耳鳴りは補聴器で治る+正しい耳掃除/ためしてガッテン
今週のテーマは、「耳鳴り」。
原因は、無音。
無響室でも、体験できる。
蝸牛(かぎゅう)の老化で、電気信号が送れない。
視床が感度を上げて、脳の信号を拾ってしまう。
国際医療福祉大学熱海病院、神崎仁 教授の解説。
補聴器を使った治療。
相談は、補聴器相談医のいる病院へ。
「耳垢栓塞(じこうせんそく)」。
大きな耳あかが、耳をふさいでしまう。
掃除は、1ヵ月に1回。
2015年3月4日放送の「ためしてガッテン」より、「ついに! 耳鳴りが治る 原因解明&治療最前線」からのメモ書きです。

□ ひどい耳鳴り

ベドルジハ・スメタナの「弦楽四重奏曲第1番 ホ短調 わが生涯より」。
この曲では、スメタナ自身が経験した耳鳴りが表現されているらしい。
というわけで、今回のテーマは、「耳鳴り」です。
「キーン」「ジーン」
「ツーン」「ピー」
街のみなさんも、耳鳴りの経験があるようです。
現在、ひどい耳鳴りに悩む人の数は、全国で、推定300万人。
しかも、治したくても治せないのだという。
「もし耳鳴りなんか治せたら、ノーベル賞 取れるよ」、そう言う医師がいるくらい。
それぐらい難しいのだとか。
志の輔さんも、小野アナも、悩むような耳鳴りは、ないそう。
ゲストの藤田朋子さんは、「ぼわ~」という耳鳴りの経験があって、お医者さんに行ったそうです。
内藤剛志さんはストレス性のもので、軽い安定剤を飲んだら治ったらしい。
[体験談(1)]
埼玉県にお住いの男性。
それまで、耳鳴りを経験したことは、一度もありませんでした。
始まりは、昨年の5月。
朝起きると、腰やヒザに痛みが走り、耳鳴りがした。
聞こえたのは、金属のこすれるような高音。
しかも、24時間、鳴りっぱなしです。
体の痛みの影響が、耳にも出たのだろうか?
そう思った男性は、整形外科へ。
おかげで、体の痛みは、すぐに治まりました。
でも、耳鳴りは、やむことがありません。
そこで今度は、耳鼻科を受診。
耳の炎症を抑える薬を処方されましたが、効果が出ない。
整体、漢方薬、薬用酒など、耳鳴りに効果があると言われるものを試しましたが、耳鳴りはひどくなるばかり。
やがて、通院していた耳鼻科の先生から、こんなことを言われてしまいました。
「耳鼻科としての治療は、これで終了です」「自然の雑音として、慣れてください」
でも、本人にしてみたら、雑音というレベルではありません。
どうしてよいか分からず、パニックに。
そして、耳鳴りが始ってから、1ヵ月後。
男性はとうとう、うつ状態になってしまった。
もう治らないのかと思うと、絶望感が。
ところが、去年の10月、画期的な報告書が発表されたんです。
「耳鳴患者の心理的苦痛・生活障害の grade に応じた治療戦略」
耳鳴りの根本的な原因が、突きとめられた。
男性はさっそく、新しい治療法を受けました。
すると、耳鳴りが劇的に改善。
地獄から生還したような気持ちだと、喜びを噛みしめます。
スタジオでは、男性の耳鳴りを、できるだけ忠実に再現してみました。
<ピー>とか<キーン>という高い音が、大音量で響いている。
これは、キツそうです。とても、耐えられない。
うつになるのも、無理ありません。
さて、耳鳴りの原因は、何なんでしょう?
耳鳴りの7割の原因を占めるものが、あるようですよ。
□ ひどくなる原因

