【デルタパワー】 血糖値を下げる方法は 睡眠薬/ガッテン
「かかと落とし」以外にも、血糖値を下げる方法があった。
しかも、将来の糖尿病まで、予防してくれる。
それは、新しいタイプの睡眠薬(新薬)を飲むこと。
熟睡している時に出る、デルタ波。
これを増やすことが大事。
交感神経を鎮め、ストレスホルモンを減少させることができる。
<常住富大くんの洞窟実験>
理想の睡眠時間は?
すぐに眠れるようにするコツ。
<筋弛緩法>
解説:大阪市立大学医学部附属病院 稲葉雅章 医師。
2017年2月22日放送の「ガッテン」より、「最新報告! 血糖値を下げるデルタパワーの謎」からのメモ書きです。

□ デルタパワーの新治療

先週に引き続き、「血糖値を下げる方法」がテーマです。
実は、毎日のアレと、密接なつながりがあったのだ。
誰もがする、しないではおれない、アレ。
アレを改善する薬で、血糖値まで下がっちゃう。
そのキーワードが、「デルタパワー」。
なんと、血糖値を下げるだけでなく、将来の糖尿病まで、予防してくれるんだって。
今週は、医学界大注目のデルタパワーに、迫ります。
デルタパワーを求めて向かったのは、栃木県 那須烏山市(なすからすやまし)。
山間にある、人工的に掘られた洞窟だ。
奥へ奥へと進んでいくと、家が?
実は、実験のために、ロッジを特別に建てたんですって。

ガッテンボーイズの常住富大くんには、ここで6日間、暮らしてもらう。
でも、これでどうして、糖尿病になりにくい身体になるんだ?
デルタパワーを使った治療をしているというのが、大阪市立大学医学部附属病院。
稲葉雅章 先生は、糖尿病治療 38年のベテランです。
先生は、デルタパワーに注目し、糖尿病のまったく新しい治療法を生み出したのだ。
それに使うのが、ある新薬。
この薬を、17人の患者さんに使ったところ、14人が改善したという。
中には、血糖値が「30」も下がった人もいた。
稲葉先生のお話。
「薬物っていうのも最近、進歩していて、こういうのを使うことで、血糖管理というのは非常に良くなる、ということになります」
この新しい治療法を、体験してもらうことになりました。
都内に住む72歳の男性、Aさん。
15年前から糖尿病を患っているという。
治療の一つとして毎日ウォーキングしていますが、血糖値は下がりません。
夕食は、お米の代わりに、糖分が少ないシリアルを食べる。
それでも、Aさんの血糖値は下がらないのだという。
こんなに努力しているのに、血糖値は年々上昇。
10年前は「120台」だった血糖値が、今は「140」を超えるようになってしまった。
(空腹時血糖値は、「110未満」が正常)
そこで今回、デルタパワーを使った治療法を試すことに。
大阪で、稲葉先生を受診します。
まずは、特別な検査から。
その後、検査結果をもとに、診察が行われました。
分かったのは、デルタパワーが非常に少ないこと。
デルタパワーは、医療現場でも使われている言葉で、もともと人間が持っているものなんです。
健康な人に比べ、Aさんのデルタパワーは、少なかったんですね。

診断の結果、Aさんには、デルタパワーを増やす新薬が処方されました。
東京に戻り、薬を飲み始めてから、1週間後。
Aさんの血糖値に変化が。
前は「140」を超えていたのが、「112」に改善したんです。
さらに、血糖値以外にも、うれしい変化がありました。
Aさんは言います。
「身体の動きが軽くなった」
デルタパワーを増やして血糖値を下げるという、新しい薬。
こんなものが、あったとは。
デルタパワーは、測定できるものなんですね。
Aさんの場合、「609」から「1168」に増えました。
その結果、血糖値は、「140台」だったのが「112」に改善。
でも、デルタパワーって、何なの?
スタジオに運ばれてきたのは、デルタパワーを測定する装置。
頭につけて、脳波を測るようです。
脳波といえば――
アルファ波:リラックス
ベータ波:集中
シータ波:瞑想
そして、デルタ波は、血糖値に関係するのだ。
新薬を飲むと、デルタパワー=デルタ波の量がアップするんですね。
その結果として、血糖値が下がる。
デルタパワーを増加させる薬は、2014年に登場しました。
そして、この薬、実は、糖尿病の薬というわけではないんです。
誰もが知っている、〇〇薬。
頭痛薬? 便秘薬? 風邪薬?
さすがに、水虫薬ではないでしょう。
実は、「睡眠薬」なんです。
でも、どうして、睡眠薬が効くんだろう?
□ 熟睡とデルタ波

この新薬を飲むと、寝ている間に、デルタ波を増やしてくれるらしい。
そこで、実験です。
本日二人目のガッテンボーイ、池田倫太朗くん。
夜の病院、要クリニックへ。
脳波計をつけて、デルタ波が出る瞬間を、捉える。
寝る前、リラックスした状態では、アルファ波が出ていました。
さて、入眠後は、どうなるか?
やがて、激しく上下する波、デルタ波が出てきましたよ。
この脳波が出ている時、脳は特別な状態に置かれているのだという。
それを確かめるべく、スタッフが動いた。
まずは、声をかけてみる。
でも、起きません。
お次は、太鼓だ。
が、これでも起きない。
なら、サイレンなら、どうだ。
何! これでも起きないだと。
ええい、最終手段だ!
早朝バズーカで、どうだ!
おおっ、やっと起きた!
って、何の実験なの?
デルタパワー(デルタ波)とは、熟睡している時だけ出る脳波なんです。
これが増えると、血糖値が下がる。
血糖値が高い人、3名のデルタパワーは、こうでした。
( )内は、同年代の平均。
Aさん 72歳:609(1450)
Bさん 48歳:2204(2519)
Cさん 45歳:681(2519)
やはり、平均より、少ないですね。
<血糖値と熟睡の関係>
血糖値が上がると、交感神経が「頑張るぞ」という状態になる。
そうすると、興奮しているので、熟睡できません。
熟睡できないと、脳はストレスを感じて、ストレスホルモンを出します。
その結果、血糖値が上がる。
血糖値が上がると交感神経が興奮状態になり――
この繰り返し、負のサイクルが始まっちゃうんです。
血糖値が上がる → 交感神経が興奮状態に → 熟睡できない → 脳がストレスホルモンを出す → 血糖値が上がる → (繰り返し)
□ 稲葉雅章先生の解説
ここでスタジオに、専門家の先生が登場。
大阪市立大学附属病院の 稲葉雅章 先生です。
糖尿病になると交感神経が緊張する。
これは 1対1の関係になっていると、言われています。
さらに、交感神経が活発になることで、デルタパワーが下がるということを、稲葉先生たちが見つけて報告したそうな。
そこで登場するのが、新しい睡眠薬です。
これは、熟睡をすごく上げてくれる薬剤なんです。
熟睡が上がる → ストレスホルモンが少なくなる → 血糖値も下がる → 交感神経が落ち着く → 熟睡できる → (繰り返し)
悪性サイクルが、いい方向に回るようになるのだ。
睡眠薬で負のサイクルを断ち切って、血糖値改善へ。
ゲストの島崎和歌子さんから、こんな質問が出ました。
「睡眠薬を飲み続けると、日中まで眠くなりそうなイメージがあるんですけど…」
稲葉先生によると、そのあたりは解決できているそうです。
新しい薬は、非常に安全性が高くなっている。
睡眠にだけ、ピュアに効くそうです。
昔のは、「GABA受容体作動薬」。
脳の興奮全体を抑え、熟睡を取り戻すタイプ。
新しい薬は、「オレキシン受容体拮抗薬」(2014年発売)と「メラトニン受容体作動薬」(2010年発売)。
これらは、自然な睡眠を上げてくれる。
これまでの睡眠薬は、脳の活動全体を抑えて、眠りを誘うタイプでした。
一方、新しい睡眠薬は、脳が出す睡眠をコントロールするホルモンにだけ、作用するんです。
自然な深い眠りを、もたらしてくれる。
なので、副作用の心配も、以前よりは 少なくなっているそうです。
(とはいっても、お医者さんの説明をよく聞き、指示に従って、服用してくださいね)
実は、睡眠障害があると、糖尿病の発症率が 2倍に。
なので、睡眠薬の使用で、糖尿病発症の予防にもなるというわけ。
糖尿病の人は、睡眠障害の自覚が、あまりないのだそう。
Aさんも、問題ないと思っていたのに、睡眠障害があった。
血糖値が高い人は、自分が熟睡できていないことに気づいてない場合が多いのだ!
気づくためのポイントは、「日中の眠気」。
昼間に感じた眠気を、1週間ほど、記録してみてください(睡眠日記をつける)。
1時間を超える昼寝をしてしまったり、仕事に差し支える強い眠気を頻繁に感じる場合は、熟睡が足りていない証拠です。
かかりつけの医師に、ぜひ相談を。
あるいは、睡眠外来を受診してください。
ちなみに、寝酒は、あまりよくありません。
寝つきはよくなっても、睡眠の質は下がってしまう。
ということは、デルタパワーも下がるんですね。
(飲酒は、適度な範囲で)

