのだという。
いったい、どんな風に見えるのでしょうか?
東京都は葛飾区にある、葛飾健診センターで、特別に検証してもらいました。
(*この施設では、ミルクティーを用いた検査は実施していません)
ミルクティーを飲む前の超音波画像では、全体的に暗く、どこがすい臓なのか、あいまいです。
しかし、ミルクティーを300ml飲むと、見やすくなったんです。

理由は、胃をミルクティーで満たすことで、空気がなくなり、すい臓まで超音波が届くようになったから。
でも、どうして、ミルクティーなの?
なんでも、当時 在籍していた先生が、いろいろな飲み物を試したらしい。
そして、最終的には、患者さんたちが好き嫌いなく飲めて、かつ、胃の後ろのすい臓の画像を邪魔しないで見えやすくなったのが、ミルクティーだった。
日本すい臓学会のデータでは、早期とされるステージ「0」と「1」の段階で見つかる確率は、全体の2%。
これに対し、大阪府立成人病センターのミルクティー超音波検査では、50~60%。早期発見に、効果を上げている。
(*臨床研究のため条件に該当するデータ)
しかし、通常の健康診断などでは、全身を調べるため、前日から絶食だったり、水分を控えたりするため、ミルクティーなどを飲むことが難しく、どう普及させるかが、今後の課題です。
□ すい臓がん治療の研究
東京都は文京区にある、東京大学 分子細胞生物学研究所。
宮島篤 教授に、お話を伺いました。
ここで研究しているのは、肝臓・すい臓の再生医療。
例えば、肝臓は再生能力が高く、移植すれば、ほぼ元通りの大きさになる。
これに対し、すい臓は再生しないため、臓器移植に頼るしかないのが現状です。
そこで宮島先生は、どんな細胞にもなる「iPS細胞」を培養。
すい臓の中にある「インスリンを生み出す細胞の塊」を作ることに成功したそうなのです。
このインスリンを生み出す細胞の塊を、1か月かけて、大量培養。
あらかじめ すい臓の機能を落とし 糖尿病にしたサルの体内に移植したところ、なんと、サルの血糖値が正常値に戻ったという。
宮島先生たちの当面の目標は、1型糖尿病患者への移植。
けれど、まだまだ課題は多いそう。
すい臓の病気で悩む人を、一人でも減らしたい。
研究者たちの挑戦が、続いているのでした。
□ ドクネット
引き続き、糖尿病の専門医、東京医科大学病院の 小田原雅人 先生に、教えていただきます。
<食べるものについて>
高脂肪食や甘いものを食べると、カロリーオーバーに。
脂が多い食生活は、腸内環境を悪化させてしまいます。
一方、食物繊維をたくさん食べると、カサがあるので、満腹感が得られやすい。
また、それだけでなく、腸から食欲を抑制するホルモンが分泌されるため、食べ過ぎ予防になる。
<すい臓がんのサイン>
生活習慣は変化していないのに、急に血糖値のコントロールが悪化した。
心当たりがないのに、急に糖尿病になったなど。
すい臓がんのせいで、糖尿病が悪化することがある。
<すい臓がんのリスク>
お酒が弱いのに、毎日飲酒する習慣があり、喫煙する人は、10倍に。
これらに当てはまる人は、1年に1回の検査を心がけましょう。


[関係する記事]
→ 【糖尿病】メリーゴーランド血糖値とは
→ 「糖尿病 食べる順番と血糖値」
→ 「インスリンで糖尿病が完治する?」
→ 「脱糖尿病 野菜と腸内細菌 腸のスイッチを増やす」
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