ニオイ玉で腎臓病に? 膿栓とは/ためしてガッテン
今週のテーマは、「ニオイ玉」。
ノドの奥、扁桃に白い粒が。
クサいニオイの正体。
腎臓病(IgA腎症)や肌荒れ(掌蹠膿疱症)との関係。
正式名称は、「膿栓(のうせん)」。
実は、細菌のカタマリだった。
和歌山県立医科大学病院、山中昇 教授の解説。
慢性扁桃炎の症状。
治療法や予防法。
口輪筋のチェック法。
ペットボトルで鍛える方法。
2014年10月22日放送の「ためしてガッテン」より、「“風邪はノドから…”その体質に潜む病SP」「肌荒れ、肩こり、腎臓病…原因はまさかのノドの腫れ!?」からのメモ書きです。

□ ニオイ玉と病気

今回のテーマは、「ニオイ玉」です。
エノキさん、ニオイ玉って知ってます?

何度か、芸人さんの話の中で聞いたことがあります。
漫才していて出てきたとか、風邪ひいた時に出たとか。
小さい玉で、すごくクサいって話でした。

街のみなさんに聞いたところ、体験したことがあるのは、100人中 32人でした。
実は、このニオイ玉がきっかけで、たいへんなことになってしまった方々がいます。
ある女性は、腎臓病になった。
別の女性は、ひどい肌荒れに。
専門家によれば、肩こり、心臓病、大腸炎、目の病気(失明)など、全身に病気が蔓延する可能性もあるのだとか。

ひえ~っ!

ゲストの内山信二さんも、この玉を出したことがあるらしい。
その時は、ポップコーンのカスみたいだったといいます。
白っぽいという人もいれば、黄色っぽいとか、緑っぽいという人も。
乳白色だとおっしゃる方が多いかな。
大きなものだと、5mmぐらいあるのだそう。
つぶすと、ものすごく クサい。