新たな睡眠薬で熟睡を増やせば、血糖値を下げることができる。

ガッテン! ガッテン!
□ 常住くんの洞窟実験と理想の睡眠時間

あれ?
何か忘れていると思ったけど、洞窟で暮らしている彼は、どうしてるの?
実は、常住くん、糖尿病を防ぐ もう一つ重大なことを、見つけてくれたんです。
実験を行ったのは、長さ100メートルの、洞窟の奥の奥。
そこに、特別な小屋を作った。
当然、音も光も、一切ありません。
つまり、理想的な睡眠が約束された空間。

午後11時から午前11時までの12時間は、完全消灯。
外出禁止で、寝られるだけ寝てもらいます。
その他は、自由時間。
普段、睡眠には満足しているという、常住くん。
平均睡眠時間は、7時間とのこと。
さあ、実験開始です。
夜の11時に、消灯。
もう、真っ暗けのけ。
何も見えず、音もなし。
午前11時に、起床だ。
この日の睡眠時間は、11時間19分。
次の日は、11時間2分。
たっぷりですね。
ちなみに、昼間は、こんなことしていた。
趣味のダンスの練習。
マンガ(「からくりサーカス」?)を読む。
時には、洞窟を出て散歩することも。
実験5日目。
本人の感想は、「睡眠ばっちりとれてるなって感じますね」。
そして迎えた、最終日。
血液検査をして、実験終了です。
「僕の28年間の人生の中で、一番寝たんじゃないかな」とのこと。
実験前は「7時間」だと言っていた、常住くんの睡眠時間。
1日目と2日目は、11時間ほど。
3日目と4日目は、10時間ほど。
5日目は、8時間半ほどでした。
「個人の最適睡眠時間と潜在的睡眠不足の推計」(国立 精神・神経医療研究センター)という論文があります。
普段、睡眠は十分とれていると感じている20代の若者 15人に、閉鎖空間で、9日間寝てもらったのだそう。
その結果、睡眠時間は、こうなりました。

実験前の平均睡眠時間は、7時間半ほど。
1日目は、10時間半。
それがだんだん下がっていって、最終的に、8時間半に落ち着きました。
国立 精神・神経医療研究センターの 三島和夫 先生のお話。
「(20代の)必要睡眠時間っていうのは、7時間半くらいっていうのが、世界中の研究で明らかにされていたはずだったんですが」
「それよりも1時間長い8時間半近く必要だったと分かりました」
この1時間が、ものすごく大きい。
睡眠時間とインスリン分泌能(HOMA-β)のグラフ。

7時間半だと「62.3」だったものが、8時間半だと「73.0」に増えている。
インスリン分泌能とは、すい臓がインスリンを生み出す能力のこと。
インスリンは血糖値を下げてくれるホルモンなので、この能力がアップするということは、将来、糖尿病になりにくくなるということなんです。
ちなみに、常住くんも、洞窟の睡眠で、インスリン分泌能が「80」から「89」にアップしてました。
<寝だめ>
「寝だめは、睡眠を貯めているのではなく、睡眠不足の負債を返済している」のだそう。
実験で、1日目の睡眠時間が多くなるのも、このため。
普段のツケを、返したからなのだ。
その後、落ち着いたところが、理想の睡眠時間なんですね。
寝だめが 3時間以上の場合、普段の睡眠が足りていない証拠です。
再び、三島和夫 先生のお話。
「すべての年代で、できるだけ短めの睡眠習慣をとるように、なってしまった」
「これ以上短くなると、眠気や疲労感が出てくるので、耐えられない」
「(実験の)20代の人も含めて、強い自覚症状が出る寸前のところで、必要睡眠時間より短いギリギリの落としどころで、生活しているということじゃないでしょうか」
さらに、こんなデータも。

日本人の睡眠時間は、1960年代から、ずっと減り続けているんです。
57年前には「8時間13分」だったものが、今では「7時間15分」に。
しかも、世界的に見ても、日本人の睡眠時間は、最低レベル。

健康のためには、寝ないといけないんですね。
□ すぐに眠れる筋弛緩法

なかなか睡眠時間はとれないけど、せめて、寝室に入ったら、あっという間に眠りたい。
そういう人には、これはどうでしょう。
「睡眠時間を確保するコツ」
教えてくれるのは、国立 精神・神経医療研究センターの 綾部直子さん。
自分で自分をゆるめて熟睡へ、という技です。
<筋弛緩法>
身体の緊張を解いてリラックスすることで、心の緊張をほぐし、寝つきをよくする。
(1) イスに、浅めに腰を掛けましょう。
両足は、ペタっとつくような形。
(2) 手を軽く握り、脇を締めて、二の腕に力を入れます。
そのまま肩甲骨を寄せて、肩を上げ、足を上げる。
(3) 全身に、6~7割の力を入れて、5秒間キープ。
5秒経ったら、ストーンと力を抜く。
(4) 20~30秒間、筋肉がじわじわする感じを、味わってください。
(5) 軽く目を閉じ、これを 2~3回行う。

コツは、リビングなど、寝室以外で行うこと。
身体がリラックスしてから寝室に入ると、す~っと眠れることが多いのだそうです。
普段、私たちが活動している時は、交感神経が優位になっています。
筋弛緩法で、交感神経より、副交感神経が優位になるんですね。
これにより、寝つきや睡眠の質がよくなる効果があるのだ。
筋弛緩法は、筋肉に力を入れるので、身体や腰に負担や痛みを感じる場合は、無理しないでくださいね。
□ 夜食の影響

最後にもう一つ、睡眠のコツを。
20代の健康な女性に、実験してもらいました。
夜12時、寝る直前に、夜食(うどん、おにぎり、オレンジジュース)を食べてもらう。
お腹が満たされると、安心して、ぐっすり眠れそう。
翌朝の感想も、「ぐっすり眠れました」だった。
でも、デルタパワーは、「3560」から「2348」に減ってたんです。
寝る直前の夜食は、熟睡できなくなり、将来の糖尿病の危険をアップさせるようです。
寝る前、3時間は食べないようにするのが、熟睡のポイント。
覚えておきましょうね。
熟睡することが、糖尿病の治療につながるんですね。
よく眠れているかな? と振り返るのも、大事かもしれません。
睡眠障害の治療には、生活習慣の改善など、様々な選択肢があります。
睡眠薬を使用するかどうか、どの種類の睡眠薬を選ぶかなどは、かかりつけの医師や睡眠に関する専門医の判断に従ってください。


