【肺ストレッチ】 呼吸でストレスを減らす方法/ガッテン


アメリカでは、呼吸のトレーニングで ストレスを減らす取り組みが行われています。

特に、9・11同時多発テロ後、大きな成果を上げているのだとか。


<肺ストレッチ>

その方法を紹介。

吸う筋肉と、吐く筋肉を鍛える。

それによって自然と呼吸数が減り、ストレス症状が改善するのだ。


<鼻呼吸のパワー>

一酸化窒素が増えて、血流が良くなる。

毛細血管が広がって、ポカポカに。

鼻歌を歌うと、さらに効果UP!



解説:東京有明医療大学 本間生夫 学長(呼吸器専門医)。

 広島大学 大学院 耳鼻咽喉科 竹野幸夫 教授。



2018年4月11日放送の「ガッテン」より、「肺ストレッチで体が変わる! 呼吸コントロールSP」からのメモ書き。

その後編です。




ためしてガッテン 肺ストレッチ




呼吸でストレスを減らす


ササミ
普段の呼吸回数を抑えることで、ストレスを減らす。

海外では、すでにその取り組みが、広く行われているのだとか。


中でも、アメリカでは、のべ 2千万もの人たちが、呼吸回数を減らすためのトレーニングを受けていると言われています。


呼吸を減らすトレーニング


ここまで広く行われるようになったのには、実はあるきっかけが…。


それは、17年前に起こった、9・11同時多発テロ。

あまりに ショッキングな出来事に、全米の人々の間には、大きな不安と恐怖が蔓延しました。


ニューヨークに住む女性、ジュリエット・バーグマンさんも、その一人。

貿易センタービルの北棟82階のオフィスにいました。

隣にいた同僚は、助からなかったという。

小さい子が二人もいたのに。

ジュリエットさんは一時、ショックで 自らの命を絶つことも考えたほどでした。


そんな深い心の傷を負った人たちに、呼吸を減らすトレーニングを指導したのが、この方。

コロンビア大学 医学部 臨床心理学科の リチャード・ブラウン博士。


ブラウン博士は言います。

「9・11の時は、多くの人が精神的に、とてもひどい状態でした」

「精神安定剤も効果がないほどにね」

「自分も医師として、何かしなくてはと思ったのです」


ブラウン博士は、呼吸回数を抑えるトレーニングを、週2回 90分間 行わせました。

すると、不安で眠れないほど深刻なストレスを抱えた人たちに、次々と変化が現れたんです。

トレーニングを 6週間続けただけで、ストレスが平均 80%も減りました。


現在、博士は、呼吸回数を減らすトレーニングが 体質の改善にも役立つのではないかと注目しています。

そのターゲットの一つが、身体の中、特に腸で起こる炎症だという。

腸に炎症を抱える人たちに、呼吸回数を減らすトレーニングを指導したところ、こんな結果に。

半年間で、体内から炎症の強さを示す たんぱく質が、15%も減少したんです。


ブラウン博士のお話。

「腸内の炎症は、薬で治療するのが 非常に困難です」

「しかし、呼吸をゆっくりにしたおかげで、症状が大きく改善しました」

「深く息をする、それだけで、体中すべてが強く しなやかに 変わっていくんです」



これからの研究に、期待ですね。




本間生夫先生の解説


ササミ
さあ、ここからが肝心なところ。

わざわざ深呼吸しなくても、自然と呼吸数が減っちゃう。

そんな注目の体操とは?



肺というのは、言ってみれば、ただの やわらかい袋。

自分だけでは、縮んだり膨らんだり、できません。

膨らませたり、縮ませたりしているのは、「横隔膜(おうかくまく)」という筋肉と、あばら骨の間にある「肋間筋(ろっかんきん)」という筋肉なんですね。

これらの筋肉が、周りから、肺をしぼませたり膨らませたりしてくれているのだ。


さて、これをどうやると、常に深呼吸しているような状態になるのでしょうか?