でも、このニオイ玉が、どうして全身の病気と関係するのでしょう?
【体験談(1)】
静岡県に住む、54歳の女性。
10年以上前から、頻繁にニオイ玉が出たのだという。
うがいをして吐くと、ごはん粒のようなものが出たりする。
当時、食事がノドに詰まることがよくあったので、食べ物のカスがノドに詰まり、それが出たのだと思っていました。
ところが8年前、急に体調を崩し、1週間ほど、ノドの痛みが続いた。
ようやく治りかけた頃には、突然、血尿が。
あわてて病院で検査を受けたところ、腎臓病だと診断されました。
しかも意外なことに、ノドにできたニオイ玉と腎臓病には 深い関係があるのだという。
【体験談(2)】
埼玉県にお住いの、42歳の女性。
以前から、ノドに異物感を感じることがありました。
そんな女性を襲った症状は、手足の発疹。
手と足に、ひどいブツブツができるようになった。
いくつか病院を受診するも、原因は不明。
その間にも症状は、どんどん進行していきます。
最もひどかった頃には、爪までボロボロ。
ひどいかゆみにも、襲われたという。
しかし、病気とニオイ玉に、どんな関係が?
体験談(1)の女性がかかった病気は、「IgA腎症」。
予備軍も含めると、全国で100万人という病気です。
体験談(2)の女性の肌荒れは、「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」。
手のひらや足の裏に発疹ができて、痛みや かゆみに見舞われる病気で、3万人近い方が苦しんでおられる。
おふたりに共通しているのは、「風邪をひくと、いつもノドから症状が出る」という点。
風邪でノドといえば、「扁桃腺(へんとうせん)」。
今は「扁桃(へんとう)」と呼ぶようになっているらしい。
扁桃(口蓋扁桃 こうがいへんとう)とは、ノドの両脇にある赤い部分のこと。
デコボコしていて、凹凸があるのですが、このへこんだ部分に、ニオイ玉は入っています。
□ ニオイ玉の正体
ノドつながりということで、お邪魔したのは、「NHKのど自慢」。
梅ちゃん先生でも描かれましたが、昭和21年から続く長寿番組です。
その予選会場で、ノドをチェックさせてもらおうってわけ。
ニオイ玉を、探しちゃいますよ。
協力してくれたのは、和歌山県立医科大学 耳鼻咽喉科の戸川彰久 医師です。
さすがに「のど自慢」の方々だけあって、扁桃はピカピカです。
ニオイ玉は、なかなか見つからない。
そして31人目にして、やっと発見。
綿棒で、採取させていただきました。
そのニオイ玉を、神奈川歯科大学 大学院歯学研究科の山本龍生 准教授に、分析していただきます。
電子顕微鏡で覗いてみた、その結果に、先生もビックリ。
その正体は、アレだったのです。
このニオイ玉の大きさは、約5mm 。
それを拡大していくと、正体が分かりました。
ニオイ玉は、細菌のカタマリだったんですね。
歯周病菌とか、大腸の悪玉菌の、仲間だった。
だから、卵が腐ったようなニオイがする。
正式な呼び名は、「膿栓(のうせん)」。
膿が栓をしてしまったような状態だというわけ。
膿栓の中にいる細菌の中でも、ひときわ多く見つかったのが、これ。
「バクテロイデス」。
大腸の悪玉菌の仲間で、このような細菌が過剰に密集したものが、膿栓です。
なんと、1mm ほどの膿栓に、1億から2億の細菌が密集しているそう。
この膿栓、扁桃でいったい、何をしているのでしょうか?
細菌が、空気や食べ物と一緒に、ノドに侵入。
すると扁桃に、T細胞が現れましたよ。
T細胞は仲間の細胞に命令して、細菌に向かって攻撃させます。
実は、扁桃というのは、体を守る免疫器官なのです。
リンパ球などの免疫細胞が、細菌の侵入を阻止しようと頑張ってくれる。
風邪をひくと、ノドが腫れますよね。
いわゆる扁桃炎の状態。
あれは、免疫細胞が細菌と戦っている証拠なんです。
実はニオイ玉は、免疫細胞にやられた細菌の死骸のカタマリ。
なので、それ自体が病気の原因になるわけではないそう。
ところが、細菌との戦いが長く続くと、思わぬ事態に。
なんと、免疫細胞が、体のあちこちで暴走してしまいます。
リーダーであるT細胞が、メチャメチャな指令を出し続けるからです。
真犯人、発見。
全身の病気の原因は、免疫細胞たちでした。
扁桃は、免疫を担う「リンパ組織」の一部です。
実は、体のあちこちにはリンパ組織が存在していて、それぞれに T細胞がいます。
しかし、扁桃のT細胞は、何らかの理由で、急におかしくなって、間違った指令を出してしまうことがあるんですね。
結果、T細胞の命令を受けた免疫細胞が、体中に出動してしまう。
そして、細菌はいないなのに、全身を攻撃。
様々な病気を引き起こしてしまう。
扁桃というのは、他の臓器とは違って、むき出しです。
全身のリンパ組織の中で、扁桃だけが外にある。
それだけ、扁桃のT細胞というのは、ハードな仕事をこなさねばなりません。
膿栓は、扁桃のT細胞が細菌と戦い続けた証拠なんですね。
それだけ、四六時中、頑張っていたということ。
□ 山中先生の解説
ここでスタジオに、専門家の先生が登場。
和歌山県立医科大学病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 教授の山中昇 先生です。
膿栓ができ続けるような状態を、「慢性扁桃炎」という。
この慢性扁桃炎の状態が長く続くと、全身の様々な病気につながる可能性が。
<慢性扁桃炎の症状>
・ノドのイガイガ感や違和感 → 1ヵ月以上続く。
・膿栓が月に 3~4回出る → 3ヵ月以上続く。
<慢性扁桃炎の治療法>
・炎症を抑える薬の使用。
・うがい。
・耳鼻咽喉科で、膿栓を吸引してくれることも。
慢性扁桃炎を持っているからといっても、すべての人が全身の病気になるわけではありません。
ただ、一部の人に、腎臓病や肌荒れなどの症状が現れることがある。
さて、体験談(2)の女性ですが、肌荒れは見事に治っています。
体験談(1)の女性も、完治したわけではないけれど、進行を止めることに成功。寛解の状態に。
どういう治療が行われたのかというと、扁桃を摘出する手術が施されました。
ちなみに、扁桃を摘出しても、体中の他のリンパ組織が補ってくれるので、免疫力は落ちないのだそう。
掌蹠膿疱症(肌荒れ)の場合、扁桃を取ると、およそ50%の人が完治。
90%の人の症状が改善するといわれている。
IgA腎症(腎臓病)の場合も、抗炎症薬と早めの扁桃摘出で、およそ90%の人が腎臓の機能を保てるそうです。
(ただ、掌蹠膿疱症やIgA腎症の原因は他にもあると考えられており、研究が進められているとのこと)

