足のむくみ(下肢静脈瘤)はストッキングで改善/ためしてガッテン
今週のテーマは、「足のむくみ」。
異常な音の正体は?
静脈の弁の役割。
夜中に足がつるのも、むくみのせい?
<下肢静脈瘤>
ストッキングの効果。
<静脈の逆流を見つけるポイント>
1分ほど立つ。
最新治療法、レーザー手術。
弾性ストッキングを履くコツ。
レジ袋を使おう。
解説:血管外科専門医 広川雅之 先生(お茶の水血管外科クリニック院長)。
2016年1月27日放送の「ためしてガッテン」より、「足の疲れ&むくみ撃退 一番効くのはコレだ!」からのメモ書きです。

□ むくみの音

「足のむくみ」に悩む方は、多いようです。
「足の指先が、感覚がないくらい、しびれちゃうんです」
「足がむくんでしまって、パンパンになって、電車の中で立っているのも つらいぐらいで」
「寝不足になるくらい、足がつるようになってしまって」
そこで、ガッテン名物、大調査だ。
足の悩みの専門医である 広川雅之 先生と、検査技師の 加賀山知子さんに、協力していただきましたよ。
調べる方法は、超音波(エコー)検査。
さて、疲れや むくみを生み出す元凶は、何なのでしょうか?
その場所からは、不思議な音が聞こえるのだという。
エコーを当てて ふくらはぎを押すと、正常な方は「ブッ」という音が。
しかし、異常が見つかった方では、「ブッ…ブロロロロ」みたいな音になった。
押す時の、「ブッ」は同じです。
けど、指を離した時に、「…ブロロロロ」という音がする。
この音が、疲れや むくみを生み出している証拠なのだとか。
あるものが 壊れているから、こうなると。
実はこれ、「血流の音」。
ふくらはぎを もんだ時に 音がして、正常な場合、離した時に音は消えます。
足をもむ → 血液が上がって音がする → 手を離す → 血液が止まって音が消える
異常な音とは、手を離した後の音でした。
でも、その原因は?
スタジオに登場したのは、人間の心臓と足を、ごく模式的に表したもの。
心臓から足先に向かって、動脈が走っています。
ここを通って、酸素や栄養分が運ばれる。
そして今度は、足先から 静脈を通って、老廃物を持って帰る格好。
静脈には、大きく分けて2種類あって、メインの静脈とサブの静脈があります。
心臓から足先に向かって血液が流れる分には、問題ありません。
けれど、足先から心臓へ帰るには、たいへん。なんてたって、重力がありますから。
この時、役に立つのが、「弁(べん)」なんですね。
上がっていった血液が また下に戻ってこないように、フタをしてくれるわけです。
下から上には行けるけど、上から下には行けない、一方通行。


検査の時の異常な音は、この弁のいくつかが壊れているからなのでした。

弁が壊れると、ちゃんと閉まりません。
<正常な時>
指で押す → 血液が上に → 「ブッ」という音
指を離す → 逆流しない → 無音
<壊れている時>
指で押す → 血液が上に → 「ブッ」という音
指を離す → 逆流する → 「…ブロロロロ」という音
弁が閉じられなくなると、血液が滞って、足の下の方に血液が溜まってしまいます。
すると、その血液から余計な水分が 周りの細胞に溜まってしまい、むくんでしまうのです。
そして、やがて、疲れを感じるようになる。
実は、夜中に足がつるのも、ちゃんと老廃物を送り返すことができていないからなのだそう。
山瀬まみさんは、海外に行く飛行機などで長時間移動すると、足がひどくむくんで、寝てると、すごく足が つるのだそう。
だから、この話には納得なのだとか。
一度 壊れてしまった弁は、もう元には戻らないそうです。
そして恐ろしいことに、弁の異常を放置してしまうと、隣の弁、その隣の弁へと、どんどんダメージが広がってしまう。
すると、逆流の範囲が広がって、たいへんなことに。
これが、「下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)」という状態。
上からの圧力に耐えきれなくなり、下の血管が蛇行して、皮膚の表面に出てきてしまう。
さらに、何も対策をしないで重症化すると、どす黒い皮膚炎を起こしてしまうことも。

