リズムとオノマトペで上達、ゴルフに料理!/ためしてガッテン
<トラブルで前の記事が消えたため、再アップしました>
今日のお手本は、一流アスリートたち。
男子ハンマー投げの室伏広治 選手は叫ぶ、「ン~ッガアァァァ~!」。
卓球の福原愛 選手は、「サー!」と拳を握ります。
テニスのマリア・シャラポワ選手は、打撃の瞬間、「ンアゥ~ッ!」と。
こうした、アスリートのかけ声。
気合など、単に気持ちを盛り上げるためじゃ、ないそうです。
ちゃんとした効果が、そこにはあるんだって。
脳の奥深くを刺激する、ある働きがあることが分かってきた。
それを応用したところ、いろんな効果が現れました。
まず、ゴルフの飛距離が、格段に伸びた。
跳び箱も、簡単に跳べるようになりました。
卵焼きだって、きれいに巻けちゃった。
こんな効果を引き出す秘訣は、リズムにあると言います。
どういうことなんでしょうか?
2012年6月27日放送の「ためしてガッテン」より、「リズムで脳を刺激せよ 卵焼き・チャーハン・ゴルフまで!」からのメモ書きです。

□ ゴルフの飛距離を伸ばす
・そもそも、アスリートの方々は、
なぜ、声を出すんだろう?
・そこには、「眠れる能力」があるという。
・声を出さないと眠ったままになる能力を、
声を出すことで目覚めさせていると。
・ん? どういうこと?
・兵庫県のゴルフ場で、
芝生を管理されている男性がいます。
・この男性、毎日やって来る
お客さんを見ているうちに、
ゴルフにハマってしまいました。
・仕事帰りには
打ちっ放しに出かけるのですが、
今のところ最長200ヤードが限界。
・これ以上、飛距離が伸びません。
・そんな男性に番組は、
いきなりうまくなる方法を伝授しました。
・教えてくれるのは、
スポーツ選手の動きと音の関係について
研究している、
朝日大学音声言語学科の藤野良孝 准教授。
・先生は、
あのハンマー投げの室伏広治選手にも、
アドバイスしているのだとか。
・その秘策とは、
「スーッガァァァー!」と声を出すだけ。
・え? それだけで、大丈夫なの?
・教えてもらってる人たちは、
不信感を顔に出してますよ。
・それでも藤野先生は、説明を続けます。
・スイングで上げる時に
「スーッ」と言う。
・そして、ダウンスイングする時に、
「ガァァァー!」と発声。
・この「ガァァァー!」は、
ものすごい最大限の発声をしてほしいと。
・さっそくみんなで練習。
・グラブは持たずに、素振りします。
・「スーッ ガァァァー!」
・これで本当に、飛距離は伸びるんでしょうか?
・半信半疑のまま、実験が開始されました。
・まずは、222ヤード飛ばす男性。
・「スーッ ガァァァー!」を実践したところ、
飛距離は 232.5ヤードに。
・240ヤード飛ばす男性は、
246ヤードまで伸びました。
・冒頭の男性は、普段 221ヤード。
・それが「スーッ ガァァァー!」をやると、
241ヤードに。
・すっ、すごい!
・でも、何で、
「スーッガァァァー!」なんだろう?
・他の言葉じゃ、ダメなんだろうか?
・そこで、実験。
・協力してくれたのは、
プロゴルファーの中田守プロです。
・ふだんの飛距離は、330ヤードだ。
・まずは、おなじみのかけ声、
「チャー シュー メン!」を
試してもらった。
・すると飛距離は、278ヤードに。
・あれ? 下がっちゃった?
・ちなみに、「タンタンメン」では、
294ヤードでした。
・そして、「スーッガァァァー!」では、
336ヤードだった。
・プロでも、伸びましたね。
・でも、「スーッガァァァー!」で、
体のどこが変化するんだろう?