ここでスタジオに、専門家の先生が登場。

東京有明医療大学 学長で、呼吸器の研究がご専門の、本間生夫 先生です。


まずは、呼吸の基本から教えてもらいましょう。


「外側に、胸郭(きょうかく)ってあります」

「この胸郭にある筋肉、この筋肉が収縮することによって、胸郭が広がる」

「で、広がると、肺がそれにつられて広がっていくので、空気が入っていく」


「この筋肉って、自分で動けませんので、脳からの指令が必要になります」

「脳から『息を吸いなさい』『息を吐きなさい』という指令が、筋肉にいく」

「それが交互に、きちっと動いてる」

「これが呼吸としては、重要になるんですね」


「それがこわばってくる、つまり、胸の筋肉が硬くなってきたりすると、胸が広がりにくいとか、縮みにくくなる」

「そうすると、浅い呼吸になるんですね」


「どんな人でもね、やっぱり、不安になるとか、いろいろなことがあるわけですよ」

「ですから、呼吸も自然に、そういった状況に伴って、変わってるはずなんです」

「ただ、気がつかないだけで」

「(例えば)いろんなストレスがあった時にも、知らないうちに、呼吸は浅く速くなる」



それに対応しようというのが、これからやる体操なのだ。

肺の周りにある筋肉を、やわらかくする。




<吸う筋肉のストレッチ>


(1) 両手を胸の前で組みます。

(2) 手を伸ばしながら、息を吸っていく。

(これをやると、息を吸う筋肉がストレッチされる)

(2) 吸い切ったら、手を戻しつつ、息を吐きます。




<吐く筋肉のストレッチ>

(1) 手を背中に回し、組みます。

組めない人は、組まなくても構いません。

(2) その状態で、手を伸ばしながら、息を吐いてください。

(3) 次に、息を吸いながら、戻す。




一度に行うストレッチは、2~3回でよいそう。

それを、毎日、何度か繰り返す。


本間先生によると、息を吸う筋肉は、上の方に多いのだそう。

逆に、息を吐く筋肉は、下の方に多い。


詳しいやり方は、後で紹介します。



本間先生の解説。

「これで、肺機能も良くなってくるんです」

「自分の普段の呼吸よりも ゆっくりさせると、不安とか、そういうものが軽減してくるという話をしました」

「要するに、負の感情が取れてくると、自律神経なんかも良くなりますし、それから、免疫も高まってくる」

「いろいろ、生体の反応もよくなると」




肺ストレッチの効果


ササミ
自然と呼吸の回数を減らしてくれる、「肺ストレッチ」。

東日本大震災のあと、宮城県の小学校で行われたケースでは、1週間続けただけで、こんなに変わった。


 22.9 → 20.6 回/分。


1分あたりの呼吸が 2回も減って、ストレスを和らげることができたのだとか。



元気な方や高齢者でも、効果は確かめられています。

3か月続けたら、呼吸回数が 0.8回 減少。


 <安静時呼吸回数の変化>

 (埼玉県の高齢者 70名)

 研究前 14.81回 → トレーニング後 14.04回


わずかな変化に見えますが、1日の呼吸回数では 1000回以上の減になるのだ!


 24時間=1440分

 14.81×1440=21,326回
 14.04×1440=20,218回

 差は、1,108回




毎日欠かさず肺をストレッチすると、どこまでパワーアップするでしょうか?


独自の肺ストレッチによって、しなやかな肺を手に入れた、3名が登場!

まるで超人のようだぞ。


まずは、HANAKOさんという女性。

素潜りで どこまで深く潜れるかを競う、フリーダイビングの選手です。

世界大会で、104メートルの深さまで潜った経験もあるのだ。

現在、世界2位という、すご~い人なんですよ。

HANAKOさんの肺活量は、5200ml。

平均的な女性の 2倍もある。


続いては、市川英夫さん。

吹き矢を的に当てて点数を競う、「スポーツ吹き矢」の指導者です。

市川さんは、通常の2倍、20メートルも先の的に矢を当てる「遠矢」という部門で、全国優勝を果たしました。

これまたスゴイ!


最後に紹介するのは、哲Jさん。

オーストラリア先住民が使う、伝統的な管楽器「ディジェリドゥ」の演奏者。

大きな笛のように見えますが、演奏するには、しなやかな肺を駆使した、特殊なテクニックが必要なのだとか。

哲Jさんは、5分以上も息継ぎなしで、息を吐ける。

ひえ~。



こんな しなやかな肺をもたらす肺ストレッチには、実はもう一つ、うれしい効果があるんです。

それは、先ほど紹介した肋骨の筋肉だけでなく、その下にある横隔膜も、やわらかくしてくれること。


普通の人の場合、大きく息をしても、横隔膜は 上下に 2~3センチほどしか動きません。

しかし、ダイバーのHANAKOさんだと、なんと、推定 10センチ以上!

