肝臓がん予防 新時代! 検査は無料&肝炎ウイルスの新薬/ためしてガッテン
今週のテーマは、「肝臓がんの予防」。
原因の8割は、肝炎ウイルス。
感染源は、輸血、予防接種、そして、母子感染。
検査はたった3分。無料の自治体も多い。
武蔵野赤十字病院、泉並木 先生の解説。
インターフェロンが効かない場合でも、C型肝炎ウイルスを排除できる新薬。
B型のウイルスの増殖を抑える、核酸アナログ。
2014年11月12日放送の「ためしてガッテン」より、「3分で8割減! 肝臓がん撲滅SP」からのメモ書きです。

□ 肝臓がんの原因

今回のテーマは、「肝臓がんの予防や検査」について。
ガンの死亡数、第1位は、肺がん。
第2位が 胃がんで、第3位は 大腸がん。
そして、第4位なのが、肝臓がんです。
沈黙の臓器と呼ばれるだけあって、本人が気づかないうちに、肝臓が侵されている場合も。
しかし、ここで朗報です!
武蔵野赤十字病院 副院長の 泉並木 先生は、おっしゃいました。
「みなさんが『あること』さえやっていただければ、肝がんの7割から8割をなくすことが、できるようになってきたんです」

すごい進歩じゃないですか。

まずは、肝臓がんの原因からです。
エノキさん、何だと思います?

お酒…ですかね。

アルコールは、5%ほど。
一滴もお酒を飲まない人でも、肝臓がんになる方は、けっこう いらっしゃいます。

へ~、そうなんだ。

他の原因では、脂肪肝などが 15%。
B型肝炎ウイルスが、15%。
C型肝炎ウイルスが、65%。
肝臓がんの原因の8割は、肝炎ウイルスなんですね。

B型肝炎ウイルスの主な感染源は、
・輸血(血液製剤)
・予防接種(注射針の使い回し)
・???
この3つ目が、問題になります。
[体験談(1)]
73歳の女性。
7年前、肝臓がんに なりました。
30年前、仕事で忙しい毎日を送っていましたが、健康に不安を感じることは、なかったという。
ある日、体調を崩し病院を受診したのですが、念のため、血液検査をすることに。
そこで、肝機能の数値が 600~700あると言われてしまいます。
詳しく調べた結果、急性肝炎を発症していることが、分かりました。
このまま放置すると肝硬変へと進み、最悪、肝臓がんになりかねない。
すぐに治療を受け、無事、回復することができました。
このことをきっかけに、肝臓に負担をかけないよう、お酒もやめた。
検査も、定期的に受けるようになりました。
そのおかげで、5年後、10年後、15年後、20年後と、検査の値は、正常値。
ところが、です。
正常なはずの肝臓に、突然、がんが発見されてしまいます。
検査ではずっと正常値だったのに、なぜ?
この女性が肝臓がんになった原因は、B型肝炎ウイルスでした。
気づかないうちに、ずっと肝臓の中に潜んでいたんですね。
輸血はしてないし、血液製剤も使っていない。
予防接種で針の使い回しをしたことも、なさそう。
にもかかわらず、肝炎ウイルスに感染。
これは、どういうことなんでしょう?
B型肝炎ウイルスは、肝臓に侵入すると、細胞の奥底に潜みます。
肝炎を起こす場合もありますが、潜んでいるだけで悪さをしない場合もあるんですね。
潜んでいる間は、何もしません。
その場合、肝機能に異常が起きることもない。
でも、この潜んでいる場所は、細胞の設計図、つまり、遺伝子がある場所と同じなんです。
そして、何かの拍子に、細胞の設計図を傷つけてしまうことがある。
そうすると、この壊れた設計図をもとに作られる新しい細胞が、がんになってしまうんです。
こうして、がん細胞が増殖し、いきなり がんになってしまうということが起こり得てしまう。
でも、どこで、肝炎ウイルスが侵入したんでしょう?
実は、輸血でも、予防接種でもない、第3の感染源が、関係してきます。
そしてそれは、誰もがみんな、無関係ではない。
□ 母子感染
[体験談(2)]
名曲「まちぶせ」のヒットで知られる、石川ひとみさん。
プリンプリン物語で主役の声をあてたり、レッツゴーヤングの司会を務めた時期もあります。
実は、彼女もまた、意外なところで B型肝炎ウイルスに感染した一人なのです。
ある日、風邪かなと思い、病院へ。
その時の血液検査で、B型肝炎のキャリアであることが判明しました。
症状は、ほとんどなかったといいます。
体のダルさは感じていたものの、肝臓からくるものだとは、思ってもいませんでした。
問題は、ウイルスがいつ、どこから入ってきたか。
そこで、石川ひとみさんの半生を年表にまとめ、専門家に見てもらうことに。
協力してくれたのは、肝炎ウイルスの第一人者、名古屋市立大学 肝疾患センターの 田中靖人 教授。
いったい、どこで感染したのでしょうか?
握手など、人との接触で感染することはなさそうです。
田んぼで泥だらけで遊んだことも、関係なさそう。
プールでもない。
十二指腸潰瘍で入院経験がありますが、(手術したわけじゃないから)これも違う。
感染したのは、生まれた時。
母子感染ではないかと、先生は推測します。
B型肝炎ウイルスの主な感染源は、こうなる。
・輸血(血液製剤)
・予防接種(注射針の使い回し)
・母子感染
実は、母子感染は、B型肝炎ウイルスの最も代表的な感染経路なんです。
母親がウイルスに感染していても、症状が出ていなければ、感染していると気づかないまま、出産することになる。
母子感染と遺伝は、まったく別物。
遺伝は、受精卵になった頃に、親からの情報が受け継がれること。
母子感染は、それとは違います。
お腹の中にいる時、赤ちゃんは、母親と胎盤で つながっています。
この胎盤を通じて酸素や栄養を もらうわけですが、血管はつながっていない。
なので、この状態では、ウイルスに感染することはありません。
問題は、出産の時。
生まれる際、胎盤は子宮から、剥がれ落ちるんです。
この時、子宮から出血。
母親の血液中のウイルスが、剥がれた胎盤を通して、赤ちゃんに感染してしまうんですね。
実は、1986年から、「B型肝炎母子感染防止事業」というのが始っています。
出産前に、母親の肝炎ウイルス検査を実施。
もし、感染していると分かったら、生まれてすぐに、赤ちゃんに ワクチンを注射します。
そうすることで、ウイルスが肝臓に定着する前に、やっつけることができる。
ということで、2014年現在、29歳以上の人は母子感染の可能性があることになる。
□ 肝炎ウイルス検査

