【高血圧サージ】 ベルト スリッパ 深呼吸で予防/ガッテン


正常なはずの血圧が、急上昇するケースがある!

どんな場面で、上がるのだろうか?

実験で分かった、9場面。

1つ1つは小さくても、侮ることなかれ、集まれば大きな波になります。


要注意なのが、朝起きた時。

起床して2時間は、変動しやすい。

深酒、ストレス、タバコなども、要因となる。



<対策>

 ・ベルトをゆるめる。

 ・スリッパを履く。

 ・深呼吸。



解説:自治医科大学 医学部 苅尾七臣 教授。



2017年10月4日放送の「ガッテン」より、「血圧急上昇の正体! “血圧サージ”にご用心!」からのメモ書きです。




ためしてガッテン 血圧サージの対策




血圧の急上昇


エノキ
さあ、今回のテーマは何でしょうか?

ササミ
「血圧」です。

普段、測定している値は、正常範囲内。

でも、あるきっかけで、急上昇するケースがあるんです。

これを、「血圧サージ」という。





血圧は、正常に保つことが、何よりも大事。

高いと、脳卒中や心筋梗塞などを引き起こす原因になってしまいます。

なので、食事の塩分を控えたり、時には薬を使ったり。

お医者さんの指導に従っている人も、多いのでは?


ところが、正常なはずの血圧が、ビックリするほど急上昇するケースが。

しかも、ほんの些細(ささい)なきっかけで、誰にでも起こり得ることが、分かってきたのだという。

なんと、若い人だと、30代から。




正常な血圧は、上が140未満、かつ、下が90未満。

I度(軽症)高血圧は、上が140~159、下が90~99。

II度(中等症)高血圧は、上が160~179、下が100~109。

III度(重症)高血圧は、上が180以上、下が110以上。



血圧レベルの分類



でも、こんな不思議な体験をした人がいるんです。



[体験談]


宮城県は南三陸町にお住いの男性、 Aさん75歳。

普段の血圧は、上が「121」で、下が「66」。

正常範囲内です。

減塩に取り組んでいるし、主治医もいる。


でも、4年前、突然、脳梗塞に襲われてしまいました。

普段と変わらない、ある朝のこと。

ゴミ出しに行って、朝ご飯を食べようとしたのですが、箸(はし)や茶碗を持てなくなった。

その時は、もうこれで終わりかな~と、思ったといいます。


Aさんは、すぐに緊急入院。

軽い後遺症が残ったものの、命は取り留めました。


しかし、Aさんは、今も疑問に思うことがあるのだという。

血圧はずっと正常だったのに、なぜ?


Aさんは10年前から、毎日 血圧を測り続けるほど、血圧には気を遣ってきました。

主治医の勧めで、血圧を下げる薬(降圧剤)も欠かさなかった。

減塩にも、熱心に取り組んできました。


なのになぜ、脳梗塞が起こったのだろう?





実は、その謎を解く大きなカギが、残されていたんです。


Aさんの主治医で、血圧や循環器の専門医。

南三陸病院の 西澤匡史(にしざわ まさふみ)先生が、教えてくれましたよ。


なんと、Aさんが脳梗塞を発症する前の「24時間 血圧を測定した記録」が、残っていたのだ。


「24時間血圧」とは、特別な血圧計で知ることができる、1日の血圧の変化の記録のこと。

倒れる直前、Aさんは偶然にも、その記録を取っていたのです。


残されていたデータは、驚くべきものだったという。


血圧は、昼も夜も、140mmHg 未満。異常はありません。

異変が起きたのは、翌朝、午前4時半ごろでした。

短い間隔で急激に変化し、一気に上昇しています。

160、170、ついには、180mmHg まで上がったのでした。

血圧が高い危険な状態が、起床後、2時間にわたって続いていたんですね。


Aさんの24時間血圧


西澤先生のお話。

「この血圧の急激な上昇が、Aさんの脳梗塞の発症の、一つの原因になったのではないかと、考えております」



普段正常だったのが、急上昇。

これは、どういうことなんでしょう?




