【どこを冷やす?】 効率的に体温を下げる AVA
手の平を冷やすと、体温が上がらず、疲れにくい。
その理由は?
家でやるなら、ペットボトルが使えます。
その方法とは?
「 金のベンリ堂 」 、「 便利な “掘り出し情報” 満載 ~ 熱中症&認知症予防SP 」 。
放送日 : 2019 年 7 月 17 日 。

□ ここを冷やすとよい!

さあ、今回のテーマは何でしょうか?

「最新 熱中症 予防装置」について。
梅雨が明けると、暑さの本格化が予想されます。
7月前半は 去年と比べて涼しかったけど、これから大丈夫?
炎天下で、身体を冷やす方法は、ないものか…
アメリカ、スタンフォード大学。
クレイグ・ヘラー教授が、ある装置を開発しました。
それは、身体の熱を 素早く効果的に 奪い取ることができる装置。

カバンにボースのようなものがついてるけど、何なんだろうか?
中の容器には、氷が入っています。
実はこれ、身体のある部分を、集中的に冷やす装置なのだ。
国防総省が 中東での任務で、使っていたという代物。
それだけ、暑さ対策になる。
じゃあ、どこを冷やすのか?
答えは、「手」です。
手から体温を奪い取る。
氷水がチューブをつたい、中にある青いパッドに流れ込む仕組み。
でも、なぜ、手を冷やすといいんだろう?
実は、手の平には、冷えた血液を 全身に循環させる、特別な血管がある のだ。
その名も、AVA 。
AVA とは、手の平に存在する 特別な血管。
動脈と静脈をつなぐ、バイパスのようなものです。
普段は閉じているのですが、体温が上がると開通し、ここに大量の血液が流れ込むんですね。
すると、温かい血液が、手に集まるのだ。
この状態で手を冷やすと、たくさんの冷やされた血液が、身体を循環することになる。
つまり、冷えた血液が身体をめぐるので、体温があまり上がらないというわけ。

ヘラー教授は、これをアスリートにも活用しました。
手を冷やす → 冷えた血液が全身を循環 → 全身が冷えると筋肉の温度も低下 → より早く疲労から回復できる。
これにより、持久力がアップするのだとか。
実験でも、効果が実証されています。
「首・脇の下・鼠径部」を冷却するより、「手の平・足の裏・頬」を冷却する方が、深部体温が下がる。
AVAは、「手の平」「足の裏」「頬」に集中しています。
この部分に、放熱する仕組みがある。
なので、サルやイヌなど、毛でおおわれた哺乳類でも、冷えやすいように、この部分は毛でおおわれていません。
□ ペットボトルを活用

仕組みは分かりましたが、ヘラー教授の機械は、家にありませんよね。
家庭でやるには、どうしたらいいんだろう?
何で冷やす?
芸人の チャン・カワイさんが、身体を張って実験してくれました。
気温35℃、湿度60% の部屋(人工気象室)で 20分間 (ウォーキングマシンで)歩き、かいた汗の量を測定します。
汗の量が少ないほど、体温の上昇が抑えられたということになる。
さあ、どのグッズが効くかな?
何もない時の 汗の量は、(1平方センチメートルあたり)1384mg です。
・ 保冷剤 → 1420mg (ちょっと増えた)
冷たすぎると、血管が収縮してしまうので、AVAが効果的に働かないようです。
・ 汗拭きシート → 1654mg (多い)
・ 携帯扇風機 → 1579mg (多い)
・ 冷えたペットボトル → 990mg (かなり減った)
手の平を冷やすなら、「冷たいペットボトル」 が一番効く!
専門家の先生に、説明してもらいましょう。
日本の AVA研究の第一人者、神戸女子大学の 平田耕造 教授です。
手の平を冷やす最適な温度は、「約15℃」。
ペットボトルなら、冷蔵庫や自動販売機から出した後、少しぬるくなった程度になります。
この時、ペットボトルの表面が濡れますよね。
この結露した水分が、蒸発する時に 熱を奪ってくれるので、より、手の平を冷やす効果が期待できる。
炎天下での効果の持続は、15分ほど。
家から駅などへの移動中に、試してはどうでしょうか。
(注意点)
手の平を冷やす方法は、熱中症の症状が出る前の、予防法です。
すでに熱中症の症状が疑われる場合は、適切な処置をしてください。
・ 首、脇の下、足の付け根を含めた、全身を速やかに冷やす。
・ 呼びかけに応じないなど、緊急の時は、救急車を呼ぶ。
<熱中症予防の基本>
・ 日陰を利用する。
・ こまめに水分補給する。
・ 帽子や日傘を利用する。
・ 室内では、冷房を利用する。

後編では、認知症予防になる運動を紹介します。
歯医者さんには「ウォーターサーバー」があって、よく冷たい水を飲みます。
そういえば昔、中学校には「冷水機」があった。
足で踏むと、冷たい水が出るやつ。
なんてことない冷えた水なんですが、部活の後とか、うまかったな~。
列ができてたし。
水は無料(ただ)という時代だった。
(いや、水道代はかかってるんだけど)
それが、ミネラルウォーターが市民権を得て、お茶飲料が当たり前になった。
スーパーでは、ウォーターサーバーに大きな瓶を入れてる人を見かける。
ともかく、安全に水が飲める時代が続いてほしいな。
当たり前だと過信せずに、金も人もかけてさ。
[関係する記事]
→ 【熱中症クイズ】 室内でも要注意な理由と対策
→ 【隠れ熱中症】体験談&エアコン嫌い対策