さて、ウイルスを発見するための検査ですが、「肝炎ウイルス検査」じゃないとダメ。
普通の血液検査では、分かりません。
(石川ひとみさんの場合、風邪だと思い病院に行ったのですが、医師が肝炎を疑って、検査をしたと思われます)
では、肝炎ウイルス検査とは、どんなものなんでしょう?
なんと、小野文惠アナが体験してくれました。
ガッテンでは、5年前にも、肝炎ウイルス検査を紹介しています。
(2009年9月16日放送の「検診で見つからない! 隠れ肝臓病100万人」)
この検査は、各自治体の保健所などで受けることができる。
今回は、もっといい方法を紹介。
実は、近所の病院でも、受けることができるんです。
小野アナが受診した病院では、予約なしでもOKでした。
(もちろん、予約が必要かどうかは、病院によって異なります)
診察室に入ると、輸血の経験があるかどうかなどを聞かれます。
簡単な問診のあと、検査へ。
血液検査をして、その日は おしまい。
時間はたったの3分ほどです。
しかも、受診料は ゼロ円だった。
注意! 肝炎ウイルス検査の実施方法は、各自治体でルールが異なります。
ガッテンが、人工10万人以上の都市、およそ300か所で調べたところ、9割の地域で、病院や診療所で検査を受けられることが分かりました。
また、そのうちの7割が無料だった。
(というわけで、どこでも無料とは限りません)
小野アナの地区の場合、まず、区役所に電話。
すると、受診表が送られてくるので、それを持って、近くの診療所で検査を受けた。
まずは、お住いの地域の役所、あるいは保健所に、お問い合わせください。
「○○市 肝炎ウイルス検査」で検索すると、各自治体のページがヒットするかもしれません。
ちなみに、神戸市の場合、お近くの市内指定医療機関で受けるか、神戸市が実施する特定健診(メタボ健診)会場で受ける場合は、検査料金は無料らしい。
保健所の健康づくり支援課に問い合わせると、受診券の申し込みを受け付けてくれます。
ただ、それ以外の場合(市内指定医療機関ではない かかりつけ病院や近所の医療機関)は、有料になるようです。
(肝炎ウイルス検査指定医療機関は、リストになっていて、事前に調べることができます)
検査をして、もしも感染していた場合でも、ちゃんと治療して、がんにならないようにする方法があります。
それも後ほど、紹介しますよ。

