長生きホルモンを増やす 壁ネクチン体操/ためしてガッテン
今週のテーマは、「長寿ホルモン」。
<特徴>
女性に多い。
喫煙者は少ない。
内臓脂肪が多い人は少ない。
同じ効果を持つ物質、「アディポロン」。
糖尿病の治療に期待。
正式な名前は、「アディポネクチン」。
内臓脂肪が作り出すが、太ると出にくくなる。
壁ネクチン体操で、増やそう。
名古屋大学病院 循環器内科 柴田玲 特任講師の解説。
2015年10月28日放送の「ためしてガッテン」より、「長寿ホルモン大放出! 動脈硬化 メタボ 糖尿病 一挙解決SP」からのメモ書きです。

□ 長生きホルモン

あのCM、覚えてますか?
きんは100歳、ぎんも100歳。
成田きんさんと、蟹江ぎんさん。
二人合わせて、きんさんぎんさん。
ゆかいなご長寿姉妹でした。
笑顔が、印象に残っています。
きんさんは107歳で、ぎんさんは108歳で、この世を去りました。
実は、ぎんさんは死後、長寿の秘密を探るため、病理解剖を受けていたのです。
その結果 分かったのは、血管や内臓が、とても若々しい状態にあったこと。
解剖を担当した病理医、南生協病院の棚橋千里さんは、「20歳程度は若いと言っても、言い過ぎではない」と、おっしゃった。
これは、ぎんさんの体の中に「あるホルモン」が、たくさんあったからだと考えられています。
そのホルモンには、健康を保ち、長寿につながる秘訣があるのだという。
長生きホルモンとは、いったい、どういうものなんでしょうか?
ぎんさんの娘さんも、ご長寿です。
96歳、94歳、91歳。しかも、とってもお元気。
そんな元気娘さんに協力していただき、長生きホルモンの量を測定させていただきました。
この検査法による、長生きホルモンの標準的な値は、平均で「 8~10μg/ml 」。
これに比べて、ぎんさんの娘さんは、23.1μg/ml、34.8μg/ml、24.6μg/ml。
とっても多かったんです。
長生きホルモンですが、遺伝の影響は、3割ぐらいだという。
残りの7割は、生活習慣。
東京大学 大学院 糖尿病・代謝内科の門脇孝 教授。
長生きホルモンについて研究する一人です。
このホルモンが 糖尿病に効き目があることを、発見しました。
インスリンの働きを高め、糖尿病を改善することが分かったんです。
そんな門脇先生が立ち上げたプロジェクトが、これ。
長生きホルモンと同じ効果を持つ物質を、人工的に作り出そうというもの。
そもそもホルモンは、細胞と結合して初めて、効果を発揮します。
いわば、カギと鍵穴のような関係。
ということは、長生きホルモンと似た構造の物質を作り出せれば、合鍵のように働いて、長生きホルモンと同じ効果が起きるはずです。
この研究は、気が遠くなるような道のりでした。
膨大な種類の物質を、一つ一つ鍵穴にはめ、試さねばなりません。
最終的に候補となった物質は、600万種類。
そして、10年かけて、ついに見つかりました。
それが、「アディポロン」。
長生きホルモンと同じ効果を持つ物質です。
さっそく、マウスによる実験が行われました。
肥満のマウスは高カロリー食を摂取するため、本来の寿命の3割程度しか生きられません。
いわば、生活習慣病のマウス。
しかし、アディポロンを与えたところ、高カロリー食はそのままなのに、それまでの倍以上、長生きするようになりました。
つまり、寿命が回復した。
現在は、副作用がないように、薬としての精度を上げる研究中なのだとか。
なので、アディポロンはまだ、販売されていません。
一番早いものは、おそらく、糖尿病の薬として最初に実用化されるのではないかと、見られています。
□ 調査で分かった特徴

