尿路結石の原因物質 オステオポンチン/ためしてガッテン
今週のテーマは、「尿路結石」。
メカニズム。
大きな石は痛くない?
リトマス試験紙で、尿が酸性かチェック。
食事での対策は?
内臓脂肪にも注意。
名古屋市立大学、郡健二郎 学長の解説。
謎の物質、オステオポンチン。
抗酸化作用のある食品。
2015年4月15日放送の「ためしてガッテン」より、「激痛がっ! 結石の恐怖 一生苦しまない新鉄則」からのメモ書きです。

□ 尿路結石

激痛の代表と言えば?
椎間板ヘルニア、出産、鼻の穴にコンペイトウを入れてしまったという人もいました。
あるお医者さんは、こうおっしゃいましたよ。
「人が感じる痛みの中でも、最も強い痛みのひとつ、痛みの王様」があると。
それが今日のテーマである、「尿路結石」。
経験者は、こう語ります。
・痛すぎて、吐く。
・死ぬかと思った。
・言葉に表せないくらい。
尿路結石は急増中で、日本人の およそ10人に1人が一度は経験する病気なのだとか。
(1) 尿路結石患者に共通する、特徴は?
(2) 結石撃退に効果的な食材は?
結石撲滅スペシャルですよ。
ゲストの いっこく堂さんは、経験者。
腰が痛いなと思っていたら、そのうち動けなくなり、声も出なくなった。
あまりの激痛に、何度か吐いたそうです。
何とか救急車を呼んでもらって搬送されたのですが、尿路結石でした。
司会の志の輔さんは、今も石を持っているそう。
経験者から「死ぬような痛みに襲われるよ」と教えられるので、戦々恐々です。
先述のように、尿路結石の患者は急増中。
この40年で、3倍になったと言います。
ということは、誰しも他人事ではなくなってきている。
結石ができるまでの期間を、ご存じですか?
直径2ミリサイズになるのに、なんと、たったの3週間。
尿路結石といえば、年配の男性がなるイメージがありますよね。
でも、必ずしもそうではないようです。
まずは、体験談から。
【体験談(1)】
横浜にお住いの、41歳女性。
年末のある日、お腹に、感じたことのない違和感が。
その日の午後、激痛に襲われました。
内臓をギュッと絞(しぼ)られるような、出産を超える痛みだったといいます。
痛みで呼吸ができず、体はしびれ、失神寸前に。
病院に運ばれ緊急の検査を受けたところ、原因は尿路結石でした。
すぐに痛み止めが注射され、様子を見ることに。
女性はその後も、度々、痛みに襲われたといいます。
苦しみから解放されたのは、5日後の朝でした。
トイレで、コロン! という音が聞こえた。
便器を見てみると、直径2ミリの石が。
これが、激痛の正体だったんですね。

上の画像は、直径2ミリですが、結石にはこんな大きなものも。

不思議なことに、この大きい石の方が、痛くないそうなんです。
その理由を知るためにも、メカニズムを勉強してみましょう。
□ メカニズム

尿路結石は、腎臓で生まれて、腎臓で育ちます。
石が腎臓でだんだんと大きくなるのですが、何かの拍子に、尿管の方に行ってしまう。
これが詰まってしまうと、膀胱の方に尿が行けなくなって、腎臓にたまってしまいます。
出られない尿で、腎臓がパンパンに膨らんでしまう。
この時、腎臓の周りの神経を刺激して、激痛が起こるんですね。
腰や背中が痛くなるのも、このため。
先ほどの大きな石は、腎臓にとどまって大きくなったもの。
大きいがゆえに、尿管を詰まらせることがありません。
だから、痛くはならない。
ただ、尿の流れが悪くなったり、腎臓の機能が低下したり。
将来的には、腎不全の危険もあります。
さて、石の正体ですが、「結晶」です。
では、何の結晶なのか?
それは、「シュウ酸カルシウムの結晶」。
この結晶がたくさん固まって、石になるんですね。
そのシュウ酸を含むのが、以下の野菜。
ホウレン草、ナス、大根など。
苦味のある野菜に含まれるそうです。
というわけで、「野菜などに含まれるシュウ酸が、体内のカルシウムと結びついて、結晶になる」。
実は、他にも、結晶があります。
それは、「尿酸結晶」。
アルコール全般が、尿酸の原因になる。
他には、数の子、イクラも。
ビールや魚卵などに含まれるプリン体が肝臓で分解され、尿酸ができます。
<結石対策のポイント(1)>
シュウ酸やプリン体を多く含む食品の過剰摂取を避けること。
ここで、大調査。
健康な人 59名の尿を、調べさせていただきました。
その結果、尿の中に結晶が見つかった人は、59人中 39人。(全体の66%)
結晶は日常の尿に含まれていますが、多量でなければ、結石の危険は低い。
なので、この39名が必ず結石になるというわけではありません。
結晶ができる人の中でも、特にたくさんできてしまう人が危険なのです。
□ 予知尿力で見つける