次回は、これ。
美肌効果の代名詞、コラーゲンの真実とは?
ホントに効くの?
「決定版! コラーゲンの効果 100%活用SP」。
[関係する記事]
→ 【骨ホルモン】 オステオカルシンを増やす方法は かかと落とし
→ 【快眠】森田豊 抱き枕でイビキ防止
→ 「睡眠クイズ 90分サイクル説の真相」
→ 「熟睡感を得る方法 睡眠日誌&筋弛緩法」
<3月2日 追記>
3月1日の番組冒頭、小野文惠アナから、謝罪がありました。
先週放送した「ガッテン!」、「血糖値を下げるデルタパワーの謎」では、睡眠と糖尿病の関係の最新研究を、お伝えしました。
しかし、説明が不十分だったり、行き過ぎた表現があったりしたため、混乱を招いてしまいました。
たいへん、申し訳ありませんでした。
番組でお伝えしたかったのは、糖尿病の方の中には、睡眠障害を持っている方が多くいて、そういう方は、睡眠障害を治療することで、血糖値を下げられる可能性がある、ということでした。
その睡眠障害の治療に、睡眠薬を使って、効果を上げている、という研究をご紹介しました。
しかし、あたかも、睡眠薬で糖尿病の治療そのものが できるかのような表現をしてしまったため、「睡眠薬の不適切な使用を勧めている」といった ご批判を、たくさん頂きました。
糖尿病の治療をするために、直接 睡眠薬を使うことは、認められていません。
睡眠薬は、医師から 睡眠障害があると診断され、医師が必要と判断した方に処方されるものです。
誰もが病院で睡眠薬をもらって治療できるかのような誤解を招いてしまいました。
お詫びいたします。
また、睡眠薬の紹介の仕方も、不適切でした。
大きく分けて 3種類ある睡眠薬の中で、「オレキシン受容体拮抗薬」だけが副作用が少なく、効果があるかのように、紹介してしまいました。
しかし、他の睡眠薬でも、同様の研究がありまして、どの睡眠薬がよいかは、一概には言えません。
この「オレキシン受容体拮抗薬」にも、複数の副作用が報告されています。
慎重な取り扱いが必要な睡眠薬について、副作用がほとんどないかのような表現をしたことは、不適切でした。
そもそも、睡眠障害の治療には、生活習慣など、様々な選択肢があります。
その中で、睡眠薬を使うかどうかは、医師の判断に従っていただきますよう、お願いいたします。
また、番組の後半、洞窟を使った実験で、「睡眠時間そのものが糖尿病の予防に関係する」という研究を、ご紹介しました。
この研究は、「睡眠時間の長さ」が重要だというものだったんですが、番組では「睡眠の深さ」が関係あるかのように、お伝えしてしまいました。
不適切な表現でした。
実験にご協力いただいた研究機関の皆様に、お詫び申し上げます。
今後は、一段と正確な情報の収集に努め、皆さんのお役に立てる番組を目指して、努力してまいります。



【骨ホルモン】 オステオカルシンを増やす方法は かかと落とし/ガッテン
骨粗しょう症の治療で、血糖値が改善することがよくある。
その秘密は、骨ホルモン「オステオカルシン」にあった。
骨の中は、どうなってるの?
真っ二つにした画像。
増やす方法は、「かかと落とし」。
<期待される効果>
認知機能の改善、血糖値ダウン。
肝機能の向上、動脈硬化予防。
生殖能力を高める、腎機能の向上。
解説:国際医療福祉大学 山王メディカルセンター 太田博明 女性医療センター長。
2017年2月15日放送の「ガッテン」より、「脳を活性化!血糖値ダウン! 新発見“骨ホルモン”SP」からのメモ書きです。

□ 骨粗しょう症の治療で 血糖値が改善?

朗報です。
超簡単な方法で、血糖値がダウンする。
そのカギは、「骨ホルモン」だった。
なんと、最新の研究では、認知機能を改善するという事実まで、判明しているんです。
骨の病気といえば、「骨粗しょう症」。
ガッテンでも、取り上げていますよね。
女性ホルモンが骨を作るのを助けてくれるので、似た働きをしてくれるイソフラボンを含む「納豆」を食べるのがよい。
納豆には、骨を強化する働きがあるんです。
【体験談】
島根県は出雲市に住む、64歳の男性。
若い頃からスポーツ万能で、バリバリ働いてきました。
ところが、3年前、ある異変が起きた。
人間ドックをきっかけに、精密検査を受けた時のこと。
背骨に骨折があると、言われたのです。
骨粗しょう症との診断でした。
X線写真を見ると、背骨が楔(くさび)のような形に潰れていた。

男性は驚きました。
まさか、自分が骨粗しょう症とは。
この男性の主治医である、島根大学医学部 内分泌代謝内科の 金沢一平 先生。
先生は、働き盛りである男性の生活を考え、薬による治療を勧めたという。
すると、男性の骨密度は、目覚ましく回復。
そして、さらにハッピーなことが起きたんです。
以前から高めだった血糖値が、良好な数字にまで下がった。
HbA1c の値が、「10.2」から「6.8」に改善したのだ。
でも、なぜだろう?
骨密度が増えたら、どうして、血糖値まで改善したの?
長年にわたり骨粗しょう症の治療を行っている専門家に、聞いてみました。
国際医療福祉大学 山王メディカルセンター 女性医療センター長 太田博明 教授のお話。
「確かに、骨の治療、骨粗しょう症の治療をしておりますと、血糖コントロールがよくなるケースっていうのは、しばしば経験しております」
どうも、骨はどこかと、つながっているようですね。
□ 骨の真実

スタジオに運ばれてきたのは、本物の骨。
ではなく、よくできた模型です。

よく見ると、骨に血管が。
ビックリしますけど、鶏ウィングや手羽先の骨を思い出すと、確かに、似てるかな。
神奈川県立 生命の星・地球博物館(小田原市)。
鈴木聡 学芸員が、ある動物の骨を見せてくれました。
なんと、ツキノワグマの上腕骨。

骨って、白くないんですね。
これは、生きている時の骨の色。
血管がたくさん骨の中を通っていて、その中を通る「血の色」が見える。
その骨を、真っ二つに。
中にあるのは、「骨髄」です。
プニプニのゼリー状。
骨の中は、やわらかいのだ。
端の方も、無数の細胞が、ビッシリ敷き詰められています。

骨の硬い部分は、外側の1センチほど。
脊椎動物の骨は、まわりが硬い部分で覆われており、中は、血管や髄液(造血幹細胞)が詰まってるんです。
実は、骨の中の血管は、すい臓とも、つながってるのだ。
だからこそ、骨と糖尿病が関係する。
この発見が、2007年にされたと。
そして、10年たった今、日本でも、やっと発表することができる状態に。
問題は、どのようにつながっているか。
それを、解き明かしていきましょう。
□ ジェラルド・カーセンティ教授

2007年に発表された論文。
「Endocrine Regulation of Energy Metabolism by the Skeleton」
アメリカはニューヨークにある、コロンビア大学。
遺伝発達学部門の ジェラルド・カーセンティ教授は、40年以上、骨について研究している。
実は、骨が不思議なパワーを持つことを、世界で初めて、突き止めた人なんですよ。
そのきっかけは、まったくの偶然だったという。
カーセンティ教授は言います。
「そもそも骨は、世界中で昔から、不吉な死の象徴です」
「学生の頃には、骨は岩のように活動しない単なるパーツだと習いました」
「骨は動かないという常識から抜け出すのは、とても難しかったです」
博士は当初、骨の中にあるタンパク質「オステオカルシン」について、研究していました。
当時はまだ、その働きがよく分かっていなかったのです。
「骨を作る働きをしているのだろう」と考えていましたが、いくら実験しても、予想は大外れ。
オステオカルシンがなくても、骨を作る働きは、まったく正常だった。
ところがある日、事態は一変します。
博士は、糖尿病になっているマウスに、オステオカルシンを注射。
すると、なんと、たった1回の注射で、糖尿病が治って、元気になっちゃったのでした。
詳しく調べてみると、オステオカルシンは、すい臓の働きを活発にし、インスリンの働きも活発化。
さらには、筋肉に働きかけて、糖を取り込みやすくしていることまで判明。
骨にあるタンパク質が、全身を巡り、驚くほどの効果を発揮していたのです。
カーセンティ教授は言います。
「これは、今までの常識を、まったく超えていました」
「医学的にも、驚くべき、非常に重要な発見です」
「この発見による今後の医学への影響は、はかり知れません」
そのオステオカルシンが、スタジオに運ばれてきました。
なんでも、空気中の湿度を吸って、どんどん形が変わり、やがて、見えなくなってしまうのだそう。