肝炎ウイルスは、誰でも感染の可能性があります。
ぜひ、一度は検査を。
検査は、近所の病院で受けることもできます。
お近くの役所に、お問い合わせください。

ガッテン! ガッテン!
□ 新薬

肝炎ウイルス検査では、B型とC型、一度に検査することができます。
続いては、C型肝炎の新薬について。
[体験談(3)]
73歳の男性。
長年、肝炎に苦しめられてきました。
23年前のある日、仕事中に異変を感じたという。
食欲がなくて、体がだるい。
病院で検査をすると、肝機能が落ちていることが分かりました。
C型肝炎を発症していたのです。
当時の主治医からは、完治は非常に難しいと告げられた。
男性が受けた治療は、インターフェロンを注射する方法。
インターフェロンは、免疫を強めて肝炎ウイルスを攻撃する薬です。
しかし、感染者には、この薬が効きやすいタイプの人と、効きにくいタイプの人がいる。
残念ながら、男性は効きにくいタイプでした。
あきらめずに、新型のインターフェロンが出る度に試しましたが、ウイルスを排除することができない。
そして、20年以上が経過しました。
転機が訪れたのは、今年、2014年。
新薬のテストの誘いでした。
なんと、新しい薬は、飲み薬だけ。
2種類を毎日飲むだけで、肝炎ウイルスを排除できるのだという。
男性は、わらをもつかむ思いで、治療を始めました。
すると、たった1ヵ月で、ウイルスが消えた。
今では元気に仕事をしすぎて、腱鞘炎になるほどです。
こんなにうれしいことはない。
ここでスタジオに、専門家の先生が登場。
日本肝臓学会 理事、武蔵野赤十字病院の泉並木 先生です。
<B型とC型の違い>
B型は、母子感染などで感染して、定着する。大人で感染しても、急性の肝炎で済み、ほぼ治ります。
しかし、C型肝炎は、大人の時に感染しても持続する。母子感染はまれ。
(現在は、輸血や注射器などで感染しないよう、対策がとられています)
さて、肝心の新薬について。
2013年、画期的な新薬ができました。
インターフェロン+飲み薬で、排除率は90%。
9割の患者さんが治るようになりました。
インターフェロンが効きづらい人や、できない人は、2種類の薬を飲みます。
その排除率は、85%。
飲み薬は、ウイルスが耐性を持つ場合が、まれにある。
なので、まずはインターフェロンの治療を優先します。
新薬が生まれたきっかけは、C型肝炎ウイルスを培養できるようになったこと。
そのおかげで、どんどん薬が作られるようになった。
新しいの薬の場合、まれですが、重大な副作用が出る可能性もあります。
なので、治療中の経過観察が、とても大切になる。
経過観察する場合、ウイルスのタイプ、あるいは肝臓の状態などを、細かく調べ、薬の量などを調節しなければならない。
できれば、肝臓の専門医に相談してください。
B型肝炎の新薬もあります。
B型肝炎ウイルスというのは、核の中、細胞の奥の方に潜んで存在している。
なので、残念ながら、B型肝炎ウイルスを完全に取り除くことは難しい。
ただ、潜んでいるB型肝炎ウイルスが暴れて、増えて、肝臓を悪くするのを防ぐ新薬ができた。
「核酸アナログ」という薬は、B型肝炎ウイルスの増殖を抑えてくれます。
ウイルスを静かにさせて、肝臓がんにならないようにしてくれる。
こちらは、ほとんど副作用がないというのが特徴。
なので、以前の薬の副作用で、途中で治療をやめてしまった患者さんも、治療再開のチャンス。
泉先生は、おっしゃいます。
「みなさん、ぜひ、一生に一回、この血液検査を受けていただきたい」
自分が感染しているかどうか、1回だけ血液検査を受けてもらう。
通常、血液から感染するので、普通の生活では感染しません。
なので、一生に一回、ぜひ、検査を。
ちなみに、B型肝炎に感染している人が、知らないでお酒を飲むと、10年間で70%の人が肝臓がんになるという報告もあります。
なので、まず、感染しているかどうか、検査した方がいい。
肝炎ウイルスを人工的に培養できるようになって、今後も様々な新薬が生まれることが期待されます。
泉並木 先生は、おっしゃった。
「肝臓がんの予防が、新しい時代に入ったと言えると思いますね」

治療薬の進歩で、肝臓がんを防げる時代に!