扁桃が原因で、全身の病気になることも。
それを知らせてくれるのが、長く続くニオイ玉でした。
慢性扁桃炎を治療すれば、症状は改善します。

ガッテン! ガッテン!
□ 慢性扁桃炎の予防法
さて、扁桃炎の原因となる行動とは、何なのでしょうか?
そのヒントを教えてくれたのは、岩崎動物病院の岩崎雅和 院長。
実は、イヌやネコなど多くの哺乳類は、人間と同じように、扁桃を持っています。
けれど、岩崎先生によると、イヌなどで扁桃が腫れて困るということは、まずないのだという。
医薬基盤研・霊長類医科学研究センターの揚山直英 主任研究員にうかがったところ、サルでも扁桃が腫れているのを見たことはないらしい。
動物は、滅多に扁桃炎に、かからないようですね。
動物はしないけど、人間はするもの。
それは、「口呼吸」。
人間以外の哺乳類は、主に鼻呼吸をします。
口呼吸は、ほとんどしない。
では、何が悪いのか?
口呼吸をすると、口内が乾いて、細菌が繁殖しやすくなります。
これが、慢性扁桃炎の原因になってしまうんですね。
<口呼吸の原因>
(1) 口輪筋(こうりんきん)の衰え。
(2) クセ。
口輪筋は、口の周りの筋肉。
口を閉じさせる筋肉で、これが衰えると、開きやすくなる。
<口輪筋 チェック法>
ペットボトルと、直径3cm ほどのボタン、タコ糸、を用意します。
ボタンにタコ糸をつけて、ペットボトルに結びつける。
ペットボトルには、1リットルの水を入れておきます。
ボタンを唇と歯の間に はさむようにして、持ち上げてください。
持ち上げられなかったら、口輪筋が衰えているサイン。
トレーニングも、できますよ。
自分が持ち上げられるギリギリの水量の半分を、ペットボトルに入れる。
5秒間持ち上げては5秒間休むという運動を、1日に20回行ってください。
歯科医の方が、ギターで口輪筋トレーニングを紹介してくれています。
こんな感じ。
(音量に注意して!)
テンション高いな~!
クセも、治すことができます。
使うのは、シール。
部屋の目立つ所に、シールをペタリ。
それを見る度に、口を閉じるように意識します。
これは病院でも勧められている方法で、「認知行動療法」という。
口が開いてたと意識するだけで、改善できるそうですよ。
テレビ、パソコン、スマホなど、よく使うものに、「口呼吸しないこと」と書いた付箋(ふせん)を貼るのも、いいかもしれません。

口呼吸をやめることで、慢性扁桃炎は予防できます。

ガッテン! ガッテン!