こんなにも、差が出るんですね。


(ヨガの達人、片岡鶴太郎さんも、すごそうだけど)




さて、ガッテン流「肺ストレッチ」を紹介します。



<肺ストレッチ>


<吸う筋肉のストレッチ>


(1) 胸の高さで両手を軽く組み、ゆっくり息を吸いながら、できるだけ前へ突き出します。

(2) この時、背中は逆に、思い切り後ろへ。

(3) 吸い切ったら、息を吐きながら、手を戻しましょう。



吸う筋肉のストレッチ



<吐く筋肉のストレッチ>


(1) 両手をお尻の上で軽く組み、アゴを上げて、息を吐きながら、斜め後ろへ思い切り伸ばしていきます。

(2) 上体は動かさないように、注意しましょう。

(3) 吸い切ったら、息を吐きながら、手を戻す。



吐く筋肉のストレッチ


どちらも、毎日 決まった時間にやる習慣をつけるとよいとのこと。

この2つを、一度に 2~3回ずつ。

余裕があるなら、朝昼晩 行ってください。






ササミ
肺の周辺のストレッチで、普段の呼吸回数が減少します。

これにより、ストレスによる症状が改善する!

エノキ
ガッテン! ガッテン!




鼻呼吸のパワー


ササミ
呼吸する時って、「鼻から吸いなさい」って言われませんでした?


でも、これ、なぜなんだろう?

根拠は、あるんだろうか?


実は、鼻呼吸には、ある意外な効果があるんです。


広島大学 大学院 耳鼻咽喉科の 竹野幸夫 教授に、教えてもらいましょう。

「鼻とその周りの“副鼻腔”で、たくさんの一酸化窒素が産生されています」

「血液の流れを良くして、血液循環の調節に、大きな役割を果たしているということが、考えられています」


一酸化窒素は、血管の筋肉に作用して、毛細血管を広げる働きを持つ、ありがたい物質。


息に含まれる一酸化窒素の量を調べてみると、このような結果に。


 口だけで呼吸した場合 : 36ppb

 鼻だけで呼吸した場合 : 49ppb


一酸化窒素の量が、増えました。

(ただし、鼻炎・アレルギーがない人の場合の研究です)



さらには、こんな研究報告も。

「 Humming Greatly Increases Nasal Nitric Oxide 」

鼻歌を歌うと、一酸化窒素をもっと増やすことができる。



実験では、鼻歌の後だと、毛細血管を流れる血液の量が、口呼吸の時の 2倍に!

サーモグラフィーで見ると、指先までポカポカだ。





呼吸を変えるだけで健康になる 5分間シクソトロピーストレッチのすすめ (講談社+α新書)



心と体をラクにする呼吸スイッチ健康法―「浅くて速い呼吸」を「深くてよい呼吸」に変えるコツ20


 



次回は、これ。

パサついていた髪が、極上の手触りに。

切れ毛や、うねりも、解消。

秘策は、ドライヤーにあり?

「ぱさつき・うねり・切れ毛よ、さらば! つやつや美髪を手に入れる法」。





 前編 → 【呼吸の回数】 減らすと健康に






[関係する記事]

 → 【肺活】 舌圧強化に早口言葉、COPD予防に 口すぼめ呼吸

 → 「自律神経のトータルパワー 攻めの寝方」

 → 「自律神経を整える呼吸法」




tag : ためしてガッテン 健康の新常識 心身の健康 冷え性 呼吸器科





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【呼吸の回数】 減らすと健康に/ガッテン


呼吸の回数で、身体にうれしい変化が!

冷え症改善、肩こり解消、血圧低下、快眠、ストレス減などの効果が期待できる。


甲賀流忍術にも、同じような極意が。

第二十一代目当主、川上仁一さんが教えてくれた。

「息長」といって、呼吸回数を極限まで減らす技だ。


カギとなるとは、脳の中の「呼吸中枢」と「偏桃体」。

そのメカニズムとは?


解説:

 東京有明医療大学 保健医療学部 高橋康輝 准教授。

 三重大学 大学院 医学研究科 小森照久 教授。



2018年4月11日放送の「ガッテン」より、「肺ストレッチで体が変わる! 呼吸コントロールSP」からのメモ書きです。




ためしてガッテン 呼吸コントロールSP 前編




呼吸の回数


エノキ
さあ、今回のテーマは何でしょうか?

ササミ
ズバリ、「呼吸」について。

「肺ストレッチ」の効果とは?





誰もが無意識に行っている、呼吸。

しかし、そこに、健康効果が潜んでいたんです。

普段の呼吸で、あることを意識するだけで、身体に様々な変化が現れるというのだ。


 ・冷え症改善!

 ・肩こり解消!

