【ヒートショック】 室温は 18℃ 以上に
寒い季節は、お風呂場での事故が増えます。
その原因となるのが、温度差。
血管のダメージを少なくするには、どうすればいいのでしょうか?
神戸大学で研究されている、腸内細菌と動脈硬化の関係。
血栓のもとを溶かしてくれる食材も、紹介します。
2019年 1月 20日 放送の「健康カプセル! ゲンキの時間」(第340回)より、「~ 忍び寄る 心筋梗塞&脳梗塞 ~ ヒートショックの恐怖」からのメモ書きです。

□ 寒暖差に要注意

さあ、今回のテーマは何でしょうか?

ズバリ、「ヒートショック」について。
高齢になると怖いのが、「脳梗塞」や「心筋梗塞」ですよね。
その「月別死亡者数」を見ると、10月から増え始め、1月と2月にピークを迎えています。
そう、この季節が、一番危険なのだ。
その原因の一つと考えられているのが、本日のテーマ。
「ヒートショック」
【ヒートショック】
急激な温度変化が身体に及ぼす影響。血圧の急変動や脈拍が速くなるなど。(大辞林)
温度の急変で体がダメージを受けること。冷凍倉庫で作業した後、急に真夏の炎天下に出たときや、暖房の効いた部屋から寒い廊下に出たときなどに起こる。脈拍や血圧が上昇して、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす要因となりうる。(大辞泉)
ヒートショックは、決して他人事ではないんです。
入浴中の死亡者数は、年間 1万9千人。
これは、交通事故死亡者数の約4倍なんですよ。
お風呂の脱衣所、寒いですよね。
浴室も、最初は 冷え冷え。
服を脱ぐわけだから、なおさらです。
暖房の効いた部屋から、脱衣所や浴室へ。しかも、裸になる。
この寒暖差が、危険のもと。
気を失ってしまうケースだって、あるのだ。
<メカニズム>
急な寒さを感じる → 体から熱を逃さないように 血管が収縮 → 血圧が上昇。
健康な人でも、血圧はこのように変動します。
(あくまで一例ですが)
暖かいリビング「130」→ 脱衣所「154」→ 入浴中「131」
暖かい場所から 寒い場所に行って、血管が収縮して、血圧が上昇。
湯船につかって 温められ、血管が緩んで、血圧が下降。
このように、血圧が急変動してしまうのだ。
そのせいで、血管に大きな負担がかかってしまうんですね。
さらには、毎日のことなので、負担の蓄積は大きくなる一方。
この血管のダメージが、大病につながってしまうのでした。
怖いのは、お風呂場だけではありません。
「廊下」や「トイレ」も、要注意。
だって、廊下やトイレには、暖房器具を置いてないでしょ。
それだけ、寒暖差があるということなんです。
□ 18℃の壁

血管のダメージを少なくしようと思えば、温度差が小さい生活をするのがよい。
では、部屋の温度は、どのくらいにすればいいのでしょう?
こんな研究結果があります。
室温が「18℃未満」の家で生活を続けると、心筋梗塞などのリスクが高まるというのだ。
さらに、夜中の 0時に 18℃を下回る家に住む人は、18℃以上に住む人に比べ、10年後に 6.7倍も 高血圧を発症しやすいというデータも。
血管のことを考えるなら、室温は 18℃ 以上に。
血管のダメージを少なくするには、温度差をなくすのが肝要。
なので、トイレや廊下にも 暖房器具を置く方がいいようです。
また、洗濯物を干したり、新聞を取りに行くなど、ちょっと外に出る場合には、ちゃんと上着を羽織るなどして、温かくした方がよいのだ。
温度差を侮らない!
□ 血液の問題

万病のもとといえば、ストレス。
そう、ストレスも、血管にとって怖い存在なんです。
ストレスが血圧に影響するのは、よく知られていること。
その際、「フィブリン」という血栓のもとが生まれることがある。
このフィブリンが、血液の流れを悪くするんですね。

通常、フィブリンは 1時間ほどで、徐々に消えます。
しかし、常に イライラやプレッシャー 恐怖など ストレスがあると、血栓になってしまう可能性だってある。
<対策>
イライラしたら、深呼吸。
それで自律神経が整い、血圧を下げると共に、フィブリン発生の予防になります。
ゆっくり、深い呼吸を心がけましょう。
また、ストレス源が特定できているなら、それを避けるのも、選択肢の一つです。
(可能なら、ということになりますが)
対策が期待できる食材もあります。
それが、「納豆」。
納豆に含まれる「ナットウキナーゼ」が、直接フィブリンを溶かしてくれるのだ。
□ ドクネット

帝京大学 医療技術学部の 川杉和夫 教授に、教えていただきます。
<お風呂の温度は、何℃がいいの?>
川杉先生によれば、「お風呂の温度が高ければ高いほど、血栓ができる可能性が高まる」のだとか。
血管内には、血栓を溶かす「t-PA」と、血栓を大きくする「PAI-1」(パイワン)が、分泌されます。
熱いお風呂に入ると、この「PAI-1」が増加してしまうんです。
「PAI-1」は血栓を作るだけでなく、「t-PA」の働きを妨害するので、よくないのだ。
お湯の温度設定は、41℃以下に。
入浴時は、足元から かけ湯をしましょう。
<水風呂や交代浴>
サウナで、水風呂。そんな人も、いるかもしれませんね。
でも、いきなり水風呂に入ると、一気に血管が収縮してしまいます。
それだけ、リスクが高まるので、あまりよくない。
□ 腸内細菌との関係

神戸大学 大学病院 研究科 内科学講座 循環器内科学分野の 山下智也 先生に、お話を伺いました。
「腸内細菌が、動脈硬化に、関与している可能性がある」と、先生は言います。
腸内にいる細菌は、「数百種類」。数でいえば、「約100兆個」にもおよぶ。
そのうち、ある細菌が 心筋梗塞や脳梗塞に深く関与していることを、山下先生は突き止めたのだ。
いわゆる悪玉菌と呼ばれる「リポポリサッカライド」が、血管に炎症を起こし、動脈硬化を悪化させている可能性がある。
では、対策として、何をすればいいのでしょう?
そのカギとなるとが、「バクテロイデス」という菌。
この菌が、動脈硬化を予防している可能性があるのだ。
バクテロイデスを増やすには、食物繊維を多く摂ればいい。
食物繊維を摂ることは、便通をよくするだけでなく、心筋梗塞の予防にも つながるんですね。
山下先生たちは、現在、腸内細菌「バクテロイデス」を使って動脈硬化を治療する方法を、研究中です。
これからに、期待しましょう。

脱衣所やお風呂場は、暖かく。
できれば、トイレや廊下も。
温度差に注意しましょう!

