【糖質制限ダイエット】正しい方法&果糖に注意/ガッテン
今週のテーマは、「糖質制限ダイエットの落とし穴」。
炭水化物抜きは、効果あるの?
成功体験と失敗体験。
砂糖税を導入している国々。
<メカニズム>
ミトコンドリアが、脂肪を使ってくれる。
清涼飲料水に含まれる、注意すべき糖。
果糖について。
<おススメ3食メニュー>
タンパク質と脂質は、増やす。
お肉・魚・大豆は、たっぷりと。
解説:北里大学 北里研究所病院 糖尿病センター長 山田悟 先生。
2016年7月6日放送の「ガッテン」より、「追跡! 糖質制限ダイエットの落とし穴」からのメモ書きです。

□ 砂糖税

今回のテーマは、流行りの「糖質制限ダイエット」。
スーパーやコンビニでは、糖質オフの商品がズラ~リ。
お弁当屋さんの中には、ご飯をブロッコリーにチェンジしてくれる店も。
パンを使わないハンバーガーだってあります。
でも、実際のところ、効果はいかほどなんですかね?
体重が落ちた! と言う人がいる一方で、不健康だ! と言う人も。
免疫やストレスなど、身体への影響が心配。
専門家の中には、「糖質制限の減量効果は、短絡的」と言う人まで。
そこでガッテンが、調査してくれちゃいました。
糖質制限している時、身体の中では、何が起きているんでしょう?
安全に痩せるには、どうしたらいいの?
失敗しない糖質との付き合い方、大公開だ。
まずは、ゲストの皆さんの反応から。
「糖質制限ダイエット」と聞いて、どう思うのでしょう?
黒沢かずこさん。
「糖質制限したら、何も人生楽しくないじゃないですか!」
ガダルカナル・タカさん。
「2回くらいチャレンジしたんですけど、挫折しちゃうんですよね」
「(なので)結果が全然、分かってないんですよ」
山根千佳さん。
「私は基本的に、夜ご飯の時は、白米を抜いて、おかずだけ食べるっていうのを、やってます」
番組のアンケートでは、2210人の方々から回答をいただけた。
その結果は、こう。
<糖質制限アンケート>
やったことがある:1179人 (53%)
やったことがない:1031人 (47%)
やったことがある人の中では――
減量に成功:764人 (65%)
ダイエットにおいて敵視してきたのは、今までは「脂肪」でした。
「痩せたかったら、脂肪を減らせ」だった。
それが今や、糖質・糖分が敵に。
「痩せるなら、糖分を減らそう」になってきた。
そんな中、海外で、日本にはない動きが。
イギリスはロンドン。
ガッテン特派員のジェーンさんが、報告してくれます。
今年3月、ニュースにもなったのが、これ。
「Sugar tax」
そう、清涼飲料水などに含まれる砂糖に、10%程度の税金がかけられることになったのだ。
(砂糖税の導入は、2018年から)
理由は、肥満です。
イギリスの肥満率は、24.9%と、社会問題になるほど。
米国カリフォルニア州のバークレー市でも、こんな動きが。
市民団体が「砂糖はもういらない」と声をあげ、住民投票の結果、砂糖を含む飲料に課税が決定しました。
他にも、フランス、フィンランド、ハンガリー、メキシコなどでも、清涼飲料水への課税が行われているのだとか。
□ 糖質制限で痩せるメカニズム
スタジオに登場したのは、緑色のパペット。
彼が今日の主役、「ミトコンドリアくん」だ。
ミトコンドリアは、我々人間の細胞の中に、数百から数千もいる。
そして、20億年前に起こったある出来事が、我々人類に大きな影響を与えたのでした。
実は、ミトコンドリアは、もともと別の生き物。
20億年前、地球に初めて生まれた生命(原始生命)は、糖だけが唯一のエネルギー源でした。
それがある時、大事件が起こります。
ミトコンドリアの祖先であるバクテリアが、偶然、細胞の中に入り込んだのだ。
こうして生まれたのが、我々のご先祖様。
ミトコンドリアをきっかけに、ご先祖は驚異的な進化を始めました。
やがて、海から陸へ。
進化を続け、ついには、高度な知性を持つ人類が誕生した。
進化のきっかけとなった、ミトコンドリア。
実は、糖質制限の際、うれしいことをやってくれるのだという。
それは何?
<糖質制限で痩せる理由>
太古の昔、原始生命は糖を取り込んで、エネルギーとし、生きていました。
それが20億年前のある日、ミトコンドリアの祖先であるバクテリアが、細胞の中に入り込んできた。
これにより、画期的な進化が。
というのも、ミトコンドリアは、脂肪を取り込んで細胞のエネルギーとして利用できるのです。
それまで:糖だけがエネルギー。
それから:糖と脂肪がエネルギーに。
その仕組みは、今も我々の身体の中に。
糖が入ってこなかったら、脂肪が使われるのです。
ミトコンドリアが、脂肪をエネルギーとして使ってくれる。
「糖質を制限 → 脂肪が使われ → 痩せる」
□ 体験談(成功例と体調不良)
[体験談(1)]
三重県に住む、女性。
糖質制限ダイエットで、健康的な体型を取り戻しました。
以前は、結婚前より、23キロも太っていた。
それが糖質を減らし始めて 1年ぐらいで、9キロの減量に成功。
しかも、1年半、体重をキープできちゃった。
さてさて、どのような糖質制限を、しているのでしょう?
もともと、ご飯が大好きなのですが、小さめのお茶碗を用意して、ご飯を今までの半分の量に。
しかも、雑穀米ですね。
おかずは、好きなものをたっぷり。
この日は、お味噌汁も含めて、5品も。

