おいしい魚は小顔! 切り身の選び方/ためしてガッテン
今週のテーマは、「築地市場の仲卸さんによる目利き」。
プロの、おいしい魚の見分け方とは?
鮮度は、目と肛門で。
ほとんどの魚は、同じ味?
みかん風味のブリ。
違いは、脂の香りにあり。
脂がのった魚は、小顔と頭の後ろで選ぶ。
切り身の選び方。
<実習コーナー>
イナダ
・背中の刺身。
・腹の湯引きあぶり刺し
・尾の酢じめ。
イサキ
・尾の酒蒸し。
2015年4月1日放送の「ためしてガッテン」より、「築地仲卸がこっそり!? うまい魚を選ぶ究極技」からのメモ書きです。

□ 築地仲卸さんの目利き

世界一、魚が集まる場所、ど~こだ?
それは、「築地市場(つきじ しじょう)」。
1日に 1800トン、480種類もの海の幸が、世界中から集まります。
取扱い数量、取扱い金額、ともに世界一。
そこで魚の買い付けをするのが、仲卸(なかおろし)さんです。
たくさんの中から、おいしい魚を選び抜く、その道のプロ。
仲卸さんの数は、650。
扱う魚によって、様々な専門店に分かれています。
仲卸さんは、魚のどこを見てるんだろう?
それが分かれば、買い物で助かりますよね。
日本だけでも、いろんな魚が。
三重県のブリ。
長崎県のオニカサゴ。
大分県のイサキ。
鹿児島県のヤガラ。
千葉県のメバル、イサキ。
青森県のマス、ソイ。
北海道のニシン、キンキ。
築地市場は、東京のど真ん中にあります。
東京駅からも近いし、銀座にいたっては、すぐそば。
2016年11月には、江東区豊洲に移転することが決まっています。
近くにはお寿司屋さんもあるし、海鮮丼もおいしい。
玉子焼き屋さんや、吉野家の1号店も、有名です。
今回注目するのは、築地市場の仲卸さん。
仲卸とは、市場に集まる品物を買い付け、小売商や飲食店に卸すお仕事。
そこで大事なのが、やっぱり、「目利き(めきき)」ですよね。
魚の良し悪しが分かるだけではなく、魚の用途に合わせた選び方ができるのが、仲卸さんなのだ。
さっそく、仲卸さんに、おいしい魚の見分け方を、聞いてみました。
仲卸 Aさん。
「鮮度は、目を見ればわかる」

左は、目がくぼんでいます。
右は、膨らんでる。
右の方が、鮮度がいい。
仲卸 Bさん。
「一番ごまかしがきかないのが、肛門」
時間が経つと、開いてくるらしい。

上は、ちょっと開いている。
下は、どこにあるのかさえ分からない。
ところが、仲卸 Cさんの意見は、ちょっと変わってました。
「あまり鮮度は気にしてない」
「基本、パッと見」
じゃあ、Cさんは、魚のどこを見てるんだろ?
実は、同じようなことを言う仲卸さんが、他にもいました。
その人は、「イケメンでしょ?」と言ってた。
魚を見分けるポイントの前に、ビックリするような実験を。
□ 味は同じ?

実験の場所は、都内のあるお寿司屋さん。
魚の味にはうるさい方々に、集まってもらいました。
全員、週に3~4回は、刺身やお寿司を食べるそう。
実験内容は、これだ。
<目隠しをして食べて、何の魚なのか当てる>
お題となる魚は、ヒラメ、タイ、アジ、サーモン、ブリ、カツオ、マグロ。
おなじみの7種の中から、4種類が出てきます。
さて、当たるかな?
まずは、1組目です。
みなさん余裕で挑みましたが、様子がおかしいぞ。
サーモンでさえ、3人中 2人がハズレ。
カツオは、全員ハズレ。
タイは、3人中 2人がハズレ。
マグロも、3人中 2人がハズレ。
食べ慣れているはずなのに、どうしたんでしょうか?
続いて、2組目。
サーモンで、3人中 2人がハズレ。
タイで、3人中 2人がハズレ。
こんな感じで、かなり外しちゃいました。
でも、自信をなくすことはありません。
これにはちゃんと、理由があるんです。
魚の味を研究している、東京海洋大学の白井隆明 特任教授。
白井先生は、こうおっしゃった。
「みなさん、味を楽しむって、間違えてるんですよ」
「(魚の)味を構成する成分は、ほとんど同じなので、魚にとりまして、食べられる魚でみれば、ほとんど同じ味を呈しているという風に言うこともできると思います」