血圧が上がる瞬間


ササミ
ガッテンといえば、実験ですよね。


50代から60代の男女6名のみなさんに、協力していただきました。

全員、健康診断での血圧は、140mmHg 未満で、正常です。

24時間血圧計を装着してもらい、30分ごとに血圧を自動測定。

普段の生活の中で、血圧が急上昇する瞬間はあるのか、記録してみようというわけ。

実験期間は、10日間です。


6人×10日で、のべ60日分の血圧変化のデータが集まりました。

そして、これを詳しく分析してみたところ、本人たちもビックリするような結果が、出ていたのだ。


名付けて、「血圧が上がる瞬間が、これだ!」。



<血圧が上がる瞬間 9場面>


 ・通勤(電車が遅れて、ちょっと小走りになった時)。

 ・月曜日。

 ・階段(大急ぎで上った時)。

 ・寒さ。

 ・緊張(通院時)。

 ・トレイ(息んだ時)。

 ・コーヒー(カフェイン)。

 ・深酒。

 ・タバコ(ニコチン)。



では、それぞれの場面で、どのくらい上がるのでしょう?


あくまで今回の実験に限った値ですが、見ていきましょう。


 コーヒー:8mmHg

 通勤:9mmHg

 寒さ:9mmHg

 トイレ:12mmHg

 月曜日:19mmHg

 階段:19mmHg

 緊張:20mmHg

 深酒:20mmHg

 タバコ:21mmHg


タバコは、ニコチンが血管を収縮させて、血圧を上げる。

お酒は、いったん血圧を下げるんですが、明け方、血圧が上がるそうです。

トイレで息む時も、上がる。お通じが悪いほど血圧が上がるという研究も、あるそうな。


(あくまで、今回の実験で得たデータです)



さて、冒頭で紹介した Aさんですが、なぜ、血圧が急上昇したのでしょうか?