【乾布摩擦トレ】 汗をかいても風邪は治らない?
巷で言われる、風邪の治し方。
本当に、合ってるのだろうか?
海外の有名モデルも実践しているという、乾布摩擦トレーニングについても、紹介します。
2018年11月20日放送の「す・またん! まるトクZIP!」より、「~ 感染予防の専門家が教える ~ 風邪・インフルエンザ対策」からのメモ書きです。

□ それ本当?

さあ、今回のテーマは何でしょうか?

「風邪・インフルエンザ」について。
何となく常識だと思っていることが、案外間違っていたりするようです。
大阪は吹田市にある、大阪大学医学部附属病院。
ここに、面白いものがあるのだそうな。
柱にあるのは…。

一見、イタリアはローマにある「真実の口」。
映画「ローマの休日」でも、おなじみですよね。
実はこれ、感染予防のための、アルコール消毒マシーンなのだ!
手を入れると、アルコールの消毒剤が出てくる。

これを設置したことで、利用率が 20倍になったといいます。
時には、行列ができるらしいですよ。
この仕掛けを考えたのは、大阪大学大学院 経済学研究科の 松村真宏 教授。
人呼んで、「仕掛け学の権威」。
風邪もインフルエンザも、ウイルス感染によって起きる病気です。
なので、こまめに手洗いすることが大切なのだ。
1日に 1~2回では少ない。効果が望めません。
例えば、同じオフィスに長時間いる場合でも、休憩ごとに、手洗いと うがいをするのが よいそう。
特に、患者さんと接する医療者には、必要なこと。
医療者がちゃんとこまめに手洗いしている病院が、感染対策の良い病院ということになる。
さあ、ここからが本題です。
よく言われる風邪対策は、本当に合っているのでしょうか?
解説してくれるのは、大阪大学医学部附属病院 感染制御部の医員、森井大一 先生です。
<市販の薬を飲む>
これは、「△」。
治しているのではなく、症状を抑えているだけ。
熱を下げたり、痰を出しやすくしたり。
大事なのは、この次。
<ひたすら寝る>
これは、「〇」。
ちゃんと休むのが、すごく大事。
自分の免疫で治すので、しっかり休養を取るとか、栄養・水分補給することが、重要になります。
風邪をひいたら、当たり前に休む。
そういう社会になってほしいですね。
<ビタミンCを摂る>
意外なことに、「×」。
関係ないのだそう。
ビタミンC が風邪に効くのではないかと考えられていた時代も、ありました。
しかし、最近の論文でも、ビタミンC の有効性を示す根拠はない、科学的な研究は世界中どこを探してもないと、現時点では、結論づけられたそうな。
ただ、ビタミンC 自体には、抗酸化作用など、健康効果があります。
風邪に効くという根拠はないが、健康には必要なもの。
摂って損はありません。
<運動して、汗をかく>
これは、「×」。
汗を出したら治るというのでは、ありません。
無理やり汗をかいても、ダメ。
風邪ウイルスをやっつけるとき、体温が上がって、汗をかきます。
この「回復の兆しの汗」を、無理やり汗をかいたら治ると、勘違いしたのかもしれませんね。
余計な体力を使わないようにして、しっかり身体を休めることに専念してください。
□ 風邪予防エクササイズ

お次は、最新の風邪予防エクササイズ。
教えてくれるのは、ダイエットエキスパートの 和田清香さんだ。
「風邪予防」のほか、「冷え解消」「むくみ」「肩コリ」「ダイエット」にも効果が期待できるとのこと。
使うのは、タオル。
そう、「乾布摩擦トレーニング」なんです。
肌をこすることで、血流が良くなるそうな。
サザエさんとかでは上半身裸になった姿が描かれてますが、ここではしなくてもよい。
服の上からで、OK。
まずは、心臓に近い部分。「デコルテ」鎖骨部分から。
中央から、外側に向かって、鎖骨をなぞるように、やさしくこする。

肌を傷めないよう、やさしくこすってくださいね。
次は、胸のまわり。
両手を使って、8の字を描くように、やさしくこすります。
途中で、持ち替えてください。

続いては、お腹。
時計回りに、やさしくこする。
腸の働きを活性化し、便秘解消にもなるのだとか。

次は、背中。お風呂でやるような感じ。
褐色脂肪細胞を刺激します。
うまくいけば、体温を上げ、脂肪燃焼を促進することができる。
肩甲骨を意識して、こすってください。