 ・血圧が下がる!


でも、なんで そ~なるの?




おっと、今週の始まりは、変わってるぞ。

ゲストのみなさんが並んで座り、胸にバンドを巻いて、何かを測定してる。


実はこれ、「呼吸数」を測っていたんです。

1分間に、何回呼吸したか?

あまりすることのない、珍しい検査ですよね。


実は、この呼吸の回数こそが、今週のテーマと深く関係するのだ。


普段、何気なく行っている、呼吸。

呼吸の回数がちょっと変わるだけで、人間の中に眠っている様々な力が、目覚めるのだという。




アメリカはカリフォルニア州。

ここに、早くから呼吸の力に注目してきた人たちがいるんです。

マーク・ディバインさん、54歳男性。

筋骨隆々で、すごく強そう。

それもそのはず、この方、アメリカ軍の元司令官なのだ。

しかも、率いていたのが、「ネイビー・シールズ」ときている。

アメリカ軍の中でも、エリート中のエリートが集まる、特殊部隊ですよね。

なんと、彼らのトレーニングの中で、ひときわ重視されているのが、「普段の呼吸のコントロール法」らしいのです。


マーク・ディバイン元司令は言いました。

「我々シールズ隊員は、極限のストレスの中でも、常に冷静沈着でなければなりません」

(大塚明夫さんの声がピッタリ)

「そのために、毎日呼吸をコントロールする様々なトレーニングを行っています」

「呼吸の制御こそ、最強の戦士になるための秘密兵器なのです」




そして日本でも、これと同じことが行われているのだ。

しかも、子どもからお年寄りまで簡単にできる体操らしいぞ。

一見、呼吸とは何の関係もなさそうな動きなんですが、無意識に行っている呼吸の回数を変え、身体に様々なうれしい変化が現れるのだとか。




さて、冒頭の測定ですが、結果はこのようになりました。


 <1分間の呼吸回数>

 大島麻衣さん : 11回/分

 古坂大魔王さん : 24回/分

 柴田理恵さん : 10回/分


ちなみに、成人の平均呼吸回数は 約15回/分です。





京都市にある介護福祉施設。

ここで、呼吸の回数に関しての、最新研究が行われています。


研究を進めているのは、呼吸の生理学の専門家。

東京有明医療大学 保健医療学部の 高橋康輝 准教授です。


高橋先生のお話。

「1分間にどれぐらい呼吸をしているかという、回数を確認しております」

「(呼吸が)減ると良い、ということですかね」

「普段の呼吸が減るっていうところが、とても重要なポイントになります」



先生たちが研究しているのは、「普段の呼吸の回数を減らすためのトレーニング」なんです。

これまで、全国で 1000人以上の方に協力していただき、成果を上げてきたのだそうな。


この日、参加してくれたのは、施設職員のみなさん。

身体に様々な変化を感じたといいます。


 「寝覚めが悪かったのが → スッと起きられるようになった」

 「冷え症なのが → 身体がポカポカに」

 「肩コリだったのが → なくなった」

 「上の血圧が 137 → 116 に」


つまり、「快眠」「冷え症改善」「肩こり解消」「血圧低下」などの効果が出たってわけ。

さらに、みなさん感じたのが、「ストレス減」だという。


でも、呼吸の回数が減るだけで、なぜ こうなるのだろうか?




さて、施設職員のみなさんの呼吸回数ですが、このように変化しました。


(16人の平均)

 平均呼吸回数が「 15.0 → 13.7」回/分に。



研究開始時「15回」だったのが、トレーニング後には「13.7回」になってました。

大きな変化というわけではありませんが、これで効果が出るのか。




ここでちょっと目線を変え、深呼吸に注目してみましょう。




<深呼吸の効果>


呼吸と血圧の関係を調べた、有名な論文があります。

この研究には、全国の医療機関が協力しました。

2万5千人以上を対象にした、大規模な調査だという。


すると、血圧を測定する際、1分に12回のペースで深呼吸してもらったところ、そうでない時に比べ、血圧がほぼ確実に低下するという結果が出ました。


 呼吸数 12回/分 → 平均 8.13低下

 (最高血圧100以上の人)


血圧測定する時、深呼吸すれば、血圧は下がります。

これは、かなり前から分かっていたこと。



そして、ここからがポイントです。

深呼吸を時々 意識してやらなくても、常に深呼吸しているような身体になってしまう。

そんな方法があるというのだ。




忍者の呼吸法


ササミ
呼吸の回数でポイントとなるのが、「脳」のある部位だといいます。


それが、「呼吸中枢」「偏桃体(へんとうたい)」


 呼吸中枢 : 呼吸をつかさどる。

 偏桃体 : ストレスを検知する。


この2つと呼吸との関係を探るために、ある場所へ向かいました。

呼吸で偏桃体は、どう変わるのでしょうか?