その前に、今回のテーマが、発表されました。

「サージ」



血圧の専門家に教えてもらいましょう。

自治医科大学 医学部の 苅尾七臣 教授です。

「血圧のスイングするような上昇、これをサージって言ってるんですね」


「サージ(Surge)」とは、英語で「波」(うねり、波動、高まり)という意味。

先ほどの血圧上昇の一つ一つが、小さな血圧の波に例えられます。

私たちは常に、血圧の変化の、波の中にいるってわけ。


そして、血圧の波が突然、巨大化。

激しい高血圧の波となって、押し寄せることがあるのだという。


前述のとおり、私たちの血圧は、常に変化しています。

ある程度の変化であれば、短時間で元に戻ります。

ところが、高い圧力の巨大な波が襲い掛かると、血圧が極めて高い状態が、長時間続いてしまうのです。


血圧のサージの影響が頭にいってしまうと、脳卒中の引き金になる。


苅尾先生は言いました。

「サージあるところに、リスクあり」

「循環器疾患のリスクあり」






サージのような状態になる人は何が怖いかという、データがあるそうな。


苅尾先生たち専門家の方々が、今、全国各地で、様々な調査を行っておられます。

血圧と脳卒中の関係を調べる、大規模調査。


 兵庫県などでは、519人を調査。

 栃木県などでは、7275人を調査。

 宮城県などでは、1430人を調査。


全国規模で、2万人を調査したといいます。


その結果、分かってきたことがあるんですね。

サージが起きる人と起きない人を比べると、脳卒中の発生率が、2.5倍も違ったんです。


さらに、その境目も判明した。

55mmHgを超える急上昇は、とても危険。


危険なサージ


「睡眠時の最低値を含む 1時間の収縮期血圧と、起床後2時間の収縮期血圧の平均との差」

これが 55mmHg 以上高くなっていると、危険だというわけ。


先ほどの、<血圧が上がる瞬間 9場面>を思い出してください。

例えば、深酒+タバコ+緊張=20+21+20=61mmHg 。

この状態が長く続くと、危険なサージに。



Aさんの場合、このように推測されます。


 ゴミ出し+睡眠不足+深酒+起床=

 20+15+20+20=75mmHg



ポイントとなるのは、「起床」

実は、私たちは起きるだけで、血圧が20ほど上がるらしいのです。


Aさんは、起床に、深酒と寝不足が重なってしまった。

さらに、ゴミ出しに行ったのですが、集積場がちょっと坂道を上った場所にあったんですね。

これらが重なって、直後に、脳卒中を起こしてしまったんです。


一つ一つは小さくても、それが重なると、大きな影響が出てしまうのだ。




苅尾七臣 先生の解説


ササミ
ここでスタジオに、長年 血圧サージの研究に尽力なさっている専門家が登場。

自治医科大学 医学部の 苅尾七臣 教授です。

日本を代表する血圧の専門医にして、現在、サージ研究のための全国ネットワークを推進している、第一人者なんですよ。


「モーニングサージ」という言葉があって、特に朝は注意が必要。


先生が臨床で診ていて、やはり、いくつかの組み合わせで起こっているのだとか。

サージのリスクは、1個だけではなくて、積み上がって、戻らない状況になった時、引き金になる。


苅尾先生は言いました。

「朝はね、これがやっぱり、1つ、キーワードになるんですね」

「というのは、同じだけ血圧の運動しても、上がりやすさもですね、朝は30まで上がるとかですね」

「朝は、血圧を抑制する力が、一番弱い時間帯なんですね」

「交感神経っていうのが、緊張していますから」


これからの季節、寒さによる影響も。

また、急に寒くなった日とか、日によっても違います。

例えば、冬場の寒いトイレで、便秘の人が、「う~ん」と息む。

その後、苦しくなって、心不全で入院した人が、ひと冬で3人も。


寒い時に、外へ新聞を取りに行って、そのままタバコを吸う。

これも危険。


また、怒っている最中に、脳卒中や心筋梗塞を起こす人も、実際にいるのだとか。




血圧サージを避ける方法は?


「やはり、リスクの重なりを減らすことですね」と、苅尾先生。

つまり、「サージのピークを下げる」


大きいサージのピークは、個々のサージの積み上げなんですね。

個々のサージを少し減らすというのも大事なのですが、重ならないようにすることも大事。

両面からのアプローチが、必要になるのだ。



起き抜けの影響を脱するのは、起きてから2時間ぐらいだという。

起床してから 2時間以内は、変動しやすい。




年齢と血圧変動の関係は?


年齢を重ねると、血圧変動の幅が、だんだん大きくなるのだそう。

先生によると、30歳を越えたら、血圧を測っておくのが大事とのこと。


あと、肥満の人は、血圧が上がりやすい。


また、糖尿病を持っている人も、血管が硬い状況なので、上がりやすいとのこと。

血管の状態が、やっぱり大事。

同じ血圧が変動していても、やわらかい血管だと、血管がそのエネルギーを吸収してくれるのだそうな。


「血管をやわらかくして、血圧サージのリスクを回避」


血管をやわらかくする方法は、やはり、運動。

危険なサージを防ぐためには、有酸素運動が効果的です。


運動すると、血流が速くなり、血管の細胞を刺激。

一酸化窒素「NO」という物質が放出されて、血管がやわらかくなるのだ。




深酒の影響


ササミ
サージの原因の中で、特に注意したいのが、「深酒」


64歳男性、Bさんのケース。

午後7時、缶ビールを2本飲みました。

Bさんは、大のお酒好きなのだ。

この日はさらに、ウイスキーをボトル1/3 飲みました。


そのまま、9時に就寝。

でも、血圧変動を見ると、飲み始めてから数時間、血圧は意外にも、少し下がっています。

お酒は血管を広げるため、一時的に、血圧を下げてくれるんですね。


ところがやがて、血圧が何度も急上昇。

この異常な動きの原因は、何なのでしょうか?


1つは、「睡眠時無呼吸」

大量のお酒を飲むと、舌を支える筋肉が緩んで、気道が狭くなってしまうのだ。

そのため、呼吸が何度も止まって、その度に、血圧が跳ね上がるんです。


それだけではありません。

Bさんは、夜中なのに、目を覚ましてしまいました。

もう1つは、「眠りが浅くなること」

アルコールの影響で、神経が興奮状態になるんですね。


午前5時。

本来、血圧が低くなるはずの睡眠中も、変動が続いたまま、朝を迎えてしまいました。

その結果、血圧は「182」に。


「ビールなら大瓶2本半、または、日本酒2合以上は、注意!」

睡眠の質を悪化させ、危険なサージの大きな要因となります。

飲み過ぎには、ご注意を!





ササミ
様々な原因が重なって起こる、血圧サージ。

血圧上昇のタイミングをズラして、予防しましょうね。

エノキ
ガッテン! ガッテン!