下半身は、座った姿勢で、無理なく行ってください。
太ももから、ふくらはぎ、足の裏まで、こする。

和田さんによると、ミランダ・カーも、やっているのだとか。
ドライブラッシングで、乾布摩擦と同じことをやっている。

[関係する記事]
→ 【命を守るドリル】 ノロウイルス・インフルエンザ編
→ 「お風呂OK 汗NG? インフルエンザ対策」



【スタンフォード式(1)】 疲労回復法/ビーバップハイヒール
スタンフォード大学 専属アスレチックトレーナー「山田知生」さんから、最新の疲労回復法を勉強します。
今までの常識が、ひっくり返るかも。
・ 疲れた時は、寝る前に運動?
・ 食べるなら、フルーツ?
・ 疲れの原因は、乳酸ではない。
・ 寝だめは、効果なし。
・ ストレッチで疲れは取れない。
・ 歪みを治す、IAP呼吸法。
・ バテない体作り。
・ 疲れない立ち方。
2018年8月23日放送の「ビーバップ! ハイヒール」より、「一流アスリートが実践! スタンフォード式 疲れない体」。

□ スタンフォード大学の疲労回復法

さあ、今回のテーマは何でしょうか?

ズバリ、「疲労回復」について。
よく寝たはずなのに、疲れが取れない。
そんなこと、ありませんか?
文部科学省の調査によると、日本人の約4割が、「慢性的な疲労」を感じているのだとか。
そんな疲労に対し、科学的にアプローチした方法が、今、注目されています。
その名も、「スタンフォード式 疲労回復法」。
1885年に創立された、スタンフォード大学。
言わずと知れたアメリカの名門校ですが、スポーツ部門でも 強豪として 名を馳せています。
2016年、リオ オリンピックでは、スタンフォード大学の学生だけで、27個ものメダルを獲得している。
スゴイですね。
そんな世界最強ともいえるアスリートたちを支えているのが、「最新の疲労回復法」だという。
それはいったい、どんなものなのでしょうか?
当たり前だと思っていた認識が、覆されるかもしれませんよ。
<疲れていても、すぐには寝ない>
疲れて帰宅し、もう クタクタ。
そんな時、すぐ 床に入りたくなりますよね。
でも、これ、よくないのだそう。
そのままベッドに入っても、なかなか寝付けないこと、ありませんか?
ストレスで、眠れないのです。
身体は疲れていても、脳は興奮状態。
では、どうすればいいのか?
スタンフォード式だと、こうなる。
・ 軽い運動。
長時間のデスクワークなどで疲れた日は、身体を動かせていない場合も多い。
そんな時は、自律神経やホルモンのバランスが崩れていがち。
そのまま床に入っても、なかなか眠れません。
そこで、軽めの有酸素運動を 20分ほどする。
すると、血流が改善し、筋肉のコリも ほぐれるってわけ。
これが快適な睡眠につながり、疲労回復につながるのです。
しかし、強い運動は、脳や身体を興奮状態にするので、逆効果。
軽めを心がけましょう。
また、心身ともに疲れている場合は、例外的にすぐ寝てしまうのも、悪くないかもしれませんね。
ケースバイケースで実施しましょう。
<疲れた時に食べるのは?>
疲れているし、甘いケーキやお菓子を食べよう!
そんな女子も、多いかもしれません。
でも、スタンフォード式では、これも NG。
ケーキやお菓子などは、人工的に糖度を高めたもの。
ビタミンやミネラルに欠け、疲労回復に つながらないのだとか。
むしろ、糖質の分解にビタミンが消費されてしまい、逆効果だという意見も。
おススメのおやつは、栄養価の高い 皮付きのフルーツ。
(例:リンゴ、梨など)
フルーツには、疲労回復に役立つ「ビタミン類」が豊富。
しかも、内臓に負担がかかる脂質も少ないときている。
ビタミンを高速チャージできるので、うってつけってわけ。
スタンフォード大学 スポーツ医局 専属アスレチックトレーナー 山田知生さんは、言います。
「年を取っているから、仕事が忙しいから、(だからといって)疲労回復を諦める必要はありません」
「正しいステップを踏めば、疲労は必ず防げます」
「今までは、技術向上のためや パフォーマンス向上のための研究が、多く行われてきました」
「しかし、今はそれと同じぐらい、疲労回復のための研究が行われています」
その研究とは?
<疲れの原因は、乳酸ではない>
疲労の要因は、筋肉に溜まった乳酸によって引き起こされる。
そんな説、聞いたことありませんか?
しかし、最近の研究で、それが 間違い であることが 判明したのだ。
むしろ、乳酸には、筋肉の細胞炎症を抑え、修復を促す働きがあり、疲労回復のエネルギーとして使われていると、考えられています。
× → 乳酸は疲労の原因。
〇 → 乳酸は 筋肉の細胞炎症を抑え 修復してくれる。
〇 → 乳酸は 疲労回復のエネルギー源。
じゃあ、疲労の原因は、何なのだろう?
その原因とは、「脳」だという。
最新のスポーツ医学では、疲れは、脳と神経の連携が崩れて起きる現象だと、考えられている。
肉体だけでなく、神経の使い過ぎで、ストレスを招くというわけ。
多くの人が抱える疲労の原因は、「精神的疲労」が ほとんど。
仕事や人間関係など、日常のストレスで、脳が疲弊してしまっているのです。
疲れを溜め込んでいるのは、身体だけでなく、むしろ、脳。
なので、スタンフォードでは、選手の疲労度合いを測るため、トレーニングの前後で、必ずあることを行っているのだそう。
それは、「脈拍の測定」。
人間の身体は、疲労が溜まると、脈拍がいつもより早くなったり、遅くなったりするのだ。
これは、アスリートだけの話ではありません。
自覚症状が無くても、脈が乱れていたら、要注意。
そのまま脳や筋肉を酷使し続けると、慢性疲労に陥る可能性が。
脈は、疲労のバロメーター!
脈が乱れていたら、身体を休めましょう。
身体のサインを無視すると、大きなツケを払うことになるかもしれませんよ。
<寝だめは、疲労回復の敵>
不規則な睡眠は、副交感神経の働きを悪化させるのだ。
結果、寝付きが悪くなり、慢性的な睡眠不足を引き起こしてしまうのです。
さらに、スタンフォードでは、選手の健康状態を医学的に把握するため、定期的に ある脳のテストを実施しているのだそう。
すると、寝不足の水泳選手や陸上選手に、ある共通点が見つかりました。
それが、「脳震盪(のうしんとう)」。
寝不足の時に、何だか身体がダルいと感じるのは、実は、脳震盪と同じくらいダメージを受けているというシグナル。
この状態が続くと、疲れを通り越し、「肥満」 や 「心臓病」 のリスクを高めてしまうのだという。
<ストレッチで疲れは取れない>
疲れの根本的な原因は、「身体の歪み」だというのだ。
知らず知らずのうちに、歪みをかばうため、身体が無理な動きを取ろうとし、ダメージが蓄積する。
例えば、肩をかばい、本来使う必要のない腰を使うなど、疲れやすい身体になってしまうのです。
では、どうやればいいのだろうか?
対策として紹介されたのが、これだ。
<IAP呼吸法>
息を吸う時も、吐く時も、常にお腹を膨らませた状態で、呼吸します。
ポイントは、中から外へ圧力をかけ、お腹を硬くすること。
こうすることで、体幹が安定し、姿勢が良くなる。
そのおかげで、身体の歪みが解消されるというわけ。