ということで、足のむくみや 夜中に足がつるのを防ぐには、静脈の弁を守ることが大切になってくるようですね。
□ 弁と寿司屋とストッキング

北海道は小樽市に、むくみ解消法を教えてくれる人がいました。
なんと、お医者さんではなく、お寿司屋さんだ。
長時間の立ち仕事になる、お寿司屋さん。
朝出た時と、帰りの足の太さは、違うのだとか。パンパンに腫れてしまうといいます。
夕方ぐらいから、足がだるくなって、引きずる感じになってしまう。
ひどい時は、立てないぐらいになることも。
それが、あるアイテムで、改善されました。
使ったのは、「ストッキング」。
どうして、ストッキングが効くのだろうか?
弁を守ってくれるグッズとは、「圧力が強めのストッキング」。
<メカニズム>
むくみや疲れ、夜中に足がつる。これらのお悩みに共通する原因は、メインではなくサブの方の 弁の異常なんです。
長い間、立ちっぱなしでいると、どうしても血が滞って、下の方に溜まりやすくなる。
その時、実は、静脈にある変化が起きているのでした。
なんと、血液の量が増えるので、静脈自体が広がってしまうのです。
こうなってしまうと、くっついていた弁が、離れた「ハの字」になってしまう。

こうなると、血液はどんどん逆流。
逆流する度に、弁を傷つけることに。
そしてやがて、弁が変形してしまうのでした。
問題は、その部分の血管が、太くなってしまうこと。
そこで登場するのが、「圧力が強めのストッキング」です。
ストッキングで圧力をかけるので、太さが戻り、弁がもう一度、くっついてくれるんですね。

足を締め付けるストッキングには、静脈の弁を守る効果が。

ガッテン! ガッテン!
□ 広川雅之 先生の解説

メカニズムは分かりましたが、弁に異常があるのかどうか、自分では判断がつきませんよね。
家で、エコー検査するわけにもいかないし。
でも、専門医の先生によれば、じっくり見れば、ある程度、分かるらしいですよ。
ただし、その際に、コツがいる。
ここでスタジオに、専門家の先生が登場。
血管外科専門医で下肢静脈瘤専門クリニックの、広川雅之 先生(お茶の水血管外科クリニック院長)です。
<静脈の逆流を見つけるポイント>
・立つ。
・1分ほど待つ。
・触る。
静脈は、膨れないと、はっきりと分からないことが多い。
立つと、血流が下半身にとどまり、弁が壊れた静脈は浮き出ます。
その際、血がたまるのに、1分ほどかかる。
足は、動かさないこと。足踏みすると、筋ポンプ作用が働いてしまい、血が戻ってしまいます。
できるだけ、じっとしているのがいい。
1分たったら、触ってみましょう。
見た目だけでは分かりにくい場所でも、触ると、膨らみが分かりやすい。
「逆流のサイン」
(1) 血管が蛇行して、少しだけプクッと浮いている。
(2) 毛細血管が、紫色に変色している。

膝の裏などを見る場合は、立ったまま、鏡を使ってください。
<ストッキングの効果と選び方>
医療用(病院など)
弾性ストッキング
特徴として、圧力が強く履きにくいため、あきらめる人も少なくないそう。
着脱方法は、医師や看護師さんに、相談してください。
ドラッグストアなど
段階式圧力設計
足首が一番強くて、上に向かってだんだん緩くなっている。
血行促進のため、締め付ける圧力が、場所によって調節されています。
医療用よりは圧力が弱く、その分、履きやすい。
それほど むくみの強くない人に、おすすめ。
スポーツ店など
市販のものは、女性用が多い。
でも、スポーツ用なら、男性でも履きやすいですね。
つま先部分は、なくても、OK。
でも、むくみが強い人などは、甲の部分があるものを。
選ぶポイントは、商品のタグや箱に書かれている表示。
「血行を促進」というのは、医療機器だけに許された表現です。
これが書いてあると、だいたい、医療用と同じ効果が期待できます。
商品説明に、「段階着圧設計」「段階的着圧」と書かれている場合も。
これも基本的に、医療用と同じ設計なのだそうです。
<価格の目安>
ひざ下までが、2000円から3000円程度。
腰までのものが、5000円ほど
スポーツタイプは、1万円を超えるものもあり。