血圧サージの対策


ササミ
サージの積み重ねを防ぐには、小さな工夫が、とっても効果的なんです。


今回、ガッテンでは、日本高血圧学会のみなさんに、一斉メールでアンケート調査を実施。

血圧を下げる知恵を、たくさん、いただきました。



まずは、沖縄県から。

琉球大学 医学部付属病院。

又吉哲太郎 助教が、アンケートに答えてくれました。


血圧を下げるために効果的な方法は、これだ。

「ベルトをゆるめる」


お腹周りが太めの人は、特にご注意を。

太めの人は、ベルトがキツすぎて、大動脈を圧迫。

血圧が高くなっていることが、あるんです。



又吉先生の解説。

「一般に、ベルトの締め過ぎで、血圧が無駄に上がっている方が、多くいらっしゃいますので、みなさんも、ベルトのキツさなど、注意してみてはいかがでしょうか」





次に教えてくれるのは、この方。

慶應義塾大学の 伊香賀俊治 教授です。


寒さによる血圧サージを防ぐ方法だという。

先生は長年、家の断熱によって血圧を下げる研究を、してきました。


先生の研究から生まれた、サージ予防の画期的なアイテムが、こちら。

なんと、「スリッパを履く」だけ。


実は、足元は、身体の他の部分よりも、温度に反応しやすいんです。

なので、冬の朝、起きて床に足を触れた時が、血圧が上昇する危険な瞬間なのだそう。


番組の実験でも、こんな結果が。


スリッパを履くだけで


裸足の時は血圧が上がっていたのに、スリッパを履くだけで、抑えることができた。




最後は、ガッテンが独自に取材した、とっておきの方法です。

それは、ストレスによる血圧上昇を予防する、誰にでもできる裏ワザ。


横浜相鉄ビル内科医院。

循環器が専門の 森壽生(もり ひさお)先生が、教えてくれました。


その方法とは、「深呼吸」

森先生によれば、上の血圧が「20~25mmHg」ぐらいは下がるとのこと。

さらに、血圧が高ければ高い人ほど、よく下がるという。


実は、森先生、深呼吸の効果を調べるために、2万人以上の大調査を敢行しているのだ。

その結果、ほとんどの人に効果があったらしい。



<深呼吸のコツ>


30秒で、6回。

つまり、5秒で1回の深呼吸を、6回行う。




効果は一時的ですが、緊張した時やイライラした時は、深呼吸がおススメ。




血圧サージの見つけ方


ササミ
血圧サージは、普段の血圧測定では気づきにくいという特徴があります。

そこで、こんな方は血圧サージかもしれないという目安を、紹介しますね。



<血圧サージかも? こんな人は ご注意を>


必要なのは、血圧計です。


(1) 朝起きて、1時間以内の血圧を計測する。

(2) 上の血圧の5日間の平均が、135mmHg 以上。

なおかつ、低い日と高い日の差が、20mmHg 以上。

こういう人は、サージが起こっているかもしれません。



例えば、朝起きて 1時間以内の血圧が、「120」「140」「140」「150」「130」だとします。

5日間の平均は、「136」。

一番低い日と、一番高い日の差は、150-120=「30」

サージの疑いがあることに。


血圧サージチェック


血圧サージが積み重ならないよう、注意しましょうね。





NHKガッテン!  2017年 秋号



高血圧を自分で下げる5つの習慣 (健康ライブラリーイラスト版)



NHK きょうの健康 2017年 9月号 [雑誌] (NHKテキスト)


 



次回は、これ。

何度掃除しても出てくる、ホコリ。

いったい、どこから、やって来るんだ?

発生源に魔法のぞうきんを使えば、大きな効果が!

「なぜか出るホコリ! 原因はソコだった!?」。


来週はお休みなので、放送は10月18日水曜日になります。

11日は、「世界プリンセス物語 愛される理由とは」が放送される。




[関係する記事]

 → 「血圧変動タイプの脳卒中 測り方は立って座って」

 → 【血圧異常で脳梗塞?】 立って座って変動を測定

 → 「左右で測れ 見逃し高血圧と末梢動脈疾患」




tag : ためしてガッテン 高血圧 脳卒中





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【股関節腰痛(2)】 改善に パコパコ体操/ガッテン


後半は、解決編。

カギは、たくさんの筋肉の奥にあるインナーマッスルにあった。

パカパカ体操で、深層筋を縮ませて、目覚めさせる。

すると、股関節の動きが滑らかになって、腰痛が改善されるのだ。


 ◆ パカパカ体操。

 ◆ おしりフリフリ体操。

 ◆ 四股スクワット。


猫背タイプは、変形性股関節症にも要注意。

簡単体操で回復した女性の体験談も紹介。



解説:神奈川リハビリテーション病院 杉山肇 院長。




2017年9月27日放送の「ガッテン」より、「腰痛改善の新たな一手! 珍体操で劇的改善SP」からのメモ書き。

その後編です。




ためしてガッテン 股関節腰痛改善 パコパコ体操




パコパコ体操の効果


ササミ
前半では、股関節と腰痛の関係について、勉強しました。

ということは、股関節の動きが滑らかになれば、腰への負担が軽減するってことになりますね。


実際に、こんな研究もあるそうな。


2009年に発表された、ワシントン大学の論文。

「Further examination of modifying patient-preferred movement and alignment strategies in patients with low back pain during symptomatic tests. 」


猫背タイプの腰痛患者 51人に対し、股関節がスムーズに動くよう修正したところ、なんと、腰痛患者の83%の痛みが軽減したというのです。


股関節の滑らかな動きが、腰痛改善の重要なカギだったんですね。




では、どうすれば、股関節の動きが良くなって、猫背タイプから脱却できるのでしょうか?