食物繊維も、忘れずに!

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【低血糖】 血管のダメージを 間食で防げ
血糖値は、低すぎるのも問題だった。
血管に悪い影響を及ぼすことが、分かってきたのだ。
会社員に多い、よくない生活習慣とは?
2018年12月12日放送の「ガッテン」、「心臓ケア&ぐっすり快眠の新常識! カギは『間食』 新・血糖値ワザ」より。

□ シメのラーメンが欲しくなる理由

さあ、今回のテーマは何でしょうか?

ズバリ、「血糖値の新常識」について。
まずは、定義から。
1日の変動幅が 上限の 140 を超えれば 高血糖。
また、辞書にはこう書かれています。
【高血糖】
血液中のぶどう糖の濃度(血糖値)が正常よりも増加している状態。一般に、1デシリットル中160ミリグラム以上になると尿中にぶどう糖が出る。
(大辞泉より)
「血圧」と「血糖」。
似てるが違う、この2つ。
血圧は「血管の中の圧力」のことで、血圧計があれば 家でも簡単に計測できます。
血糖値は、「血液中の糖の量」。なので、採血して検査する。
<疑問(1) お酒を飲むと 血糖値は どうなるの?>
お酒を飲んでると、やがて、お腹が空いてくる。
そんなこと、ありませんか?
途中までは全然平気なのに、ある時から、食べたくて仕方なくなる。
タガが外れて、ドカ食いしてしまうことも。
実はこれ、お酒を飲むと血糖値が下がるから、なんです。
大まかなメカニズムは、こう。
普通の食事だと、食べた糖質が分解され、小腸から吸収される。
次に、肝臓で分解され、その糖が血液中に放出されるので、血糖値が上がります。
けれど、お酒を飲みながら食べた場合、肝臓は アルコールも分解せねばなりません。
しかも、アルコールを優先的に分解するので、血糖値は上がらないんですね。
この時、血糖値が低いので、栄養が十分に取れていないと、身体は勘違いしてしまいます。
なので、空腹感が強くなってしまうというわけ。
ただし、お酒の分解が終わると、食べたものの分解が始まります。
となると、当然、血糖値は上昇する。
しかも、飲酒後の空腹感で シメのラーメンなんかを食べていると、それも分解されるから、なおさら血糖値は上がってしまうことに。
太る理由も、ここにあるのかも、しれませんね。
□ 低血糖と心臓疾患

実は、今日問題にするのは、上の方じゃなく、下の方。
そう、「低血糖」についてなのです。
血糖値が高いと、糖が血管を傷つけ、いろんな病気につながる。
これはよく、知られていますよね。
でも、低い血糖値が、心臓に負担をかけることもあるのだ。
血糖値が「70以下」に下がってしまう人の血管では、あることが起こっている場合があるんです。
何と、血管の壁が破れる。
心臓疾患の患者さんの中には、低血糖が起きている人も少なくないのです。
今まで : 食後の高血糖が、動脈硬化に悪い影響を与える。
新情報 : 血糖値が低すぎるのも、よくない。
実は、健康な人なら、血糖値が「70」を下回ることは、そうそうないんです。
というのも、人間の身体にとって、糖は必要不可欠なエネルギー源。
血糖値が下がり過ぎないようにする仕組みが、身体には備わっているのだ。
ということは、1日に何度も低血糖になるというのは、普通じゃない状態なんですね。
でも、なぜ、低血糖と心臓疾患が、関係するのでしょうか?
糖は、とっても大切なエネルギー源。
運動している時だけでなく、安静にしていたり、寝ている時でさえ、必要です。
つまり、ないと非常に困る!
血糖値が「70」を切ると、交感神経が働きます。
興奮して血糖値を上げるよう、指令を出すのだ。
すると、すい臓や肝臓といった臓器がフル稼働しだす。
結果、身体の中で、糖が生み出される。
なので、たとえ絶食状態でも、血糖値が「70」を超えるよう保とうとするんですね。
でも、これ、いいことばかりじゃないんです。
あくまで、緊急事態を回避するための手段。
何度も緊急事態があっては、困ります。
交感神経が興奮すると、血管はギュッと縮んだり、血液が固まりやすくなったりも、するんですね。
なので、低血糖状態が 何度も繰り返されると、血管がダメージを受けてしまうのだ。
結果、心臓だと心筋梗塞、脳では認知症など、様々な疾患につながる可能性が出てくるというわけ。
□ 低血糖になってしまう人の特徴