ガッテン! ガッテン!
<おさらい>
□ 肝炎ウイルスの薬
C型では、高い確率で、ウイルスを排除できるようになりました。
B型は排除できませんが、ウイルスの活動を抑えて、肝臓がんを予防することができる。
ただ、副作用もあるので、できれば肝臓の専門医に相談を。
□ 肝炎ウイルス検査の受け方
地域によって条件が異なりますが、基本的には、保健所や近くの病院・診療所で、受けることができます。
ガッテンで調べたところでは、全国9割の地域の病院で、検査可能。
そのうちの7割は、無料です。
ただ、検査期間や対象年齢、無料で受けられる人数、実施している病院の数など、地域によって違いがあります。
なので、役所か保健所に、問い合わせてみてください。
風邪などで病院に行った際、ダメもとで聞いてみてもいい。
□ 今週の色紙
「これもノーベル賞」
将来が楽しみだ。
![NHKためしてガッテン増刊 健康プレミアム Vol.07 2014年 11月号 [雑誌]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/61Y4iicaJ4L._SX200_.jpg)

□

いや~、医学って、進歩してるんですね。
こんなにいい新薬ができてたのか。

検査も簡単だし、無料でやってくれる自治体も多いらしいし。
一生に一回は、肝炎ウイルス検査を受けたいですね。
何もないなら、安心。
見つかっても、いい治療法があるようだし。

放置するのが、一番怖そうだ。
次回は、「1200万人! 目の現代病、危険な目ヤニ 発見ワザ」。


→ 「脂肪肝から、肝臓ガンに?」
→ 「ためしてガッテン 2013年のアーカイブ 4月~6月」
原因の8割は、肝炎ウイルス。
感染源は、輸血、予防接種、そして、母子感染。
検査はたった3分。無料の自治体も多い。
武蔵野赤十字病院、泉並木 先生の解説。
インターフェロンが効かない場合でも、C型肝炎ウイルスを排除できる新薬。
B型のウイルスの増殖を抑える、核酸アナログ。
2014年11月12日放送の「ためしてガッテン」より、「3分で8割減! 肝臓がん撲滅SP」からのメモ書きです。

□ 肝臓がんの原因

今回のテーマは、「肝臓がんの予防や検査」について。
ガンの死亡数、第1位は、肺がん。
第2位が 胃がんで、第3位は 大腸がん。
そして、第4位なのが、肝臓がんです。
沈黙の臓器と呼ばれるだけあって、本人が気づかないうちに、肝臓が侵されている場合も。
しかし、ここで朗報です!
武蔵野赤十字病院 副院長の 泉並木 先生は、おっしゃいました。
「みなさんが『あること』さえやっていただければ、肝がんの7割から8割をなくすことが、できるようになってきたんです」

すごい進歩じゃないですか。

まずは、肝臓がんの原因からです。
エノキさん、何だと思います?