ここでスタジオに、ガッテンボーイの宮森右京くんが登場。

股関節をスムーズにする動きを、紹介してくれます。


って、あれ?

あれ?


イスに座って、足を閉じたり、開いたり。


え?

それだけ?




実は、本当にそれだけなんです。

名付けて、「パカパカ体操」



前編で紹介した、体験談のAさん。

猫背タイプと診断されてから、パカパカ体操を、1日20回以上、続けました。

さらに、腰を左右に動かす体操と、スクワットのような動きも。

(詳しくは、後で紹介します)


2週間続けた結果が、これ。


パカパカ体操を続けた結果


猫背が改善しています。


Aさんの感想。

「長時間、同じ体勢してても、全然痛くない」

「うれしいですよね。もう、20年以上の痛みや重苦しさっていうものが、わずか 2~3週間でね」

「やった! という感じですね」



体験談(2)の立ったまま靴下が履けなかった、Bさん。

同じ体操を、2週間続けてみました。


チェックしてもらったところ、股関節は前より、やわらかくなったようです。

背中の丸まりが、解消されています。


Bさんの感想。

「姿勢が良くなったので、動きも ちょっと軽くなってきた感じで」

「腰の痛い時は、重たい感じがしてるんですけど、大丈夫です」






さらに、股関節の動きが良くなると、運動機能までも向上することが、分かりました!


以前にも紹介した、「2ステップテスト」という検査。


大きく2歩進んで、その距離を測定します。

転倒や寝たきりの危険性をはかる、テスト。

身長の1.3倍より距離が短いと、危険ゾーンだ。


2ステップテスト




実は、Aさんも、体操前は危険ゾーンにいました。

腰が痛いし、股関節の可動域が狭かったわけですからね。


でも、体操後は、改善したんです。

188.5cm → 238.6cm。

50cmも、アップしました。

危険ゾーンを脱出。


Bさんも含めた、猫背タイプだった4名。

こちらも体操後は、全員、歩幅がアップしました。

それぞれ、+20.5cm、+12.8cm、+19.2cm、+25.6cm。



さて、Bさんですが、立ったまま靴下が履けるか、再挑戦しました。

結果は、バランスを少し崩しながらも、何とか履けた。

やりましたね!