ひどい耳鳴りの原因を求めて向かったのは、慶応義塾大学病院 耳鼻咽喉科の大石直樹 先生。
先生は、こう教えてくれた。
「耳鳴りに悩む方の生活を見ると、分かることが多いんです」
そこで、8年以上前から耳鳴りに悩んでいる男性に、協力してもらいました。
この男性、6軒もの耳鼻科を受診しましたが、今も治っていません。
さて、生活を見せてもらうことで、耳鳴りの原因が分かるのでしょうか?
注目したのは、昼寝のシーン。
携帯が鳴っているのに、気づきませんでした。
男性の聴力を調べさせてもらったところ、左耳の聴力が落ちていることが分かった。
特に、高音の部分が、聞こえづらくなっているようです。
会話で必要なのは、500~2000Hz 程度だと言われている。
男性は、この部分は聞こえます。
なので、日常生活に困ることは、なかったようですね。
さらに、右の耳は、正常でした。

ということは、聞こえづらいことと耳鳴りは、関係している?

ここで、実験です。
耳鳴りで悩んでいない人に、耳鳴りを作ってみる。

え? どういうこと?

20代から60代の男女に、協力してもらいました。
全員、耳鳴りの経験はありません。
ところが、ある場所に連れて行くと、耳鳴りが聞こえだしたんです。
なんと、10人中 8人が、耳鳴りを体験。
これは、どういうことなんでしょうか?
みなさんを連れて行ったのは、「無響室」。
壁が音を吸収し、周囲を無音にできる、特別な部屋です。
実は、これこそが、耳鳴りが起きる最大の理由だった。
無音、音がないと、耳鳴りがするんです。
<メカニズム>
人間の耳は、音を振動として捉えて、「蝸牛(かぎゅう)」という部分で、電気信号に変えて、脳に送ります。
蝸牛は、内耳の一部で、音の感覚を受け取る器官であると言われています。カタツムリの殻の形をしているので、この名がついている。
[音が聞こえる仕組み]
(1) 蝸牛が、振動を電気信号に変える。
(2) 脳の中で、音の高さごとに感知する。
高音が聞こえづらい男性の場合、蝸牛の老化により、高音域が電気信号に変えられなくなっていたんです。
高音の信号が脳に入ってこない時、ある部位が行動を起こします。
それが、「視床(ししょう)」。
視床は、音の選別や調整などの役割を担っている。
高音の電気信号が来てないと、視床は感度を上げようとします。
小さな信号でも拾えるように、ボリュームを上げるんですね。
すると、どうなるか?
実は、脳の中には、いろんなものが電気信号として飛び交っている。
視床が感度を上げた状態なので、こういった他の電気信号まで、拾ってしまうんです。
これが、耳鳴りの正体。
通常だと、視床は一度 感度を上げても、信号が来てないと、また感度を下げます。
しかし、そうならないケースもあって、その時に、耳鳴りが起きてしまうというわけ。
「耳鳴り=脳が作りだした音」だった。
□ 耳鳴り予備軍?

今、耳鳴りがしないからといって、安心できません。
みんな、予備軍かもしれない。
スタジオでは、藤田朋子さん、内藤剛志さん、山瀬まみさん、ゲスト3人の、若き日の写真が映し出されました。
その違いは? ということでしたが、写真自体に違いはありません。
違っていたのは、音。
内藤さんの写真の時だけ、音が鳴っていたんですね。
でも、ゲストの誰も、それに気づけなかった。
なぜかというと、非常に高い音だったから。
例えば、30代なら聞こえると言われているのが、15000Hz の音。
40代だと、14000Hz 。
50代だと、12000Hz 。
というわけで、年をとると誰だって、高音が聞こえなくなってくるんです。
なので、耳鳴りが起きる可能性だって、あることになる。
[動画] モスキート音で耳年齢チェック あなたは何歳ですか?
(ボリュームに注意!)