スタンフォード大学では、この呼吸法を取り入れたことで、腰痛などのケガが激減したのだという。
<IAP呼吸法 実践編>
(1) イスに座ります。
手のひらを上にして、それを内側に回し、お腹に当てる。
(2) その状態で、指に刺さるように、お腹を膨らませます。
お腹が膨らんだところで、硬さを感じてください。
(3) この圧を保ったまま、ゆっくりと息を吐く。
(4) 5秒で吸って、5秒で吐く。
日常生活で できるようになるのが、ポイント。
(5) 朝夜に、吸って吐いて 10秒をワンセットとし、これを6回が目安。

身体の軸(体幹)が しっかりしたのを感じませんか?
□ 疲労を溜めない生活習慣

続いては、バテない身体作りを。
<水分補給>
基本となるのが、水分補給だ。
人間の身体の「70%」は、水分。
水分が不足すると、血行が悪化。
神経の伝達に支障をきたし、身体が思うように動かなくなる。
これが、疲労につながる。
人間は、1日に 1リットルほど、汗をかきます。
それを補うためには、1日に「1.5リットル」の水が必要。
(もちろん、スポーツや作業などで多く汗をかく人は、もっと必要になります)
<朝食には生野菜>
朝食に、甘い菓子パンなどの糖質を摂取すると、血糖値が乱高下。
スタンフォード式では、生野菜を勧めているのだそうな。
野菜は極力、生で食べる。
日本では茹でるのが当然な、ブロッコリーやカリフラワーも、スタンフォードでは、生で食べる。
マッシュルームやカボチャも、薄切りにして、加熱せずに食べるのだとか。
ストレスに強い身体を作る「野菜のビタミンC」は、茹でると流れ出ちゃうんです。
なので、できるだけ、生で食べるようにしている。
<疲れにくい立ち方>
コツは、揺れながら立つこと。
立ったまま待つ時など、人は大体、右足に重心をかけがちです。
実は、これにも理由がある。
人間の内臓は、左右非対称。
右側には、最も大きな臓器である「肝臓」があります。
そのため、無意識に、右に体重をかけてしまうのだ。
いつもの癖で 右側にばかり体重をかけていると、当然、身体のバランスは崩れてしまいます。
これが、疲労の原因に。
だから、立っている時は、こうすればいい。
ゆっくりと、軽く、左右に体重移動させる。

揺れる意識を持つと、疲労の蓄積が避けられます。
<肩こりの治し方>
肩こり対策というと、肩を揉んだり、ほぐしたりしがち。
あるいは、叩いたり。
でも、本当にアプローチすべきなのは、「肩甲骨」なのだ。
例えば、パソコンなどで 前屈みの作業を続けていると、肩甲骨の間が開き、身体のバランスが崩れる。
やがて、肩まわりの筋肉が緊張し、肩こりに つながってしまうというわけ。
対策には、この方法を。
開いてしまった肩甲骨を、寄せていきます。
<肩甲骨ムービング>
(1) 手を肩の上に置き、胸を開いて、前から後ろへと回す。
肩甲骨を中心に寄せるイメージです。
(2) 両腕を、10回から12回、回しましょう。