メカニズム


ササミ
パカパカ体操は、股関節に効く体操。


スタジオに腰まわりの模型が登場したのですが、股関節のあたりというのは、身体の中でも、一番の筋肉密集地帯。

なので、筋肉に隠れて、股関節が見えません。

なんと、股関節のまわりだけで、23の筋肉があるそうな。

しかも、大きな筋肉が、いっぱい集まっている。

走ったり歩いたりするためには、たくさん力がいるので、大きな筋肉が必要なんですね。


外側から見ていくと、「大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)」が。

これは、足をまっすぐ踏み出すのに重要な筋肉。


次に、「大腿直筋(だいたいちょっきん)」。

ボールを蹴る時や走る時に使う、筋肉です。


「大腰筋(だいようきん)」「小腰筋(しょうようきん)」は、お辞儀や足を振り上げる動作で使う。


お尻の方では、「大殿筋(だいでんきん)」「中殿筋(ちゅうでんきん)」。

歩く時にバランスを取る筋肉ですね。


ようやく、股関節に直接つながっている筋肉が、見えてきましたよ。

これらを、「深層筋(しんそうきん)」と呼びます。

一般には、「インナーマッスル」と呼ばれる。

奥深くにある小さな筋肉で、股関節の安定化とスムーズな動きに、不可欠なのだそうな。


深層筋は奥の方にあって、しかも、大きな筋肉に包まれています。

まわりに、力持ちの頼りになる存在がいっぱいあるので、サボりやすいという特徴が。


深層筋は、運動不足などで使っていないと、大きな筋肉に頼って怠けやすいという特徴があるんです。


筋肉の本来の仕事は、縮むことだという。

縮むことで、力を出す。

パカパカ体操は、深層筋に本来の仕事をさせる動きなのだ。



股関節の滑らかな動きを生み出すには、深層筋と外側の大きな筋肉との、連動が欠かせないんです。

深層筋がサボっていると、外側の筋肉に頼りがちになり、動きが固く、ガタガタに。

でも、パカパカ体操で深層筋を縮ませ、目覚めさせると、外側の筋肉と力を合わせて、運動するようになるんですね。

結果、股関節の滑らかで大きな動きが、可能になるってわけ。



深層筋の動きを捉えた映像。

パカパカ体操と同じ動きをしてもらい、エコー検査しました。


おお、深層筋が、縮んだり伸びたりしている。


深層筋


この動きを繰り返すことで、サボりがちな深層筋を、目覚めさせるのか。




パカパカ体操は、深層筋を縮ませる動き。

サボりがちな深層筋を、目覚めさせる体操なのだ。


深層筋がちゃんと働くようになると、股関節の動きが滑らかになります。

その結果、腰痛が改善するんですね。




杉山肇 先生の解説


さあ、専門家の先生の登場です。

股関節の専門家で、神奈川リハビリテーション病院の院長、杉山肇 先生です。


大きなパワーを生み出す筋肉というのは、細かい動きができないらしい。

逆に、深層筋というのは細かい動きをしてくれるので、股関節も、非常に滑らかな動きになる。

というわけで、股関節を守り大事にするために、深層筋は非常に必要な筋肉になってくるんですね。





<パカパカ体操>


(1) 強い筋肉を緩めるため、力を抜きます。

(2) 一番楽な姿勢で、ただ足を左右に開く。

(* 股関節や腰に痛みが出る場合は、無理しないでください)

(3) 無理に足を広げようとしなくて、OKです。

足の広げ方やスピードは、自分が楽だと感じるやり方で。

(4) 目安は、1日に10回を2セット。

余裕があるなら、回数を増やしても、OKです。



パカパカ体操





<おしりフリフリ体操>


(1) 足を軽く開いて、ゆっくり左右に、腰を動かしましょう。

ポイントは、顔の位置はあまり変えないようにすること。

(2) 目安は、1日に10回を2セット。



おしりフリフリ体操



股関節と腰というのは、密接な関係を持っているのだそうな。

杉山先生によると、「実は、腰が痛い、股関節が痛い、それぞれ どっちが先か分からないんですね」とのこと。

股関節が悪い人が腰が痛くなることもあるし、腰が悪い人が股関節が痛くなってくることもある。





<四股(しこ)スクワット>


普通のスクワットよりも、足の幅を広げて、お相撲取りが四股を踏むような形で、行います。

これは、外側と内側の筋肉を、バランスよく動かす運動。


(1) 両足を、肩幅より広めに、開いてください。

(2) つま先は、斜め前の方向に。

(3) 背筋を伸ばして、身体をやや前に傾け、お尻を突き出すように、ゆっくり腰を落としましょう。

(4) 1日に10回×2セット。

少し負荷が強い体操なので、十分に注意して行ってくださいね。



四股スクワット



(* 3つの体操とも、股関節や腰に痛みが出る場合は、無理しないでください)




変形性股関節症


ササミ
最後に紹介するのは、股関節そのものの病気。

「変形性股関節症」です。

推定患者数は、約300万人。

女性に多いのが特徴だという。

歩く時に、足にだるさを感じたり、太ももの付け根に痛みが走ったり、といった症状が出る。


股関節には、非常に多くの負担がかかっていて、片足で立つだけで、体重の3倍くらいがかかるのだそう。

なので、毎日毎日それにさらされている股関節の軟骨は、ちょっと何か問題があると、減りやすくなっちゃうんですね。


仙台大学が行った実験があります。

歩いている時に、股関節の大腿骨にかかる負荷を調べました。


その結果がこちら。


股関節にかかる負荷


赤い部分は、一番強い負荷がかかっている場所になる。

猫背タイプの人の方が、より負荷がかかってますね。


前述のとおり、深層筋がスムーズに動かなくて、その分、外の筋肉が強く動くために、股関節に余計な負担がかかるのだそうな。



股関節の軟骨が減ると、骨の形も変わってしまいます。

それが、変形性股関節症。


中には、痛みが出ない人もいるらしい。

先生いわく、「沈黙の運動器」。

いろんな関節の中で、股関節は、症状が非常に出にくいのだそうな。



実は、あのパカパカ体操は、変形性股関節症のリハビリ現場でも、取り入れられてるんです。


神奈川リハビリテーション病院 理学療法士の 相馬光一 さんのお話。

「なかなか、股関節をリズムよく動かしたり、大きく動かしたりすることができないので、こういう座って楽な運動を、左右対称にリズミカルよくやることで、(股関節の)スムーズさを獲得するという目的で、やっています」