・ということで、無言時と実施時の
フォームを比較してみました。
・すると、クラブを上げる時は
同じだったのですが、
ダウンスイングのスピードが
速くなっているのが分かった。
・しかも、腰の回転も、しっかり回っている。
・専門家の解説では、
余計な力が抜けることで
無駄なく力が伝わっていると。
・それで、スイングのスピードが
上がっているのだろうといいます。
□ 跳び箱は、ヒュッ
・小学生4人に協力してもらい、
実験です。
・この4人は、4段以上の跳び箱が、
跳べない。
・ところがです。
・ある秘策を授けられたところ、
あっという間に、
6段跳べるようになった。
・それも、軽々と。
・秘策を授けてくれたのは、
声を使った体操を指導する
墨田区教育委員会の事務局指導室
小坂裕紀 指導主事。
・まずは、跳び箱の一連の動きを、
音にします。
・次に、本当に跳んでいるように
声を出す。
・そして、その音をイメージしながら、
跳び箱より低い平均台にチャレンジ。
・この時、小学生は、
手をつく時には「パン」、
跳び越える時には「ヒュウ」、
着地の時には「ドン」と、
跳び越える一連の動作を
3つの音で捉えていました。
・そこで、小坂先生がアドバイスを。
・「ヒユッをちょっと大事にしてみよう」
・「パン・ヒュウ・ドン」から、
「ヒュッ」にまとめました。
・するとどうでしょう、
平均台を飛び越えるのがスムーズになった。
・リズミカルな動きに、大変身しています。
・さらにアドバイスは続きます。
・もっと跳び箱につく時間を
短くしようと思うと、
どういうイメージになるだろう?
・ちいさい「ッ」を意識してみます。
・そして、いざ、跳び箱に挑戦。
・タタタタタと走って、
跳ぶ瞬間に「ヒュッ」と声を出す。
・すると、跳べました!
・自信をつけたからか、
6段まで軽々と跳んじゃいました。
・先生によれば、
「ヒュッ」に集中させることが大事。
・「トッ」と軽やかに跳び上がって、
ヒュッと跳びさえすれば、
自然に手はつくし、自然と着地もできると。
・3つやらないといけないことがあると、
初心者はあれこれ考えちゃう。
・それを1つにまとめたことで、
動きがぎこちないものでは
なくなってくるんですね。
・ヒュッという1つの音に集中させることで、
動きが断然、スムーズになるのです。
・跳び箱を跳べない時って、
跳ぶ瞬間に腰が引けちゃいますよね。
・なので、うまく体を前に倒すことが
できない。
・それが、
跳ぶ瞬間に「トッ」とすることで、
上半身を前に倒せるようになります。
・みんなが跳ぶ時、先生は、
「タッタッタッタ トッ ヒュッ」と
声に出していました。
・子どもたちは、その声に合わせて跳んでいたんです。
・自分で口に出してもいいし、
先生の声に合わせてもいい。
・ここでも、リズムが眠れる能力を
引き出してくれたのです。
□ 秘訣はリズムに
・アメリカの脳神経学者
マクマスター大学の
スティーブン・ブラウン博士。
・博士が研究の対象としたのは、
音楽に合わせて華麗なステップを踏む
タンゴのダンサーたち。
・博士は、
音のリズムが持つ不思議な力を
突きとめました。
・まずはタンゴダンサーを集め、
こんな実験をしたという。
・使ったのは、MRI。
・音楽のない状態で
ステップを踏んでもらい、
脳の活動を調べます。
・続いて、音楽を聴きながら
ステップを踏んだ時の、
脳の働きを調べる。
・すると、音楽と合わせた時だけ、
脳のある部分が
非常に活発に活動していました。
・しかも、それはなぜか、
運動の指令を出す部分ではなく
聴覚に関わる部分でもなかった。
・脳の奥深くにある、ある場所。
・実はこれこそが、
人間の眠れる能力を引き出し、
魔法のような変化を引き起こす
源なのです。
・脳の中にいるのは、大脳くん。
・体のどこを動かすかを決めて、
体に指示を送るという仕事をしています。
・ゴルフをする時だと、
足の幅を決めて、手首を返して、
腕を振り、腰をひねります。
・こうした動きをするんだぞと決めて、
体に指令を送る。
・でも、大脳には、
意識をつかさどるという仕事もあります。
・そこで、もうひとりの登場人物が登場。