三重県は伊賀市。

忍者の里として、有名ですよね。

実はここに、呼吸を極限まで少なくした、現代の忍者がいるのだ。

ガッテンボーイの常住富大くんが、現地に飛んでくれたぞ! ニンニン!


甲賀流忍術を現代に受け継ぐ、甲賀流 伴党 二十一代目 川上仁一さん(69歳)。

戦国時代など、歴史の様々な場面で活躍し、数百年にわたって 密かに発展してきた、忍術。

川上さんは現在、大学で忍者の歴史を教えています。

(現代的だな~)


物心つく頃から、師匠に弟子入りし、忍術の厳しい修行を行ってきたという、川上さん。

結果、古くから伝承されてきた忍術特有の奥義を、身につけることができました。

実は、その一つこそ、呼吸法なんですね。



呼吸法はたくさんあるのですが、その基本的なものに、「息長(おきなが)」があります。

息長とは、普段の呼吸回数を、極限まで減らすワザ。

時に、その回数は、1分間に1回以下。

呼吸を極端に減らすことで、自らの気配を消すことができると、伝えられています。


川上さんのお話。

「ハッキリ覚えているわけじゃないですけども、本当に小さい時、小学校行く ちょっと前ですからね」

「気がついた時には、もう、こういうやり方でやっているという」

「何ていうかな、自然と一体化したみたいな感じで」

「何となく、空気みたいな存在になったような感覚ですね」

「呼吸はもう、ほとんど止まったような状態」


まさに、明鏡止水の境地ってわけだ。


【明鏡止水】

くもりのない鏡と波立たない静かな水の意。心にやましい点がなく、澄みきっていること。 「 -の心境」

(大辞林より)





実は、この忍者独特の呼吸法について、研究している人がいるんです。

三重大学 大学院 医学研究科の 小森照久 教授。

呼吸回数を減らすことが、身体にどんな影響を与えるのか?

特に注目しているのが、脳の活動だ。


今回、こんな実験を行いました。

川上さんに息長をやってもらい、その時の偏桃体の活動を詳しく調べます。


頭部の MRI画像。

赤いところは、活動が活発になっている部分。

青いところは、活動が低下している部分です。


普通の人は、MRIに入って ちょっと不安になったのか、偏桃体部分が活発に(赤く)なっています。

一方、息長をしている川上さんの場合、偏桃体部分は青だけ。これは、ストレスを感じてないことを表している。


MRI画像 偏桃体



偏桃体は、ストレスを検知する場所。

不安や恐怖、怒りといった感情を、生み出します。

自分が危険な状態に置かれていると、逃げなければならない。

あるいは、ケガに備えねばならない。

いろんなことが考えられるので、偏桃体は「危険!」というモードに、スイッチを変換するのだ。

身体を緊張させ、危機に備えます。


すると、人間の身体に、いろんな変化が起こるんですね。

それが、これ。


 ・呼吸数UP!

 ・血圧UP!

 ・心拍数UP!

 ・交感神経が興奮!



これらは、言ってみれば、「本能」。

よって、コントロールすることが難しい。


でも、この中で 一つだけ、自分で何とかできるものがある。

そう、それが「呼吸数」なんです。



偏桃体が「危険だ!」と緊急モードに入っている時、隣にいるのが「呼吸中枢」。

呼吸中枢が呼吸を抑えていくことによって、偏桃体に「大丈夫。全然大したことないよ」という合図を送ることになる。

そうすると、偏桃体が緊急モードを解除。

結果、心拍数、血圧、自律神経などが、正常になるってわけ。


 呼吸回数を減らすことで、偏桃体を落ち着かせる。



こんな経験、ありませんか?


 興奮する → 呼吸が荒くなる。

 呼吸をゆっくりにする → 落ち着いてくる。



呼吸中枢と偏桃体は隣り合っていて、影響し合っているようです。

なので、呼吸回数を減らすと、偏桃体に働きかけ、身体への影響を正常化させることができる。





NHKガッテン!  2018年 春号



忍者「負けない心」の秘密 (青春文庫)


 



後半に続きます。

呼吸回数で、ストレスまで減らす試み。

肺ストレッチの方法と効果について。




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