実際に、こうしたリハビリによって、病気から回復した人もいます。


[体験談(3)]


去年の冬から 股関節の痛みに苦しんできた女性、Cさん。

歩くのも困難だったという。

ヒザも痛いし、そこらじゅうが痛いという感じ。

友達に、「どうして足、引きずってんの?」と言われた。


Cさんは、病院で勧められたパカパカ体操を、最初は半信半疑のまま、続けてみました。

食後の空いた時間や、趣味のシャンソンの練習をしながら、毎日行ったのだそう。


やってみると、いつでもどこでもできるので、便利。

それに、気持ちいい。


パカパカ体操を続けて、半年が経ちました。

Cさんの股関節の痛みは、ウソのように消えていったという。

今では、シャキっと歩けるようになりました。





股関節の動きを滑らかにし、腰痛改善にも効果が期待できる、パカパカ体操。

みなさんも、気軽にやってみては、どうでしょう。




おまけ


NHKのサイト「1.5チャンネル」で、ガッテンの動画が大人気なのだそう。

それが、「蚊の虫刺され対策」の動画。

再生回数は、日本語版で 400万回以上。

英語版を合わせると、世界でおよそ 1700万回!


 https://www.nhk.or.jp/ten5/


他にも、いろんな動画を楽しむことができます。





股関節の痛み 変形性股関節症の治療がよくわかる (別冊NHKきょうの健康)


 



次回は、これ。

血圧は正常だったのに…。

あれ、おかしいぞ。

脳卒中の引き金になる、スイングするような上昇とは?

「血圧上昇の正体! 血圧サージに ご用心!」。




[関係する記事]

 → 「変形性股関節症に貧乏ゆすり」

 → 【股関節】 クルトン体操でリセット&転倒予防

 → 【蚊 対策】カギは靴下、対策はハッカ油




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【股関節腰痛(1)】 猫背タイプ 四つん這いチェック法/ガッテン


新しい腰痛のタイプが判明!

原因は、股関節にあった。

立ったまま靴下が履けない、あぐらがかけない、そういう人は、要注意。


四つん這いチェックで、確認しよう!

猫背になっていたら、股関節の動きが悪く、腰に負担がかかっている可能性がある。



解説:京都大学 大学院 医学研究科 建内宏重 助教。



2017年9月27日放送の「ガッテン」より、「腰痛改善の新たな一手! 珍体操で劇的改善SP」からのメモ書き。

その前編です。




ためしてガッテン 腰痛改善 四つん這いチェック法




股関節腰痛の特徴


エノキ
さあ、今回のテーマは何でしょうか?

ササミ
「腰痛」です。

それも、「股関節腰痛」

いったい、どんな症状なのか?

予防するには、どうしたらいいのか?

学んでいきましょう。






ガッテンで腰痛を扱うのは、8回目なのだそうな。

それほど悩みが深いし、いくつものタイプが、あるようです。


今回問題となるのは、「股関節」

そう、股関節が影響して腰痛になるタイプが、あるようなのだ。


上半身と下半身とのつながりにあり、体重を支えてくれる、股関節。

階段を上る時、しゃがむ時など、日常の様々な動作の中心で、活躍してくれています。

そして、この場所の不具合で生じる腰痛が、「股関節腰痛」ってわけ。


この股関節腰痛には、ある特徴が見られるのだという。




[体験談(1)]


京都在住の男性、Aさん。

股関節が原因と思われる腰痛に、20年以上、悩まされてきました。


Aさんは、あぐらが かけないらしい。

腰が痛くて、座っていられないのです。


役者をしている、Aさん。

(大河ドラマ「新選組!」にも出演経験あり)

待機時間の長い現場では、悩みは深刻です。

着物が崩れてはいけないので、ちゃんと あぐらをかきたいのですが、どうしてもつらいので、片ヒザ立ちに。

もっとつらい時は、両ヒザを立てる格好に。


というわけで、特徴の一つは、「あぐらをかけない」ことでした。




[体験談(2)]