□

ニオイ玉の正体が細菌の死骸だったとは、ビックリしました。
なるほど、クサいわけだ。

それが全身の病気につながるなんて、なおビックリですね。
花粉症もそうだけど、免疫システムの不具合って、最近、よく聞きます。
それそのものは大事な機能だけど、頑張りすぎると、よくないわけか。

これからは、口呼吸に気をつけたいと思います。
次回は、「認知症&受験に勝つ! 脳フル回転する昔遊び」。

→ 「ためしてガッテン 2013年のアーカイブ 4月~6月」
ノドの奥、扁桃に白い粒が。
クサいニオイの正体。
腎臓病(IgA腎症)や肌荒れ(掌蹠膿疱症)との関係。
正式名称は、「膿栓(のうせん)」。
実は、細菌のカタマリだった。
和歌山県立医科大学病院、山中昇 教授の解説。
慢性扁桃炎の症状。
治療法や予防法。
口輪筋のチェック法。
ペットボトルで鍛える方法。
2014年10月22日放送の「ためしてガッテン」より、「“風邪はノドから…”その体質に潜む病SP」「肌荒れ、肩こり、腎臓病…原因はまさかのノドの腫れ!?」からのメモ書きです。

□ ニオイ玉と病気

今回のテーマは、「ニオイ玉」です。
エノキさん、ニオイ玉って知ってます?

何度か、芸人さんの話の中で聞いたことがあります。
漫才していて出てきたとか、風邪ひいた時に出たとか。
小さい玉で、すごくクサいって話でした。

街のみなさんに聞いたところ、体験したことがあるのは、100人中 32人でした。
実は、このニオイ玉がきっかけで、たいへんなことになってしまった方々がいます。
ある女性は、腎臓病になった。
別の女性は、ひどい肌荒れに。
専門家によれば、肩こり、心臓病、大腸炎、目の病気(失明)など、全身に病気が蔓延する可能性もあるのだとか。

ひえ~っ!

ゲストの内山信二さんも、この玉を出したことがあるらしい。
その時は、ポップコーンのカスみたいだったといいます。
白っぽいという人もいれば、黄色っぽいとか、緑っぽいという人も。
乳白色だとおっしゃる方が多いかな。
大きなものだと、5mmぐらいあるのだそう。
つぶすと、ものすごく クサい。