これをガッテンは、「骨ホルモン」と名付けた。
オステオカルシン(骨ホルモン)は、臓器の働きを活性化してくれるんです。
<骨によって元気になる臓器>
[脳]
オステオカルシンが神経細胞の結合を維持させ、記憶や認知機能を改善させる。
[肝臓]
オステオカルシンが肝細胞の代謝を向上させ、肝機能を向上させると考えられる。
[心臓]
オステオカルシンが動脈硬化を防ぐと考えられる。
[腸]
オステオカルシンは小腸で働き、糖などの栄養吸収を促進する。
[精巣]
オステオカルシンが男性ホルモンを増やし、生殖能力を高めると考えられる。
[皮膚]
骨芽細胞が作るコラーゲンは、皮膚組織と同じ種類。シワの数と相関が高いというデータがある。
[腎臓]
骨が作る「FGF23」というホルモンが、腎機能を向上。
いや~、様々なよいことがあるんですね~。
(ちなみに、胃や肺との関係は、まだ確認されてないらしい)
□ 太田博明先生の解説
ここでスタジオに、専門家の先生が登場。
国際医療福祉大学 教授で、骨粗しょう症学会の理事長もお務めになった、太田博明 教授です。
太田先生監修のもと、実験が行われました。
まずは、どんな人がオステオカルシンが少ないのか、調べた。
協力してくれたのは、40歳から70歳代の健康な男女、80名。
採血し、オステオカルシンの量を測定します。
(血中オステオカルシン濃度の検査ですが、現在は、甲状腺・副甲状腺異常の疑いがある場合にしか、できないのだそう)
結果、オステオカルシンの平均は、「4.3」でした。
そして、その半分に満たなかった人が、6人いたんです。
6人とも、骨密度は、問題ありませんでした。
問題となったのは、血糖値 HbA1c。
過去、1~2か月の間、どのくらい血糖が高い状態があったかを表すものです。
(5.5以下が望ましい)
それぞれ、「6.7」「6.1」「6.6」「7.8」「6.6」「8.1」と、高め。
気づかないうちに、糖尿病予備群になっていたようです。
骨密度とオステオカルシンの数値は、必ずしも関係ないと、太田先生は言います。
そして、ある方法で、オステオカルシンは出るのだという。
その方法は、もう少し後で。

骨には、身体を支える以外に、臓器の働きを助ける重要な役割があったんです。

ガッテン! ガッテン!
□ サプリメントに

ここで、耳よりな情報が。
実は今、オステオカルシンをお手軽なサプリメントにできないか、という研究が進んでいるのだとか。
研究をしているのは、福岡市にある 九州大学大学院 歯学研究院長の 平田雅人 教授。
先生は、人間の腸にも、オステオカルシンを感じ取って 血糖を下げる仕組みがあることを、発見した。
そして今、オステオカルシンをサプリとして摂取できるようにすることに、挑戦しているんです。
そこで たどり着いたのが、これ。
福岡名物、豚骨ラーメンのブタの骨から、オステオカルシンを抽出することに成功したのだ。
平田先生のお話。
「骨の成分であるものが 腸から効くというのは、非常に意外な発見でした」
「飲むというのは、安全な手法ですから」
豚骨から作られたオステオカルシンのサプリは、今はまだ研究段階。
効果を高めるために、実験を重ねているところです。
(ちなみに、豚骨スープには、オステオカルシンは ほとんど溶けていないのだそう)
□ 骨ホルモンを増やす方法

さて、いよいよ、増やす方法についてです。
東京医科歯科大学で骨の研究をしている、分子情報伝達学の 中島友紀 教授。
培養した骨の細胞に、どんな働きかけをすると、どんな変化を起こすのか? という研究を行っている。
骨細胞の画像。

骨細胞は長い突起を伸ばして、互いにつながり合っています。
まさに脳の神経細胞のように、細胞突起をつなげて、情報を伝達しているんです。
なので、どれか1つに伝えると、みんなに伝わっていくってわけ。
骨はある部分を刺激してやると、まわりにも次々と伝わって、全身の骨が活性化されるのだ。
今回のガッテン技は、骨のある部分を刺激するだけの、とても簡単な方法。
それを、骨ホルモンが少なかった6人に、1日30回を1週間、続けてもらいました。
その結果が、これ。

オステオカルシン値が、一人を除いて、右肩上がりに。
しかも、うれしいことに、血糖値(HbA1c)は下がっています。

では、何をしたのでしょう?
太田先生に、教えていただきます。
<かかと落とし>
かかとを上げて、ストンと落とす。

振動などの刺激が伝わると、骨の細胞ネットワークが活性化。
骨ホルモンが分泌されるんです。
運動によって身体にかかる負荷を研究している、大阪体育大学大学院 スポーツ科学研究科の 下河内洋平 准教授。
先生に、かかと落としの効果を、分析してもらいました。
軽くジャンプした場合、骨にかかる衝撃は、およそ 270kg(2656N)。
体重の4倍以上の衝撃が、骨に加わっていました。
かかと落としでは、190kg(1863N)。
骨への刺激は、体重の3倍です。
瞬間的に、かなりの負荷が、骨にかかるようですね。
<かかと落としのポイント>
(1) 背筋を伸ばして、ゆっくり大きく伸びあがり、一気にかかとを落とす。
(2) 目標は、1日合計30回以上。
(空いた時間に、少しずつでよい)
(骨粗しょう症や関節疾患など、持病がある人は、主治医に相談してくださいね)
長期でやれば、骨密度も増えるのだそう。
高齢者や体力に自信のない人は、壁やテーブルにつかまって、行ってください。
今まで骨は、人間を形作るとか、支持するとか、保護するとか、そういう作用だと思われてきました。
しかし、骨は、ホルモンや生理活性物質を出す「内分泌臓器」だと分かってきたんです。
なので、骨を活性化することで、いろんな臓器が活発化する。
健康に大きな影響を与える存在だったんですね。
□ 宮森くんの体当たり実験
実は、骨が周囲からの刺激を感じ取る能力って、ものすごく敏感なんです。
ただ座っているだけでも、まわりの変化を、ちゃんと感じ取ってくれているのだ。
そこで実験です。
絶叫マシンに乗り、G(重力加速度)による負荷を受けてもらいます。
さて、この刺激を感じ取って、骨は反応するのでしょうか?
最新の絶叫マシンに、5回連続で乗ってもらいます。
さすが、ガッテンの過酷試験担当。
時速100kmを突破する、猛烈な加速。
上下左右、うねりまくります。
クライマックスは、世界最大121度の急激落下!
最大加速度は、7.5G。
525kg の力が、加わっていることになる。
5回連続ともなると、さすがに疲れたみたい。
足にきているのか、よろけちゃった。
さて、肝心の結果は?
なんと、オステオカルシンの値は、下がっちゃってました。
どうやら、やりすぎたようです。
しかし、別の側面も。
「スクレロスチン」という特殊なタンパク質の数値が、減ってた。
スクレロスチンは、骨を壊す因子。
それが減ったということは、骨が壊されなくなった。
つまり、骨が重力を感じて、骨自身を強化している証拠だと。



次回は、これ。
血糖値がさらに下がる方法があった。
より楽に、早く、効果的に。
「最新報告! 血糖値を下げるデルタパワーの謎」。
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【糖尿病】食物繊維で血糖値コントロール&すい臓がん発見/ゲンキの時間
11月14日は、世界糖尿病デー。
そこで今回は、食べて血糖値をコントロールする方法を紹介しちゃいます。
縄文 → 弥生 → 明治。各時代の食事の転機とは?
改善のカギを握る、腸のスイッチ。
腸内細菌のバランスを整えると、インスリンを分泌するスイッチが押されやすくなる。
そのために、食物繊維を、1日に20g以上食べるとよい。
超音波検査で見づらい、すい臓。
しかし、紅茶を飲むことで、発見率がアップする。
ドクネット:東京医科大学病院 糖尿病・代謝・内分泌内科 小田原雅人 主任教授。
食文化研究家 永山久夫。
大阪府立成人病センター 片山和宏。
東京大学 分子細胞生物学研究所 宮島篤 教授。
ゲンキスチューデント:滝裕可里。
ゲンキリサーチャー:TKO 木本武宏。
2016年11月13日放送の「健康カプセル! ゲンキの時間」より、「~ 新時代の糖尿病対策! ~食べて血糖値コントロールのススメ」からのメモ書きです。