耳鳴りは、外の音が聞こえるのではありません。
脳の中の信号を拾って、音が聞こえているんですね。
そして、聴力の低下に伴って、誰にでも起きうることでもある。

ガッテン! ガッテン!
□ 神崎仁 先生の解説
ここでスタジオに、専門家の先生が登場。
国際医療福祉大学熱海病院の、神崎仁 教授です。
耳鳴りには、いろんな説があったそう。
脳の過剰興奮で耳鳴りが起こっていると認識されてきたのは、最近です。
治療法に使われるのは、意外なことに、「補聴器」。
高音が聞こえづらかった男性ですが、耳鳴りの治療に、補聴器を勧められました。
聴力が落ちているという自覚はなかったので、最初、戸惑った様子。
まず始めたのは、補聴器の調整です。
男性は、高音と低音が、聞こえにくくなっていました。
そこで、耳に入る音の大きさを、音の高さごとに、細かく調整。
これが、ものすごく重要なんですね。
補聴器で、聞こえにくい高さの音だけを、増幅する。
すると、今まで届いていなかった信号が、復活。
視床は、信号の感度を上げる必要がなくなります。
結果、耳鳴りは改善するんですね。
聞こえてなかった音が聞こえるようになったので、最初は違和感があったようです。
でも、治療を始めて、2週間後。
耳鳴りは、かなり改善されたみたい。キーンという音は、聞こえない寸前だという。
補聴器の調整も、治療の大切なポイントです。
定期的に、カウンセリングや聴力検査を行い、耳に入る音を、徐々に増やします。
(目安は、3ヵ月)
男性の感想は、「入る音のレベルを上げることによって、耳鳴りが消えていくような感じ」とのこと。
補聴器を使うことで、耳が聞こえるようになる。
さらに、耳鳴りが小さくなったり、聞こえなくなったり。
一石二鳥の効果があるようです。
<補聴器による治療のポイント>
・補聴器相談医のいる病院へ。
・価格は1つ 10万円程度。
(貸し出しのあるところも)
・できるだけ、長い時間つける。
耳鼻咽喉科の中で、補聴器を専門とする医師がいます。
それが、「補聴器相談医」。
補聴器屋さんに、紹介状を書いてくれる。
補聴器の値段ですが、治療で利用可能なものは、10万円程度からが目安。
(一定期間、貸し出してくれるお店もあるそう)
脳が新しい音に慣れるのには、時間がかかります。
なので、できるだけ長い時間、つけたほうがいい。
<耳鳴り改善のポイント>
(1) メカニズムの理解。
(2) 静寂を避ける。
耳鳴りを悪化させる原因に、「不安」があります。
「耳鳴りが、ひどくなるのではないか?」「(脳などに)病気が隠れているのではないか?」
そんな不安をなくすために、メカニズムを理解することが大切になる。
安心感を持つことにより、かなり耳鳴りは楽になるとのこと。
難聴が軽い人の場合、日中、仕事をしている時には、耳鳴りが気にならないことがある。
ただ、寝る前など、静かになると、耳鳴りを感じてしまいます。
元の耳鳴りが非常に小さい場合、音を豊富にすることで、軽減が可能に。
他にも、様々な治療法があります。
耳鳴りに悩んでいる人は、ぜひ一度、最寄りの耳鼻科へ。
□ 耳掃除の耳より情報

