【尿の色】赤・緑・オレンジ・乳白色 どんな病気?/ゲンキの時間
尿の疑問に答えます。
なぜ、黄色なの?
頻尿は、1日に何回から?
色や泡立ちと病気の関係。

2016年10月16日放送の「健康カプセル! ゲンキの時間」より、「尿の色で分かる危険な病気」からのメモ書きです。
ドクネット:日本大学附属板橋病院 高橋悟 副病院長 泌尿器科部長。
ゲスト:松居直美。
ゲンキリサーチャー:深沢邦之。
ゲンキスチューデント:春香クリスティーン。
□ 尿沈渣

今回は、「尿の色と病気の関係」がテーマ。
オシッコは、情報の宝庫なのだ。
<尿トーク>
「尿の回にふさわしいゲストが…」
三宅裕司さんにそう紹介されたのは、松居直美さんです。
「おは尿ございます」と、元気に登場。
夜中に2回トイレに起きるという、松居さん。
現在48歳なのですが、2年ほど前から、夜中のトイレが多くなったという。
また、バレエのレッスン中にトイレを我慢していたら、ジャンプの時、着地の瞬間に、ジョッと、尿漏れしたそう。
一方、トイレをよく我慢するという、春香クリスティーンさん。
1日2回ということも、ザラなのだとか。
仕事を始めたばかりの18歳の頃、初めての海外ロケのVTRが流れた時、収録中に、お漏らししちゃった経験も。
<頻尿は何回から?>
番組冒頭、クイズが。
Q)1日のトイレの回数は、何回からが頻尿でしょう?
A:5回以上。
B:10回以上。
C:15回以上。
答えは、「B:10回以上」。
では、尿について、詳しく教えてもらいましょう。
向かったのは、東京都は板橋区にある、日本大学附属板橋病院。
副病院長で泌尿器科部長の 高橋悟 先生に、教えていただきます。
尿というのは、血液がこされて、外に出てくるもの。
なので、いろんな成分が含まれていたり、いろんな情報が入ってるんです。
尿は、腎臓の中の「糸球体(しきゅうたい)」で、血液の老廃物などがろ過されて、作られます。
必要な水分や栄養は、尿細管で再吸収され、その残りが膀胱(ぼうこう)で貯められる。
<尿沈渣(にょうちんさ)>
まず、尿を、遠心分離器にかけます。
かかる力は、500G。
(F1ドライバーにかかるのは 4G だから、かなりの力になる)
5分後、容器の底に白い沈殿物が。
ここから、いろんな病気が分かるのだという。
沈殿物を青く着色したものが、モニターに映されました。
尿の結晶の中にある丸いものは、細胞です。
正常な場合でも、尿路の細胞が時々、尿に混ざるのだそうです。

下の画像では、丸い細胞の数が多いですね。
実はこれ、白血球。
尿路のどこかに細菌感染や炎症があると、白血球が尿の中に漏れ出てくるんです。
また、細長いものがたくさん動いてますが、これが細菌。

これは、細菌と白血球が戦った尿なのだ。
病名は、「膀胱炎」。
次の画像では、紫色の細胞の他に、色のついていない丸い物体が、たくさん見えます。
実は、これが赤血球。
つまり、これは赤血球が出ている「血尿」の状態。

こういう状態の時に考えられる病気が、「膀胱がん」。
なんと、尿検査で、がんも分かっちゃうんです。
□ 尿の色と病気

日常生活で、自分で尿を見て、セリフチェックする方法はないのでしょうか?
一番大事なのは、尿の色を見ることだという。
高橋先生が、尿のサンプルを6色、用意してくれました。

(1) 薄い黄色
麦わら色とも言う。

これは、正常な尿。
でも、尿って、なぜ黄色いのでしょう?
尿の原料は血液ですが、血液中の赤血球が寿命を迎えると、肝臓で分解されて、「ビリルビン」という物質に変化するんです。
そのビリルビンが腎臓で一部 酸化し、「ウロクローム」という物質になります。
このウロクロームが、黄色なんですね。
同じ黄色でも、濃い薄いがありますよね。
ウロクロームが尿中に出てくる量は、ほぼ一定です。
なので、多くの場合、水の量が少ないと濃くなるし、摂った水分量が多くなると薄くなる。
(2) 透明
前述のとおり、水をたくさん飲んだ場合、尿の色は薄くなります。
ほとんどの人はそうなのですが、時々、病気で透明になる人がいるそうなのです。

「尿崩症(にょうほうしょう)」という病気がある。
尿の量を調節しているのが、脳で作られる抗利尿ホルモン。
しかし、このホルモンが腎臓で効かなくなってしまったり、分泌量が減ると、大量の尿が出てしまうことに。
これが、尿崩症。
尿の量は、通常、1日に1.5リットルほどです。
これが尿崩症になると、1日に3リットル以上出る。
水をたくさん飲んでいないのに、尿の量が多い時は、要注意!
さらに、驚くべきことが。
なんと、尿崩症の患者さんを調べると、脳腫瘍が見つかるケースがあるのだという。
抗利尿ホルモンは、脳の視床下部で作られています。
そのあたりに腫瘍ができると、ホルモンの分泌が低下し、尿崩症の症状として現れることがあるんです。
また、糖尿病の場合も、尿の量が増えて、色が薄くなるケースがある。
(3) 乳白色