でも、このニオイ玉が、どうして全身の病気と関係するのでしょう?
【体験談(1)】
静岡県に住む、54歳の女性。
10年以上前から、頻繁にニオイ玉が出たのだという。
うがいをして吐くと、ごはん粒のようなものが出たりする。
当時、食事がノドに詰まることがよくあったので、食べ物のカスがノドに詰まり、それが出たのだと思っていました。
ところが8年前、急に体調を崩し、1週間ほど、ノドの痛みが続いた。
ようやく治りかけた頃には、突然、血尿が。
あわてて病院で検査を受けたところ、腎臓病だと診断されました。
しかも意外なことに、ノドにできたニオイ玉と腎臓病には 深い関係があるのだという。
【体験談(2)】
埼玉県にお住いの、42歳の女性。
以前から、ノドに異物感を感じることがありました。
そんな女性を襲った症状は、手足の発疹。
手と足に、ひどいブツブツができるようになった。
いくつか病院を受診するも、原因は不明。
その間にも症状は、どんどん進行していきます。
最もひどかった頃には、爪までボロボロ。
ひどいかゆみにも、襲われたという。
しかし、病気とニオイ玉に、どんな関係が?
体験談(1)の女性がかかった病気は、「IgA腎症」。
予備軍も含めると、全国で100万人という病気です。
体験談(2)の女性の肌荒れは、「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」。
手のひらや足の裏に発疹ができて、痛みや かゆみに見舞われる病気で、3万人近い方が苦しんでおられる。
おふたりに共通しているのは、「風邪をひくと、いつもノドから症状が出る」という点。
風邪でノドといえば、「扁桃腺(へんとうせん)」。
今は「扁桃(へんとう)」と呼ぶようになっているらしい。
扁桃(口蓋扁桃 こうがいへんとう)とは、ノドの両脇にある赤い部分のこと。
デコボコしていて、凹凸があるのですが、このへこんだ部分に、ニオイ玉は入っています。
□ ニオイ玉の正体
ノドつながりということで、お邪魔したのは、「NHKのど自慢」。
梅ちゃん先生でも描かれましたが、昭和21年から続く長寿番組です。
その予選会場で、ノドをチェックさせてもらおうってわけ。
ニオイ玉を、探しちゃいますよ。
協力してくれたのは、和歌山県立医科大学 耳鼻咽喉科の戸川彰久 医師です。
さすがに「のど自慢」の方々だけあって、扁桃はピカピカです。
ニオイ玉は、なかなか見つからない。
そして31人目にして、やっと発見。
綿棒で、採取させていただきました。
そのニオイ玉を、神奈川歯科大学 大学院歯学研究科の山本龍生 准教授に、分析していただきます。
電子顕微鏡で覗いてみた、その結果に、先生もビックリ。
その正体は、アレだったのです。
このニオイ玉の大きさは、約5mm 。
それを拡大していくと、正体が分かりました。
ニオイ玉は、細菌のカタマリだったんですね。
歯周病菌とか、大腸の悪玉菌の、仲間だった。
だから、卵が腐ったようなニオイがする。
正式な呼び名は、「膿栓(のうせん)」。
膿が栓をしてしまったような状態だというわけ。
膿栓の中にいる細菌の中でも、ひときわ多く見つかったのが、これ。
「バクテロイデス」。
大腸の悪玉菌の仲間で、このような細菌が過剰に密集したものが、膿栓です。
なんと、1mm ほどの膿栓に、1億から2億の細菌が密集しているそう。
この膿栓、扁桃でいったい、何をしているのでしょうか?
細菌が、空気や食べ物と一緒に、ノドに侵入。
すると扁桃に、T細胞が現れましたよ。
T細胞は仲間の細胞に命令して、細菌に向かって攻撃させます。
実は、扁桃というのは、体を守る免疫器官なのです。
リンパ球などの免疫細胞が、細菌の侵入を阻止しようと頑張ってくれる。
風邪をひくと、ノドが腫れますよね。
いわゆる扁桃炎の状態。
あれは、免疫細胞が細菌と戦っている証拠なんです。
実はニオイ玉は、免疫細胞にやられた細菌の死骸のカタマリ。
なので、それ自体が病気の原因になるわけではないそう。
ところが、細菌との戦いが長く続くと、思わぬ事態に。
なんと、免疫細胞が、体のあちこちで暴走してしまいます。
リーダーであるT細胞が、メチャメチャな指令を出し続けるからです。
真犯人、発見。
全身の病気の原因は、免疫細胞たちでした。
扁桃は、免疫を担う「リンパ組織」の一部です。
実は、体のあちこちにはリンパ組織が存在していて、それぞれに T細胞がいます。
しかし、扁桃のT細胞は、何らかの理由で、急におかしくなって、間違った指令を出してしまうことがあるんですね。
結果、T細胞の命令を受けた免疫細胞が、体中に出動してしまう。
そして、細菌はいないなのに、全身を攻撃。
様々な病気を引き起こしてしまう。
扁桃というのは、他の臓器とは違って、むき出しです。
全身のリンパ組織の中で、扁桃だけが外にある。
それだけ、扁桃のT細胞というのは、ハードな仕事をこなさねばなりません。
膿栓は、扁桃のT細胞が細菌と戦い続けた証拠なんですね。
それだけ、四六時中、頑張っていたということ。
□ 山中先生の解説
ここでスタジオに、専門家の先生が登場。
和歌山県立医科大学病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 教授の山中昇 先生です。
膿栓ができ続けるような状態を、「慢性扁桃炎」という。
この慢性扁桃炎の状態が長く続くと、全身の様々な病気につながる可能性が。
<慢性扁桃炎の症状>
・ノドのイガイガ感や違和感 → 1ヵ月以上続く。
・膿栓が月に 3~4回出る → 3ヵ月以上続く。
<慢性扁桃炎の治療法>
・炎症を抑える薬の使用。
・うがい。
・耳鼻咽喉科で、膿栓を吸引してくれることも。
慢性扁桃炎を持っているからといっても、すべての人が全身の病気になるわけではありません。
ただ、一部の人に、腎臓病や肌荒れなどの症状が現れることがある。
さて、体験談(2)の女性ですが、肌荒れは見事に治っています。
体験談(1)の女性も、完治したわけではないけれど、進行を止めることに成功。寛解の状態に。
どういう治療が行われたのかというと、扁桃を摘出する手術が施されました。
ちなみに、扁桃を摘出しても、体中の他のリンパ組織が補ってくれるので、免疫力は落ちないのだそう。
掌蹠膿疱症(肌荒れ)の場合、扁桃を取ると、およそ50%の人が完治。
90%の人の症状が改善するといわれている。
IgA腎症(腎臓病)の場合も、抗炎症薬と早めの扁桃摘出で、およそ90%の人が腎臓の機能を保てるそうです。
(ただ、掌蹠膿疱症やIgA腎症の原因は他にもあると考えられており、研究が進められているとのこと)