最後は、耳かき、耳掃除について。
[体験談(2)]
耳掃除でトラブルを経験した女性がいます。
なんと、難聴になってしまった。
この女性は、綿棒を使って耳掃除します。
頻度は、1日に1回程度。
最初の異変は、3年前でした。
仕事中、ふと左耳に、薄い膜が張っているような感覚が。
何か詰まっているんだろうか?
何度も掃除しましたが、何も出てきません。
原因が分からないまま、2週間が経過。
ある日、お風呂に入っていた時のこと、突然、左耳がまったく聞こえなくなってしまいました。
慌てて病院に向かった、女性。
先生に耳の奥を調べてもらうと、原因がはっきりしました。
それは、「耳垢(みみあか)」だった。
取り出されたのは、ヒマワリの種ほどの大きさの、巨大な耳垢。
1日1回掃除していたのに、なぜ?
こういうことは、耳鼻科では、よくあるそうです。
「耳垢栓塞(じこうせんそく)」と呼ばれる。
耳垢は、もとをただせば、耳の皮膚。
生まれる場所は、鼓膜のど真ん中だという。
鼓膜の中心にあった皮膚は、だんだんと、外へ外へと、広がっていきます。
耳垢のもとは、鼓膜から移動してきた皮膚が、骨と軟骨の境目で、はがれ落ちたもの。
それが、分泌された粘液などと一緒になって、耳垢になる。
女性は、耳掃除の際、耳垢を奥の方へ押し込んでしまっていたようです。
それが奥の方で、栓になってしまった。
<正しい耳掃除>
[やり方]
触ると敏感に感じるところの手前まで。
[頻度]
1ヵ月に1回程度。
[道具]
カサカサタイプは、耳かき。
しっとりタイプは、綿棒。
成人の場合、耳の入り口から 2センチくらいまでが、耳垢が溜まる場所です。
それ以上中へは、入れない方がいい。
耳垢が溜まるのには、3週間から4週間かかります。
なので、毎日やる必要はない。
入口付近を、やさしく拭くだけでいいみたい。
耳掃除をしすぎると、かえって皮膚を傷つける危険が増えます。
綿棒は、耳垢を押し込みやすいため、皮膚の周りを なでるように掃除すること。
聞こえが悪くなった時は、「耳垢栓塞(じこうせんそく)」の可能性が。
耳鼻科を受診してください。
□ 今週の色紙
「私は師匠です」
視床じゃないよ。


□

耳鳴りは、年をとると、誰でもなる可能性があるのか。

聞こえなくしたい耳鳴りが、聞こえるようにする補聴器で治るなんて、意外ですね。

耳掃除は、1ヵ月に1回で OK!

奥に押し込まないように、やさしくね。
来週は、お休みです。
次回の放送は、3月18日。
花粉症に便秘、味付け卵、免疫力、スルメに金縛り。
一挙まとめて大放送SP。
「2014年度 みなさんが選ぶ ガッテン感動ワザ大賞」。


→ 「めまいを家で治す! 寝返り運動と枕で 耳石を砕け」
→ 「耳管開放症と耳キーンの原因」
→ 「隠れ難聴は滲出性中耳炎」
原因は、無音。
無響室でも、体験できる。
蝸牛(かぎゅう)の老化で、電気信号が送れない。
視床が感度を上げて、脳の信号を拾ってしまう。
国際医療福祉大学熱海病院、神崎仁 教授の解説。
補聴器を使った治療。
相談は、補聴器相談医のいる病院へ。
「耳垢栓塞(じこうせんそく)」。
大きな耳あかが、耳をふさいでしまう。
掃除は、1ヵ月に1回。
2015年3月4日放送の「ためしてガッテン」より、「ついに! 耳鳴りが治る 原因解明&治療最前線」からのメモ書きです。