え! 魚は ほとんど同じ味?

衝撃の事実。
「食べられる魚は、ほとんど同じ味」
魚類の味に関わる、遊離アミノ酸の含有量を見てみます。
遊離アミノ酸とは、筋肉中の味を構成する成分のひとつ。
アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、グリシン、アラニン、アルギニン、それぞれの量を比べる。
すると、これらの割合は、様々でした。同じじゃない。
じゃあ、どうして、同じ味なのか?
ホタテのグラフを見てみます。
すると、グリシンだけが、ダントツで多かった。
ホタテのグラフと比べてみると、魚類の遊離アミノ酸含有量は、問題ないぐらい少なくなってしまう。
実は、魚の筋肉中の味に関わる遊離アミノ酸は、ほとんど同じなんです。
違いはあるけど、それは誤差程度の差。
ここで、フリップが登場。
<魚のおいしさは、○○○○にあり>
□ おいしさは脂の香りにあり

何が魚の味を決めるのでしょう?
秘密を探りに向かったのは、愛媛県。
魚の養殖場に、お邪魔しました。
愛媛県水産研究センター、山下浩史 主任研究員は、こうおっしゃった。
「魚の味は一緒なんですけど、食べた時の○○は全く違います」
養殖のブリを食べさせてもらいました。
すると、柑橘系(かんきつけい)の味が。
愛媛県の特産といえば、ミカン。
このブリは、エサの中にミカンの皮を混ぜ込んだものを、食べてるんです。
2週間以上 食べさせることで、みかん風味のブリが誕生する。
先ほどの山下さんの言葉は、こう。
「魚の味は一緒なんですけど、食べた時の香りは全く違います」
ということで、フリップの文字も埋まる。
<魚のおいしさは、○の香りにあり>
さて、あと一文字は?
実は、実験で味が分からなかった理由も、ここにあります。
この部分がなかったから、違いが分からなかったんです。
それは、「脂」。
<魚のおいしさは、脂の香りにあり>
目隠しをして食べてもらった刺身は、皮に近い部分、脂の多い部分を、取り除いてたんです。
しかも、切った後に、香りが立ちにくいように、冷蔵庫でキンキンに冷やしていた。
つまり、ちょっとイジワルな実験だったんですね。
脂の中には、脂肪酸という香りを発する成分が入っています。
それが熱によって壊され、香りを発するんですね。
香り成分は、筋肉中にはほとんどなくて、大部分が脂の中に存在する。
そして、脂の中の香り成分は、食べるエサによって、変化します。
産地によって魚の味が違うのは、エサが違うから。
□ 小顔がいい!

さあ、核心に近づいてまいりました。
目利きのポイント!
仲卸の人たちは、顔で選んでたんです。
おいしいのは、「小顔」。
魚は、頭のすぐ後ろに、コラーゲン質がある。
エサをたくさん食べて、脂がのってくると、頭の後ろに脂が入り込んで、背が盛り上がるんです。
背の部分が大きくなって、小顔に見える魚は、脂がのっていることになる。