結石の元になる結晶が、特にできやすい人がいます。
そんなタイプかどうか、見分ける方法はないものでしょうか?
和歌山県立医科大学、柑本康夫(こうじもと やすお) 准教授が教えてくれます。
結晶を作りやすい人を見分けるスゴ技とは?
柑本先生は、おっしゃった。
「結石(結晶)ができやすい患者さんには、ひとつの傾向があります」
使うのは、誰もが知っているあの紙。
理科の実験でも、おなじみです。
そう、「リトマス試験紙」。
青いのと赤いのがあり、酸性だと赤く変わり、アルカリ性だと青くなる、あれ。
今回使うのは、青いリトマス試験紙。
尿が酸性かどうかを、調べます。
では、尿が酸性だと、何がいけないのか?
柑本先生は、「尿が酸性に傾いてくると、石ができやすくなる」と教えてくれた。
ということは、尿路結石を避けるには、尿を酸性にし過ぎないことが大事になる。
食品には、尿を酸性に傾けるものと、アルカリ性に傾けるものがあります。
<酸性食品>
肉、卵など。
<アルカリ性食品>
野菜、果物、豆腐、海藻など。
<結石対策のポイント(2)>
尿を酸性に傾ける動物性たんぱく質の過剰摂取を避ける。
(コレステロールを多く含む食品も、結石の原因に!)
でも、野菜を食べるだけでは、足りないようです。
というのも、尿を酸性にするのは、食事だけではないんです。
□ もう一人の犯人