・彼の名前は、邪念くん。
・邪念くんは、同じゴルフをする時でも、
遠くに飛ばしたいと思ったり、
あの人に勝ちたいと思ったり、
失敗したら恥ずかしいと思ったりと、
邪念を大脳くんの指示と一緒に
体へ送ってしまうのです。
・そうすると、力みや姿勢のズレが出て、
あちゃ~という結果に。
・空振りや飛距離の伸び悩み、
様々なブレーキなどは、
この邪念に原因があったんですね。
・例の「スーッガァァァー!」ですが、
邪念くんを吹き飛ばす効果がある。
・脳の活動を調べさせてもらったところ、
普段のスイング(無言)では、
赤く活性化している部分が
たくさんあった。
・この活性化している部分は、
前頭前野。
・物を考える中心となる部分です。
・これが
「スーッガァァァー!」をやると、
前頭前野の活動が低下。
・余計な力が抜けて、無心状態で打てる。
・そして、「スーッガァァァー!」には、
リズムの要素もあります。
・脳には、小脳がある。
・小脳の仕事は、簡単に言うと自動化です。
・例えば自転車に乗る時、
最初はいろんなことを考えながら乗ります。
・でも、一度乗れるようになったら、
何も考えないでも問題なく乗れるようになる。
・この自動化が、小脳の仕事なんです。
・跳び箱の場合も、これが関係している。
・小脳には秘密のルートがあって、
それは耳。
・目からの情報は、必ず大脳を通る。
・でも、耳からの情報は、
小脳に直接届くルートがあるんです。
・なので、ここでよいリズムを送ると、
小脳が活性化する。
・そうすると、より自動的に、
体が動くようになるというわけ。
・跳び箱が、ヒュッと跳べるようになる。
・ゴルフの「スーッガァァァー!」では、
大脳で邪念を捨てている。
・そして小脳の方では、
声のリズムに合わせて体を動かす
という効果が。
・自分の声で、自分の小脳を
刺激しているのです。
・無心で能力を発揮。
・その秘訣は、音のリズムにありました。
・ガッテン、ガッテン!
□ 体とリズム
・スタジオに登場してくれたのは、
北陸先端科学技術大学院大学の
藤波勉 准教授。
・運動技能の上達とリズムについて
研究されています。
・先生によれば、
もともとどうして人間が
言葉を話せるのかということにも、
リズムに合わせて体が動くというのは
関係してくるそう。
・例えば、お母さんが赤ちゃんに
いろいろ話しかける。
・そうすると赤ちゃんは、
聞いて声をマネしだす。
・その時に、腹筋をしめたりとか、
音に合わせて筋肉を動かす仕組みが
発達するそうなのです。
・2009年、権威ある論文に紹介された、
オウムのスノーボールくん。
・音楽に合わせて、ダンスしてますねえ。
・もう、ノリノリです。
・しかも、曲が変わると、
体の動きが変わるという。
・とある動物園には、
バンド演奏に合わせて体を揺らす
ゾウさんがいます。
・まるで、踊っているみたい。
・このように、
音に合わせて体の動きが変えられる
というのは、
オウムやゾウがもともと持つ能力。
・すべての動物が、
リズムにのれるわけではない。
・リズムにのれる動物は、
聞いた音をマネて声に出せるという
特徴があります。
・リズムと体の動きには、つながりがある。
・なので、新しいリズムを得ることによって、
今までできなかったようなことが
できるようになることも。
・ある研究では、
サンバが踊れるようになると
サッカーが上手になるという報告が。
・違うリズムに触れることで、
新しい体の動かし方を身につけると。
□ 卵焼きは、タンタンポ~ン
・ここからは、日常生活に
リズムを活用してみます。
・まずは、料理の上達ですよ。
・そこにある魔法の言葉とは、何だ?
・くるくるっと回転させる、卵焼き。
・簡単なようで、難しい。
・卵焼きに挑戦してくれるのは、
女子プロレスラーのみなさん。
・ブレーンバスターなど、
人をひっくり返すのは上手そうですが、
卵焼きはどうでしょう。
・まずは、VTRを見てもらいます。
・卵焼き一筋45年の卵焼き職人
近藤満尋さん。
・フワフアに仕上げる達人です。
・手首のスナップを利かせながら、
華麗に卵をひっくり返します。
・いや、お見事!