低血糖になってしまう瞬間を観察すると、ある生活習慣が関係していることが、見えてきました。
カギになるのは、「昼食」と「夕食」の間。
朝の時間は、だいたい決まってますよね。
お昼の時間も、だいたい 12時から13時くらい。
でも、夕食は、まちまちです。
時には、遅くなることだって、あるでしょう。
「遅い時間に、ガッツリ食べる」
これが、いけないのだ!
ここでスタジオに、専門家の先生が登場。
産業医科大学 医学部 第1内科学講座の 岡田洋右 准教授です。
先生は言いました。
「高血糖も悪いが、低血糖も確実に、血管に悪い」
さらに、「低血糖自体が、認知機能を悪化させることも、数々報告されてますから」とも。
昼食から夕食までの時間が長い人は、要注意。
あとは、食べる内容、中身です。
脂っこいものを好み、量もたくさん食べる。
そんな人は、危ないと。
食事の間隔が長い → 空腹感が強くなる → ドカ食いの原因に!
ダイエットのリバウンドと、同じですね。
ガマンのし過ぎは、反動を招きやすいと。
空腹時にドカ食いすると、血糖値は急に上がりますよね。
血糖値が急上昇すると、血糖値を下げる「インスリン」が、過剰に出てしまうことがある。
すると、その後も 余分なインスリンが効いて、血糖値が下がってくるということも、あるようです。
<インスリンの働き>
ごはんを食べる → 血液中に 糖が増える → すい臓から インスリンが分泌される → 血液中の糖を身体に吸収させる → 血糖値が 一定の範囲内になる。
ドカ食いすると、血液中に 糖が急激に増えてしまいます。
血糖値が急上昇した状態。
すると、すい臓は血糖値を下げようとして、大量のインスリンを放出する。
結果、必要以上に、糖を身体に吸収させてしまい、血糖値が下がり過ぎることがあるのだ。
困ったことに、このような低血糖には、自覚症状がほとんど無いんです。
したがって、気づいている人は少ない。
ただ、低血糖かもしれないサインがあります。
それも、夜に。
低血糖になると、交感神経が働きます。
夜寝ている時に低血糖になると、交感神経が働くので、目が覚めてしまうのだ。
<低血糖を疑う チェックポイント>
(1) 夜、睡眠の途中で、目が覚めてしまう。
(特に、トイレのためでもないのに起きてしまう場合は、要注意)
(2) 昼食からの間隔が長く、夜遅い時間に、ガッツリ食べる習慣がある。
2つとも当てはまる人は、低血糖になっている可能性が。
□ 低血糖を防ぐ方法

仕事などで、夕食はどうしても遅くなってしまう。
そんな人は、どうしたらいいのでしょう?
夕食が遅くなりそうなら、軽い間食を摂ればいい。
ちょっとだけ、炭水化物を 口にしておけばいいんです。
これで、夜のドカ食いが回避できます。
お昼休みがあれば、夕方の休憩もありますよね。
その時に、軽く食べておくのが、いいようです。
ちなみに、この方法は、「分食」といって、糖尿病患者さんの食事法の1つなんですよ。
<間食の注意点>
間食した日の夕食は、その分、控えめに。
<急上昇予防に>
野菜を先に食べると、血糖値の上がり方が 緩やかになる。
オクラや納豆などの「ネバネバ食材」も、血糖値を上がりにくくしてくれる。
遅くまで仕事して、昼ごはんと夜ごはんの間が空いてしまう人。
軽い間食は、いかがですか?


今年のガッテンは、これで終了。
来年は、1月9日に放送予定です。
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【善玉コレステロール】 吸う力が重要だった!
コレステロールの常識が、崩壊するかも。
善玉が多いからといって、安心できない。
吸う力によって、病気になるリスクが変わってくるのだ。
何を食べればいいのかも、紹介します。
2018年11月28日放送の「ガッテン」より、「コレステロールの救世主 ~ 血管を掃除する秘策SP」。

□ 吸う力が強い?

さあ、今回のテーマは何でしょうか?

「コレステロール」について。
<期待される効果>
・ 血管系の病気のリスクが低減する。
<メカニズム>
善玉コレステロールの機能(吸う力)を強化する。
すると、数は同じでも、悪玉を取り除く力がアップするのだ。
<効果的な食材>
・ 青魚(理想は刺身、手軽さなら サバ缶)。
・ ナッツ。
・ 緑茶。
以下、詳細です。
健康診断の結果を見て、一喜一憂している人も、いるかもしれませんね。
今回は正常範囲かな~、どうやったら下がるのかな~。
それ以上に、血管が詰まったら怖い!
でも、こんな情報が入ってきたのだ。
ある食材を 1日1食摂るだけで、病気のリスクが 半分以上減るというのです。
番組冒頭、見せられたのは、小野文恵アナウンサーの検査結果。
総コレステロールの値に、「H」マークがついてますね。
数値は、「232」。
正常値は「120~219」ですから、わずかにオーバーしています。
(初めて高いと言われた)
(原因は、この夏、トンカツにハマったから?)
身体に良くないイメージのある、コレステロール。
何が身体に悪いのでしょうね?
<メカニズム>
食生活が乱れると、血管内に、悪玉コレステロールが増えます。
でも、健康なら、善玉コレステロールが、余分なコレステロールを回収してくれる。
善玉と悪玉のバランスが大事だと言われるのは、このため。
悪玉 : コレステロールを運ぶが、多いと不法投棄する。
善玉 : 余分なコレステロールを掃除・回収する。
悪玉の不法投棄が血管内に残ると、プラークを作ってしまう。
それが続くと、血管内が狭くなり、やがて、詰まってしまいます。
これが病気の原因に。
善玉(掃除する人) > 悪玉(汚す人)
血管内がきれいでいるには、この関係が大事なのです。
が、しか~し、それだけではないことが、分かってきました。
実は、善玉の吸う力が 普通より強い人がいるんです。
言い換えると、血管内を掃除する力が強い人。
あるいは、コレステロールを回収する力が強い人。
そんな人が多いのが、海外。
イタリアのリモーネ・スル・ガルダという村です。
なんと、ここに住む人は、遺伝的に、善玉の吸う力が強いのだ。
なので、プラークが少なく、血管の厚さも薄い。
普通、善玉コレステロールは、多ければ多いほどいいと思いますよね。
でも、最新の研究では、そんなに単純な話ではないと、分かったきたんです。
数がそんなに多くなくても、吸う力が強ければ…。
□ コレステロールの新事実