□ 食事の転機 縄文~弥生~明治

血糖値が高い状態が続くことで、全身の血管をボロボロにし、様々な合併症を引き起こす、「糖尿病」。
世界の糖尿病人口は、WHOによると、4.2億人以上だという。
日本でも、国民の5人に1人が、糖尿病かその予備軍。
健康診断でその兆候が出ても、放置する人が少なくありません。
その理由の1つが、血糖値が少々高くても、痛くもかゆくもないこと。
そして、対策が厳しい食事制限であることも、一因です。
でも、もし、食べて血糖値をコントロールする方法があるとすれば?
ポイントは、たった1つのことに気をつけるだけだという。
さて、今日からは、新しいゲンキスチューデントが登場。
滝裕可里(たき ゆかり)さんだ。
NHK 朝の連続テレビ小説でも、活躍中。
裕可里ちゃんが実家で飼っている猫が、実は、糖尿病。
1日2本のインスリン注射を打っているそうです。
まずはおなじみ、ゲンキスチューデントに対する基礎クイズから。
Q)糖尿病の人が いたわらないといけない臓器は、次のうちのどれ?
・胃
・肺
・胆のう
・すい臓
・大腸
答えは、「すい臓」。
食べて血糖値コントロール。
その謎を解くカギが、「古代の食事」だという。
食文化史の第一人者、永山久夫さんに、話を伺いました。
日本人の食事には、大きな転機が 2回あったらしい。
では、各時代の食事を見ていきましょう。
[縄文時代]
鶏肉などの肉を焼いたもの、ニンニク、栗(木の実)、里芋の塩ゆで。
縄文時代は、狩猟生活をしていました。
なので、イノシシやシカ、鶏など、タンパク質が主食だったようです。
当時は、いつ食料が手に入るか分かりませんでした。
また、食べる回数も不安定なため、「飢餓に備えるホルモン」が たくさん生み出された。
この飢餓に備えるホルモンがあるおかげで、少ない食事から 多くのエネルギー源や糖を ため込むシステムが身体に備わり、生き延びることができたのだ。
そして、1つ目の転機を迎えることに。
[弥生時代]
食事は、玄米、イワシ、ゴボウを煮たもの。
農耕が始まって、米を作るようになったのです。
日本の食文化史の中で、最大の改革だと、永山さんは言います。

第一の転機は、米の主食化。
農耕が始まったことで、食生活が安定化しました。
ここから、穀物の摂取量が、徐々に増加していく。
と同時に、穀物の主成分である「糖質」を摂取するようになり、飢餓に備えるホルモンの必要性は、低下するようになってきた。
逆に、摂り過ぎたものをなかったことにしてくれる唯一の存在が、活躍することになります。
それが、「インスリン」。
インスリンとは、すい臓から分泌される、血糖値を下げる唯一のホルモン。
血液中の糖を、細胞や筋肉に運び、血糖値の上昇を防いでくれる。
縄文時代から弥生時代の転機では、インスリンを分泌する機会が格段に増えたものの、まだ何とか対応できました。
そして迎える、第二の転機。
[明治時代]
例えば、ビフテキ、グラタン、コロッケなど。
食が西洋化し、肉や脂を どんどん取り入れるようになったのです。
高カロリー食の原点ともいえる。
第二の転機が与える身体への影響について、糖尿病治療の権威に、聞いてみましょう。
東京医科大学病院 糖尿病・代謝・内分泌内科の、小田原雅人 主任教授。
食事の欧米化により、インスリンをたくさん必要とするような、脂の多い食生活が入ってきました。
肉などに含まれる動物性脂肪は、インスリンの効きを悪くする性質を持っているのです。
そこで、増えた糖と脂に対処するため、大量のインスリンが必要になる。
のですが…。
縄文時代からの身体のシステムは、変わってないんですね。
狩猟生活で不安定な食生活だった縄文時代は、1万年以上も続いた。
それに対し、農耕が始まった弥生時代から、現代までは、約2300年。
なので、糖をため込む身体のままなのです。
じゃあ、我々は、大量の糖や脂肪に、どう対処すればいいのでしょう?
□ 腸のスイッチ

対処するカギは、インスリンの量とタイミング。
それを的確にすればいい。
大量の糖や脂を摂ると、インスリンの効きが邪魔されたり、タイミングが遅くなったりして、血糖値を下げられず、やがては、「2型糖尿病」に。
大切なことは、インスリンをタイムリーに、なおかつ、少量でも効くように分泌させること。
小田原先生によると、腸の中にスイッチがあるらしい。
<腸のスイッチ>
小腸や大腸の下の部分にあり、このスイッチが押されると、インスリンを分泌するように働きかけるホルモンが出る。
すると、血糖値が上がり切る前のちょうどよいタイミングでインスリンが出るので、すい臓をいたわることができ、糖尿病の予防・改善に役立つのだとか。
腸のスイッチを押すには、腸内環境を整えることが大事。
そして、腸内環境を整えるカギを握っているのが、腸内細菌です。
「善玉菌」「悪玉菌」「中立菌」の 3種類がいますが、現代の食生活では、悪玉菌が多くなりがち。
しかし、腸内細菌のバランスを整えると、スイッチが押されやすくなるんです。
そのためにしてほしいのが、「食物繊維を多く摂ること」。
食べて血糖値をコントロールするカギ、それは食物繊維だった。
食物繊維を最初に食べると、血糖値の上昇が緩やかになるんです。
また、よく噛むことで満腹感が得られ、食べ過ぎ予防になる。
さらに、食物繊維は インスリン分泌を促すスイッチを押してくれる。
こんなデータもあります。
食物繊維を1日に26g以上摂るグループと、19g未満しか食べていないグループでは、26g以上食べているグループの方が、2型糖尿病の発症が 18%も低かった。
肝心なのは、食べる量です。
厚生労働省が推奨する 1日の野菜摂取目標は、350g以上。
しかし、これでは食物繊維の量が足りません。
そこで、キノコや海藻類をプラスするとよい。
1日の食物繊維摂取量:20g

加熱して カサを減らしたり、酢の物にしたりと、食べやすいようにしてくださいね。
食物繊維を食べて、スイッチを押す。
これが、新しい糖尿病対策!
□ すい臓がん検査

続いては、すい臓について。
先日、がん診断時の進行度ステージの割合について、衝撃的なデータが発表されました。

胃がんだと、比較的軽いステージⅠ期に見つかる確率が、63.0%。
しかし、すい臓がんの場合、たった 11.2%。
それに対し、最も重いステージⅣ期で見つかる確率は、43.4%と高い。
すい臓がんは、最も早期発見が難しいのです。
しかも、すい臓がんは、なった人の数=死亡者数と言われるほど。
罹患者数:40,000人
死亡者数:33,700人
医療が進歩している現代でも、すい臓がんは手遅れになりやすいのだ。
その理由は、自覚症状が極めて少ないことと、すい臓が位置する場所にあります。
すい臓は、他の臓器に隠されているんですね。
場所は、胃の裏側。
なので、検査で分かりにくいのだ。
小さながんを見つけやすいのが、超音波検査です。
しかし、超音波は空気を伝わりにくい性質があるため、空気を含む胃の後ろにある すい臓まで、超音波が届かず、すい臓全体を 見ることが難しいのだそう。
ところが、朗報!
すい臓がん検診に、あるものを使い、成果を上げている病院がある。
大阪府立成人病センターの 片山和宏 先生に、お話を伺いました。
なんと、ミルクティーを飲んでもらうと、すい臓がよく見えるのだという。
いったい、どんな風に見えるのでしょうか?
東京都は葛飾区にある、葛飾健診センターで、特別に検証してもらいました。
(*この施設では、ミルクティーを用いた検査は実施していません)
ミルクティーを飲む前の超音波画像では、全体的に暗く、どこがすい臓なのか、あいまいです。
しかし、ミルクティーを300ml飲むと、見やすくなったんです。