・コツは、手だけを使うのではなく、
体全体を使って返すこと。
・ヒザでリズムをとって、
体全体を使います。
・そしていざ、
女子プロレスラーのみなさんが、
卵焼きに挑戦。
・上手に作れた人もいたのですが、
3人は無残な結果になっちゃいました。
・やっぱり、難しいか。
・そこで、秘策を授けてくれる人が登場。
・ゴルフの時の、藤野良孝さん。
・卵焼きのオノマトペ(擬音・擬態語)が
完成したと、うれしそうに言ってくれました。
・それは、「タン タン ポ~ン」。
・これを教えられ、
うまく焼けなかった3人が練習。
・卵焼き器を手に、
タンタンポ~ンとヒザを使います。
・そして、再挑戦。
・「タン タン ポ~ン」でひっくり返しました。
・すると、大成功!
・うまくひっくり返せた。
・「ホッ」ではできなかったのが、
「タン タン ポ~ン」ですぐに上達した。
□ オノマトペを使う
・ここでついに、藤野良孝さんが
スタジオに登場してくれた。
・「タン タン ポ~ン」は、
「ポ~ン」が大事なのだそうです。
・腕とヒザを連動させて
けん玉を返す感じで卵を返すと
スムーズにできる。
・腕だけでやると負荷がかかるのですが、
下半身を使うことで力が分散する。
・これで、軽くスムーズに、
卵を返せるようになります。
・ゴルフの「スーッガァァァー」ですが、
素早い動きをするためには
Sの音が最も適しているそう。
・「スーッ」って言うと、スムーズに動く。
・これは、聴覚的に解明されているそうです。
・また、「ガ」という濁音、「ア」という母音、
これは力を一気に出して解放するのに
効果的なんだそうです。
・母音が「ア」じゃなくて
「イ」とか「ウ」になると、
内側に入ってしまって、
この場合はよくない。
・それぞれの運動にあった音を選ぶことが重要。
・先生がこの実験を
はじめるきっかけになったのが、
長嶋茂雄さん。
・長嶋さんは選手に指導する時、
ヒュッとかバシーンという
擬音や擬態語で指導していた。
・松井秀喜選手の指導をする際も、
ボワッかヒュッで
ベストなスイングかどうか分かると
おっしゃっていた。
・10言いたいことも、オノマトペだと、
1つで伝えられる。
<日常生活にすぐに役立つオノマトペ>
チャーハンを作る時 中華鍋を振るコツ。
・「サッ・サッ・サッ」と「サッ」を3回。
・この時、「ッ」を意識する。
カタイ ビンのフタを開けるコツ。
・「グゥゥゥゥ」と声に出す。
・母音の「ゥ」を強く発音すると、
力が出やすい。
(平均して約3kg 握力が高まるというデータも)
アイロンで上手にシワを伸ばすコツ。
・「スーーーー」と声に出す。
・力を抜くために、
「スゥ」でなく「スー」と。
・これで、力を入れず、
まっすぐに線を引きやすくなる。


□
動作時に声を出すことがありますが、実はちゃんと意味があったんですね。
線を引く時なんか、「スー」とやればいいのか。
テニス選手は力を入れる時、声を出す人が多いですもんね。投てき選手なんかも。
そして逆に、力を抜きたい時にも、声を出す。この時は、伸ばす感じかな。「は~~」と息を吐いたりするし。
何か欲しい効果がある時、声を出すことでそれを得られる可能性があるわけか。
声って奥が深いですね。
[まとめ]
・リズムが、眠れる力を引き出してくれる。
・ゴルフの飛距離を伸ばすには、
「スーッガァァァー!」と声を出す。
・振り上げる時に、「スーッ」。
・振り下ろす時に、「ッガァァァー!」。
・跳び箱を飛ぶ時は、
「タッタッタッタ トッ ヒュッ」。
・一連の動作を、
ヒュッでまとめる。
・体を動かす時、大脳が体に
指令を送っている。
・この際に邪念まで送ると、
ズレやミスが出てしまう。
・かけ声には、
この邪念を吹き飛ばす効果が。
・さらに、耳からリズムを送ると、
小脳が活性化。
・自動的に体が動くようになる。
・卵焼きは、「タン タン ポ~ン」。
・チャーハンで中華鍋を振るコツは
「サッ・サッ・サッ」。
・ビンのフタを開ける時は、
「グゥゥゥゥ」。
・アイロンをかける時は、
「スーーーー」。
次回は、「オリンピック選手直伝! 美ボディー&超健康ワザ」。


→ 「ためしてガッテン 2011年のアーカイブ 前半」
今日のお手本は、一流アスリートたち。
男子ハンマー投げの室伏広治 選手は叫ぶ、「ン~ッガアァァァ~!」。
卓球の福原愛 選手は、「サー!」と拳を握ります。
テニスのマリア・シャラポワ選手は、打撃の瞬間、「ンアゥ~ッ!」と。
こうした、アスリートのかけ声。
気合など、単に気持ちを盛り上げるためじゃ、ないそうです。
ちゃんとした効果が、そこにはあるんだって。
脳の奥深くを刺激する、ある働きがあることが分かってきた。
それを応用したところ、いろんな効果が現れました。
まず、ゴルフの飛距離が、格段に伸びた。
跳び箱も、簡単に跳べるようになりました。
卵焼きだって、きれいに巻けちゃった。
こんな効果を引き出す秘訣は、リズムにあると言います。
どういうことなんでしょうか?