前述の通り、悪玉コレステロールが多いと、血管内に余分なコレステロールが残ります。
それを、善玉コレステロールが吸ってくれる。
普通なら。
そう、数はあっても、吸ってくれない善玉コレステロールがあるのだ。
どうも、善玉の吸う力と、ある病気に、深い関係があるらしい。
「吸う善玉」
「吸わない善玉」
この違いは、何なのでしょうか?
大阪府は吹田市にある、国立循環器病研究センター。
小倉正恒 室長が、教えてくれました。
実は研究で、善玉コレステロールが多くても少なくても、脳梗塞になった人の数に、大きな差が認められなかったんです。
これで、善玉コレステロールの数値が高いということが、いいのか悪いのか、分からなくなった。
単に量が多くても、意味がないかもしれないと。
そこで注目したのが、「善玉の吸う力」なんですね。
すると、衝撃的な事実が判明したのだ!
脳梗塞の罹患率(りかんりつ)を比べました。
吸わない善玉を持つグループに比べ、吸う善玉を持つグループは、罹患率が 約60% も減っていたんです。

でも、そもそも、吸う善玉と吸わない善玉って、どこか違うんでしょうね?

実は、掃除機に例えた場合、ホースに穴が開いているかどうか、それが差だったのです。
それについて、詳しく見ていきましょう。
□ 吸う力の差

20代から60代の男女、50名の調査。
全員、検査でコレステロールの値が気になっています。
まずは採血し、善玉の吸う力を調査しました。
協力してくれたのは、神戸大学医学部 立証検査医学分野の 杜隆嗣(とう りゅうじ) 准教授です。
ちなみに、特別な研究機関以外では、善玉の吸う力は、測定できません。
そこで、神戸大学では、自動で測れる方法を開発中なのだ。
神戸大学研究グループの判断基準は、こう。
吸う善玉 : 0.3以上
吸わない善玉 : 0.3未満
0.3未満の人は、心臓病を再発するリスクが高まる。
現在健康でも、病気になるリスクが高いと考えられます。
さて、実験の結果ですが、こうなりました。
50人中 19人が 0.3未満だった。(38%)
数値が一番良かったのは、67歳男性。
体重は普通で、BMI値は「23」です。
数値が悪かったうちの一人は、37歳女性。
こちらも 体重は普通で、BMI値は「23」。
どちらも飲酒しますが、1日に缶ビール1本(350ml)程度。
喫煙はしません。
年齢と性別は違いますが、他は同じようなもの。
にもかかわらず、吸う力には大きな差が。
実は、二人には、ある違いがあったんですね。
それはあるものを、食べる回数。
数値が良かった男性は、週に2~3回食べます。
数値が良くなかった女性は、月に1回程度。
これで話が見えてきました。
食べ物で、差が出るのだ。
先ほど、掃除機に例えましたよね。
この食べ物に含まれる「ある成分」が、ホースの穴にフタをしてくれるんです。

じゃあ、それを食べれば、吸う力をアップさせることができるんですね?
□ 吸う力をアップっさせる食材

ある成分とは、「EPA」。
そして、EPAを豊富に含む食材とは、「青魚」。
血中のEPA濃度が高い人ほど、善玉の吸う力が強い、そんな傾向があるのです。
先ほどの実験で、吸う力が弱いと判定された人に、2週間、毎日1食、青魚を食べてもらいました。
すると、5人中 4人が、吸う力が強まった。
この4人は、0.3未満だったのが、0.3以上に改善しました。
(1名は 同じ数値のままだった)
イヌイットの人たちは、アザラシを食べてましたよね。
そこに含まれる油のおかげで、代謝が上がり、寒さに強いと言われていた。
青魚にEPAが多いのも、青魚が寒い海を旅するから。
さかなクンが、そう教えてくれました。
青魚は、植物プランクトンを食べます。
植物プランクトンは、寒い海でも 細胞をしなやかに保つため、ある油を体の中に作り出すんですね。
その油こそが、EPA なのだ。
EPA には、細胞自体をしなやかにする力があり、血管をやわらかく保ってくれるってわけ。
動脈硬化を防ぐ力を持っている。
そして、善玉コレステロールの吸う力を、高めてくれるんです。
□ 小倉正恒先生の解説
ここでスタジオに、専門家の先生が登場。
国立循環器病研究センター 室長 小倉正恒さんです。
善玉の吸う力を、「善玉引き抜き能」という。
数よりも、この能力が大事だと、7~8年ほど前から、分かってきました。
これまで、薬によって悪玉コレステロールの量を 約40mg/dl 下げても、動脈硬化性疾患の予防効果は、「20~30%」程度でした。
また、善玉コレステロールの量を上げる薬を使っても、残念ながら、動脈硬化の改善には 効果がなかった。
そこで注目されたのが、量ではなく「質」や「機能」の方だったんですね。
善玉の能力が低い → 脳梗塞になりやすい
善玉の能力が高い → 脳梗塞になりにくい
善玉の力を強くするには、EPAが必要。
EPAを摂るには、青魚を食べなければならない。
でも、毎日 青魚を食べるのはたいへんです。
そこで役に立つのが、「缶詰」。
特に、「サバ缶」がおススメ。
先ほどの2週間の実験なら、「1日 サバ缶を 1/4 」食べるのが目安。
これなら、無理なくやれそうだ。
EPAは、加熱により酸化されやすいという特徴があります。
なので、理想をいえば、生魚の方がいい。
特に、「カルパッチョ」だと、オリーブオイルが EPA の酸化を防いでくれます。
□ まとめ
・増えすぎた悪玉コレステロールは、血管内にプラークを作り、動脈硬化の原因になる。
・悪玉(LDL)の値が高い人は、要注意!
・善玉コレステロールの値が高くても、安心できない。
・吸う力が弱いかもしれない。
・青魚に含まれるEPAは、善玉の吸う力をアップしてくれる。
・肉を魚に置きかえれば、悪玉が減る可能性も。
善玉の吸う力をアップさせる食材は、他にもあります。
それは、「ナッツ」と「緑茶」。
運動では、「ウォーキング」。
これらには、血管の酸化や炎症を防ぐ働きがあるのだ。
目安は、ナッツ 25g 。
緑茶は 1日 1杯。
ウォーキングは、1日に30分。
番組の実験では、2週間で効果が出ました。
□ EPAの摂り方