普通に何でも食べられるので、あまりストレスは感じないそうです。
身体が軽くなったおかげで、外で運動する機会も増え、以前よりアクティブに楽しんでいるのだとか。
糖質制限ダイエットで健康的になった、いい例ですね。
他にも、こんな方々が…。
女性(39歳):半年で、8キロ減。オシャレが楽しくなった。
女性(48歳):他のダイエットをしても痩せなかったのに、糖質制限したら、4か月で18キロすぐに痩せた。
男性(57歳):血糖値も体重も、結果が出るので続けられる。
やり方は、基本的には、こうですよね。
<糖質制限とは?>
・糖質を減らす。
・タンパク質と脂質は減らさない。
でも、街では、このような意見も。
「(糖質制限)ダイエットした時に、ちょっとフラフラした時があったんですけど」
「ドクターストップがかかって、ご飯を食べてくださいって言われたので」
「それで、やめましたね」
男性(61歳):足腰の筋力が落ち、立ち上がるのすら つらい状態になった。
女性(45歳):身体が鉛のように重くなり、朝ベッドから起き上がれないほどだった。
女性(19歳):めまいや体力低下を感じ、耳が聞こえにくくなりました。
うまくいかなかった人たちも、いるようです。
実は、アメリカでは、こんな実験が…。
行われたのは、1944年。
場所は、ミネソタ州。
兵士がどのくらいの栄養状態で戦えるのか?
その検証が、目的だった。
実験を指揮したのは、アンセル・キーズ博士。
当時のアメリカを代表する、生理学者だ。
参加したのは、自ら志願した健康な若者、36名。
食事を1日2回に減らすという実験を、6か月間行いました。
期間中、普段の生活に加えて、上り坂に設定した機器でウォーキングするなど、定期的な運動を取り入れます。
さらに、参加者の健康状態や体型を、細かく記録。
1日2食で、6か月。
さあ、結果はどうなった?
引き締まったのだろうか?
細マッチョの誕生?
とは、なりませんでした。
それどころか、心臓が小さくなっていた。
みんな、ガリガリに。