理由は、胃をミルクティーで満たすことで、空気がなくなり、すい臓まで超音波が届くようになったから。
でも、どうして、ミルクティーなの?
なんでも、当時 在籍していた先生が、いろいろな飲み物を試したらしい。
そして、最終的には、患者さんたちが好き嫌いなく飲めて、かつ、胃の後ろのすい臓の画像を邪魔しないで見えやすくなったのが、ミルクティーだった。
日本すい臓学会のデータでは、早期とされるステージ「0」と「1」の段階で見つかる確率は、全体の2%。
これに対し、大阪府立成人病センターのミルクティー超音波検査では、50~60%。早期発見に、効果を上げている。
(*臨床研究のため条件に該当するデータ)
しかし、通常の健康診断などでは、全身を調べるため、前日から絶食だったり、水分を控えたりするため、ミルクティーなどを飲むことが難しく、どう普及させるかが、今後の課題です。
□ すい臓がん治療の研究
東京都は文京区にある、東京大学 分子細胞生物学研究所。
宮島篤 教授に、お話を伺いました。
ここで研究しているのは、肝臓・すい臓の再生医療。
例えば、肝臓は再生能力が高く、移植すれば、ほぼ元通りの大きさになる。
これに対し、すい臓は再生しないため、臓器移植に頼るしかないのが現状です。
そこで宮島先生は、どんな細胞にもなる「iPS細胞」を培養。
すい臓の中にある「インスリンを生み出す細胞の塊」を作ることに成功したそうなのです。
このインスリンを生み出す細胞の塊を、1か月かけて、大量培養。
あらかじめ すい臓の機能を落とし 糖尿病にしたサルの体内に移植したところ、なんと、サルの血糖値が正常値に戻ったという。
宮島先生たちの当面の目標は、1型糖尿病患者への移植。
けれど、まだまだ課題は多いそう。
すい臓の病気で悩む人を、一人でも減らしたい。
研究者たちの挑戦が、続いているのでした。
□ ドクネット
引き続き、糖尿病の専門医、東京医科大学病院の 小田原雅人 先生に、教えていただきます。
<食べるものについて>
高脂肪食や甘いものを食べると、カロリーオーバーに。
脂が多い食生活は、腸内環境を悪化させてしまいます。
一方、食物繊維をたくさん食べると、カサがあるので、満腹感が得られやすい。
また、それだけでなく、腸から食欲を抑制するホルモンが分泌されるため、食べ過ぎ予防になる。
<すい臓がんのサイン>
生活習慣は変化していないのに、急に血糖値のコントロールが悪化した。
心当たりがないのに、急に糖尿病になったなど。
すい臓がんのせいで、糖尿病が悪化することがある。
<すい臓がんのリスク>
お酒が弱いのに、毎日飲酒する習慣があり、喫煙する人は、10倍に。
これらに当てはまる人は、1年に1回の検査を心がけましょう。


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tag : 健康カプセル!ゲンキの時間 糖尿病 生活習慣病



【尿の色】赤・緑・オレンジ・乳白色 どんな病気?/ゲンキの時間
尿の疑問に答えます。
なぜ、黄色なの?
頻尿は、1日に何回から?
色や泡立ちと病気の関係。

2016年10月16日放送の「健康カプセル! ゲンキの時間」より、「尿の色で分かる危険な病気」からのメモ書きです。
ドクネット:日本大学附属板橋病院 高橋悟 副病院長 泌尿器科部長。
ゲスト:松居直美。
ゲンキリサーチャー:深沢邦之。
ゲンキスチューデント:春香クリスティーン。
□ 尿沈渣

今回は、「尿の色と病気の関係」がテーマ。
オシッコは、情報の宝庫なのだ。
<尿トーク>
「尿の回にふさわしいゲストが…」
三宅裕司さんにそう紹介されたのは、松居直美さんです。
「おは尿ございます」と、元気に登場。
夜中に2回トイレに起きるという、松居さん。
現在48歳なのですが、2年ほど前から、夜中のトイレが多くなったという。
また、バレエのレッスン中にトイレを我慢していたら、ジャンプの時、着地の瞬間に、ジョッと、尿漏れしたそう。
一方、トイレをよく我慢するという、春香クリスティーンさん。
1日2回ということも、ザラなのだとか。
仕事を始めたばかりの18歳の頃、初めての海外ロケのVTRが流れた時、収録中に、お漏らししちゃった経験も。
<頻尿は何回から?>
番組冒頭、クイズが。
Q)1日のトイレの回数は、何回からが頻尿でしょう?
A:5回以上。
B:10回以上。
C:15回以上。
答えは、「B:10回以上」。
では、尿について、詳しく教えてもらいましょう。
向かったのは、東京都は板橋区にある、日本大学附属板橋病院。
副病院長で泌尿器科部長の 高橋悟 先生に、教えていただきます。
尿というのは、血液がこされて、外に出てくるもの。
なので、いろんな成分が含まれていたり、いろんな情報が入ってるんです。
尿は、腎臓の中の「糸球体(しきゅうたい)」で、血液の老廃物などがろ過されて、作られます。
必要な水分や栄養は、尿細管で再吸収され、その残りが膀胱(ぼうこう)で貯められる。
<尿沈渣(にょうちんさ)>
まず、尿を、遠心分離器にかけます。
かかる力は、500G。
(F1ドライバーにかかるのは 4G だから、かなりの力になる)
5分後、容器の底に白い沈殿物が。
ここから、いろんな病気が分かるのだという。
沈殿物を青く着色したものが、モニターに映されました。
尿の結晶の中にある丸いものは、細胞です。
正常な場合でも、尿路の細胞が時々、尿に混ざるのだそうです。

下の画像では、丸い細胞の数が多いですね。
実はこれ、白血球。
尿路のどこかに細菌感染や炎症があると、白血球が尿の中に漏れ出てくるんです。
また、細長いものがたくさん動いてますが、これが細菌。

これは、細菌と白血球が戦った尿なのだ。
病名は、「膀胱炎」。
次の画像では、紫色の細胞の他に、色のついていない丸い物体が、たくさん見えます。
実は、これが赤血球。
つまり、これは赤血球が出ている「血尿」の状態。

こういう状態の時に考えられる病気が、「膀胱がん」。
なんと、尿検査で、がんも分かっちゃうんです。
□ 尿の色と病気

日常生活で、自分で尿を見て、セリフチェックする方法はないのでしょうか?
一番大事なのは、尿の色を見ることだという。
高橋先生が、尿のサンプルを6色、用意してくれました。

(1) 薄い黄色
麦わら色とも言う。

これは、正常な尿。
でも、尿って、なぜ黄色いのでしょう?
尿の原料は血液ですが、血液中の赤血球が寿命を迎えると、肝臓で分解されて、「ビリルビン」という物質に変化するんです。
そのビリルビンが腎臓で一部 酸化し、「ウロクローム」という物質になります。
このウロクロームが、黄色なんですね。
同じ黄色でも、濃い薄いがありますよね。
ウロクロームが尿中に出てくる量は、ほぼ一定です。
なので、多くの場合、水の量が少ないと濃くなるし、摂った水分量が多くなると薄くなる。
(2) 透明
前述のとおり、水をたくさん飲んだ場合、尿の色は薄くなります。
ほとんどの人はそうなのですが、時々、病気で透明になる人がいるそうなのです。

「尿崩症(にょうほうしょう)」という病気がある。
尿の量を調節しているのが、脳で作られる抗利尿ホルモン。
しかし、このホルモンが腎臓で効かなくなってしまったり、分泌量が減ると、大量の尿が出てしまうことに。
これが、尿崩症。
尿の量は、通常、1日に1.5リットルほどです。
これが尿崩症になると、1日に3リットル以上出る。
水をたくさん飲んでいないのに、尿の量が多い時は、要注意!
さらに、驚くべきことが。
なんと、尿崩症の患者さんを調べると、脳腫瘍が見つかるケースがあるのだという。
抗利尿ホルモンは、脳の視床下部で作られています。
そのあたりに腫瘍ができると、ホルモンの分泌が低下し、尿崩症の症状として現れることがあるんです。
また、糖尿病の場合も、尿の量が増えて、色が薄くなるケースがある。
(3) 乳白色

膿(うみ)の尿と書いて、「膿尿(のうにょう)」という。
白血球がたくさん出てくると、透明度がなくなって、白く濁るんです。
痛みがあり、乳白色の尿が出たら、「膀胱炎」の疑いが。
突然、腰が痛くなったり、発熱がある場合は、「腎盂腎炎(じんうじんえん)」の可能性があります。
(4) 赤色
赤血球が尿の中にに混ざると、赤くなる。
いわゆる血尿ですね。

血尿の場合、腎臓から膀胱までの間に、異常がある可能性が高い。
また、血尿が出るタイミングで、どこに異常があるか、ある程度、分かるのだという。
・尿の最初だけ赤い場合。
→ 尿道からの出血。
・最初から最後まで真っ赤。
→ 腎臓に結石が詰まり、炎症が起きている可能性が。
痛くもかゆくもない、症状がない、だけど真っ赤なオシッコが出た。
こういう時は、要注意!
「膀胱がん」かもしれません。
すぐに病院を受診しましょう。
(5) オレンジ色