青魚は、サバだけではありません。
イワシ、アジ、サンマなどもある。
もちろん、これらも、EPAが豊富。
先述の通り、生の方がいいので、おススメの食べ方は、「刺身」になります。
でも、お手軽さを優先するなら、やっぱり、「サバ缶」。
さらに栄養をアップしたいなら、かつお節をかければいい。

山形県では、「ひっぱりうどん」が有名。
まず、サバ缶の身と、納豆、薬味のネギを、混ぜ合わせます。
そこに、缶の残り汁を加える。
ゆでた乾麺を絡ませて、いただきます。

サバ缶は、応用がききますよね。
お好みに合わせて、アレンジしてください。
今回は、善玉コレステロールは数だけじゃないことを学びました。
将来、検査項目の中に、「善玉の吸う力」が加えられる日が、来るかもしれませんね。


[関係する記事]
→ 【缶詰レシピ】 賞味期限や食べ頃は?
サバの水煮缶の天ぷらも紹介。
→ 「サンマ、サバ缶、青魚の健康パワー」
サバ缶のピリ辛豆乳汁。
tag : ためしてガッテン コレステロール 動脈硬化 心臓



【薬味ビッグセブン】 レモンで高血圧改善
薬味を摂ることで、高血圧や認知症の予防改善などが期待できる。
7種類すべて、スーパーで売っている身近な食材です。
具体的な食べ方やレシピも、紹介しますよ。
2018年11月10日(土曜日)放送の「ジョブチューン」より、「~ 冬の病気予防に効果絶大! ~ 本当に体に良い『薬味』SP」。

□ 高血圧改善

さあ、今回のテーマは何でしょうか?

食材から、「薬味」について。
まずは、高血圧の予防・改善に効果的な薬味から。
それは、「レモン」。
寒いと、血圧が上がり気味ですよね。
特に、朝は要注意! ガマンせずに、温かくしましょう。
血圧を測って、上(最高血圧)が 140mmHg 以上、下(最低血圧)が 90mmHg 以上なら、注意してください。
では、レモンを摂ることで、どんな効果が期待できるのでしょうか?
レモンの皮と果汁には、「エリオシトリン」というポリフェノールが含まれているんです。
ポリフェノールには 強い「抗酸化作用」があって、血液中の「悪玉コレステロールの酸化」を防いでくれるのだ。
悪玉コレステロールが酸化 → 血管の内側に付着 → 血管が硬くなる → 動脈硬化につながり → 血圧が上がる。
ポリフェノールが、これらの酸化や沈着を防いでくれるってわけ。
その結果、血圧が下がってくるんです。
<おススメ レモン料理>
そばつゆに、しぼる。
お吸い物に、入れる。
しぼる時は、皮を下にしてしぼると、よい。
「レモンポテトサラダ」
電子レンジで、簡単に作れます。
レシピは、こちら。

ジャガイモに含まれるカリウムが、余分な塩分を体内から排出してくれる。
「レモン鍋」
一見、ビックリしますが、
調味料としてレモン果汁を使っているので、塩分を減らせる。

上にのせるレモンは、煮過ぎると苦味が出るので、注意してください。
もっと手軽に! という方には、市販の「100%濃縮レモン果汁」で OK 。
紅茶などの飲み物に入れるのも、いい。
また、ドレッシングなどの調味料に加えれば、塩分を減らせます。
レモンは 果汁にして 1日 大さじ2杯が理想。

最近、血圧が気になってるんですよね。
まずは、レモン果汁から、始めようかな。
□ 認知症予防

続いては、認知症の予防が期待される薬味。
生産量日本一の地域は、佐賀県だといいます。
旬は、11月から 3月にかけて。
その薬味とは、「海苔(のり)」。
海苔には、葉酸が豊富です。これが、認知症予防に効果的なんですね。
2007年には、葉酸の摂取が認知機能低下のリスクを下げたという研究論文が発表されました。
<おススメの食べ方>
おにぎりや、海苔巻き。
お餅やトーストでも。
海苔の天ぷら。
刺身に巻く人も。
海苔の上にスライスチーズをのせれば、簡単なおつまみにもなる。
ちなみに、葉酸は、ビタミンBと一緒に摂取すると、吸収が良くなります。
「海苔チーズトースト」

チーズなどの乳製品には、「短鎖脂肪酸」という成分が含まれているんですね。これが効く。
最近の研究では、乳製品を多く摂取している人は、そうでない人に比べ、認知症の患者数が少ないという報告がある。
「海苔のバター焼き」

バターも、チーズと同じく乳製品なので、短鎖脂肪酸が豊富。

簡単に、おいしくいただけそうですね!