実はこれが、糖質制限ダイエットの落とし穴なのだ。
[体験談(2)]
神奈川県にお住いの男性。
2年ほど前に、体重と血糖値が気になり、糖質制限に挑戦した。
凝り性なことも手伝って、食事は、糖質(炭水化物)ゼロに。
肉や野菜は普通に食べます。
ダイエットを始めてから 1か月もしないうちに、体重が3キロ落ち、血糖値を示す数値も下がった。
これはいいな! と、男性は糖質制限に夢中になったという。
成分表を持ち歩き、メニューを選んでいた。
極力、糖質をカットするようにしていました。
が、そんな生活を続けていると、いろんな症状が…。
糖質制限を始めて 1か月ぐらいした頃から、ボ~ッとする感覚をおぼえるように。
まるで、脳細胞が機能してないような感じ。
疲れやすくなったという。
さらに、筋力が低下。
階段を上ることがきつくなり、ふらつきを感じるようになってしまった。
血液検査でも、それが表れていたという。
筋肉量を表す「CK」という値が、「 78 → 64 」に低下していました。
男性は、こう振り返ります。
「筋肉量が減って、脚力が落ちてきたな~というその辺で、ちょっとこれはヤバイかな~って思い始めて。少し身の危険を感じました」
この男性に出た症状は、こちら。
・集中力低下。
・めまい。
・ふらつき。
・筋力低下。
日本人の平均摂取カロリーは、「2000kcal/日」。
さらに、その内訳は、こうなる。
タンパク質:15%
脂質:25%
糖質(炭水化物):60%
摂取カロリーの60%は、糖質からなのです。
つまり、糖質ゼロにしてしまうと、摂取カロリーが極端に低くなってしまうのだ。
先ほど紹介したアメリカの実験。
ガリガリになった彼らは、カロリーを45%カットして、ああなった。
いつもの食事から、糖質をすべてカットすると、それ以下になってしまうのです(60%カットになるから)。
「糖質は摂取カロリーの多くを占めるので、カットすると、総カロリーが不足しがち」
□ 山田悟先生の解説
ここでスタジオに、専門家の先生が登場。
北里大学 北里研究所病院 糖尿病センター長の 山田悟 先生です。
正しい糖質制限には、ポイントがあるようです。
糖質を減らすのは、合っている。
問題は、「タンパク質と脂質は減らさない」という部分。
正しくは、「タンパク質・脂質は、増やさないといけない」のだ。
そもそも、エネルギーの総量が足りなかったら、燃やしようがありません。
そうなると、自分の筋肉を削るようになり、結果、筋肉が衰えてしまうのです。
<おススメの糖質制限>
糖質の量は、普段の 1/3~半分程度に。
さらに、脂質やタンパク質はしっかりと摂る。
基本的には、おなか一杯になるまで食べる。
タンパク質や脂質はバランスよく、肉・魚・大豆などから。
今までのダイエットでは、空腹感を我慢する方法が主流でした。
しかし、タンパク質や脂質をしっかり食べると、満腹中枢を刺激する物質が分泌されるので、結果的に、食べ過ぎないですむのです。
一方、糖質の場合では、食後に空腹感を刺激する物質が分泌されやすいので、お腹が空きやすい。
高糖質の人(糖質をたくさん食べるタイプ)は、すぐにお腹が空きやすく、どんどん食べてしまいがちなのだとか。
<お酒を飲む場合は?>
蒸留酒、ウイスキーや焼酎には、糖質がありません。
(ウォッカ、ブランデー、ラム、テキーラ、ジンなども)
なので、糖質制限という意味では、無制限に飲むことができます。
けれども、肝臓など、他の臓器への影響がありますから、ほどほどに。
逆に、ビールなど、醸造酒には、糖質があります。
(日本酒、ワインなども)
が、最近では、糖質ゼロタイプがあるので、飲むなら、そちらを。
先生が勧める正しい糖質制限ダイエットは、こちら。
・糖質を減らす。
→ ご飯など主食を半分に。
(糖質全体の量は、普段の 1/3~1/2程度にする)
・タンパク質や脂質は減らさない。
→ 肉、魚、大豆、食物繊維を増やす。
<糖質を極端にカットすることのリスク>
人間の細胞は、エネルギーや糖質が不足してくると、第3のエネルギーとして「ケトン体」を使うようになる。
身体の中で糖が少なくなった時、脂肪がエネルギー源となります。
けれど、脳には関門があって、脂肪をエネルギーにすることができないんですね。
そんな時、脂肪から生み出されるのが、ケトン体なのだ。
ケトン体は関門を通過し、脳のエネルギーになる。
ということで、ケトン体は、脳細胞にはメリットがあるんですね。
けれど、その一方で、「血管に対して傷害を与える」という論文が、いくつか出ているのだとか。
長期間ケトン体が出た時の安全性は、まだはっきりしていないそうです。
つい10年前までは、「脂肪は敵だ」「油を控えましょう」と言っていました。
ところが、油を控えようとしても、いいことが起こらないことが多かった。
(糖尿病、腎臓病、脂質異常症などの人は、自分で判断せず、主治医とご相談ください)