お酒…ですかね。

アルコールは、5%ほど。
一滴もお酒を飲まない人でも、肝臓がんになる方は、けっこう いらっしゃいます。

へ~、そうなんだ。

他の原因では、脂肪肝などが 15%。
B型肝炎ウイルスが、15%。
C型肝炎ウイルスが、65%。
肝臓がんの原因の8割は、肝炎ウイルスなんですね。

B型肝炎ウイルスの主な感染源は、
・輸血(血液製剤)
・予防接種(注射針の使い回し)
・???
この3つ目が、問題になります。
[体験談(1)]
73歳の女性。
7年前、肝臓がんに なりました。
30年前、仕事で忙しい毎日を送っていましたが、健康に不安を感じることは、なかったという。
ある日、体調を崩し病院を受診したのですが、念のため、血液検査をすることに。
そこで、肝機能の数値が 600~700あると言われてしまいます。
詳しく調べた結果、急性肝炎を発症していることが、分かりました。
このまま放置すると肝硬変へと進み、最悪、肝臓がんになりかねない。
すぐに治療を受け、無事、回復することができました。
このことをきっかけに、肝臓に負担をかけないよう、お酒もやめた。
検査も、定期的に受けるようになりました。
そのおかげで、5年後、10年後、15年後、20年後と、検査の値は、正常値。
ところが、です。
正常なはずの肝臓に、突然、がんが発見されてしまいます。
検査ではずっと正常値だったのに、なぜ?
この女性が肝臓がんになった原因は、B型肝炎ウイルスでした。
気づかないうちに、ずっと肝臓の中に潜んでいたんですね。
輸血はしてないし、血液製剤も使っていない。
予防接種で針の使い回しをしたことも、なさそう。
にもかかわらず、肝炎ウイルスに感染。
これは、どういうことなんでしょう?
B型肝炎ウイルスは、肝臓に侵入すると、細胞の奥底に潜みます。
肝炎を起こす場合もありますが、潜んでいるだけで悪さをしない場合もあるんですね。
潜んでいる間は、何もしません。
その場合、肝機能に異常が起きることもない。
でも、この潜んでいる場所は、細胞の設計図、つまり、遺伝子がある場所と同じなんです。
そして、何かの拍子に、細胞の設計図を傷つけてしまうことがある。
そうすると、この壊れた設計図をもとに作られる新しい細胞が、がんになってしまうんです。
こうして、がん細胞が増殖し、いきなり がんになってしまうということが起こり得てしまう。
でも、どこで、肝炎ウイルスが侵入したんでしょう?
実は、輸血でも、予防接種でもない、第3の感染源が、関係してきます。
そしてそれは、誰もがみんな、無関係ではない。
□ 母子感染
[体験談(2)]
名曲「まちぶせ」のヒットで知られる、石川ひとみさん。
プリンプリン物語で主役の声をあてたり、レッツゴーヤングの司会を務めた時期もあります。
実は、彼女もまた、意外なところで B型肝炎ウイルスに感染した一人なのです。
ある日、風邪かなと思い、病院へ。
その時の血液検査で、B型肝炎のキャリアであることが判明しました。
症状は、ほとんどなかったといいます。
体のダルさは感じていたものの、肝臓からくるものだとは、思ってもいませんでした。
問題は、ウイルスがいつ、どこから入ってきたか。
そこで、石川ひとみさんの半生を年表にまとめ、専門家に見てもらうことに。
協力してくれたのは、肝炎ウイルスの第一人者、名古屋市立大学 肝疾患センターの 田中靖人 教授。
いったい、どこで感染したのでしょうか?
握手など、人との接触で感染することはなさそうです。
田んぼで泥だらけで遊んだことも、関係なさそう。
プールでもない。
十二指腸潰瘍で入院経験がありますが、(手術したわけじゃないから)これも違う。
感染したのは、生まれた時。
母子感染ではないかと、先生は推測します。
B型肝炎ウイルスの主な感染源は、こうなる。
・輸血(血液製剤)
・予防接種(注射針の使い回し)
・母子感染
実は、母子感染は、B型肝炎ウイルスの最も代表的な感染経路なんです。
母親がウイルスに感染していても、症状が出ていなければ、感染していると気づかないまま、出産することになる。
母子感染と遺伝は、まったく別物。
遺伝は、受精卵になった頃に、親からの情報が受け継がれること。
母子感染は、それとは違います。
お腹の中にいる時、赤ちゃんは、母親と胎盤で つながっています。
この胎盤を通じて酸素や栄養を もらうわけですが、血管はつながっていない。
なので、この状態では、ウイルスに感染することはありません。
問題は、出産の時。
生まれる際、胎盤は子宮から、剥がれ落ちるんです。
この時、子宮から出血。
母親の血液中のウイルスが、剥がれた胎盤を通して、赤ちゃんに感染してしまうんですね。
実は、1986年から、「B型肝炎母子感染防止事業」というのが始っています。
出産前に、母親の肝炎ウイルス検査を実施。
もし、感染していると分かったら、生まれてすぐに、赤ちゃんに ワクチンを注射します。
そうすることで、ウイルスが肝臓に定着する前に、やっつけることができる。
ということで、2014年現在、29歳以上の人は母子感染の可能性があることになる。
□ 肝炎ウイルス検査