2012年6月27日放送の「ためしてガッテン」より、「リズムで脳を刺激せよ 卵焼き・チャーハン・ゴルフまで!」からのメモ書きです。

□ ゴルフの飛距離を伸ばす
・そもそも、アスリートの方々は、
なぜ、声を出すんだろう?
・そこには、「眠れる能力」があるという。
・声を出さないと眠ったままになる能力を、
声を出すことで目覚めさせていると。
・ん? どういうこと?
・兵庫県のゴルフ場で、
芝生を管理されている男性がいます。
・この男性、毎日やって来る
お客さんを見ているうちに、
ゴルフにハマってしまいました。
・仕事帰りには
打ちっ放しに出かけるのですが、
今のところ最長200ヤードが限界。
・これ以上、飛距離が伸びません。
・そんな男性に番組は、
いきなりうまくなる方法を伝授しました。
・教えてくれるのは、
スポーツ選手の動きと音の関係について
研究している、
朝日大学音声言語学科の藤野良孝 准教授。
・先生は、
あのハンマー投げの室伏広治選手にも、
アドバイスしているのだとか。
・その秘策とは、
「スーッガァァァー!」と声を出すだけ。
・え? それだけで、大丈夫なの?
・教えてもらってる人たちは、
不信感を顔に出してますよ。
・それでも藤野先生は、説明を続けます。
・スイングで上げる時に
「スーッ」と言う。
・そして、ダウンスイングする時に、
「ガァァァー!」と発声。
・この「ガァァァー!」は、
ものすごい最大限の発声をしてほしいと。
・さっそくみんなで練習。
・グラブは持たずに、素振りします。
・「スーッ ガァァァー!」
・これで本当に、飛距離は伸びるんでしょうか?
・半信半疑のまま、実験が開始されました。
・まずは、222ヤード飛ばす男性。
・「スーッ ガァァァー!」を実践したところ、
飛距離は 232.5ヤードに。
・240ヤード飛ばす男性は、
246ヤードまで伸びました。
・冒頭の男性は、普段 221ヤード。
・それが「スーッ ガァァァー!」をやると、
241ヤードに。
・すっ、すごい!
・でも、何で、
「スーッガァァァー!」なんだろう?
・他の言葉じゃ、ダメなんだろうか?
・そこで、実験。
・協力してくれたのは、
プロゴルファーの中田守プロです。
・ふだんの飛距離は、330ヤードだ。
・まずは、おなじみのかけ声、
「チャー シュー メン!」を
試してもらった。
・すると飛距離は、278ヤードに。
・あれ? 下がっちゃった?
・ちなみに、「タンタンメン」では、
294ヤードでした。
・そして、「スーッガァァァー!」では、
336ヤードだった。
・プロでも、伸びましたね。
・でも、「スーッガァァァー!」で、
体のどこが変化するんだろう?