この長寿ホルモン、増やすことは、できないのでしょうか?
まずは、「長生きホルモン 大調査」からだ。
12歳から96歳の男女、100名に、協力していただきましたよ。
長生きホルモンが、たくさんできる人と、あまりできない人、その特徴は何なんでしょう?
どんなタイプに多いの?
「ありがとう浜村淳です」のテーマ曲にのって、採血です。
長生きホルモンの標準的な値は、平均で「 8~10μg/ml 」。
今回の調査では、男性の平均が、「 8.6μg/ml 」。女性の平均が、「 11.8μg/ml 」だった。
女性の方が平均寿命が長いことにも、関係しそうですね。
男性ホルモンが、長生きホルモンの分泌を抑えると考えられています。
ちなみに、最下位は、44歳の方で、3.9だった。
ワースト2位も 44歳で、4.3。
共通するのは、44歳男性であることの他に、「喫煙者」であること。
今回の調査では、喫煙者の平均は、「 7.5μg/ml 」だった。
平均よりも下です。
多かった方、第3位は、61歳の女性でした。
「 16.1μg/ml 」
第2位は、73歳の女性。
「 23.3μg/ml 」
そして、第1位は、なんと、14歳のサッカー少年。
「 24.6μg/ml 」
グループ分けした結果は、以下のようになります。
老人ホーム:13μg/ml
劇団員:11μg/ml
絵手紙教室:10.7μg/ml
ランナー:10.6μg/ml
保護者・その他:10.2μg/ml
サッカー少年:9.3μg/ml
病院職員:8.9μg/ml
囲碁:7.6μg/ml
柔道:6.8μg/ml
医師:6μg/ml
患者:5.6μg/ml
さて、長生きホルモンが多い人の共通点とは、何なのでしょう?
その前に、生まれる場所から。
長生きホルモンを出すものがいるのは、お腹の中。
なんと、「内臓脂肪」が生み出してくれるんです。
長生きホルモンの正式名称は、「アディポネクチン」。
先ほどの結果に、内臓脂肪の値を加えてみます。
すると、こうなった。
老人ホーム:13 (6.7)
劇団員:11 (5.3)
絵手紙教室:10.7 (7.9)
ランナー:10.6 (6.8)
保護者・その他:10.2 (7.7)
サッカー少年:9.3 (6)
病院職員:8.9 (10.5)
囲碁:7.6 (9.2)
柔道:6.8 (13.6)
医師:6 (12.5)
患者:5.6 (20.4)
どうも、内臓脂肪が多いと、長生きホルモンが少ない傾向が。
内臓脂肪が出しているのに、多いと出す量が少なくなる?
はて?
太ると内臓脂肪が増えるのかというと、実は、そうではありません。
数は同じままで、1個1個の脂肪細胞が、膨らむんです。
太る → 脂肪細胞が膨らむ → 血管を圧迫 → 酸素不足になって、アディポネクチンを出さなくなる。
脂肪細胞の数は、太る痩せるに関係なく、同じ。
太って大きくなった脂肪細胞は、アディポネクチンを出しにくくなる。
健康でスマートな脂肪細胞が、アディポネクチンをよく出してくれる。
<長生きホルモンの特徴>
(1) 女性は、長生きホルモンが多い。
(2) 喫煙は、長生きホルモンの分泌を抑える。
(3) 内臓脂肪が多いと、量が少ない。