膿(うみ)の尿と書いて、「膿尿(のうにょう)」という。
白血球がたくさん出てくると、透明度がなくなって、白く濁るんです。
痛みがあり、乳白色の尿が出たら、「膀胱炎」の疑いが。
突然、腰が痛くなったり、発熱がある場合は、「腎盂腎炎(じんうじんえん)」の可能性があります。
(4) 赤色
赤血球が尿の中にに混ざると、赤くなる。
いわゆる血尿ですね。

血尿の場合、腎臓から膀胱までの間に、異常がある可能性が高い。
また、血尿が出るタイミングで、どこに異常があるか、ある程度、分かるのだという。
・尿の最初だけ赤い場合。
→ 尿道からの出血。
・最初から最後まで真っ赤。
→ 腎臓に結石が詰まり、炎症が起きている可能性が。
痛くもかゆくもない、症状がない、だけど真っ赤なオシッコが出た。
こういう時は、要注意!
「膀胱がん」かもしれません。
すぐに病院を受診しましょう。
(5) オレンジ色

肝臓が悪いと、ビリルビンが、尿にたくさん出てしまうんです。
黄疸(おうだん)の患者さんに見られる尿なのだそう。
オレンジ色の尿は、肝臓が悲鳴を上げている証拠。
すぐに、病院へ行きましょう。
(5) 緑色

これは、「緑膿菌(りょくのうきん)」が原因です。
緑膿菌は、自然の中に、広く分布している。
毒性が低いため、健康な場合は、感染することはありません。
しかし、手術の後の感染症など、重症な感染症として認識されている。
緑色の尿が出ると、死に至る「敗血症」の疑いも。
□ ドクネット
引き続き、日本大学医学部附属板橋病院の副院長で泌尿器科部長の、高橋悟 先生に、教えていただきます。
<血尿の注意点>
血尿は、一度出ても、おさまってしまうことが、よくある。
見た目は黄色でも、顕微鏡レベルでは、赤血球が出続けていることが多いんです。
そういう場合は、膀胱のがんや 腎臓のがんに進行してしまうので、要注意。
一度でも目で見てわかる血尿が出た時は、すぐ病院に行きましょう。
<尿の泡立ち>
色以外にも注意したいのが、尿の泡立ち具合です。
30秒以上、泡が消えない場合は、尿にタンパク質や糖が入っている可能性がある。
腎臓の病気や糖尿病の恐れがあるので、要注意です。
<尿の回数>
男性で回数が多い場合は、「前立腺肥大症」の可能性がある。
年を取ると、誰でもある程度 大きくなる前立腺ですが、がんの場合があるので、注意しましょう。
女性の頻尿に多いのが、「過活動膀胱」です。
1日に何度も激しい尿意に襲われたり、場合によっては、失禁してしまうことも。
女性の場合、子どもを産むと、骨盤の底にある筋肉「骨盤底筋(こつばんていきん)」が緩んでくるんです。
そのため、我慢がきかなくなる。
対策としては、肛門を締める「骨盤底筋体操」をすると、改善するそうです。
冒頭の話でもありましたが、松居直美さんは、着地した瞬間に、ジョッと漏れた。
これは、「腹圧性尿失禁」。
腹圧が かかった時に漏れる尿失禁ですね。
これも、女性に多い。
咳や くしゃみ、ジャンプした時など、腹圧が かかった瞬間に、出てしまう。
春香クリスティーンさんは、1日にトイレが2回ということが続くこともあるそう。
これは、どうなんでしょうか?
あまり我慢しすぎると、膀胱がずっと膨らんだ状態になり、血流障害が起こって、尿をしたいという感覚が鈍くなったり、オシッコを押し出す力自体が だんだん落ちてくることがある。
だから、水分をしっかりと摂って、昼間だけでも 4~5回ぐらい、トイレに行くようにした方が、若い女性の場合、膀胱炎になりにくいと言われているそう。
□ 尿ですべての検査を

今、尿を使った新しい研究が、注目されてるんですよ。
新潟県新潟市の新潟大学。
生体液バイオマーカーセンターの、山本格 センター長。
この方が、研究を進めています。
実験室の中には、尿バンクが。
様々な病気にかかった人の尿が、全国から送られてくるそうです。
その数は、約3000本。
尿を細かく分析することが、研究にすごく役立つ。
現在、人間ドックや健康診断は、血液検査、エックス線写真、尿検査など、様々な検査が行われています。
それをすべて、尿検査だけでできるようにするのが、目標だという。
現在の尿検査は、白血球や赤血球、細菌など、顕微鏡で判断できる病気のみを診断しています。
ところが、山本先生は、さらにミクロの世界に踏み込もうとしている。
注目したのは、尿の中のアミノ酸から作られる、「タンパク質」と「ペプチド」。
これらが様々な病気と関係しており、その種類や数を調べることで、今まで以上に多くの病気を発見できることが分かってきたのだという。
この研究が実を結べば、尿検査で、認知症や虫歯、筋肉の衰えなどによる体力疲労なども、分かるようになります。
尿検査なら、痛みを感じることもなく、簡単に調べられるというメリットが。
現在、9年計画の 3年目なのだとか。
「なんでも尿検査」という、全く新しい尿検査システムの完成を目指しているのだ。
これなら、家庭でも検査できますね。
山本先生は、「将来、介護のいらない社会が実現するのではないか」と期待している。
[関係する記事]
→ 「尿の色 泡立ち トイレ回数 腎臓病チェックリスト」
→ 「尿トラブルには 我慢と筋トレ」
→ 「危ないのは見えない血尿? 膀胱がんと腎臓病」
→ 「夜だけ頻尿と隠れ心不全」
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