・ということで、無言時と実施時の
フォームを比較してみました。
・すると、クラブを上げる時は
同じだったのですが、
ダウンスイングのスピードが
速くなっているのが分かった。
・しかも、腰の回転も、しっかり回っている。
・専門家の解説では、
余計な力が抜けることで
無駄なく力が伝わっていると。
・それで、スイングのスピードが
上がっているのだろうといいます。
□ 跳び箱は、ヒュッ
・小学生4人に協力してもらい、
実験です。
・この4人は、4段以上の跳び箱が、
跳べない。
・ところがです。
・ある秘策を授けられたところ、
あっという間に、
6段跳べるようになった。
・それも、軽々と。
・秘策を授けてくれたのは、
声を使った体操を指導する
墨田区教育委員会の事務局指導室
小坂裕紀 指導主事。
・まずは、跳び箱の一連の動きを、
音にします。
・次に、本当に跳んでいるように
声を出す。
・そして、その音をイメージしながら、
跳び箱より低い平均台にチャレンジ。
・この時、小学生は、
手をつく時には「パン」、
跳び越える時には「ヒュウ」、
着地の時には「ドン」と、
跳び越える一連の動作を
3つの音で捉えていました。
・そこで、小坂先生がアドバイスを。
・「ヒユッをちょっと大事にしてみよう」
・「パン・ヒュウ・ドン」から、
「ヒュッ」にまとめました。
・するとどうでしょう、
平均台を飛び越えるのがスムーズになった。
・リズミカルな動きに、大変身しています。
・さらにアドバイスは続きます。
・もっと跳び箱につく時間を
短くしようと思うと、
どういうイメージになるだろう?
・ちいさい「ッ」を意識してみます。
・そして、いざ、跳び箱に挑戦。
・タタタタタと走って、
跳ぶ瞬間に「ヒュッ」と声を出す。
・すると、跳べました!
・自信をつけたからか、
6段まで軽々と跳んじゃいました。
・先生によれば、
「ヒュッ」に集中させることが大事。
・「トッ」と軽やかに跳び上がって、
ヒュッと跳びさえすれば、
自然に手はつくし、自然と着地もできると。
・3つやらないといけないことがあると、
初心者はあれこれ考えちゃう。
・それを1つにまとめたことで、
動きがぎこちないものでは
なくなってくるんですね。
・ヒュッという1つの音に集中させることで、
動きが断然、スムーズになるのです。
・跳び箱を跳べない時って、
跳ぶ瞬間に腰が引けちゃいますよね。
・なので、うまく体を前に倒すことが
できない。
・それが、
跳ぶ瞬間に「トッ」とすることで、
上半身を前に倒せるようになります。
・みんなが跳ぶ時、先生は、
「タッタッタッタ トッ ヒュッ」と
声に出していました。
・子どもたちは、その声に合わせて跳んでいたんです。
・自分で口に出してもいいし、
先生の声に合わせてもいい。
・ここでも、リズムが眠れる能力を
引き出してくれたのです。
□ 秘訣はリズムに
・アメリカの脳神経学者
マクマスター大学の
スティーブン・ブラウン博士。
・博士が研究の対象としたのは、
音楽に合わせて華麗なステップを踏む
タンゴのダンサーたち。
・博士は、
音のリズムが持つ不思議な力を
突きとめました。
・まずはタンゴダンサーを集め、
こんな実験をしたという。
・使ったのは、MRI。
・音楽のない状態で
ステップを踏んでもらい、
脳の活動を調べます。
・続いて、音楽を聴きながら
ステップを踏んだ時の、
脳の働きを調べる。
・すると、音楽と合わせた時だけ、
脳のある部分が
非常に活発に活動していました。
・しかも、それはなぜか、
運動の指令を出す部分ではなく
聴覚に関わる部分でもなかった。
・脳の奥深くにある、ある場所。
・実はこれこそが、
人間の眠れる能力を引き出し、
魔法のような変化を引き起こす
源なのです。
・脳の中にいるのは、大脳くん。
・体のどこを動かすかを決めて、
体に指示を送るという仕事をしています。
・ゴルフをする時だと、
足の幅を決めて、手首を返して、
腕を振り、腰をひねります。
・こうした動きをするんだぞと決めて、
体に指令を送る。
・でも、大脳には、
意識をつかさどるという仕事もあります。
・そこで、もうひとりの登場人物が登場。