弾性ストッキングは、血行促進だけでなく、静脈の弁を守る効果も期待できます。

ガッテン! ガッテン!
□ 下肢静脈瘤の手術
[体験談]
福島県にお住いの女性、Aさん。
30代の頃から、つらい足の疲れや むくみを感じてきたといいます。
去年からは、夜中に、頻繁に足がつるようになり、生活に支障が出るほどになってしまった。
足は、むくみでパンパン。
特に、右足は、広い範囲で、静脈が浮き出ていました。
そこで医師に勧められたのが、最新の治療法だった。
担当してくださったのは、福島第一病院 心臓血管外科の 小川智弘 先生です。
最新の方法とは、「レーザーの熱によって、血管を収縮させ、閉じる」というもの。
逆流を起こしている静脈内に、装置を入れて、レーザーを照射。熱で静脈を閉じていきます。
足には たくさんの静脈が走っており、他が補ってくれるので、だいじょうぶ。
新型のレーザー治療機器が、2014年に保険適用になり、手術後の痛みも残りにくいなど、患者さんの負担が グッと減りました。

Aさんの手術は、たった30分で終了。
痛みは ほとんどなく、チクチクチクというぐらい。
2時間後には、歩いて帰宅できました。
手術から1週間後には、足のむくみが かなり解消したといいます。
スタジオでは引き続き、広川先生が説明してくれましたよ。
これは血管内治療といって、超音波で見ながら、カテーテルを静脈の中に入れて、レーザーの光を当てます。
入れるのは、だいたい、ひざ下の内側。(この方法だと、昔のように、患部を切開する必要はありません)
前述のように、新型レーザー(波長1470ナノメートル)・高周波(ラジオ波)が、2014年に保険適用されました。
診療科は主に、血管外科、心臓血管外科、皮膚科。
下肢動脈瘤は基本的に、良性の病気なのだそう。
血栓が飛ぶことは ほぼなく、足の切断にもなりません。
治療の際は慌てずに、お医者さんに相談を。
(とはいえ、放置してよいわけではありません。症状があれば、病院で受診を)
□ 弾性ストッキングを履くコツ
医療用の弾性ストッキングは、効果が高い反面、不便な面も。
とにかく、履くのも、脱ぐのも、たいへんなんです。
それもそのはず、医療用弾性ストッキングの圧力は、普通のものの3倍以上。
とっても履きにくいので、あきらめる人も多いのだとか。
<弾性ストッキングを楽に履くポイント>
(1) まず、手をストッキングに入れて、かかとをつまみ、上の部分を裏返します。
(2) 次に、足先だけ入れて、かかとを合わせ、端を持って、グッと引き上げましょう。
(3) 履けたら、シワを伸ばして、完成。

動画
それでも履きにくい場合は、レジ袋やコンビニ袋を使うといい。
足先につけてから、ストッキングを履くと、滑りがよく、スムーズに履くことができます。
脱ぐ時は、足首から上を返せば、あとは簡単。

□ 今週の色紙
静脈の弁は、こうでなくっちゃ。
「ハハハをヘヘヘに」
弁が開いた「ハ」ではなく、閉じた「ヘ」の状態に。


□

むくみのメカニズムは、こうなっていたのか。
まさか、弁が関係しているとは。

ストッキングが役立つのにも、ビックリ。
むくみが気になってた人も、対策できそう。

まずは、1分立って、チェックするかな。
次回は、「あなたのセキをチェック! 止め方&見分け方SP」。


[関係する記事]
→ 「むくみモドキ 甲状腺機能低下症」
→ 「むくみチェック&解消法 潜む病気とは?」
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