さて、ウイルスを発見するための検査ですが、「肝炎ウイルス検査」じゃないとダメ。
普通の血液検査では、分かりません。
(石川ひとみさんの場合、風邪だと思い病院に行ったのですが、医師が肝炎を疑って、検査をしたと思われます)
では、肝炎ウイルス検査とは、どんなものなんでしょう?
なんと、小野文惠アナが体験してくれました。
ガッテンでは、5年前にも、肝炎ウイルス検査を紹介しています。
(2009年9月16日放送の「検診で見つからない! 隠れ肝臓病100万人」)
この検査は、各自治体の保健所などで受けることができる。
今回は、もっといい方法を紹介。
実は、近所の病院でも、受けることができるんです。
小野アナが受診した病院では、予約なしでもOKでした。
(もちろん、予約が必要かどうかは、病院によって異なります)
診察室に入ると、輸血の経験があるかどうかなどを聞かれます。
簡単な問診のあと、検査へ。
血液検査をして、その日は おしまい。
時間はたったの3分ほどです。
しかも、受診料は ゼロ円だった。
注意! 肝炎ウイルス検査の実施方法は、各自治体でルールが異なります。
ガッテンが、人工10万人以上の都市、およそ300か所で調べたところ、9割の地域で、病院や診療所で検査を受けられることが分かりました。
また、そのうちの7割が無料だった。
(というわけで、どこでも無料とは限りません)
小野アナの地区の場合、まず、区役所に電話。
すると、受診表が送られてくるので、それを持って、近くの診療所で検査を受けた。
まずは、お住いの地域の役所、あるいは保健所に、お問い合わせください。
「○○市 肝炎ウイルス検査」で検索すると、各自治体のページがヒットするかもしれません。
ちなみに、神戸市の場合、お近くの市内指定医療機関で受けるか、神戸市が実施する特定健診(メタボ健診)会場で受ける場合は、検査料金は無料らしい。
保健所の健康づくり支援課に問い合わせると、受診券の申し込みを受け付けてくれます。
ただ、それ以外の場合(市内指定医療機関ではない かかりつけ病院や近所の医療機関)は、有料になるようです。
(肝炎ウイルス検査指定医療機関は、リストになっていて、事前に調べることができます)
検査をして、もしも感染していた場合でも、ちゃんと治療して、がんにならないようにする方法があります。
それも後ほど、紹介しますよ。