ちなみに、海苔の保存法としては、ジップロックなど 密閉式の袋に入れ、冷凍庫に入れるのがよいとのこと。
繰り返しになりますが、海苔は 乳製品と一緒に食べるのがおススメです!
□ 血液サラサラ

お次に期待される効果は、血液サラサラ。
心筋梗塞や脳梗塞など、血管に関する病気は怖いですよね。
冬場は水分摂取に気が回らないことが多く、血中の水分量が減り、血液がドロドロになりがち。
血栓ができたら、たいへんです。
それだけに、血液をサラサラにしてくれる食材があれば、非常に助かる。
そんな薬味とは、「かつお節」。
かつお節に含まれる「EPA」と「DHA」という成分が、効くんですね。
この2つが、血栓ができるのを抑制してくれる。
<おススメの食べ方>
冷奴に、たっぷり 1パック。
ピザにも、たっぷりかける。
もちろん、お好み焼きや焼きそばにも。
一部、焼酎に入れる人もいますね。
「かつお節の炊き込みご飯」
レシピはこちら。

かつお節をたっぷり摂れる上に、ちりめんじゃこにも、EPAとDHAが豊富に入っている。
さらに、青じその「β-カロテン」には、悪玉コレステロールの発生を防ぐ効果がある。
枕崎の「茶節」

これも、簡単そうだ。
かつお節は、できるなら、開封したら 全部使い切るのがいい。
どうしても 保存したいなら、密閉できる袋に入れ、冷凍庫に入れるとよいそうです。
水分が無いので、凍らないんだって。
かつお節は、大豆製品と一緒に食べるのが おススメ!
□ インフルエンザ 風邪 予防

お次は、免疫力を高めてくれる食材です。
その薬味とは、「ネギ」。
今までは、ネギの白い部分に含まれる「硫黄成分」が、免疫力アップに関与していると言われていました。
しかし、最近、青い部分に含まれる 「ヌル」 に、免疫力アップの力があることが 分かってきたのだ。
透明でヌルヌルしている、ヌルという成分。
これには、「IgA抗体」「マクロファージ」「ナチュラルキラー細胞」、これらの免疫機能をアップさせる力がある。
ヌルが含まれているのは、ネギの「青い部分」。
なので、ヌルを多く摂るなら、「青ネギ」がおススメ。
それも、太い青ネギ。例えば、「九条ネギ」。
<おススメの食べ方>
「九条ネギと じゃこの和え物」
豆腐にのせても、よさそう。
「九条ネギの天ぷら」
長めに切って、180℃の油で揚げました。

「九条ネギのすき焼き」

「九条ネギの餃子」

九条ネギの摂取量は、1日およそ 70g 。
これは、小鉢に 1杯程度。
そばやうどんに入れても、いいかな。
おススメの保存法は、直接冷気を当てないように、新聞紙でくるんで、野菜室で立てておくこと。
5日くらいはもつそうですよ。
□ 血管の老化を防ぐ

次も、血管に関するもの。老化を防いでくれます。
怖いのは、血管に弾力がなくなり、硬くなってしまうこと。
動脈硬化につながりかねません。
その薬味は、国内で出回っているものの「99%以上」が、輸入物。
国産は、「0.02%」しかありません。
そのうち、およそ 45% を生産しているのが、鹿児島県の喜界島だという。
その薬味とは、「ゴマ」。
ゴマに含まれる「ビタミンE」と、ゴマ固有の成分「セサミン」が、効く。
ビタミンE は、血管の酸化を防いでくれます。
セサミンは、血管の老化を促進する悪玉コレステロールを低下させるのに効果的。
摂取の目安は、1日に 大さじ1杯。
<おススメの食べ方>
焼きそばに。
冷奴に。
味噌汁や炒め物にも。
すったゴマを醤油に入れて、刺身を食べる。
アイスにも、いけるのだそう。
なお、ゴマに含まれる成分を活かすには、すりごまが一番。
白、黒など、種類は問いません。
「サバのゴマ揚げ」

サバには、「EPA」「DHA」が豊富。これに、ゴマの効果が加わります。
□ 冷え性対策

お次は、冷え性。
その食材の日本一の生産地は、和歌山県です。
53%のシェアを誇る。
実は、漢方薬にも使われているんですよ。
その薬味とは、「山椒(さんしょう)」。
山椒には、「サンショオール」という成分が含まれていて、血管を拡張する作用があるのだ。
結果、血流が良くなるってわけ。
ウナギを買った時についてくる小さなパックで、0.2g 程度。
1回の食事で、これくらいでよいとのこと。
<おススメの食べ方>
焼いたサンマにかける。
マヨネーズに混ぜる。
から揚げにふる。
アイスクリームにも。

「山椒をかけた豚汁」

七味のかわりに、かけます。
たっぷり入っている根菜類にも、身体を温める効果が。
さらに、豚肉や味噌が、代謝を活発にしてくれる。
□ 骨粗しょう症

最後は、骨粗しょう症の予防になる食材。
50代以降の女性は、特に要注意です。
日本一の生産地は、高知県。
その薬味とは、「ゆず」。
ゆずに含まれる「クエン酸」が、カルシウムの吸収率を上げてくれるのだ。
<おススメの食べ方>
ゆずの果汁をお酢代わりにした、ちらし寿司。
皮を砂糖などで煮漬けた、ゆずの佃煮。
中身をくりぬいて、酒の盃にする人もいる。
「しらす丼」

しらすは、カルシムが豊富です。
「ゆずと甘酒のスムージー」

アルコールの入っていない甘酒を使います。
皮ごと摂るのが、ポイントだ。
ゆずの皮に多く含まれる「β-クリプトキサンチン」は、骨の形成や維持に有効な成分なんです。
ちなみに、新鮮なゆずは、硬いそうですよ。
旬を過ぎると、皮だけが成長し、果肉と皮の間に、すき間ができるんですって。

薬味で、健康な身体を作りましょう!

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【健康診断】 結果の見方 B判定の落とし穴/健康カプセル! ゲンキの時間
健康診断の注意点。
・してはいけない行動とは?
・B判定でも安心できない?
動脈硬化のリスクを知るヒントとなる、「LH比」。
LDLをHDLで割って、3を超えたら、要注意!
・危険な組み合わせとは?
・動脈硬化の真犯人を発見!
LDLコレステロールと中性脂肪が高いと、進行する。
特に、超悪玉(スモールデンス)はリスク増の原因に。
クイズで勉強しましょう!
ドクネット:東海大学医学部付属東京病院 西崎泰弘 病院長。
昭和大学医学部 内科学講座 林俊行。
ゲンキスチューデント:滝裕可里。
ゲンキリサーチャー:あべこうじ。
2018年4月15日放送の「健康カプセル! ゲンキの時間」より、「~ 意外! B判定の盲点! ~ 命を守るドリル 健診結果の見方編」からのメモ書きです。

□ 健康診断でしてはいけないこと

さあ、今回のテーマは何でしょうか?