<30分に1回は立ち上がる>
日本の成人は 1日に 7時間座っているという、研究があるのだそうな。
もちろん、世界一の長さだ。
座り過ぎると、下半身の血流が滞り、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病など、たくさんの病気のリスクを高めると言われています。
それを避けるためには、30分に1回は立つことが必要。
でも、会議中など、どうしても立ち上がることができない場面もありますよね。
そんな時は、この方法がある。
<レッグタップ>
(1) イスに座ったまま、踵(かかと)を 15秒かけて、ゆっくりと上下させる。
(2) 次に、つま先を 15秒かけて、ゆっくりと上下。
こうすることで、疲労物質の滞留を防ぐことができる。
□ 〇×クイズ

最後は、疲労回復に関する 〇×クイズです。
効果があれば、〇。
効果が無ければ、×。
Q)肉大盛りの牛丼を食べる。
答えは、「〇」。
お肉は、疲労回復に効果あり。
ただし、ごはん(炭水化物)の食べ過ぎには注意しましょう。
Q)電車の中では、短時間でも座る。
答えは、「〇」。
短時間でも座った方が、疲労回復には効果あり。
座れない時は、両手で つり革を握って立つのがよい(迷惑にならない範囲で)。
Q)身体のダルさを感じたら、スキップする。
答えは、「〇」。
バランスよくスキップすることで、身体の歪みを整えるだけでなく、脳や中枢神経に刺激を与え、リフレッシュ効果も期待できる。
Q)疲れを感じたら、昼寝する。
答えは、「×」。
昼寝は、慢性的な睡眠不足の原因にもなり得るので、注意が必要。
規則正しい睡眠を心がけましょう。
(もし、するなら、短時間で)

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【寝たきり予防 チェックシート】 /ガッテン
寝たきりにならないための、2つの要素とは?
カギになるのは、イギリスの「孤独担当大臣」だ。
ロンドン大学の研究では、それが少ない人ほど死亡率が高いことが判明している。
タバコやアルコールより、影響が大きという報告もある。
2018年6月6日放送の「ガッテン」より、「筋肉&血管を強くする! 世界が証明した究極の寝たきり予防法」。
その後編です。
解説:東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢 教授。

□ 健康長寿 最強の条件

さて、今度は、日本の研究になります。
「寝たきりの危険度」を表したグラフ。

2つの条件が無い場合、寝たきりの危険度は一番高く、「16.4」あります。
一方だけの場合は、グンと下がってますね。
両方ある場合が、一番低い。
この2つの項目、いったい、何なのでしょう?
ちなみに、上のグラフは、千葉県柏市の高齢者5万人の調査で明らかになった危険度なのだそうです。
都内にお住いの Aさんご夫婦。
旦那さんは87歳で、奥さんは83歳。
仲良しのお二人ですが、生活は対照的です。
旦那さんは、身体を動かすことが大好き。
毎日、1万歩のウォーキングを欠かしません。
こりゃ、すごい。
奥さんの方は、大好きなピアノを弾いたり、英語の詩を読むのが趣味だという。
運動は得意じゃないので、あまり好きではないとのこと。
でも、去年、Aさん夫婦に、意外な事実が判明したらしいぞ。
きっかけは、全国で行われている、お年寄りを対象とした健康チェックでした。
握力や片足立ち上がりなどを測定して、将来、どれくらい寝たきりになりやすいかを判定します。
自信満々の旦那さんでしたが、結果は、予想外のものでした。
なんと、旦那さんの方が、将来 寝たきりになってしまうリスクが高いと、判定されたのです。
あんなに運動しているのに。
上で紹介した「寝たきりの危険度」のグラフ。
2つの条件のうち、1つは「運動」です。
確かに、効果がある。
でも、もう一方の条件の方が、効果は大きいようですね。
では、もう一つの条件とは、何なのでしょう?
運動以上に、効きそうだぞ。
ピアノが趣味の、奥さん。
定期的に、演奏仲間のお友達と、集まっています。
奥さんがピアノで、お友達が 笛、バイオリン、ボーカルを担当している。
といっても、この集まり、演奏がメインというわけではなく、おしゃべりが中心なのだとか。
実は奥さん、他にも、詩の朗読サークルに参加するなど、グループ活動に大忙しなのだ。
運動はしないけど、人間関係は活動的なんですね。
一方、旦那さんの方は、どうでしょう。
テニス仲間がいたのですが、ケガをしてからは ご無沙汰らしい。
毎日のウォーキングも、おひとりで黙々と。
というわけで、もう一つの条件とは、「人とのつながり」でした。