長生きホルモン「アディポネクチン」は、健康な脂肪細胞から作られます。

ガッテン! ガッテン!
□ アディポネクチンを増やす方法

アディポネクチンを増やすには、どうすればいいのでしょう?
ダイエット以外に、こんな方法がありました。
集う、4人のエキスパート。
東邦大学 名誉教授 新須磨病院 糖尿病センターの 芳野原(よしの げん)さん。
肥満や糖尿病の専門医だ。アディポネクチンを増やす研究で、成果を上げているぞ。
昭和大学 薬学部 教授の 中野泰子さん。
なんと、アディポネクチンの発見者の一人だ。
福島医科大学 医学部疫学講座 教授の 大平哲也さん。
様々な運動を治療に取り入れているぞ。
名古屋大学病院 循環器内科 特任講師の 柴田玲さん。
内臓脂肪の専門家だ。
要求は、「アディポネクチンを、いかに効率的に分泌させるか」。
効果が出るまでの期間は、3週間です。
つまり、手軽に短期間でアディポネクチンを増やす方法を、考えてもらう。
さあ、四賢者の出した答えとは?
4人の中のお一人が、スタジオに登場。
名古屋大学病院 循環器内科の 柴田玲 先生です。
以前は、脂肪というと、体の中の邪魔者と考えられてきました。
しかし、現在では、たくさんのホルモンを出しているということが分かってきた。
中には体に悪さをするホルモンもありますが、アディポネクチンのように よい働きをするホルモンも出しています。
長寿ホルモンですが、低かったからといって、それで寿命が決まるわけではありません。
生活習慣や食生活の改善で、グッと高くなるんです。
さあ、いよいよ、アディポネクチンを増やす方法ですよ。
<壁ネクチン体操>
[第一] はりつき
基本姿勢は、壁にくっついて立つだけ。
これを、3分間。
ネクチンには、「くっつく」という意味がある。

かかと、お尻、背中、後頭部を、壁につけるので、けっこうたいへんです。
[第二] ひねり
壁から、足ひとつ分、前に出る。
右手で左側の壁を、左手で右側の壁を、順番にタッチ。
「いち、に、さん…」と声を出しながら、上半身をひねる運動をします。
声を出しながら、これを30回。

わき腹を効率的に使う運動。
声を出すとか、笑い声をあげるのは、お腹に力が入って、よい刺激になるのだそう。
[第三] 羽ばたき
また、壁にぴったりと、背中をつけます。
そのままで、手を上下に動かしましょう。
これを3回(3往復)。

動かしている肩甲骨には、褐色脂肪組織がたくさんあります。
これは、高い脂肪燃焼効果を持つ細胞。
[第四] 笑う深呼吸
「よ~っ!」などと声を出しながら、踵をつけて、腰を下ろして、足を開き、手を大きく回し上げる。
次に、大きく手を下しつつ、ヒザを伸ばし、「ハッハッハッハ~!」と大きな声で笑う。
これを3回。

回数は、朝と夕の2回。
これを、3週間行う。
(持病がある場合などは、かかりつけのお医者さんに相談してから、行ってください)
この壁ネクチン体操を、アディポネクチンの量が少なかった9名に、3週間 実践してもらいました。
結果は、この通り。
9.3 → 9.9 (+0.6)
4.8 → 5.4 (+0.6)
4.0 → 4.4 (+0.4)
14 → 13.2 (-0.8)
5.2 → 6.7 (+1.5)
12 → 12 (±0)
6.3 → 6.8 (+0.5)
6.6 → 7.2 (+0.6)
6.0 → 6.1 (+0.1)
このように、9名中 7名がアップしました。
例えば、5μg が 6μg になると、20%のアップということになります。
体質の改善には、大きな影響があることに。
アディポネクチンの分泌が低い可能性があるのは、おへそ周りのサイズが、以下の人。
男性なら 85センチ以上
女性なら 90センチ以上
メタボ → 内臓脂肪が多い → アディポネクチンの分泌が少ない。
生活習慣の改善を。
アディポネクチンの測定ですが、今は比較的多くの施設で可能になってきているそう。
人間ドックや健康診断のオプションで、付いているみたいです。
費用は保険適用外で、3千円から5千円程度。
□ 今週の色紙
壁ドンもいいけれど…
「壁ピタッ」
![NHKためしてガッテン 2015年 11 月号 [雑誌]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/619t2f4VueL._SX270_.jpg)

□

長寿が、ホルモンと関係してるとはね~。
ホルモンは、見えないもんな~。

内臓脂肪から出るなんて、不思議ですね。
脂肪は不可欠なもの。
だけど、あり過ぎると問題に。
バランスが大事なんですね。

ほどほどが一番なのかな。
次回は、「魔法飲料! コーヒー祭り」。


[関係する記事]
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