□ ひどい耳鳴り

ベドルジハ・スメタナの「弦楽四重奏曲第1番 ホ短調 わが生涯より」。
この曲では、スメタナ自身が経験した耳鳴りが表現されているらしい。
というわけで、今回のテーマは、「耳鳴り」です。
「キーン」「ジーン」
「ツーン」「ピー」
街のみなさんも、耳鳴りの経験があるようです。
現在、ひどい耳鳴りに悩む人の数は、全国で、推定300万人。
しかも、治したくても治せないのだという。
「もし耳鳴りなんか治せたら、ノーベル賞 取れるよ」、そう言う医師がいるくらい。
それぐらい難しいのだとか。
志の輔さんも、小野アナも、悩むような耳鳴りは、ないそう。
ゲストの藤田朋子さんは、「ぼわ~」という耳鳴りの経験があって、お医者さんに行ったそうです。
内藤剛志さんはストレス性のもので、軽い安定剤を飲んだら治ったらしい。
[体験談(1)]
埼玉県にお住いの男性。
それまで、耳鳴りを経験したことは、一度もありませんでした。
始まりは、昨年の5月。
朝起きると、腰やヒザに痛みが走り、耳鳴りがした。
聞こえたのは、金属のこすれるような高音。
しかも、24時間、鳴りっぱなしです。
体の痛みの影響が、耳にも出たのだろうか?
そう思った男性は、整形外科へ。
おかげで、体の痛みは、すぐに治まりました。
でも、耳鳴りは、やむことがありません。
そこで今度は、耳鼻科を受診。
耳の炎症を抑える薬を処方されましたが、効果が出ない。
整体、漢方薬、薬用酒など、耳鳴りに効果があると言われるものを試しましたが、耳鳴りはひどくなるばかり。
やがて、通院していた耳鼻科の先生から、こんなことを言われてしまいました。
「耳鼻科としての治療は、これで終了です」「自然の雑音として、慣れてください」
でも、本人にしてみたら、雑音というレベルではありません。
どうしてよいか分からず、パニックに。
そして、耳鳴りが始ってから、1ヵ月後。
男性はとうとう、うつ状態になってしまった。
もう治らないのかと思うと、絶望感が。
ところが、去年の10月、画期的な報告書が発表されたんです。
「耳鳴患者の心理的苦痛・生活障害の grade に応じた治療戦略」
耳鳴りの根本的な原因が、突きとめられた。
男性はさっそく、新しい治療法を受けました。
すると、耳鳴りが劇的に改善。
地獄から生還したような気持ちだと、喜びを噛みしめます。
スタジオでは、男性の耳鳴りを、できるだけ忠実に再現してみました。
<ピー>とか<キーン>という高い音が、大音量で響いている。
これは、キツそうです。とても、耐えられない。
うつになるのも、無理ありません。
さて、耳鳴りの原因は、何なんでしょう?
耳鳴りの7割の原因を占めるものが、あるようですよ。
□ ひどくなる原因

ひどい耳鳴りの原因を求めて向かったのは、慶応義塾大学病院 耳鼻咽喉科の大石直樹 先生。
先生は、こう教えてくれた。
「耳鳴りに悩む方の生活を見ると、分かることが多いんです」
そこで、8年以上前から耳鳴りに悩んでいる男性に、協力してもらいました。
この男性、6軒もの耳鼻科を受診しましたが、今も治っていません。
さて、生活を見せてもらうことで、耳鳴りの原因が分かるのでしょうか?
注目したのは、昼寝のシーン。
携帯が鳴っているのに、気づきませんでした。
男性の聴力を調べさせてもらったところ、左耳の聴力が落ちていることが分かった。
特に、高音の部分が、聞こえづらくなっているようです。
会話で必要なのは、500~2000Hz 程度だと言われている。
男性は、この部分は聞こえます。
なので、日常生活に困ることは、なかったようですね。
さらに、右の耳は、正常でした。

ということは、聞こえづらいことと耳鳴りは、関係している?

ここで、実験です。
耳鳴りで悩んでいない人に、耳鳴りを作ってみる。

え? どういうこと?

20代から60代の男女に、協力してもらいました。
全員、耳鳴りの経験はありません。
ところが、ある場所に連れて行くと、耳鳴りが聞こえだしたんです。
なんと、10人中 8人が、耳鳴りを体験。
これは、どういうことなんでしょうか?
みなさんを連れて行ったのは、「無響室」。
壁が音を吸収し、周囲を無音にできる、特別な部屋です。
実は、これこそが、耳鳴りが起きる最大の理由だった。
無音、音がないと、耳鳴りがするんです。
<メカニズム>
人間の耳は、音を振動として捉えて、「蝸牛(かぎゅう)」という部分で、電気信号に変えて、脳に送ります。
蝸牛は、内耳の一部で、音の感覚を受け取る器官であると言われています。カタツムリの殻の形をしているので、この名がついている。
[音が聞こえる仕組み]
(1) 蝸牛が、振動を電気信号に変える。
(2) 脳の中で、音の高さごとに感知する。
高音が聞こえづらい男性の場合、蝸牛の老化により、高音域が電気信号に変えられなくなっていたんです。
高音の信号が脳に入ってこない時、ある部位が行動を起こします。
それが、「視床(ししょう)」。
視床は、音の選別や調整などの役割を担っている。
高音の電気信号が来てないと、視床は感度を上げようとします。
小さな信号でも拾えるように、ボリュームを上げるんですね。
すると、どうなるか?
実は、脳の中には、いろんなものが電気信号として飛び交っている。
視床が感度を上げた状態なので、こういった他の電気信号まで、拾ってしまうんです。
これが、耳鳴りの正体。
通常だと、視床は一度 感度を上げても、信号が来てないと、また感度を下げます。
しかし、そうならないケースもあって、その時に、耳鳴りが起きてしまうというわけ。
「耳鳴り=脳が作りだした音」だった。
□ 耳鳴り予備軍?