ある男性は、野菜をよく食べるのに、尿が酸性でした。
尿の中に、結晶も確認されています。
実はこの男性、30年前に、すでに結石を経験してるんです。
その経験を経て、野菜や果物をたっぷり食べるようになった。
そんな健康的な食生活を送っていたのに、昨年再び、結石が。
オシッコも、酸性のまま。
原因はいったい、何なのでしょう?
結石を作り出す黒幕は、CT画像に映っていました。
尿を酸性に傾けていた犯人は、「内臓脂肪」。
肥満やメタボの患者さんでは、アンモニアの産生が障害されて、尿の pH が下がります。
これが、尿が酸性になる理由。
尿の中には、腎臓で作られるアンモニアが含まれます。
このアンモニアが、尿をアルカリ側に傾けている。
しかし、内臓脂肪が蓄積すると、腎臓のアンモニア産生を抑制してしまうのです。
結果、尿は酸性に傾いてくる。
尿は、正常であれば、弱酸性。
けれど、内臓脂肪が蓄積されると、より酸性に傾く。
結石というのは、生活習慣と密接に関わっています。
結石患者の8割の方は、何かしらの生活習慣病を持っているといわれている。
<結石対策のポイント(3)>
内臓脂肪をためないこと。
まずは、リトマス試験紙でのテストを。
<尿が酸性に傾きすぎている目安>
尿の pH が 5.5 以下の状態が3日以上続いた場合、食生活を見直したり、内臓脂肪を減らす努力を。
( pH が低いほど、酸性は高い。中性が pH7)
□ オステオポンチン
名古屋市立大学の学長、郡健二郎さん。
40年近くに渡って結石と戦い続けてきた方です。
郡先生の夢は、「結石を溶かすこと」。
今主流の結石治療法は、「体外衝撃波結石破砕術法」。
衝撃波で体内の石を砕き、尿で流せるまで細かくする方法です。
しかし、この方法では、石のカケラが体内の残るため、再発する可能性が。
そこで郡先生は、石を溶かすという新しい発想に取り組んだ。
結石を溶かす方法が分かれば、たくさんの患者を救えるはずです。
ところがこれは、思った以上に苦難の道でした。
なかなか思うように溶けてくれない。
シュウ酸カルシウムの結晶は溶けるのですが、その塊である結石は、どんな方法でも溶けてくれません。
郡先生は、石に含まれる成分を、あらためて徹底分析した。
すると、ある物質が結晶を強く結びつけて、固め、溶けなくしていることが判明しました。
結石を強く固めている謎の物質を、ついに発見したんです。
それが、「オステオポンチン」。
腎臓に潜んでいる物質だといいます。
<メカニズム>
腎臓内に、シュウ酸カルシウムが現れる。
実は、シュウ酸というのは、身体にとって猛毒。細胞に付着すると、酸化させ、壊してしまうんですね。
この時、壊れた細胞から出るのが、オステオポンチン。
オステオポンチンは、シュウ酸を固めて、無毒化すると考えられています。
大きくならないうちに固めたシュウ酸を尿として流してしまえば、問題なし。
なんですが、シュウ酸カルシウムが増えすぎると、オステオポンチンも大量に出ることに。
結晶をどんどん固めるので、石も大きくなってしまいます。
これが尿管に入ると、尿路結石になるというわけ。
□ 郡健二郎 先生の解説
ここでスタジオに、専門家の先生が登場。
名古屋市立大学の、郡健二郎 学長です。
オステオポンチンは英語で書くと、「 Osteopontin 」。
「 pons 」には、「つなぐ」という意味があります。
結石予防で重要になるのが、「抗酸化物質」。
<抗酸化作用が高い食品>
お茶、青魚、大豆、
ブルーベリー、バナナ、
カボチャ、ニンジンなど。
シュウ酸が来ると、細胞を攻撃して壊し、オステオポンチンが出て、石が作られていきます。
その際、細胞が壊れないようにするのが、抗酸化物質。
<結石対策のポイント(4)>
抗酸化作用のある食品で、結晶が結石へと固められるのを防ぐ。
郡先生によれば、シュウ酸は、食べ物が半分、体の中で作られるのが半分。
さらに、遺伝や体質もある。
<結石対策のポイント(5)>
体質や遺伝で結石ができやすい人は、生活習慣に、特に注意を。
先生の夢は、結石を溶かすこと。
今も、研究を重ねています。
期待したいですね。
溶かせ、結石!

オステオポンチンを働かせ過ぎないためには、抗酸化作用のある食品が効きます!

ガッテン! ガッテン!
□ 対策のまとめ
<結石対策のポイント>
(1) シュウ酸やプリン体を多く含む食品の過剰摂取を避けること。
(2) 尿を酸性に傾ける動物性たんぱく質の過剰摂取を避ける。
(コレステロールを多く含む食品も、結石の原因に!)
(3) 内臓脂肪をためないこと。
(4) 抗酸化作用のある食品で、結晶が結石へと固められるのを防ぐ。
(5) 体質や遺伝で結石ができやすい人は、生活習慣に、特に注意を。
![NHKためしてガッテン 2015年 05 月号 [雑誌]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/61iFvL0elCL._SX200_.jpg)

□

確かに、ちょくちょく耳にします。
尿路結石になったという話。
ものすごい激痛らしいですね。
ヘルニアや出産以上なんて、想像するだけで…。
ひえ~!

ここでもカギになるのが、生活習慣か。
基本に戻ってきますね。
身体と対話しなくちゃ。
次回は、お手頃メロン。
「今日はメロン記念日! 500円で幸せ家族SP」。


→ 「尿の色 泡立ち トイレ回数 腎臓病チェックリスト」
→ 「痛風 尿酸値が高いと心筋梗塞に?」
→ 「ためしてガッテン 2013年のアーカイブ 4月~6月」
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