肝臓が悪いと、ビリルビンが、尿にたくさん出てしまうんです。
黄疸(おうだん)の患者さんに見られる尿なのだそう。
オレンジ色の尿は、肝臓が悲鳴を上げている証拠。
すぐに、病院へ行きましょう。
(5) 緑色

これは、「緑膿菌(りょくのうきん)」が原因です。
緑膿菌は、自然の中に、広く分布している。
毒性が低いため、健康な場合は、感染することはありません。
しかし、手術の後の感染症など、重症な感染症として認識されている。
緑色の尿が出ると、死に至る「敗血症」の疑いも。
□ ドクネット
引き続き、日本大学医学部附属板橋病院の副院長で泌尿器科部長の、高橋悟 先生に、教えていただきます。
<血尿の注意点>
血尿は、一度出ても、おさまってしまうことが、よくある。
見た目は黄色でも、顕微鏡レベルでは、赤血球が出続けていることが多いんです。
そういう場合は、膀胱のがんや 腎臓のがんに進行してしまうので、要注意。
一度でも目で見てわかる血尿が出た時は、すぐ病院に行きましょう。
<尿の泡立ち>
色以外にも注意したいのが、尿の泡立ち具合です。
30秒以上、泡が消えない場合は、尿にタンパク質や糖が入っている可能性がある。
腎臓の病気や糖尿病の恐れがあるので、要注意です。
<尿の回数>
男性で回数が多い場合は、「前立腺肥大症」の可能性がある。
年を取ると、誰でもある程度 大きくなる前立腺ですが、がんの場合があるので、注意しましょう。
女性の頻尿に多いのが、「過活動膀胱」です。
1日に何度も激しい尿意に襲われたり、場合によっては、失禁してしまうことも。
女性の場合、子どもを産むと、骨盤の底にある筋肉「骨盤底筋(こつばんていきん)」が緩んでくるんです。
そのため、我慢がきかなくなる。
対策としては、肛門を締める「骨盤底筋体操」をすると、改善するそうです。
冒頭の話でもありましたが、松居直美さんは、着地した瞬間に、ジョッと漏れた。
これは、「腹圧性尿失禁」。
腹圧が かかった時に漏れる尿失禁ですね。
これも、女性に多い。
咳や くしゃみ、ジャンプした時など、腹圧が かかった瞬間に、出てしまう。
春香クリスティーンさんは、1日にトイレが2回ということが続くこともあるそう。
これは、どうなんでしょうか?
あまり我慢しすぎると、膀胱がずっと膨らんだ状態になり、血流障害が起こって、尿をしたいという感覚が鈍くなったり、オシッコを押し出す力自体が だんだん落ちてくることがある。
だから、水分をしっかりと摂って、昼間だけでも 4~5回ぐらい、トイレに行くようにした方が、若い女性の場合、膀胱炎になりにくいと言われているそう。
□ 尿ですべての検査を

今、尿を使った新しい研究が、注目されてるんですよ。
新潟県新潟市の新潟大学。
生体液バイオマーカーセンターの、山本格 センター長。
この方が、研究を進めています。
実験室の中には、尿バンクが。
様々な病気にかかった人の尿が、全国から送られてくるそうです。
その数は、約3000本。
尿を細かく分析することが、研究にすごく役立つ。
現在、人間ドックや健康診断は、血液検査、エックス線写真、尿検査など、様々な検査が行われています。
それをすべて、尿検査だけでできるようにするのが、目標だという。
現在の尿検査は、白血球や赤血球、細菌など、顕微鏡で判断できる病気のみを診断しています。
ところが、山本先生は、さらにミクロの世界に踏み込もうとしている。
注目したのは、尿の中のアミノ酸から作られる、「タンパク質」と「ペプチド」。
これらが様々な病気と関係しており、その種類や数を調べることで、今まで以上に多くの病気を発見できることが分かってきたのだという。
この研究が実を結べば、尿検査で、認知症や虫歯、筋肉の衰えなどによる体力疲労なども、分かるようになります。
尿検査なら、痛みを感じることもなく、簡単に調べられるというメリットが。
現在、9年計画の 3年目なのだとか。
「なんでも尿検査」という、全く新しい尿検査システムの完成を目指しているのだ。
これなら、家庭でも検査できますね。
山本先生は、「将来、介護のいらない社会が実現するのではないか」と期待している。
[関係する記事]
→ 「尿の色 泡立ち トイレ回数 腎臓病チェックリスト」
→ 「尿トラブルには 我慢と筋トレ」
→ 「危ないのは見えない血尿? 膀胱がんと腎臓病」
→ 「夜だけ頻尿と隠れ心不全」
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【病気にならない食べ方】基本は5色、おさかなすきやね/ゲンキの時間
今回のテーマは、「病気予防の食べ方」。
<血糖値を上げない>
炭水化物の食べ過ぎは、ダメ。
特に、寝る前は要注意!
食事の順番は、野菜から。
イライラやストレスの影響。
朝 食べること。
抜いたら、昼前に、野菜ジュース。
早食いしない。
<基本は5色>
白:炭水化物。
緑:野菜。
赤と黄:たんぱく質。
黒:キノコと海藻。
<おさかなすきやね>
「す」は、お酢。
酢ショウガの作り方と、健康ドリンク。
健康効果別 キノコの選び方。
マイタケポークカレー。
ドクネット:食品医学研究所 平柳要 所長。
ゲンキリサーチャー: 深沢邦之。
2016年7月31日放送の「健康カプセル! ゲンキの時間」より、「~ 食事が運命の分かれ道? ~ 病気にならない食べ方」「糖尿脳出血! 危ない食習慣」からのメモ書きです。

□ 血糖値を上げない食べ方

今週のテーマは、「病気にならない食べ方」です。
しかも、とっても簡単だという。
ダイエットに免疫力アップ、脳卒中予防まで。
そのテクニックとは?
渡辺満里奈さんが普段から気をつけているのは、「野菜を多く摂ること」「和食中心にすること」など。
胃腸が弱い英玲奈さんは、「生だと刺激が強そうなものは、火を通すようにしている」とのこと。
三宅裕司さんも、気を遣っています。なんてったって、健康的に 痩せましたからね~。肌もきれい。
今回、病気にならない食べ方を教えてくれるのは、食品医学研究所の 平柳要 所長。
食事で病気のリスクを上げないようにするには、どうしたらいいのでしょう?
その1つは、「血糖値を上げないこと」。
血糖値が高いことで引き起こされる病気といえば、「糖尿病」ですよね。
糖尿病患者の心臓の血管画像を見ると、高血糖などが原因で、全体的に かなり細くなっているのが分かります。
糖尿病の人は、そうでない人に比べ、動脈硬化になりやすいというデータも。
そのため、「心筋梗塞」や「脳梗塞」の発症率が 3~5倍も高いのだという。
動脈硬化は、コレステロール値の高さも原因なのですが、糖のダメージが強いと、より多くの悪影響を及ぼすことが分かっています。
目の網膜に障害を起こすと、「網膜症」に。
腎臓の場合は、「腎症」。
神経や末端の血管に障害が出ると、「神経障害・えそ」を引き起こすも。