肝炎ウイルスは、誰でも感染の可能性があります。
ぜひ、一度は検査を。
検査は、近所の病院で受けることもできます。
お近くの役所に、お問い合わせください。

ガッテン! ガッテン!
□ 新薬

肝炎ウイルス検査では、B型とC型、一度に検査することができます。
続いては、C型肝炎の新薬について。
[体験談(3)]
73歳の男性。
長年、肝炎に苦しめられてきました。
23年前のある日、仕事中に異変を感じたという。
食欲がなくて、体がだるい。
病院で検査をすると、肝機能が落ちていることが分かりました。
C型肝炎を発症していたのです。
当時の主治医からは、完治は非常に難しいと告げられた。
男性が受けた治療は、インターフェロンを注射する方法。
インターフェロンは、免疫を強めて肝炎ウイルスを攻撃する薬です。
しかし、感染者には、この薬が効きやすいタイプの人と、効きにくいタイプの人がいる。
残念ながら、男性は効きにくいタイプでした。
あきらめずに、新型のインターフェロンが出る度に試しましたが、ウイルスを排除することができない。
そして、20年以上が経過しました。
転機が訪れたのは、今年、2014年。
新薬のテストの誘いでした。
なんと、新しい薬は、飲み薬だけ。
2種類を毎日飲むだけで、肝炎ウイルスを排除できるのだという。
男性は、わらをもつかむ思いで、治療を始めました。
すると、たった1ヵ月で、ウイルスが消えた。
今では元気に仕事をしすぎて、腱鞘炎になるほどです。
こんなにうれしいことはない。
ここでスタジオに、専門家の先生が登場。
日本肝臓学会 理事、武蔵野赤十字病院の泉並木 先生です。
<B型とC型の違い>
B型は、母子感染などで感染して、定着する。大人で感染しても、急性の肝炎で済み、ほぼ治ります。
しかし、C型肝炎は、大人の時に感染しても持続する。母子感染はまれ。
(現在は、輸血や注射器などで感染しないよう、対策がとられています)
さて、肝心の新薬について。
2013年、画期的な新薬ができました。
インターフェロン+飲み薬で、排除率は90%。
9割の患者さんが治るようになりました。
インターフェロンが効きづらい人や、できない人は、2種類の薬を飲みます。
その排除率は、85%。
飲み薬は、ウイルスが耐性を持つ場合が、まれにある。
なので、まずはインターフェロンの治療を優先します。
新薬が生まれたきっかけは、C型肝炎ウイルスを培養できるようになったこと。
そのおかげで、どんどん薬が作られるようになった。
新しいの薬の場合、まれですが、重大な副作用が出る可能性もあります。
なので、治療中の経過観察が、とても大切になる。
経過観察する場合、ウイルスのタイプ、あるいは肝臓の状態などを、細かく調べ、薬の量などを調節しなければならない。
できれば、肝臓の専門医に相談してください。
B型肝炎の新薬もあります。
B型肝炎ウイルスというのは、核の中、細胞の奥の方に潜んで存在している。
なので、残念ながら、B型肝炎ウイルスを完全に取り除くことは難しい。
ただ、潜んでいるB型肝炎ウイルスが暴れて、増えて、肝臓を悪くするのを防ぐ新薬ができた。
「核酸アナログ」という薬は、B型肝炎ウイルスの増殖を抑えてくれます。
ウイルスを静かにさせて、肝臓がんにならないようにしてくれる。
こちらは、ほとんど副作用がないというのが特徴。
なので、以前の薬の副作用で、途中で治療をやめてしまった患者さんも、治療再開のチャンス。
泉先生は、おっしゃいます。
「みなさん、ぜひ、一生に一回、この血液検査を受けていただきたい」
自分が感染しているかどうか、1回だけ血液検査を受けてもらう。
通常、血液から感染するので、普通の生活では感染しません。
なので、一生に一回、ぜひ、検査を。
ちなみに、B型肝炎に感染している人が、知らないでお酒を飲むと、10年間で70%の人が肝臓がんになるという報告もあります。
なので、まず、感染しているかどうか、検査した方がいい。
肝炎ウイルスを人工的に培養できるようになって、今後も様々な新薬が生まれることが期待されます。
泉並木 先生は、おっしゃった。
「肝臓がんの予防が、新しい時代に入ったと言えると思いますね」

治療薬の進歩で、肝臓がんを防げる時代に!

ガッテン! ガッテン!
<おさらい>
□ 肝炎ウイルスの薬
C型では、高い確率で、ウイルスを排除できるようになりました。
B型は排除できませんが、ウイルスの活動を抑えて、肝臓がんを予防することができる。
ただ、副作用もあるので、できれば肝臓の専門医に相談を。
□ 肝炎ウイルス検査の受け方
地域によって条件が異なりますが、基本的には、保健所や近くの病院・診療所で、受けることができます。
ガッテンで調べたところでは、全国9割の地域の病院で、検査可能。
そのうちの7割は、無料です。
ただ、検査期間や対象年齢、無料で受けられる人数、実施している病院の数など、地域によって違いがあります。
なので、役所か保健所に、問い合わせてみてください。
風邪などで病院に行った際、ダメもとで聞いてみてもいい。
□ 今週の色紙
「これもノーベル賞」
将来が楽しみだ。
![NHKためしてガッテン増刊 健康プレミアム Vol.07 2014年 11月号 [雑誌]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/61Y4iicaJ4L._SX200_.jpg)

□

いや~、医学って、進歩してるんですね。
こんなにいい新薬ができてたのか。

検査も簡単だし、無料でやってくれる自治体も多いらしいし。
一生に一回は、肝炎ウイルス検査を受けたいですね。
何もないなら、安心。
見つかっても、いい治療法があるようだし。

放置するのが、一番怖そうだ。
次回は、「1200万人! 目の現代病、危険な目ヤニ 発見ワザ」。


→ 「脂肪肝から、肝臓ガンに?」
→ 「ためしてガッテン 2013年のアーカイブ 4月~6月」
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