実は今、「人とのつながり」は、世界的な大問題になっているんです。
イギリスでは、「孤独担当大臣」が誕生したほど。
そう、人とのつながりの改善に、政府が乗り出したんです。
孤独担当大臣 トレーシー・クラウチさんのお話。
「お年寄りの孤独の深刻さについては、既に多くの研究があります」
「しかし、実は、お年寄りだけでなく、孤独は全世代にわたる深刻な問題です」
政府が乗り出すほどのきっかけの一つになったのが、ロンドン大学の研究だという。
50歳以上の男女、6500人の「人とのつながり」を調べ、7年間 追跡しました。
すると、こんなことが分かったのだ。
つながりが少ない人ほど、死亡率が高い。
ロンドン大学(英国加齢研究) アンドリュー・ステップトー教授のお話。
「私たちのこれまでの研究では、人とのつながりが少ないと、身体に起きる炎症が強くなってしまうことが分かってきました」
「それは、心臓、血圧、ホルモンなど、体中に悪影響が及ぶため、死亡する可能性すら高まってしまうのです」
イギリスBBC では、人とのつながりの大切さを伝える一大キャンペーンが進行中だといいます。
「 Is loneliness affecting your health? 」
「孤独は健康に悪いの?」
そこには、このようなメッセージが。
「孤独は、心臓病や脳卒中の危険性を、およそ 3倍高めます」
「長生きしないという研究結果もあります」

そして、日本でも、「人とのつながり」を調べることで 寝たきり予防につなげようという、取り組みが始まっています。
例えば、神奈川県は茅ケ崎市。
みんなで、質問票に記入してるぞ。
例)
「Q)個人的なこともでも、気兼ねなく話すことができる友人は、何人いますか?」
「Q)次にあげる組織の活動に、参加していますか? 老人会・老人クラブ、学習・教養のサークル・団体、町内会・自治会…」
友人関係に関する質問や、参加しているサークルなどの数まで、チェックする項目は様々。
これで、「人とのつながり」をチェックできるってわけだ。
<人とのつながりチェック>
・ 月に1回以上、顔を合わせたり消息を取り合う人は、何人いますか?
・ 個人的なことでも気兼ねなく話すことができる人は、何人いますか?
・ 手助けを求めることができるような 身近に感じる人は、何人いますか?
詳しいチェックシートは、最後に紹介します。
□ 飯島勝矢先生の解説
ここでスタジオに、専門家の先生が登場。
東京大学 高齢社会総合研究機構の 飯島勝矢 教授です。
先ほどのグラフ。

これは、飯島先生にとっても、非常にショッキングな、予想をはるかに上回るような結果だったそうです。
もともと、ある程度は分かっていたのだけれど、ここまでインパクトの強い要素だとは思っていなかった。
「人とのつながり」の重要性は、世界レベルで注目されているのだとか。
次のグラフは、全世界で行われている研究「148個」を全部集めたもの。
対象者は、30万人だという。

グラフは、右に行けば行くほど、長生きにプラスに働く。
ということは、「人とのつながりがある」というのは、「禁煙」「酒を飲み過ぎない」「運動」「肥満予防」より、影響が大きいということ。
飯島先生の解説。
「例えば、カラオケ好きの高齢の方が、いたとしますよね」
「できればですね、お二人だけではなくて、5人ぐらいで」
「できれば、3曲ぐらいじゃなくて、8曲ぐらい」
「できれば、カラオケだけではなくて、お隣の、例えば ファミレスでも行って、一緒にワイワイと食べる」
「そこら辺があると、さらに相乗的に、いいことが身体に起こってるんじゃないかなって思います」
こんな調査結果もあるそうな。
「一人でしっかり運動」するよりも、「グループで軽めの運動」の方が、介護予防効果あり!
「運動はある程度効果があることは、明らかです」
「ただ、そこに、多くの人たちとワイワイ運動やろうじゃないかというところが、一番重要じゃないかなと思います」
「みんなでワイワイ」って、良い影響があったんですね。

「人とのつながり」を持つことが、寝たきり予防の重要なカギになる!

ガッテン! ガッテン!
□ 地域参加

でも、人とのつながりって、何から始めればいいんでしょうか?
例えば、こんなことがあるようですよ。
・ 週に1回、同居の家族以外の人と、外で会う。
週に1回以上、外で人とのつながりがあると、身体の機能が衰えにくいことが、多くの調査から分かっているのだとか。
少しずつ、人とのつながりを増やした方たちがいます。
新宿区にある、「暮らしの保健室」。
68歳女性のBさんの場合は、どうでしょうか。
Bさんは、近所の騒音のストレスがきっかけで、家に閉じこもりがちになり、人とほとんど会わない生活をしていたのだそうな。
変わるきっかけになったのが、たまたま前を通りかかった、地域のお年寄りが集まるこの場所だったそうです。
お茶でも一杯、飲んでいきませんか?
そう声をかけられたのが、きっかけでした。
中に入ったら、涙が出て、うれしくなったと、Bさんは振り返ります。
「本当に、あそこで声をかけていただかなかったら、いまだに家で机に突っ伏して、鬱々としていたかもしれないですね」と。
知り合いができたことで、Bさんの活動の場は、さらに広がりました。
ボランティアを紹介されたんですね。
今では、高齢者の施設で週1回、皿洗いなどをしているのだそう。
まさに、親切を実践中ってわけ。
楽しいし、感謝されるしで、充実しているようです。
それはもう、帰りに笑顔が漏れ出るほど。
埼玉県にお住いの66歳 男性、Cさん。
都内で会社勤めをしていましたが、63歳で退職。
以来、人とのつながりが途切れてしまったそうな。
どこに市役所があるかも、知らない状態です。
近くに、ほとんど友達がいないのだそう。
自宅で、好きな映画を見たり、パソコン作業をする毎日。
時間に制約されないのは楽しいとも。
でも、近所に住む娘さんは、心配しています。
このままでいいのかな? と。
まだまだ元気なので、できれば、笑って過ごしてほしい。
そこで、娘さんが勧めたのが、「朝霞ぐらんぱの会」でした。
地域の子どもたちに、昔遊びや勉強を教える、地元のおじいちゃんの会です。
皿回しを教えたり、風船でプードルを作ったりと、大活躍。
子どもたちと言葉を交わすうち、自然と笑みも漏れるようだ。
この活動を続ける一番の理由は、仲間ができたことだという。
活動の後 気軽に一杯、ということらしい。
これもまた、人生の楽しみの一つか。
笑ってワイワイとやるわけだから、飯島先生の説明とも合致します。
こうしたきっかけを見つける時に、大きな味方になってくれるのは、近所の「地域包括支援センター」。
人とのつながりをサポートする取り組みを、行っているそうです。
□ 人とのつながりチェックシート