今、耳鳴りがしないからといって、安心できません。
みんな、予備軍かもしれない。
スタジオでは、藤田朋子さん、内藤剛志さん、山瀬まみさん、ゲスト3人の、若き日の写真が映し出されました。
その違いは? ということでしたが、写真自体に違いはありません。
違っていたのは、音。
内藤さんの写真の時だけ、音が鳴っていたんですね。
でも、ゲストの誰も、それに気づけなかった。
なぜかというと、非常に高い音だったから。
例えば、30代なら聞こえると言われているのが、15000Hz の音。
40代だと、14000Hz 。
50代だと、12000Hz 。
というわけで、年をとると誰だって、高音が聞こえなくなってくるんです。
なので、耳鳴りが起きる可能性だって、あることになる。
[動画] モスキート音で耳年齢チェック あなたは何歳ですか?
(ボリュームに注意!)

耳鳴りは、外の音が聞こえるのではありません。
脳の中の信号を拾って、音が聞こえているんですね。
そして、聴力の低下に伴って、誰にでも起きうることでもある。

ガッテン! ガッテン!
□ 神崎仁 先生の解説
ここでスタジオに、専門家の先生が登場。
国際医療福祉大学熱海病院の、神崎仁 教授です。
耳鳴りには、いろんな説があったそう。
脳の過剰興奮で耳鳴りが起こっていると認識されてきたのは、最近です。
治療法に使われるのは、意外なことに、「補聴器」。
高音が聞こえづらかった男性ですが、耳鳴りの治療に、補聴器を勧められました。
聴力が落ちているという自覚はなかったので、最初、戸惑った様子。
まず始めたのは、補聴器の調整です。
男性は、高音と低音が、聞こえにくくなっていました。
そこで、耳に入る音の大きさを、音の高さごとに、細かく調整。
これが、ものすごく重要なんですね。
補聴器で、聞こえにくい高さの音だけを、増幅する。
すると、今まで届いていなかった信号が、復活。
視床は、信号の感度を上げる必要がなくなります。
結果、耳鳴りは改善するんですね。
聞こえてなかった音が聞こえるようになったので、最初は違和感があったようです。
でも、治療を始めて、2週間後。
耳鳴りは、かなり改善されたみたい。キーンという音は、聞こえない寸前だという。
補聴器の調整も、治療の大切なポイントです。
定期的に、カウンセリングや聴力検査を行い、耳に入る音を、徐々に増やします。
(目安は、3ヵ月)
男性の感想は、「入る音のレベルを上げることによって、耳鳴りが消えていくような感じ」とのこと。
補聴器を使うことで、耳が聞こえるようになる。
さらに、耳鳴りが小さくなったり、聞こえなくなったり。
一石二鳥の効果があるようです。
<補聴器による治療のポイント>
・補聴器相談医のいる病院へ。
・価格は1つ 10万円程度。
(貸し出しのあるところも)
・できるだけ、長い時間つける。
耳鼻咽喉科の中で、補聴器を専門とする医師がいます。
それが、「補聴器相談医」。
補聴器屋さんに、紹介状を書いてくれる。
補聴器の値段ですが、治療で利用可能なものは、10万円程度からが目安。
(一定期間、貸し出してくれるお店もあるそう)
脳が新しい音に慣れるのには、時間がかかります。
なので、できるだけ長い時間、つけたほうがいい。
<耳鳴り改善のポイント>
(1) メカニズムの理解。
(2) 静寂を避ける。
耳鳴りを悪化させる原因に、「不安」があります。
「耳鳴りが、ひどくなるのではないか?」「(脳などに)病気が隠れているのではないか?」
そんな不安をなくすために、メカニズムを理解することが大切になる。
安心感を持つことにより、かなり耳鳴りは楽になるとのこと。
難聴が軽い人の場合、日中、仕事をしている時には、耳鳴りが気にならないことがある。
ただ、寝る前など、静かになると、耳鳴りを感じてしまいます。
元の耳鳴りが非常に小さい場合、音を豊富にすることで、軽減が可能に。
他にも、様々な治療法があります。
耳鳴りに悩んでいる人は、ぜひ一度、最寄りの耳鼻科へ。
□ 耳掃除の耳より情報