扁桃が原因で、全身の病気になることも。
それを知らせてくれるのが、長く続くニオイ玉でした。
慢性扁桃炎を治療すれば、症状は改善します。

ガッテン! ガッテン!
□ 慢性扁桃炎の予防法
さて、扁桃炎の原因となる行動とは、何なのでしょうか?
そのヒントを教えてくれたのは、岩崎動物病院の岩崎雅和 院長。
実は、イヌやネコなど多くの哺乳類は、人間と同じように、扁桃を持っています。
けれど、岩崎先生によると、イヌなどで扁桃が腫れて困るということは、まずないのだという。
医薬基盤研・霊長類医科学研究センターの揚山直英 主任研究員にうかがったところ、サルでも扁桃が腫れているのを見たことはないらしい。
動物は、滅多に扁桃炎に、かからないようですね。
動物はしないけど、人間はするもの。
それは、「口呼吸」。
人間以外の哺乳類は、主に鼻呼吸をします。
口呼吸は、ほとんどしない。
では、何が悪いのか?
口呼吸をすると、口内が乾いて、細菌が繁殖しやすくなります。
これが、慢性扁桃炎の原因になってしまうんですね。
<口呼吸の原因>
(1) 口輪筋(こうりんきん)の衰え。
(2) クセ。
口輪筋は、口の周りの筋肉。
口を閉じさせる筋肉で、これが衰えると、開きやすくなる。
<口輪筋 チェック法>
ペットボトルと、直径3cm ほどのボタン、タコ糸、を用意します。
ボタンにタコ糸をつけて、ペットボトルに結びつける。
ペットボトルには、1リットルの水を入れておきます。
ボタンを唇と歯の間に はさむようにして、持ち上げてください。
持ち上げられなかったら、口輪筋が衰えているサイン。
トレーニングも、できますよ。
自分が持ち上げられるギリギリの水量の半分を、ペットボトルに入れる。
5秒間持ち上げては5秒間休むという運動を、1日に20回行ってください。
歯科医の方が、ギターで口輪筋トレーニングを紹介してくれています。
こんな感じ。
(音量に注意して!)
テンション高いな~!
クセも、治すことができます。
使うのは、シール。
部屋の目立つ所に、シールをペタリ。
それを見る度に、口を閉じるように意識します。
これは病院でも勧められている方法で、「認知行動療法」という。
口が開いてたと意識するだけで、改善できるそうですよ。
テレビ、パソコン、スマホなど、よく使うものに、「口呼吸しないこと」と書いた付箋(ふせん)を貼るのも、いいかもしれません。

口呼吸をやめることで、慢性扁桃炎は予防できます。

ガッテン! ガッテン!

□

ニオイ玉の正体が細菌の死骸だったとは、ビックリしました。
なるほど、クサいわけだ。

それが全身の病気につながるなんて、なおビックリですね。
花粉症もそうだけど、免疫システムの不具合って、最近、よく聞きます。
それそのものは大事な機能だけど、頑張りすぎると、よくないわけか。

これからは、口呼吸に気をつけたいと思います。
次回は、「認知症&受験に勝つ! 脳フル回転する昔遊び」。

→ 「ためしてガッテン 2013年のアーカイブ 4月~6月」
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