糖質を減らす分、タンパク質と脂質を、しっかり食べる。
すると満腹感が得られ、失敗せずに、無理なく減量できる。

ガッテン! ガッテン!
□ 果糖に注意
外国では課税されることもある、清涼飲料水。
実はこの中に、ちょっと注意した方がいい糖が含まれているらしい。
見るべきは、ラベルです。
原材料名の項目。
スタジオに、「砂糖」と「果糖」が運ばれてきました。
どちらも、白い粉だ。
ゲストの皆さんに、味の違いを感じてもらいます。
どうも、果糖の方が、甘いようですね。
果糖は、果物にも含まれますが、清涼飲料水などに特に多く含まれる。
実は、果糖には、他の糖にはない特徴が。
<果糖の特徴>
・とても甘い。
・血糖値が上がらない。
・内臓脂肪がつきやすい。
・老化を早める。
老化を早めるというのは、どういうことなんでしょう?
久留米大学 医学部の 山岸昌一 教授に、実験を見せてもらいました。
人間の筋肉に見立てた牛のコラーゲンに果糖を加え、体温と同じ37℃に置いて、保管。
2週間後、さて、どうなっているでしょうか?
果糖ありのコラーゲンは、茶色に。
しかも、弾力がなくなって、硬くなりました。
こちらは、東京慈恵会医科大学 斎藤充 准教授の実験。
骨の場合も、同じことが起こるようです。
色も違いますが、強度も違う。
茶色い方は、うんと折れやすい。

果糖はブドウ糖の10倍、老化物質を作り出すのだそうです。
けれど、果糖はとても甘味が強く便利なので、清涼飲料水などでよく使われている。
ペットボトルのラベル表記を見ると、こう書かれています。

書き方は、パーセンテージで決まるのだとか。
・ぶどう糖果糖液糖:50%未満。
・果糖ぶどう糖液糖:50~90%未満。
・高果糖液糖:90%以上。
おいしい清涼飲料水ですが、量はほどほどに。
糖分の総量にも注意して、過剰な摂取は控えるようにしましょう。
□ ガッテンおすすめ糖質ダイエットメニュー
全体のカロリーを減らしすぎないように、ご飯などの主食は、普段の半分ほど。
肉・魚・大豆などは、満足いくまでたっぷりと食べて、OK。
1食の中で、「肉+魚」「魚+大豆」「大豆+肉」など、2種類を組み合わせると、量を確保できる。
米やパンを減らすと、食物繊維が不足しがち。
野菜もたっぷり、食べましょうね。
糖質は、1食抜くより、3食バランスよく減らす方が、身体にやさしいので、おススメ。


次回は、シミ、シワ、認知症にも、関係?
「アンチエイジングの新常識! 毛細血管ケアSP!」。
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→ 「ノーベル財団も選んだ 計るだけダイエット」
→ 「太らない秘密と腸内細菌バクテロイデス」
→ 「レジスタントスターチ+小太りは長生き?」
→ 「8時間ダイエット+ブロッコリー弁当」
外部サイト
→ 一日に必要なエネルギー(カロリー)の基準
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