最後は、チェックシートの紹介です。
東京大学の飯島教授が考案したチェックシートは、友人や家族に関する質問の他に、組織参加などもチェックして、点数化するもの。
人とのつながり度合いが、一目で分かる代物だ。



今の状態を見直す、良い機会になるといいですね。
さて、Aさん夫妻の話に戻ります。
奥さんに比べて、人とのつながりが少なかった、旦那さん。
新たにグループ活動を始めようと、腰を上げました。
でも、なかなか難しい部分も。
「若い時みたいに、スーッと入っていけなくなっちゃったんですよ」といいます。
「昔は、どんな所でも、平気で入って行ってね」
「今考えると、よくああいう所に入ったな~と思うくらい」
「知らない人たちの中に入るというのが難しくなった、私はね」
そうおっしゃっていたのですが、今年4月に変化が。
いったんは高齢を理由にやめていた趣味のテニスですが、3年ぶりに再開することにしたのだ。
久しぶりでしたが、すぐに勘を取り戻し、動きもキビキビ。
同じ趣味を共有するだけあって、コミュニケーションも問題なさそうだ。
感想を聞くと、「楽しかったですよ。身体がウキウキして」と笑顔に。
人とのつながりって、すごく大事なんですね。
見えないところで、影響が大きいのか。
![NHKガッテン! 2018年 08 月号 [雑誌]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/41EDNm1MR9L._SX270_.jpg)

次回は、これ。
胃酸を出す領域が広がってるって、どういうことなんだろう?
放っておくと、大変なことに…。
「せきが止まらない! 歯が溶ける! 犯人はまさかの“胃”」。
前編 → 【最新 寝たきり予防法】 人に親切にする
[関係する記事]
→ 【長寿と慢性炎症】 CRP値&ポリアミン
→ 【低栄養】 高齢者は 肉を食べよう 10食品群チェックシート
→ 【健康住宅】 DIYで危険転倒回避



【最新 寝たきり予防法】 人に親切にする/ガッテン
寝たきり予防は、運動だけじゃない?
もっと効果の高い対策があった!
UCLA スティーブ・コール教授が実証した、行動とは?
それをし続けると、炎症物質を出させる遺伝子が、あまり働かなくなる。
2018年6月6日放送の「ガッテン」より、「筋肉&血管を強くする! 世界が証明した究極の寝たきり予防法」からのメモ書き。
その前編です。

□ アメリカ発 寝たきりにならない行動

さあ、今回のテーマは何でしょうか?