ズバリ、「健康診断」について。
街のみなさんに聞いてみると、健診結果のことは、あまり気にしてないようです。
A判定やB判定ばかりだと、安心している人も多いのでは?
ところが、専門家の先生は言いました。
「たとえ A評価とか B評価が出たとしても、手放しで安心することはできなくて…」
「その結果の中にですね、健康リスクへのヒントが隠れているんですね」
ということで、今回は、「命を守るドリル シリーズ 健診結果の見方 血液編」をお送りします。
さて、前回から始まった、「今日の健康カプセル!」。
中には、何が入っているでしょうか?
出てきたのは、「L/H」というキーワード。
健康状態を知るのに、重要だといいます。
まずは、健康診断に関するクイズから。
協力してくださったのは、「新宿健診プラザ」だ。
Q)次のうち、健康診断の際、やってはいけない行動は、どれでしょう?
(1) 朝食を抜くように言われていたので、代わりにバナナを食べた。
(2) 居眠りをする。
(3) ガムを噛む。
(4) 遅れそうになったので、全力で走ってきた。
(5) 腕時計やネックレスをしている。
(6) 採血後に、我慢していた水を飲む。
答えは、「 (1) (3) (4) (5) 」
今週のドクネット、東海大学医学部付属東京病院の 西崎泰弘 病院長に解説していただきます。
× 「朝ご飯の代わりにバナナを食べた」
健診の前は、10時間ぐらい、飲食禁止になっています。
当然、バナナもダメ。
ちなみに、タバコやお酒も、胃酸の分泌や血圧の上昇に影響するため、控えることが必要。
× 「ガムを噛んでいる」
ノンシュガーでも 少量の糖を含んでいる場合があります。
また、味がすることによって、胃酸の分泌を促してしまう可能性が。
× 「遅れそうになり 全力で走ってくる」
血圧測定に影響が出てしまう。また、筋肉内の「LDH」や「GOT」などの酵素は、肝臓にも含まれている。全力で走ると、これらが漏れ出てしまって、少し上がってしまうのだとか。
× 「腕時計やネックレスをしている」
レントゲンや心電図に、影響が出てしまいます。
ちなみに、(6)の「採血後に水を飲む」ですが、基本的には OK。
ただし、胃カメラを控えている場合は、1時間前までに済ませること。
お医者さんや看護師さんの指示に、従いましょうね。
□ B判定の落とし穴

多くの場合、健診結果は、「A」から「E」の判定に分けられます。
<健康診断判定区分>
A : 異常なし。
B : 所見はあるが、日常生活に支障なし。
C : 経過観察や生活改善が必要。
D : 要精密検査。
E : 要治療。
「C」評価から、保健指導などが入ることになる。
しかし、B判定だから大丈夫かというと、そうでもないのだそう。
そこには大きな落とし穴が…。
向かったのは、東京都は品川区にある、昭和大学病院附属東病院。
糖尿病・代謝・内分泌科学部門の 林俊行 先生に、教えていただきます。
「B判定というとですね、基準値を少し超える程度というようなことで、油断される場合もあるかと思うんですけど」
「実は、その中にはですね、隠れた動脈硬化のリスクがあって、それが狭心症や心筋梗塞の原因になるといった場合もあります」
そんなリスクから身を守るために、ぜひ注目してほしいという項目が、「脂質」だという。
[ケース(1)]
50代の男性。
健康診断は、毎年 受けていました。
結果は、LDLコレステロールが、やや高めの「B」。
HDLコレステロールが、基準内の「A」。
中性脂肪は、やや高めの「B」。
男性は、特に治療の必要もないだろうと、これまでと同じ生活を送っていました。
ところが、ある日、これまで感じたことのない激しい痛みが、心臓を襲ったのです。
動脈硬化による、心筋梗塞だった。
幸いなことに、その時 運ばれた 昭和大学病院附属東病院で、適切な処置を受け、事なきを得ました。
でも、B判定で「所見はあるが日常生活に支障なし」だったのに、いったい なぜなの?
林先生の解説。
「コレステロールの値が たとえ 基準値内であったとしても、動脈硬化が じわじわと 進行してくるような場合もあります」
「これが、コレステロールの怖さなんです」
平成28年の調査では、主な死因別死亡者数の割合で、「心疾患」が 2位、「脳血管疾患」が 4位でした。
1位の「悪性新生物/がん」にせまる数の人が、動脈硬化のために命を落としているのだ。
動脈硬化を知る上で、コレステロールは最重要項目だという。
脂質の一種 コレステロールは、本来、身体にとって必要なものです。
細胞膜やホルモンなどを構成する、材料の一つ。
肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶのが、「悪玉LDL」。
余分なコレステロールを回収するのが、「善玉HDL」。
ところが、そのバランスが乱れ、悪玉が増えたり、善玉が減ったりすると、回収されずに残ったコレステロールが血管壁に入り込み、プラークを作ってしまいます。
このプラークを放置しておくと、血管がボロボロになってしまう。
すると、血管は劣化して、弾力を失い、動脈硬化が進行。
血栓ができて、心臓病や脳卒中などのリスクが、高まってしまうのだ。
<健康診断による脂質代謝の基準値>
LDLコレステロール値 : 140mg/dL未満
HDLコレステロール値 : 40mg/dL以上
中性脂肪 : 150mg/dL未満
先述の男性は、LDLと中性脂肪が、B判定でした。
しかし、そこには、項目別の判定だけでは計り知れない、動脈硬化のリスクが隠れていたのだ。
林先生の解説。
「コレステロールの判定の中でも、(動脈硬化のリスクを)知るヒントの1つが、LH比 といわれるものになります」
健康カプセルの中に入っていたキーワード、「L/H」こそが LH比!
健診結果には載っていませんが、結果表さえあれば、自分でも計算できます。
LDLコレステロール値を HDLコレステロール値で割るだけ。