最後は、耳かき、耳掃除について。
[体験談(2)]
耳掃除でトラブルを経験した女性がいます。
なんと、難聴になってしまった。
この女性は、綿棒を使って耳掃除します。
頻度は、1日に1回程度。
最初の異変は、3年前でした。
仕事中、ふと左耳に、薄い膜が張っているような感覚が。
何か詰まっているんだろうか?
何度も掃除しましたが、何も出てきません。
原因が分からないまま、2週間が経過。
ある日、お風呂に入っていた時のこと、突然、左耳がまったく聞こえなくなってしまいました。
慌てて病院に向かった、女性。
先生に耳の奥を調べてもらうと、原因がはっきりしました。
それは、「耳垢(みみあか)」だった。
取り出されたのは、ヒマワリの種ほどの大きさの、巨大な耳垢。
1日1回掃除していたのに、なぜ?
こういうことは、耳鼻科では、よくあるそうです。
「耳垢栓塞(じこうせんそく)」と呼ばれる。
耳垢は、もとをただせば、耳の皮膚。
生まれる場所は、鼓膜のど真ん中だという。
鼓膜の中心にあった皮膚は、だんだんと、外へ外へと、広がっていきます。
耳垢のもとは、鼓膜から移動してきた皮膚が、骨と軟骨の境目で、はがれ落ちたもの。
それが、分泌された粘液などと一緒になって、耳垢になる。
女性は、耳掃除の際、耳垢を奥の方へ押し込んでしまっていたようです。
それが奥の方で、栓になってしまった。
<正しい耳掃除>
[やり方]
触ると敏感に感じるところの手前まで。
[頻度]
1ヵ月に1回程度。
[道具]
カサカサタイプは、耳かき。
しっとりタイプは、綿棒。
成人の場合、耳の入り口から 2センチくらいまでが、耳垢が溜まる場所です。
それ以上中へは、入れない方がいい。
耳垢が溜まるのには、3週間から4週間かかります。
なので、毎日やる必要はない。
入口付近を、やさしく拭くだけでいいみたい。
耳掃除をしすぎると、かえって皮膚を傷つける危険が増えます。
綿棒は、耳垢を押し込みやすいため、皮膚の周りを なでるように掃除すること。
聞こえが悪くなった時は、「耳垢栓塞(じこうせんそく)」の可能性が。
耳鼻科を受診してください。
□ 今週の色紙
「私は師匠です」
視床じゃないよ。


□

耳鳴りは、年をとると、誰でもなる可能性があるのか。

聞こえなくしたい耳鳴りが、聞こえるようにする補聴器で治るなんて、意外ですね。

耳掃除は、1ヵ月に1回で OK!

奥に押し込まないように、やさしくね。
来週は、お休みです。
次回の放送は、3月18日。
花粉症に便秘、味付け卵、免疫力、スルメに金縛り。
一挙まとめて大放送SP。
「2014年度 みなさんが選ぶ ガッテン感動ワザ大賞」。


→ 「めまいを家で治す! 寝返り運動と枕で 耳石を砕け」
→ 「耳管開放症と耳キーンの原因」
→ 「隠れ難聴は滲出性中耳炎」
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