・彼の名前は、邪念くん。
・邪念くんは、同じゴルフをする時でも、
遠くに飛ばしたいと思ったり、
あの人に勝ちたいと思ったり、
失敗したら恥ずかしいと思ったりと、
邪念を大脳くんの指示と一緒に
体へ送ってしまうのです。
・そうすると、力みや姿勢のズレが出て、
あちゃ~という結果に。
・空振りや飛距離の伸び悩み、
様々なブレーキなどは、
この邪念に原因があったんですね。
・例の「スーッガァァァー!」ですが、
邪念くんを吹き飛ばす効果がある。
・脳の活動を調べさせてもらったところ、
普段のスイング(無言)では、
赤く活性化している部分が
たくさんあった。
・この活性化している部分は、
前頭前野。
・物を考える中心となる部分です。
・これが
「スーッガァァァー!」をやると、
前頭前野の活動が低下。
・余計な力が抜けて、無心状態で打てる。
・そして、「スーッガァァァー!」には、
リズムの要素もあります。
・脳には、小脳がある。
・小脳の仕事は、簡単に言うと自動化です。
・例えば自転車に乗る時、
最初はいろんなことを考えながら乗ります。
・でも、一度乗れるようになったら、
何も考えないでも問題なく乗れるようになる。
・この自動化が、小脳の仕事なんです。
・跳び箱の場合も、これが関係している。
・小脳には秘密のルートがあって、
それは耳。
・目からの情報は、必ず大脳を通る。
・でも、耳からの情報は、
小脳に直接届くルートがあるんです。
・なので、ここでよいリズムを送ると、
小脳が活性化する。
・そうすると、より自動的に、
体が動くようになるというわけ。
・跳び箱が、ヒュッと跳べるようになる。
・ゴルフの「スーッガァァァー!」では、
大脳で邪念を捨てている。
・そして小脳の方では、
声のリズムに合わせて体を動かす
という効果が。
・自分の声で、自分の小脳を
刺激しているのです。
・無心で能力を発揮。
・その秘訣は、音のリズムにありました。
・ガッテン、ガッテン!
□ 体とリズム
・スタジオに登場してくれたのは、
北陸先端科学技術大学院大学の
藤波勉 准教授。
・運動技能の上達とリズムについて
研究されています。
・先生によれば、
もともとどうして人間が
言葉を話せるのかということにも、
リズムに合わせて体が動くというのは
関係してくるそう。
・例えば、お母さんが赤ちゃんに
いろいろ話しかける。
・そうすると赤ちゃんは、
聞いて声をマネしだす。
・その時に、腹筋をしめたりとか、
音に合わせて筋肉を動かす仕組みが
発達するそうなのです。
・2009年、権威ある論文に紹介された、
オウムのスノーボールくん。
・音楽に合わせて、ダンスしてますねえ。
・もう、ノリノリです。
・しかも、曲が変わると、
体の動きが変わるという。
・とある動物園には、
バンド演奏に合わせて体を揺らす
ゾウさんがいます。
・まるで、踊っているみたい。
・このように、
音に合わせて体の動きが変えられる
というのは、
オウムやゾウがもともと持つ能力。
・すべての動物が、
リズムにのれるわけではない。
・リズムにのれる動物は、
聞いた音をマネて声に出せるという
特徴があります。
・リズムと体の動きには、つながりがある。
・なので、新しいリズムを得ることによって、
今までできなかったようなことが
できるようになることも。
・ある研究では、
サンバが踊れるようになると
サッカーが上手になるという報告が。
・違うリズムに触れることで、
新しい体の動かし方を身につけると。
□ 卵焼きは、タンタンポ~ン
・ここからは、日常生活に
リズムを活用してみます。
・まずは、料理の上達ですよ。
・そこにある魔法の言葉とは、何だ?
・くるくるっと回転させる、卵焼き。
・簡単なようで、難しい。
・卵焼きに挑戦してくれるのは、
女子プロレスラーのみなさん。
・ブレーンバスターなど、
人をひっくり返すのは上手そうですが、
卵焼きはどうでしょう。
・まずは、VTRを見てもらいます。
・卵焼き一筋45年の卵焼き職人
近藤満尋さん。
・フワフアに仕上げる達人です。
・手首のスナップを利かせながら、
華麗に卵をひっくり返します。
・いや、お見事!