LH比が「2.5」を超えている場合、動脈硬化が進行している可能性がある。
これこそが、判定結果の落とし穴なのでした!
注意が必要となる境界線は、「2.5」です。
「3」を超えたら、要注意!
逆に、「1.5」を下回っていたら、健康体。
□ 危険な組み合わせ

さらに、健診結果には、将来の隠れた健康リスクを知る上で、とても重要な着眼点があります。
それが、「B判定の組み合わせ」。
例えば、脂質(コレステロール値、中性脂肪)と血圧がダブルで B判定なら、動脈硬化のリスクあり。
たとえ B判定でも、油断ならないのだとか。
血圧が高めということは、血管に強い負荷がかかり続けているということ。
そこに余分なコレステロールなどが運び込まれることで、血管が傷つき、ボロボロに。
これが、動脈硬化の原因になってしまうというわけ。
<危険なB判定の組み合わせ>
脂質B + 血圧B = 動脈硬化
血圧B + 血糖値B = 狭心症・脳血管障害
血圧B + 心肥大B = 心不全
脂質B + 肝機能B = 脂肪肝
健診結果を見る時は、1つ1つの評価に一喜一憂するのではなく、複合的に見ることで、潜んでいる健康リスクに気づくことができます。
ここで、問題。
Q)血糖値 B判定の人が、糖尿病への危険が上がる B判定の項目は、次のうちどれ?
A : 血圧。
B : 肝機能。
C : 脂質(LDLコレステロール)。
答えは、「B : 肝機能」。
血糖値B + 肝機能B = 糖尿病
肝臓というのは、糖を取り込む最大の臓器。
血糖値の調節にも、深く関係してるんです。
肝機能が悪い状態というのは、脂肪肝に陥っている可能性がある。
すると、糖の調節が悪くなり、糖尿病のリスクが高まってしまうのだ。
「血糖値B + 血圧B」「血糖値B + 脂質(LDLコレステロール)B」という組み合わせについては、すでに糖尿病の人が上がりやすい項目であり、誘発する要因ではないとのこと。
三宅裕司さんからは、こんな質問が。
「僕の場合は尿酸値が高かったんですけど、痛風以外のことでも、数値を見て分かることがあるんですか?」
西崎泰弘先生の解説。
「尿酸値が高いということはですね、腎臓の働きが低下して、オシッコの中に 尿酸が捨てられていない」
「だから、血液の中で高めで推移するという状態を、反映することもあります」
「ですから、腎機能障害、最悪の場合は 腎不全から 透析になることもあるんですが…」
「それから、尿が出てくるところに尿酸がいっぱい出ていくと、尿路結石を作る原因になりますので、そのリスクも高まっているということになります」
□ 動脈硬化の真犯人 超悪玉

実は近年、動脈硬化を引き起こす真犯人の正体が、明らかになってきたらしい。
林俊行先生の解説。
「特に、LDLコレステロールが B判定で、さらに 中性脂肪が高いといった場合にはですね、実は、動脈硬化がさらに進む、そういった原因があることが、最近 分かっています」
LDLコレステロール B + 中性脂肪 B = 動脈硬化が進行
このタイプは、血液中に、動脈硬化を引き起こすスナイパーが潜んでいる可能性が高いのだとか。
LDLコレステロールの中には、すごく小さいものがある。
これは、「超悪玉コレステロール」と呼ばれています。
正式名「スモールデンスLDL(sd-LDLコレステロール)」。
超悪玉コレステロールは、小型であるがゆえに、通常の血液検査では その量を測ることができない くせ者。
血管内のちょっとした傷や血管壁に 次々 入り込み、血液の流れを阻害します。
その結果、動脈硬化になってしまうというわけ。
小型のLDLコレステロールを持っている人は、普通の大きさのLDLコレステロールを持っている人よりも、心筋梗塞などになりやすい。
そういったデータも、最近では出ているのだとか。
なお、林先生の研究室では、超悪玉コレステロールの量を測定できるとのこと。
この超悪玉コレステロールは、20mg/dL未満であれば、正常。
逆に、40mg/dLを超えると、かなり危険らしい。
この数値が高ければ高いほど、心筋梗塞のリスクが増えてしまいます。
西崎先生によれば、超悪玉コレステロールは 中性脂肪に連動して 値が大きくなるとのこと。
なので、中性脂肪を落とすことが重要であり、まずは食生活の改善が求められます。
例えば、甘いものや炭水化物を食べる量を減らすとか。
また、運動によって、HDL(善玉)コレステロールの数を増やすことも重要に。
ちなみに、超悪玉の検査は、原則 保険適用外。
しかし、最近では、人間ドックのオプションとして、追加できる医療機関も増えているらしい。
□ 来年の健康診断に向けた対策

引き続き、クイズです。
Q)中性脂肪を下げたい時、食べるなら、どっち?
A : サバ。
B : ササミ。
答えは、「A : サバ」。
サバは、オメガ3 を含む 不飽和脂肪酸(EPA・DHA)などが豊富。
これらには、中性脂肪を下げる効果があります。
ササミは 脂肪分こそ少ないものの、中性脂肪を下げる効果はありません。
Q)血糖値を下げたい時、食べるなら、どっち?
A : やまいも。
B : さといも。
答えは、「B : さといも」。
サトイモは、血糖値を下げるのに必要な「カリウム」や「水溶性食物繊維」が豊富なのだ。
西崎先生からのアドバイス。
「男性の場合、定年を迎えますと、健診を受けなくなってしまう人が増えてしまうんですね」
「身体にガタがくる中高年齢の方々におきましては、ぜひ 継続的に受診していただくことが、大変重要になってまいります」


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