「究極の寝たきり予防法」について。
老後の不安、ありませんか?
転倒 → 身体が弱る → 寝たきりや要介護に。
自分は、大丈夫だろうか?
お父さんやお母さんは、大丈夫だろうか?
おじいちゃんや おばあちゃんは?
考え出すと、きりがありません。
寝たきり予防といえば「運動」が思い浮かびますが、なんと、もっと効果的なものがあるのだという。
カリフォルニア大学の スティーブ・コール教授は言いました。
「それがある人とない人では、年間の死亡リスクは、50%も違うんです」
要介護を防ぐ決め手とは、いったい、何なのでしょう?
ガッテンでも、過去23年間、「寝たきり予防」について紹介してきました。
2012年12月放送 「転倒を防ぐ方法」
→ 「片付ける」
つまづいた時に何もなければ、かなりいい状態で転ぶことができるらしい。
ところが、そこに何か置いてあると、それを避けようとして、思いもよらぬ形で転んでしまうんです。
あと、コードや小さな段差も、危ない。
大きいものだと明確に避けようとしますが、小さいものだとあまり意識せず、またいだつもりでも足が上がってなくて、つまづきの原因に。
なので、片付けることは、大事なのだ。
もし、何度も転びそうになってるなら、片付けてください。
リスクを減らしましょう。
2015年7月放送 「筋肉を維持」
→ 「運動後に牛乳」
運動直後は、筋肉に たんぱく質が取り込まれやすいんですね。
いわば、ゴールデンタイム。
牛乳は、痛風予防にもなるから、おススメです。
2017年2月放送 「骨折を防ぐ」
→ 「かかと落とし」
踵(かかと)を上げて、トンと落とす。
刺激により、骨を丈夫にするホルモンを出すのが、目的です。
(転倒やケガには、十分注意してくださいね)
あと、骨を丈夫にする「ビタミンK」摂取には、納豆がいいですよ。
2017年5月放送 「筋肉を維持」
→ 「肉を食べる」
高齢者は、肉(たんぱく質)の摂取が減りがち。
意識して、食べるようにしましょう。
2017年6月放送 「骨と筋肉を維持」
→ 「日光浴」
骨や筋肉の合成に必要な「ビタミンD」を、日光浴で生成するってわけ。
手だけでも、いいらしい。
2017年8月放送 「運動神経を刺激」
→ 「くねくね体操」
体幹を通る運動神経を、くねくねの動きで刺激する。
普段から刺激しておくと、とっさの時に、手や足に脳からの信号が伝わりやすくなるのだとか。
そして今回は、これらとは違う、まったく新しい情報。
世界レベルの発見とは、どんなものなのでしょう?
向かったのは、カリフォルニア大学 ロサンゼルス校(UCLA)。
スティーブ・コール教授に、お話を伺いました。
先生は、長生きの仕組みと要因の研究を続けているスペシャリストなのだ。
コール教授は、寝たきりを防ぐ「ある方法」を、ユニークな実験で実証したのだそうな。
実験に参加したのは、健康に問題のない 160人。
3つのグループに分かれてもらって、あることを毎日やってもらいました。
(1) 人に親切にする。
(2) 道端のゴミを拾うなど、世の中に役立つことをする。
(3) 好きなものを食べるなど、自分がうれしいことをする。
こうした行動を 1か月続けてもらった後、みなさんの血液を詳しく調べました。
すると、あるグループの血液にだけ、驚きの変化が!
なんと、免疫をつかさどる遺伝子の働きが、実験の前とは、大きく変わっていたんです。
コール教授のお話。
「ある行動をとったグループの遺伝子の働きに、寝たきりを防ぐ良い変化が現れたんです」
「つまり、日々の行動次第で、自分が寝たきりにならないように、遺伝子の働きをコントロールできるということなんです」
寝たきり予防につながる行動、それは、「人に親切にする」でした。
例えば、道で出会った おばあさんの荷物を持ってあげたとか。
喫茶店にいる時に、友人に コーヒーをごちそうしたとか。
焼いたクッキーを友達にプレゼントしたとか。
こうした「人に親切な行動」を、1日3回してもらったんです。
すると、このグループの遺伝子にだけ、寝たきり予防に効果的な変化が現れたのでした。
一方、他のグループは、今回の実験では、寝たきり予防の効果は、見られませんでした。
1か月間 1日3回 人に親切にしたら、身体に変化があった!
では、どんな変化があったのでしょう?
寝たきりの大きな原因の一つは、「身体で炎症が進行すること」。
コール教授の解説。
「炎症が長期にわたると、筋繊維が委縮し、全身が衰えていきます」
「それは非常に危険なことで、様々な病気へと、つながっていくのです」
そもそも免疫細胞は、病原菌などと戦う時に、炎症モードに入るんですね。
ところが、炎症モードが長く続いてしまうと、自分の身体にまでダメージを与えてしまうんです。
筋肉の他にも、血管にダメージが続けば、動脈硬化に。
脳梗塞や心筋梗塞につながることも。
さらに、脳細胞にダメージが続くと、脳が委縮してアルツハイマー病の原因にもなり得る。
コール教授は、この厄介な炎症を抑える 様々な方法を、研究してきたんです。
そして、その中で浮かび上がったのが、「1か月間 人に親切な行動を続けること」というわけ。
それにより、炎症度合いが大きく変わることを、突き止めました。
人に親切にし続けると、なぜか、炎症物質を出させる遺伝子が、あまり働かなくなったそうです。
でも、なぜ、人に親切にすると、炎症や遺伝子の働きに良い変化が現れるのでしょう?
スティーブ・コール教授の解説。
「私たち人類の進化の歴史に、答えがあると思います」
「自分の配偶者や子どもはもちろん、あらゆる人に対して親切にすることが、身体によい影響をもたらすよう、進化してきたんです」
「人類が大きな動物との戦いに勝ち残ってこられたのは、群れを作って お互いに助け合うことをしてきたからです」
「そんな人間にとって、仲間との協調性を失うことは、即、命の危険を意味します」
「そんな時、身体が自然と緊急事態を察知して、炎症モードに入るのです」
「他人に親切にすることは、より多くの人と助け合うグループを作るための、有効な手段です」
「人は親切を喜びと感じ、身体も良い反応をするよう、プログラムされているのだと、私は理解しています」

親切って、与えるだけでなく、得るものも ちゃんとあるんですね。

人に親切にすると、寝たきりの原因となる炎症物質が減るようです。

ガッテン! ガッテン!


後編に続きます。