脂がのって、小顔なのは、下の方。
背中が盛り上がっています。
カマスも同じ。

脂の量を調べてみると、小顔の魚は、脂の量が約30%も多かった。

魚のおいしさは、脂の香りで決まる!
脂がのっている おいしい魚は、小顔のものを選びましょう。

ガッテン! ガッテン!
□ 切り身の選び方
仲卸歴 23年の、島津修さん。
島津さんに、魚を何倍にも味わう技を、教えていただきます。
この日の食材は、サワラ(鰆)。
身を、真っ二つにしちゃいましたよ。
これが、裏ワザ?
なんと、同じ身で、違う味になっちゃうんだって。
魚は、「背」「腹」「尾」で、全く味が違うんです。

何が違うのかというと、脂の量が違う。
尾の脂量を「1」とすると、背は「1.6」で、腹は「2.8」。

これだけ脂の量が違うと、味わいはそれぞれの部位で、別の魚みたいになる。
<魚の部位による違い>
尾の部分
・プリプリコリコリ食感。
・味と香りを足しやすい。
・たたきに向いている。
背の部分
・肉厚で食べごたえあり。
・脂と身のバランスよし。
・お刺身向け。
腹の部分
・ねっとり感。
・脂の香り。
・まるでトロ。
切り身になっている時も、ちゃんと部位を選べます。
<背と腹を見分けるポイント>
・皮の色が黒いと「背側」。
・皮の色が白いと「腹側」。

<前と後を見分けるポイント>
・くぼんだ部分があると「前側」。
・くぼんだ部分がないと「尾側・後側」。
(内臓がある部分は、くぼむ)

内臓のくぼみが大きいほど、頭に近い部位になる。
くぼみが小さいと、尾に近い部位。
□ 実習コーナー
築地市場の仲卸さん、飯田知誉さんが教えてくれます。
魚をまるごと味わい尽くす、部位別の料理術。
<イナダ>
背中の上の部分。
脂と身のよいバランスを活かし、刺身にします。
<背中・刺身>
(1) 皮を下にして、包丁を入れ、皮を引きます。
包丁は動かさず、皮を引っ張る感じ。
(2) 皮目を上にして、垂直に切りましょう。

次は、腹の部分。
脂の香りが引き立つので、湯引きあぶり刺しにする。
<腹・湯引きあぶり刺し>
(1) パットを裏返しにして、やや斜めにし、そこにイナダの腹の部分(半身)を置く。
皮に熱湯をかけます。
(2) まな板に皮を上にして置き、食べやすい大きさに切りましょう。
(3) またパットの裏に置き、バーナーで、焦げ目がつくまであぶる。

尾は、脂が少なく、味がしみ込みやすい。
<尾・酢じめ>
(1) イナダの尾の切り身(身半分)の両面に塩をふり、15分待つ。
(2) 次に、お酢で塩を洗い流します(酢洗い)。
(3) 身を1回ふいて、パットにのせ、お酢をかけて、20分ほど待つ。
(4) 時間がきたら、皮をはいで、そぎ切りに。

次は、白身のお魚。
<イサキ>
尾は、味と香りが入りやすく、フワフワに仕上がるので、酒蒸しにします。
<尾・酒蒸し>
(1) 尾の身に、塩少々をふります。
15分から20分、待つ。
(2) フライパンに、酒と水を 大さじ1ずつ入れる。
身の水分をふきとり、皮を上にして、フライパンに置きましょう。
菜の花も置き、フタをして、強火で加熱。
フタが曇ってきたら、中火にして、2分加熱する。
火を消したら、余熱で2分、蒸します。

□ 今週の色紙
「なかおろしを しろうかな」
回文ですね。
上から読んでも、下から読んでも、同じ。
□

分かりやすい魚の選び方が、あったのか。

小顔と、頭の後ろの盛り上がり、分かりやすいですよね。

脂のりの好みは、いろいろ。

作る料理によっても、部位を変えてみよう。
部位別で分ければ、1つの魚で、フルコースができる。
次回は、グレープフルーツが超簡単にむける。
さらに、サクサクに揚げちゃう?
若返りの効果まで。
「グレープフルーツ天国 世界の神ワザ8連発!」。

→ 「食べ物と料理のアーカイブ」
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