一方、Bさんは、1か月入院したこともあるほど、ひどい腰痛に悩まされています。

下水道関係の仕事でマンホールを持ち上げるなど、腰への負担が多い日々。


そんなBさんの悩みは、立ったまま靴下を履けないことだという。

足が上がらないんですね。


この「立ちながら靴下を履けない」というのも、股関節腰痛が疑われるサインらしい。






<股関節腰痛の特徴>


 ・靴下が、立ったまま履けない。

 ・あぐらがかけない。

 ・階段がつらい。

 ・立ち上がりにくい。



そして、もう一つ、大きな特徴が。



京都大学 大学院 医学研究科。

股関節腰痛を見抜く方法を教えてくれるのは、この方。

建内宏重 助教だ。

先生は、筋肉や関節の動きを研究している、リハビリの専門家なのです。


20代から60代の男女32名に、集まってもらいました。

さあ、股関節の状態を、チェックしてもらいましょう。


建内先生は言いました。

「四つん這(ば)いの姿勢を取っていただいて、いいですか?」

「そこからですね、少しだけ、お尻を後ろに下げていただいて、いいですか?」


四つん這いになって、お尻を下げたり、戻したり。

これで、何が分かるのでしょうか?


ある女性に、先生はこんなことを言った。

「典型的な猫背タイプですね」


なんと、普段は姿勢が良くても、この動きをすると、猫背になる人がいるのだ。


猫背タイプ


実は、体験談のAさん、Bさん共に、猫背タイプでした。



猫背タイプと股関節腰痛には、どんな関係があるのでしょうか?




建内宏重 先生の解説


ここでスタジオに、専門家の先生が登場。

京都大学 大学院 医学研究科の 建内宏重 助教です。



四つん這いチェックでは、立った時の姿勢に関係なく、股関節がしっかり働けているかを見ます。

普段、立っている姿勢では分かりにくい部分が、こういう動きの中で、現れてくるのだそう。



<股関節と腰痛のメカニズム>


お尻を四つん這いの状態から引くと、正常なら、股関節がスムーズに回ります。

股関節が滑らかに動いてくれると、背中はまっすぐなまま。


でも、股関節に異常があると、滑らかに動かないので、骨盤が引っ張られ、上半身がちょっと起きちゃうんです。

結果、猫背の状態に。


四つん這いチェック



股関節がうまく使えてないと、日常生活の様々な場面で、腰に負担が かかってしまいます。


例えば、物を取るために 屈む時も、股関節がスムーズに動かない分、腰で曲がらざるを得なくなる。

また、階段を上る時も、上がらない足を腰の力で補おうとするため、腰へ余計な負担が かかってしまうのだ。


腰への負担




実際に、股関節の動きの違いで、どれほど腰への負荷に差があるか、検証することに。


この方が、協力してくれました。

仙台大学 体育学部 村上憲治 教授。

村上先生は、スポーツ選手の身体の動きとケガの関係を、研究しています。


一般的な動作である歩行時の負荷を、関節の角度や、床の反発力などから、解析。

これが腰への負荷となる。

正常な人と、猫背タイプ、どんな差が出るでしょうか?


正常な人は、腰へかかる負荷が、体重の「84.3%」でした。

一方、猫背タイプでは、「169.1%」。


つまり、猫背タイプの人の腰には、正常な人に比べ、およそ2倍の負荷がかかっていたのです。





腰痛のタイプはいくつかあるのですが、股関節の動きが悪くて腰椎に負担がかかりやすいタイプは、四つん這いチェックが分かりやすいのだという。


当然、股関節腰痛の人には、股関節の動きを回復させることが有効。

股関節まわりを治すことで、腰への負担が減ることになります。





<四つん這いチェック法>


(1) 四つん這いになりましょう。

腕と太ももは、地面に対して、垂直。

(2) そこからゆっくり、お尻を後ろに下げてください。

だいたい、お尻がふくらはぎにつく、手前ぐらい。

(3) この時、背筋がまっすぐなら、股関節は滑らかに動いている。

逆に、背中や腰が丸まって、猫背になっていたら、股関節の動きが悪い可能性が。



四つん這いチェック法


猫背タイプは、腰に負担がかかりやすいので、それが腰痛の原因になっている可能性があります。






ササミ
股関節がスムーズに動かないと、腰への負担が増して、腰痛の危険性が高まります。

エノキ
ガッテン! ガッテン!





NHKガッテン!  2017年 秋号






後編に続きます。




tag : ためしてガッテン 腰痛・関節痛





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