・コツは、手だけを使うのではなく、
体全体を使って返すこと。
・ヒザでリズムをとって、
体全体を使います。
・そしていざ、
女子プロレスラーのみなさんが、
卵焼きに挑戦。
・上手に作れた人もいたのですが、
3人は無残な結果になっちゃいました。
・やっぱり、難しいか。
・そこで、秘策を授けてくれる人が登場。
・ゴルフの時の、藤野良孝さん。
・卵焼きのオノマトペ(擬音・擬態語)が
完成したと、うれしそうに言ってくれました。
・それは、「タン タン ポ~ン」。
・これを教えられ、
うまく焼けなかった3人が練習。
・卵焼き器を手に、
タンタンポ~ンとヒザを使います。
・そして、再挑戦。
・「タン タン ポ~ン」でひっくり返しました。
・すると、大成功!
・うまくひっくり返せた。
・「ホッ」ではできなかったのが、
「タン タン ポ~ン」ですぐに上達した。
□ オノマトペを使う
・ここでついに、藤野良孝さんが
スタジオに登場してくれた。
・「タン タン ポ~ン」は、
「ポ~ン」が大事なのだそうです。
・腕とヒザを連動させて
けん玉を返す感じで卵を返すと
スムーズにできる。
・腕だけでやると負荷がかかるのですが、
下半身を使うことで力が分散する。
・これで、軽くスムーズに、
卵を返せるようになります。
・ゴルフの「スーッガァァァー」ですが、
素早い動きをするためには
Sの音が最も適しているそう。
・「スーッ」って言うと、スムーズに動く。
・これは、聴覚的に解明されているそうです。
・また、「ガ」という濁音、「ア」という母音、
これは力を一気に出して解放するのに
効果的なんだそうです。
・母音が「ア」じゃなくて
「イ」とか「ウ」になると、
内側に入ってしまって、
この場合はよくない。
・それぞれの運動にあった音を選ぶことが重要。
・先生がこの実験を
はじめるきっかけになったのが、
長嶋茂雄さん。
・長嶋さんは選手に指導する時、
ヒュッとかバシーンという
擬音や擬態語で指導していた。
・松井秀喜選手の指導をする際も、
ボワッかヒュッで
ベストなスイングかどうか分かると
おっしゃっていた。
・10言いたいことも、オノマトペだと、
1つで伝えられる。
<日常生活にすぐに役立つオノマトペ>
チャーハンを作る時 中華鍋を振るコツ。
・「サッ・サッ・サッ」と「サッ」を3回。
・この時、「ッ」を意識する。
カタイ ビンのフタを開けるコツ。
・「グゥゥゥゥ」と声に出す。
・母音の「ゥ」を強く発音すると、
力が出やすい。
(平均して約3kg 握力が高まるというデータも)
アイロンで上手にシワを伸ばすコツ。
・「スーーーー」と声に出す。
・力を抜くために、
「スゥ」でなく「スー」と。
・これで、力を入れず、
まっすぐに線を引きやすくなる。
□
動作時に声を出すことがありますが、実はちゃんと意味があったんですね。
線を引く時なんか、「スー」とやればいいのか。
テニス選手は力を入れる時、声を出す人が多いですもんね。投てき選手なんかも。
そして逆に、力を抜きたい時にも、声を出す。この時は、伸ばす感じかな。「は~~」と息を吐いたりするし。
何か欲しい効果がある時、声を出すことでそれを得られる可能性があるわけか。
声って奥が深いですね。
[まとめ]
・リズムが、眠れる力を引き出してくれる。
・ゴルフの飛距離を伸ばすには、
「スーッガァァァー!」と声を出す。
・振り上げる時に、「スーッ」。
・振り下ろす時に、「ッガァァァー!」。
・跳び箱を飛ぶ時は、
「タッタッタッタ トッ ヒュッ」。
・一連の動作を、
ヒュッでまとめる。
・体を動かす時、大脳が体に
指令を送っている。
・この際に邪念まで送ると、
ズレやミスが出てしまう。
・かけ声には、
この邪念を吹き飛ばす効果が。
・さらに、耳からリズムを送ると、
小脳が活性化。
・自動的に体が動くようになる。
・卵焼きは、「タン タン ポ~ン」。
・チャーハンで中華鍋を振るコツは
「サッ・サッ・サッ」。
・ビンのフタを開ける時は、
「グゥゥゥゥ」。
・アイロンをかける時は、
「スーーーー」。
次回は、「オリンピック選手直伝! 美ボディー&超健康ワザ」。
→ 「ためしてガッテン 2011年のアーカイブ 前半」
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