血糖値は、数ある指標の中でも、特に気にしなければならない数値なのです。
いわば、万病のもと。
健康診断で正常だと診断された人も、要注意。
血糖値は、食事を摂ると、当然、上昇します。
その「上がり方」が問題なのだ。
1日の中で変動を繰り返す、血糖値。
空腹時は低く、食事をすると上がり始め、60分から90分後にピークになるのが、一般的です。
その際に、注意すべきが、「食後の血糖値」。
一般的な健康診断では、空腹時の血糖値を計測するため、食後血糖値は、見落とされがちなんです。
もし、食後の血糖値が「140」を超えている場合は、「隠れ糖尿病」。
つまり、「糖尿病予備軍」ということに。
血糖値が急激に上昇するほど、血管が傷ついてしまう。
なので、それを防ぐことが重要になります。
では、どんな食べ方をすると、血糖値が急激に上がってしまうのでしょうか?
ゲンキチャレンジャー 3名の生活をもとに、見ていきましょう。
24時間、持続的に血糖値を計測できる機器を装着してもらい、変動をチェックします。
血糖値が「140」を超える瞬間とは?
急上昇ポイントは、以下のような場合だった。
・炭水化物は血糖値を上げやすいので、食べ過ぎは 要注意!
・寝ている間は、血糖値が下がりにくくなる。
これらを踏まえると、こうなります。
「夜食は炭水化物を避け、軽いものにしましょう」
・野菜を先に食べる!
野菜に含まれる食物繊維には、血糖値の急上昇を抑える働きが。
・イライラやストレスも、血糖値を上げる。
ストレスがあると、アドレナリンなどのホルモンが分泌され、血糖値を上げる原因になる。
食事以外に、ストレスコントロールも、重要なのだ。
・朝、食べないと、上がりやすくなる。
朝食を摂らないで、昼食をガツンと摂ると、血糖値は上がりやすくなる。
血糖値が低い状態で 昼食を摂ることになり、急激に上がってしまいます。
さらに、朝食べないと、「脳出血」のリスクも高めてしまうのだという。
その原因は、朝食を抜くことによる ストレス。
朝食を摂るのが 週に2回以下の人は、毎日食べている人よりも、脳出血のリスクが 36%高くなるという報告も。
朝食は、血糖値の急上昇だけでなく、病気のリスクも下げられるので、毎日食べるように習慣づけましょう。
もし、抜いてしまったら、この方法を。
「昼食前(30分ほど前)に、野菜ジュースなどで、少し血糖値を上げておく」
・早食いは、血糖値を上げる。
ゆっくり食べることを、意識しましょう。
<病気にならない食べ方>
(1) 野菜から食べる。
(2) 朝食を必ず摂る。
(3) ゆっくり食べる。
□ 基本は5色

食べ方は、分かりました。
では、どんなものを食べたらいいんでしょう?
それを解決する、簡単な指標があるといいますよ。
その指標とは、「色」。
目安として、「5色摂る」というのを基本にしている。
では、その5色とは?
「白」は、炭水化物。
「緑」は、ビタミンや食物繊維を多く含む、野菜。
「赤」と「黄」は、動物性たんぱく質と植物性たんぱく質。
「茶色」は、揚げ物など、高カロリーなもの。
これは、減らしたい。
茶色を除いて、「白」「緑」「赤」「黄色」で、4色。
あと、1色は?
5色目は、これ。
キノコや海藻の「黒」。

キノコや海藻は、食物繊維やビタミン、ミネラルを多く含む、低カロリー食材。
意識しないと、あまり摂ってなかったりするので、しっかりと食べましょう。
□ ドクネット
引き続き、食品医学研究所 所長の 平柳要 先生に、教えていただきます。
上で紹介された 5色ですが、どれくらいの割合で食べたらいいのでしょう?
「白」や「赤」という炭水化物や たんぱく質は、比較的多めに食べているようです。
なので、「緑」や「黒」を、多く摂るように心がけたい。
(高齢者などは、たんぱく質を摂ってないことがあるので、それも注意。麺類ばかりになっている人も)
食事を前にした時は、5色を確認してください。
緑あるかな? 黒あるかな? と。
ここで、クイズを。
Q)血糖値を上げにくいのは、どっち?
A:ノンオイルドレッシング
B:フレンチドレッシング
答えは、「B フレンチドレッシング」。
ノンオイルドレッシングは、油分の代わりに、糖分を使っている。
なので、血糖値が上がりやすいのだ。
夏に摂りたい栄養素が、「ビタミンC」。
ビタミンC は、シミや そばかすのもとになる「メラニン色素」の生成を抑えてくれます。
中でも、ゴーヤは、皮が固くて、厚い。
そのため、加熱しても、ビタミンC が 破壊されにくいんだって。
病気にならない食べ方、お次は、「おさかなすきやね」。
これは、血糖値の上昇はもちろん、コレステロールのコントロールなど、様々な病気を防ぐことのできる、食材の一覧。その頭文字です。
お:お茶
さ:魚
か:海藻(海草)
な:納豆
す:?
き:?
や:野菜
ね:ネギ
さあ、「す」と「き」は何?
□ 酢しょうが

「おさかなすきやね」。
「す」は、お酢のこと
酢は、血圧を下げてくれる。
さらに、血糖値の上昇を抑えてくれるし、血中脂質、コレステロール、中性脂肪も、改善してくれます。
お酢を毎日 15ml 摂取したら、血圧が 最大10以上、下がったというデータも。
総コレステロールや中性脂肪低下に 効果を発揮することも、実証されている。
他にも、カルシウムの吸収促進、内臓脂肪減少といった効果も。
さらに、朗報!
実は、ある食材と組み合わせることで、お酢本来の効能に加え、ダイエット効果や免疫力アップも、プラスされる。
その夢の食材とは、「ショウガ」。
ショウガには、脂肪の蓄積を抑える作用があり、加熱すると、体幹部を温め、エネルギー消費量を高めてくれます。
酢とショウガのパワーを合わせたのが、「酢ショウガ」。
<酢ショウガの作り方>
(1) よく洗ったショウガを、皮のまま薄くスライスします。
(2) それを容器に入れて、ひたひたになるまで、酢を注ぐ。
冷蔵庫で一晩以上寝かせたら、できあがり。

しょうが焼き、酢の物など、アレンジも簡単ですよね。
いつも作っている酢を使う料理に、入れればいい。
<健康ドリンク 酢ショウガソーダ>
次の材料を、よく混ぜます。
酢:小さじ2
しょうが:5~6枚。
ハチミツ:小さじ1
炭酸水:200ml

すっきりして おいしいと、スタジオでも評判でした。
□ きのこ

「おさかなすきやね」。
残るは、「き」です。
これは、「キノコ」のこと。
キノコの多くには、「β-グルカン」という食物繊維が含まれているんです。
これには、免疫機能の向上や、血糖値の上昇を抑える効果が。
<健康効果別 キノコの選び方>
きのこマイスター、木田マリさんに、教えてもらいます。
「胃腸の強化」には、「ナメコ」。
頭の部分のヌルヌル成分、ムチンが特徴。
ムチンには、胃腸以外にも、肝臓や腎臓の働きを助け、たんぱく質の消化を促進する働きがある。
【ムチン】
動物の上皮細胞・粘膜・唾液腺などが産生する粘性物質の総称。糖たんぱく質の一種で、アミノ酸がつながったポリペプチド鎖に糖鎖が枝状に結合した構造をもつ。
[補説] オクラや山芋などに含まれるぬめり成分もムチンと呼ばれることがある。
(大辞泉より)
「体臭・口臭予防」には、「マッシュルーム」。
カギとなるのが、シャンピニオンエキスという成分。
これが腸内の善玉菌の働きを高め、腸内環境を整えて、悪臭のもとになる食べ物の腐敗、異常発酵を抑えてくれるんです。
「夏バテ対策」には、「マイタケ」。
マイタケには、糖分をエネルギーに変える ビタミンB群が豊富なんです。
また、免疫効果を高める MD-フラクションという成分が、血液や血管を丈夫にしてくれる。

そんなマイタケに合わせたいのが、「豚肉」と「たまねぎ」。
マイタケが豚肉を柔らかくし、栄養の消化吸収を促進してくれる。
ポイントは、マイタケと豚肉をよくもみ込み、15分程度寝かせてから、調理すること。
水を加えると、より柔らかくなるそうです。
マイタケも、豚肉も、ビタミンB1が豊富。
ここにタマネギが加わることで、よりよいことが。
タマネギに含まれるアリシンには、ビタミンB1と結合して 吸収力をアップする効果があるんです。
この3つの食材を使った おススメ料理が、これ。
「マイタケ ポークカレー」。

食欲増進&猛暑対策に、どうぞ。
□ チェック項目
・炭水化物を食べ過ぎてはいませんか?
・特に、寝る前は、要注意!
・野菜を先に食べてる?
・できれば、よく噛んで!
・イライラしてない?
・過度なストレスにさらされてない?
・朝食を抜いてない?
・もし抜いたら、昼食30分前に、野菜ジュースを。
・早食いしてない?
・ゆっくり食べましょう。
・5色食べてる?
・緑や黒はある?


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